- ネットワーク
ハブとは|スイッチ・ルーターとの違いと仕組みを実例で解説
結論
ネットワークのハブとは、複数の機器をLANケーブルでつなぐ集線装置です。いま売られているのは、宛先にだけ送る「スイッチングハブ」です。
この記事でわかること
- ハブ・スイッチ・ルーター・ブリッジの違い表4種
- 学習あり・なしで他の端末に届いた量の実測2通り
- 家庭での選び方5項目とトラブル8件の直し方
家庭では、ルーターの LAN ポートが足りないときに、ハブをつないで有線の機器を増やします。ハブは同じネットワークの中で機器どうしをつなぎ、インターネットとの間はルーターが受け持ちます。
flowchart TD
I[インターネット] --> R[ルーター<br>ネットワークの出入口]
R --> H[スイッチングハブ<br>機器を増やす]
H --> P[PC・ゲーム機]
H --> N[NAS・プリンター]
急いでいる人向けに、よく調べられることの答えを先にまとめます。
| 知りたいこと | 答え | 詳しい節 |
|---|---|---|
| ハブとは | LAN ケーブルを束ねて機器を増やす装置 | ハブとは |
| スイッチとの違い | 今はほぼ同じ物。スイッチングハブ=スイッチ | 違い |
| ルーターとの違い | ルーターは別のネットワーク(インターネット)とつなぐ | 違い |
| リピーターハブ | 届いた信号を全ポートに流す。今はほぼ売られていない | リピーターハブとスイッチングハブ |
| 何層の機器か | リピーターハブは第1層、スイッチは第2層 | OSI の層 |
| 選び方 | ポート数・速度(1G/2.5G/10G)・PoE・ループ検知 | 選び方 |
| ハブだけでネットにつながる? | つながらない。ルーターの LAN 側につなぐ | つなぎ方 |
| 遅い・つながらない | ループ・ケーブル・100Mbps のポートを疑う | トラブル |
確認環境:Ubuntu 24.04.4 LTS・Linux カーネル 6.18。ネットワーク名前空間(ip netns。1台の中に独立したネットワークを作る仕組み)で端末 A・B・C の3台と、Linux bridge(カーネルに入っている仮想のスイッチ)を1台作り、iproute2 6.1.0 の ip・bridge コマンドで MAC アドレスの表(FDB)・学習の有無・エージング時間・STP を切り替え、tcpdump 4.99.4(libpcap 1.10.4)で端末 C に届いたフレームを数えました。転送の量は Python 3.11.15 で 10MB を送って測りました。bridge・ip-link の設定項目は man ページ、学習とフラッディングと STP は Linux カーネルの公式ドキュメント、ハブとスイッチの説明は NTT東日本の解説、PoE の電力は Microchip の解説、2.5GBASE-T・10GBASE-T のケーブルはバッファローと Cisco の公開資料、仕様表の例はバッファローの製品ページで確かめました(確認日 2026年10月23日)。
本記事の内容は、ご自由にお使いください。
ご利用の際は、出典として本ページへのリンクを記載いただけますようお願いします。
(記載例)出典:株式会社RJC「ハブとは|スイッチ・ルーターとの違いと仕組みを実例で解説」
ハブとは(意味・読み方・ほかの「ハブ」との見分け)
この節では、ネットワークの「ハブ」が何をする装置かと、同じ言葉のほかの意味との見分け方が分かります。
ハブ(hub)は、複数の LAN ケーブルを1か所に集めて、つないだ機器どうしが通信できるようにする装置です。 英語の hub は「車輪の中心」「中心地」という意味で、ケーブルが中心に集まる形から名前が付きました。「LAN ハブ」「ネットワークハブ」とも呼ばれます。NTT東日本の解説も、ハブを「複数の LAN ケーブルをつなげる集線装置」で、接続する機器を増やす役割がある、と説明しています。
1電源タップでいうと
コンセントの口を増やす電源タップのように、LAN の口(ポート)を増やす。ただし電気と違い、データは宛先の機器を選んで送られる。
2マンションの郵便受けでいうと
スイッチングハブは、宛名を見て、その部屋の郵便受けにだけ入れる管理人。リピーターハブは全部屋に同じ手紙を配る。
3家庭でいうと
ルーターの LAN ポートが4つでは足りないとき、ハブを1台つなぐと、PC・ゲーム機・NAS などを有線で増やせる。
ほかの「ハブ」との見分け表
| 言葉 | 何のこと | この記事との関係 |
|---|---|---|
| LAN ハブ・ネットワークハブ | LAN ケーブルを束ねる装置 | この記事の対象 |
| スイッチングハブ | 宛先の機器にだけ送るハブ | いまの LAN ハブはほぼこれ |
| USB ハブ | USB の口を増やす装置 | 別物。PC の周辺機器をつなぐ(下で一言) |
| ハブ空港 | 路線が集まる中心の空港 | 「中心」という意味が同じ |
| 生き物のハブ | 南西諸島にいる毒ヘビ | 無関係 |
| GitHub・Docker Hub | サービスの名前 | 「集まる場所」という意味の名前 |
USB ハブとの違いは、つなぐ相手です。 USB ハブは1台の PC にキーボードやメモリーなどの USB 機器を増やす装置で、機器どうしのネットワークは作りません。LAN ハブは、PC やプリンターなど別々の機器を同じネットワークにつなぐ装置です。
ハブ・スイッチ・ルーター・ブリッジの違い
この節では、似た名前の4つの装置が、何を見てどこへデータを送るのかを1つの表で比べられます。
ハブとスイッチは「同じネットワークの中」をつなぎ、ルーターは「別のネットワークどうし」をつなぎます。 ブリッジは2つの区間を MAC アドレス(機器ごとに付いた番号)を見てつなぐ装置で、スイッチは「ポートの多いブリッジ」と考えると分かりやすくなります。
| 装置 | 何を見て送るか | つなぐ範囲 | OSI の層 |
|---|---|---|---|
| リピーターハブ | 何も見ない(全ポートに流す) | 同じネットワーク | 第1層 物理層 |
| スイッチ(スイッチングハブ) | 宛先の MAC アドレス | 同じネットワーク | 第2層 データリンク層 |
| ブリッジ | 宛先の MAC アドレス | 同じネットワークの2区間 | 第2層 データリンク層 |
| ルーター | 宛先の IP アドレス | 別のネットワークどうし | 第3層 ネットワーク層 |
flowchart TD
A[PC A] --> S[スイッチ<br>MACアドレスで<br>宛先のポートへ]
S --> B[PC B]
S --> R[ルーター<br>IPアドレスで<br>別のネットワークへ]
R --> W[インターネット<br>別のネットワーク]
スイッチ(ハブ)の役目
同じネットワークの機器を何台もつなぐ
MAC アドレスを見て、宛先のポートにだけ送る
IP アドレスを配らない(DHCP なし)
ルーターの役目
家の中のネットワークとインターネットをつなぐ
IP アドレスを見て、次に送る先を選ぶ
家庭用は IP アドレスを配る(DHCP)機能も持つ
家庭用のルーターには、スイッチが組み込まれています。 背面の「LAN」と書かれた複数のポートは、中のスイッチの口です。NTT東日本の解説も、ルーターに LAN ポートが付いた製品があり、つなぐ機器が少なければハブを足さずに済むこと、ハブにはルーターの機能が無いのでモデム(ONU)に直接つないでもインターネットにはつながらないことを説明しています。
Wi-Fi のアクセスポイントも、無線の機器と有線の LAN を MAC アドレスでつなぐ点で、ブリッジの仲間です。自宅のルーターと「同じネットワーク」かどうかの見分け方は、関連記事「サブネットマスクとは|計算方法・早見表・確認方法を図と実例で解説」で扱っています。
リピーターハブとスイッチングハブの違い
この節では、2種類のハブがデータをどう流すかの違いと、いまスイッチングハブだけが使われる理由が分かります。
リピーターハブは、届いた信号を受けたポート以外の全ポートにそのまま流します。スイッチングハブは、宛先の MAC アドレスを見て、その機器がつながるポートにだけ送ります。 宛先を覚えていないうちは全ポートに送り、覚えたあとは宛先だけに送ります。
A から B に送ったとき、C には届くか
後の節の実測では、A→B の 10MB の転送で C に届いた量は 42バイトと約10MB だった
同時に送れるか
台数が増えるほど差が大きくなる
| 比べる点 | リピーターハブ | スイッチングハブ |
|---|---|---|
| 送り先 | 受けたポート以外の全ポート | 宛先の機器のポートだけ |
| 見ている情報 | なし(電気信号を増幅して流す) | MAC アドレス(学習した表) |
| 送信と受信 | 片方ずつ(半二重) | 同時(全二重) |
| 衝突(コリジョン) | 起きる。送り直しで遅くなる | ポートごとに分かれて、ほぼ起きない |
| ほかの機器に中身が見えるか | 見える(全員に届く) | 基本的には見えない |
| いま売られているか | ほぼ売られていない | 「ハブ」の名前で売られているのはこれ |
いま「ハブ」「LAN ハブ」として売られている製品は、スイッチングハブです。 NTT東日本の解説は、リピーターハブは構造が単純で安い一方、すべての端末に送るためにセキュリティが下がる、同時に通信できないなどの課題があり、現在はあまり使われていないとしています。市販のスイッチングハブの仕様表には、後の節のように「MAC アドレス 16,000エントリー(セルフラーニング)」のような、学習できる宛先の数が書かれています。
ハブは何層?OSI参照モデルとの対応(L2スイッチ・L3スイッチ)
この節では、ハブ・スイッチ・ルーターが OSI 参照モデルのどの層の機器かと、L2 スイッチと L3 スイッチの違いが分かります。
リピーターハブは第1層(物理層)、スイッチングハブ(L2 スイッチ)は第2層(データリンク層)、ルーターと L3 スイッチは第3層(ネットワーク層)の機器です。 層が上がるほど、データの中のより多くの情報を見て送り先を決めます。
| 層 | 名前 | 扱う単位・見る情報 | この層の機器 |
|---|---|---|---|
| 第3層 | ネットワーク層 | パケット・IP アドレス | ルーター・L3 スイッチ |
| 第2層 | データリンク層 | フレーム・MAC アドレス | スイッチングハブ(L2 スイッチ)・ブリッジ・無線のアクセスポイント |
| 第1層 | 物理層 | 電気・光の信号 | リピーターハブ・リピーター・LAN ケーブル |
- L2 スイッチ:MAC アドレスでフレームを送る、ふつうのスイッチングハブ。家庭用の製品はほぼこれです。
- L3 スイッチ:L2 スイッチに、IP アドレスで別のネットワークへ送る(ルーティングする)機能を足したもの。会社で、部署ごとに分けたネットワーク(VLAN)どうしをつなぐのに使われます。NTT東日本の解説も、L2 は MAC アドレス・フレーム、L3 は IP アドレス・パケットを扱うと整理しています。
7つの層それぞれの役割と、実際のパケットでどの層の情報がどこに入っているかは、関連記事「OSI参照モデルとは|7層の早見表とTCP/IP対応・パケット実例」で扱っています。
スイッチングハブの仕組み(MACアドレスの学習と転送)
この節では、スイッチングハブが「どのポートに誰がいるか」を自分で覚えて、宛先だけに送るまでの手順が分かります。
スイッチは、届いたフレームの送信元の MAC アドレスと、届いたポートの組を表に書き込みます(学習)。 次に、その MAC アドレスあてのフレームが来たら、表を見てそのポートにだけ送ります(転送)。表に無い宛先や、全員あて(ブロードキャスト)は、受けたポート以外の全ポートに送ります(フラッディング)。この表を MAC アドレステーブル、Linux では FDB(Forwarding Database)と呼びます。
送信元を覚える
A のポートから A の MAC アドレスのフレームが来た → 表に「A はポート1」と書く。
宛先を表で探す
宛先 B が表にあれば、B のポートにだけ送る。
無ければ全ポートへ
宛先が表に無い・全員あてのときは、受けたポート以外の全部に送る。
しばらく来ない相手を消す
一定時間(Linux の既定は300秒)フレームが来ない MAC アドレスは表から消す。
PC が同じネットワークの相手に初めて送るときは、まず ARP(IP アドレスから MAC アドレスを調べる仕組み)で「10.88.0.12 はだれ?」を全員あてに送ります。この1回のやり取りで、スイッチは A と B の両方の場所を覚えます。
flowchart TD
A[A が ARP 要求を送る<br>全員あて] --> L1[スイッチ<br>A はポート1と学習<br>全ポートへ流す]
L1 --> B[B が A あてに応答]
B --> L2[スイッチ<br>B はポート2と学習<br>A のポートだけへ]
L2 --> F[以後は宛先の<br>ポートだけに送る]
Linuxの仮想スイッチで確かめる(学習するスイッチとハブの違い)
この節では、MAC アドレスを学習するスイッチの表の中身と、学習を切ってハブに近い動きにしたとき、関係のない端末にも通信が届く様子を、実際の出力で確かめられます。
作った構成
1台の Linux の中に、ネットワーク名前空間で端末 A・B・C と、スイッチ役の名前空間を作りました。スイッチ役の中に Linux bridge(br0)を作り、3台をそれぞれ別のポート(swa・swb・swc)につないでいます。端末の MAC アドレスは、見分けやすいように末尾を 0a・0b・0c にしました。
flowchart TD
S[スイッチ br0]
S --- A[A<br>.11<br>末尾0a]
S --- B[B<br>.12<br>末尾0b]
S --- C[C<br>.13<br>末尾0c<br>観察]
for n in sw a b c; do ip netns add s388-$n; ip -n s388-$n link set lo up; done
ip -n s388-sw link add br0 type bridge # スイッチを作る
i=11
for h in a b c; do # 端末とスイッチのポートを仮想ケーブル(veth)でつなぐ
ip link add ${h}0 netns s388-$h address 02:00:00:00:88:0$h type veth peer name sw$h netns s388-sw
ip -n s388-sw link set sw$h master br0 # ポートをスイッチに差す
ip -n s388-sw link set sw$h up
ip -n s388-$h addr add 10.88.0.$i/24 dev ${h}0
ip -n s388-$h link set ${h}0 up
i=$((i+1))
done
ip -n s388-sw link set br0 up
作った直後のポートの状態と、スイッチの設定の一部です。
$ bridge -n s388-sw link show
3: swa@br0: <BROADCAST,MULTICAST,UP,LOWER_UP> mtu 1500 master br0 state forwarding priority 32 cost 2
4: swb@br0: <BROADCAST,MULTICAST,UP,LOWER_UP> mtu 1500 master br0 state forwarding priority 32 cost 2
5: swc@br0: <BROADCAST,MULTICAST,UP,LOWER_UP> mtu 1500 master br0 state forwarding priority 32 cost 2
$ ip -n s388-sw -d link show br0
bridge forward_delay 1500 hello_time 200 max_age 2000 ageing_time 30000 stp_state 0 …
ageing_time 30000 は、表の記録を消すまでの時間です。この表示は 1/100 秒単位で、30000 は300秒です(後で ageing_time 500 にすると、記録は5秒で消えました)。Linux カーネルのドキュメントも、既定のエージング時間を300秒としています。
スイッチの動き:MACアドレスの表(bridge fdb)
まず学習が有効な、ふつうのスイッチの状態で試しました。端末 C で tcpdump を動かしたまま、A から B に ping を3回送ります。送る前の表には、スイッチ自身のポートの記録(permanent)しかありません。
$ bridge -n s388-sw fdb show br br0
36:82:f2:b3:ed:49 dev swa master br0 permanent
3a:91:48:b6:72:c2 dev swb master br0 permanent
a2:39:84:c1:7e:e2 dev swc master br0 permanent
$ ip netns exec s388-a ping -c 3 -i 0.5 10.88.0.12
64 bytes from 10.88.0.12: icmp_seq=1 ttl=64 time=0.100 ms
64 bytes from 10.88.0.12: icmp_seq=2 ttl=64 time=0.047 ms
64 bytes from 10.88.0.12: icmp_seq=3 ttl=64 time=0.064 ms
端末 C の tcpdump(-e で MAC アドレスも表示)に届いたのは、次の1つだけでした。
$ ip netns exec s388-c tcpdump -i c0 -e -n -l
20:31:58.956034 02:00:00:00:88:0a > ff:ff:ff:ff:ff:ff, ethertype ARP (0x0806), length 42: Request who-has 10.88.0.12 tell 10.88.0.11, length 28
1 packet captured
送ったあとの表です。A と B の MAC アドレスが、それぞれのポートに記録されました。-s を付けると、最後に使われてからの秒数(used)も出ます。
$ bridge -n s388-sw -s fdb show br br0
02:00:00:00:88:0a dev swa used 7/7 master br0
36:82:f2:b3:ed:49 dev swa master br0 permanent
02:00:00:00:88:0b dev swb used 7/7 master br0
3a:91:48:b6:72:c2 dev swb master br0 permanent
a2:39:84:c1:7e:e2 dev swc master br0 permanent
| 表の列 | 意味 |
|---|---|
02:00:00:00:88:0a |
学習した MAC アドレス(端末 A) |
dev swa |
その MAC アドレスがつながっているポート |
master br0 |
スイッチ(br0)が持つ記録 |
permanent |
消えない記録。ここではスイッチ自身のポート |
used 7/7 |
最後に使われてから・更新されてからの秒数 |
| (何も無い) | 学習した記録。エージング時間で消える |
C に届いたのは、全員あての ARP 要求1つだけで、A と B の ping(ICMP)は1つも届きませんでした。 スイッチが ARP の要求と応答で A と B のポートを覚え、そのあとは B のポートにだけ送ったためです。
ハブに近い動き:学習を切ると他の端末にも届く
次に、3つのポートの学習を切り(learning off)、表を空にしてから同じ ping を送りました。表に宛先が無いので、スイッチはすべてのフレームを全ポートに送ります。Linux カーネルのドキュメントでは、表に無いユニキャスト(1台あて)を各ポートに流すかどうかは、ポートごとの設定(既定は流す)で決まります。
for p in swa swb swc; do bridge -n s388-sw link set dev $p learning off; done
ip -n s388-sw link set br0 type bridge fdb_flush # 学習した記録を消す
$ bridge -n s388-sw -d link show dev swa
3: swa@br0: <BROADCAST,MULTICAST,UP,LOWER_UP> mtu 1500 master br0 state forwarding priority 32 cost 2
hairpin off guard off root_block off fastleave off learning off flood on mcast_flood on bcast_flood on …
$ ip netns exec s388-c tcpdump -i c0 -e -n -l
20:32:25.101289 02:00:00:00:88:0a > ff:ff:ff:ff:ff:ff, ethertype ARP (0x0806), length 42: Request who-has 10.88.0.12 tell 10.88.0.11, length 28
20:32:25.101299 02:00:00:00:88:0b > 02:00:00:00:88:0a, ethertype ARP (0x0806), length 42: Reply 10.88.0.12 is-at 02:00:00:00:88:0b, length 28
20:32:25.101306 02:00:00:00:88:0a > 02:00:00:00:88:0b, ethertype IPv4 (0x0800), length 98: 10.88.0.11 > 10.88.0.12: ICMP echo request, id 1390, seq 1, length 64
20:32:25.101316 02:00:00:00:88:0b > 02:00:00:00:88:0a, ethertype IPv4 (0x0800), length 98: 10.88.0.12 > 10.88.0.11: ICMP echo reply, id 1390, seq 1, length 64
20:32:25.630531 02:00:00:00:88:0a > 02:00:00:00:88:0b, ethertype IPv4 (0x0800), length 98: 10.88.0.11 > 10.88.0.12: ICMP echo request, id 1390, seq 2, length 64
20:32:25.630553 02:00:00:00:88:0b > 02:00:00:00:88:0a, ethertype IPv4 (0x0800), length 98: 10.88.0.12 > 10.88.0.11: ICMP echo reply, id 1390, seq 2, length 64
20:32:26.142450 02:00:00:00:88:0a > 02:00:00:00:88:0b, ethertype IPv4 (0x0800), length 98: 10.88.0.11 > 10.88.0.12: ICMP echo request, id 1390, seq 3, length 64
20:32:26.142467 02:00:00:00:88:0b > 02:00:00:00:88:0a, ethertype IPv4 (0x0800), length 98: 10.88.0.12 > 10.88.0.11: ICMP echo reply, id 1390, seq 3, length 64
8 packets captured
A と B の間の ARP の応答と ping の要求・応答が、関係のない C にもすべて届きました(8個)。 宛先の MAC アドレスは 02:00:00:00:88:0b(B)や …0a(A)で、C あてではありません。C の OS は自分あてでないフレームを捨てますが、tcpdump のように受け取ったものを全部見るプログラムを動かせば中身が読めます。リピーターハブで「他の機器にデータが見える」というのは、この状態です。
ageing_time 0 にしても、表に何も残らず、同じように8個すべてが C に届きました。ageing_time 1(1/100秒。表示は0になる)では、ping の間隔の0.5秒のあいだに記録が消えるため、2回目と3回目の要求だけが C に届きました。
10MB を送ったとき、関係のない端末に届いた量
A から B へ TCP で 10MB(10,000,000バイト)を送り、そのあいだに端末 C が受け取ったバイト数(/sys/class/net/c0/statistics/rx_bytes の増えた分)を比べました。
switch: C rx_bytes increased by 42
hub: C rx_bytes increased by 10014800
学習するスイッチでは、他人の通信は C の線を流れません。 線が空いているので、C は同じ時間に自分の通信を全速で使えます。ハブのように全ポートに流すと、台数が増えるほど1本の線を全員の通信が取り合います。
表に無い宛先は、最初の1回だけ全ポートに流れる
ARP を使わない状態(A と B に相手の MAC アドレスを固定で登録)にして、表を空にしてから A→B に ping を3回送りました。C に届いたのは、最初の要求1つだけです。
20:33:16.635661 02:00:00:00:88:0a > 02:00:00:00:88:0b, IPv4, length 98: 10.88.0.11 > 10.88.0.12: ICMP echo request, id 3011, seq 1, length 64
1つ目の要求のときは、まだ B の場所が表に無いため全ポートに送られました(このとき A の場所を学習)。B の応答で B の場所を学習したので、2回目からは B のポートにだけ送られています。スイッチでも、電源を入れた直後や、表から消えたあとの最初の1回は、ハブと同じように全員に届きます。
パケットの見方と tcpdump のフィルタの書き方は、関連記事「tcpdumpの使い方|フィルタ式一覧と出力の読み方」で扱っています。
ループが起きるとどうなる?(ブロードキャストストームとSTP)
この節では、ハブやスイッチを輪の形につないだときに起きる「ループ」の実物と、それを防ぐ STP(スパニングツリー)の動きが分かります。
同じスイッチの2つのポートを1本のケーブルでつなぐと(ループ)、全員あてのフレームが輪の中を回り続け、ネットワーク全体が使えなくなります。 これをブロードキャストストームと呼びます。ハブを複数つないだ家庭や会議室で、余ったケーブルの両端を差してしまうと起きます。
仮想のスイッチで、2つのポート(l1・l2)を仮想ケーブルで直結し、A から存在しない相手(10.88.0.99)あてに ARP 要求を1回出させました。
fdb during loop:
02:00:00:00:88:0a dev l2 master br0
02:00:00:00:88:0a dev l1 master br0
$ ip netns exec s388-a ping -c 2 -W 1 10.88.0.12
2 packets transmitted, 0 received, 100% packet loss, time 1018ms
C received in ~1s: 312736 packets
- 1回の ARP 要求が、約1秒で 312,736 個のフレームとして C に届きました。 輪の中を回り続け、そのたびに全ポートへ送られたためです。
- A の MAC アドレスの記録が、本来の swa ではなくループのポート(l1・l2)に書き換わりました。 スイッチが「A は輪の向こうにいる」と覚え直したため、B から A への返事が A に届かず、正常な ping も 100% 失敗しました。
ループのポートを切ってから、STP を有効にして同じ輪をつなぎ直しました。STP(Spanning Tree Protocol)は、輪になった経路を見つけて、1つのポートを止める(ブロッキング)仕組みです。待ち時間(forward_delay)は既定の15秒を2秒にしています。
ip -n s388-sw link set br0 type bridge stp_state 1 forward_delay 200
--- 1秒後
6: l2@l1: … master br0 state listening priority 32 cost 2
7: l1@l2: … master br0 state listening priority 32 cost 2
--- 7秒後
6: l2@l1: … master br0 state blocking priority 32 cost 2
7: l1@l2: … master br0 state forwarding priority 32 cost 2
7秒後、片方のポート(l2)が blocking になり、輪が切れました。 同じ ARP 要求は C に1回ずつ届くだけになり、A→B の ping も 0% packet loss に戻りました。C には、スイッチが2秒ごとに出す STP の制御フレーム(BPDU)も届いていました。
20:34:10.750520 a2:39:84:c1:7e:e2 > 01:80:c2:00:00:00, 802.3, length 38: LLC, dsap STP (0x42) Individual, ssap STP (0x42) Command, ctrl 0x03: STP 802.1d, Config, Flags [Topology change], bridge-id 8000.36:82:f2:b3:ed:49.8003, length 35
20:34:10.949332 02:00:00:00:88:0a > ff:ff:ff:ff:ff:ff, ethertype ARP (0x0806), length 42: Request who-has 10.88.0.99 tell 10.88.0.11, length 28
| ポートの状態 | 意味(bridge の man ページ・カーネルのドキュメント) |
|---|---|
| blocking | 止めている。制御フレーム(BPDU)だけ受け取る |
| listening | 経路を決めている途中。まだ送らない |
| learning | MAC アドレスを学習するが、まだ送らない |
| forwarding | ふつうに送る |
| disabled | STP に加わっていない・送らない |
設定の要らない家庭用のスイッチングハブでは、STP の代わりに「ループ検知(ループ検出)」機能でループを知らせる製品があります。NTT東日本の解説も、ループ検知・遮断機能はケーブルの誤接続によるループを LED やアラームで知らせるもので、放置すると動作の低下やサーバーダウンの恐れがあるとしています。
家庭でのハブの選び方(ポート数・速度・PoE)
この節では、家庭や小さな事務所でスイッチングハブを選ぶときに見る項目と、仕様表の数字の読み方が分かります。
家庭では、設定の要らないスイッチングハブ(アンマネージドスイッチ)を、ポート数・速度・PoE・ループ検知の4点で選びます。 「ハブ」と「スイッチングハブ」は売り場では同じ物を指すので、名前の違いは気にせず選べます。
- 1ポート数は「つなぐ台数+ルーター用1つ+予備」NTT東日本の解説では、自宅は5〜8ポート、オフィスは16〜24ポートが目安
- 2速度は回線とつなぐ機器に合わせる1Gbps が多く、10Gbps 回線や 2.5G 対応の PC・NAS なら 2.5G 以上
- 3カメラ・無線の親機に電気も送るなら PoE機器が使う電力と、ハブ全体で送れる電力の合計を確かめる
- 4ループ検知があるかケーブルの差し間違いで家中の通信が止まるのを防ぐ
- 5置き場所・電源・音ファンの無いもの、電源内蔵か AC アダプターか、金属かプラスチックか
速度(1G・2.5G・10G)とケーブルの対応
| 速度 | 規格の名前 | ケーブルの目安 | 向いている使い方 |
|---|---|---|---|
| 100Mbps | 100BASE-TX | カテゴリ5 以上 | 以前の製品や一部の家電に多い速さ |
| 1Gbps | 1000BASE-T | カテゴリ5e 以上 | 1Gbps までの回線・ふつうの PC |
| 2.5Gbps | 2.5GBASE-T | カテゴリ5e 以上 | 10Gbps 回線・2.5G 対応の PC や NAS |
| 10Gbps | 10GBASE-T | カテゴリ6A(6 は55mまで) | NAS との大容量の転送・10G 回線 |
- ハブの速度は、つながった両側の遅いほうに合わせて決まります(オートネゴシエーション)。 1Gbps のハブに 100Mbps しか出ない機器をつなぐと、そのポートは 100Mbps になります。
- バッファローの資料は、2.5G/5GBASE-T(IEEE 802.3bz)は既存のカテゴリ5e・6のケーブルで使え、ケーブルを替えずにスイッチの入れ替えだけで導入できるとしています。Cisco の解説も、この技術は既存のカテゴリ5e・6のケーブルで最大100mまで使えると説明しています。
- 同じ資料では、10GBASE-T はカテゴリ6A・7が対応、カテゴリ6は55mまでで、それより長いと1GbE になるとしています。
- 回線が 1Gbps なら、ハブを 2.5G にしてもインターネットの速さは 1Gbps を超えません。家の中の NAS と PC の間のように、回線を通らない通信が速くなります。
PoE(LANケーブルで電気も送る)
PoE(Power over Ethernet)は、LAN ケーブル1本でデータと電気を同時に送る仕組みです。 天井の Wi-Fi の親機や防犯カメラのように、コンセントから遠い機器に使われます。Microchip の解説による規格ごとの電力は次のとおりです。
| 規格 | 給電側(ハブ)の電力 | 受電側(機器)で使える電力 |
|---|---|---|
| IEEE 802.3af(Type 1) | 15W | 12.95W |
| IEEE 802.3at(Type 2・PoE+) | 30W | 25.5W |
| IEEE 802.3bt Type 3 | 60W | 51W |
| IEEE 802.3bt Type 4 | 90W | 71W |
PoE のハブには、ポートごとの上限とは別に「本体全体で送れる電力の合計(給電容量)」があります。機器を何台もつなぐときは、機器の消費電力の合計がこの値に収まるかを確かめます。NTT東日本の解説は、PoE は給電によって発熱しやすく、使っていない端末の接続は外すよう勧めています。
仕様表の読み方(2.5G・5ポートの製品の例)
バッファローの 2.5G・5ポートのスイッチングハブ(LXW-2G5)の仕様表から、選ぶときに見る項目を抜き出しました。
| 仕様表の項目 | 書かれている値 | 意味 |
|---|---|---|
| 伝送速度 | 2.5Gbps/1000Mbps/100Mbps | 3つの速さに対応。半二重には対応しない |
| データ転送方式 | ストア&フォワード | フレームを全部受けて、壊れていないか確かめてから送る |
| アドレステーブル | MAC アドレス 16,000エントリー(セルフラーニング) | 覚えられる宛先の数。家庭では余る |
| スイッチング・ファブリック | 25Gbps | 中で同時にさばける量の合計 |
| スループット | 3,720,238pps(2.5G) | 最小の大きさのフレームを1秒に送れる数 |
| サポート機能 | ループ検出機能・Jumbo Frame 9,720Byte など | ループ検知の有無はここで見る |
25Gbps と 3,720,238pps は、全ポートが休みなく送受信しても取りこぼさない(ワイヤースピード)ことを表す数字です。Python で計算すると、仕様表の値と一致しました。
"""最小フレーム(64バイト)を休みなく送ったときの1秒あたりのフレーム数と、全ポート合計の容量"""
GAP = 8 + 12 # プリアンブル等8バイト+フレーム間のすき間12バイト
for name, bps in [("100M", 100e6), ("1G", 1e9), ("2.5G", 2.5e9), ("10G", 10e9)]:
pps = bps / ((64 + GAP) * 8)
print(f"{name:>5}: {pps:>12,.0f} pps 5ポート×送受信の合計 {bps * 5 * 2 / 1e9:g}Gbps")
100M: 148,810 pps 5ポート×送受信の合計 1Gbps
1G: 1,488,095 pps 5ポート×送受信の合計 10Gbps
2.5G: 3,720,238 pps 5ポート×送受信の合計 25Gbps
10G: 14,880,952 pps 5ポート×送受信の合計 100Gbps
アンマネージド・スマート・マネージドの違い
| 種類 | できること | 向いている場所 |
|---|---|---|
| アンマネージド | 設定なしでつなぐだけ | 家庭・小さな事務所 |
| スマート(簡易管理) | VLAN・優先制御など一部を設定できる | 小〜中規模の事務所 |
| マネージド | 監視・VLAN・STP・リンクアグリゲーションなどを細かく設定 | 会社のネットワーク・データセンター |
NTT東日本の解説も、この3つを規模と管理のしやすさで分けています。設定の要らないアンマネージドのスイッチは、俗に「ダムハブ(dumb hub)」とも呼ばれます。
ハブのつなぎ方(ルーターとの接続・増設)
この節では、ハブをルーターにつなぐ手順と、ハブを増やすときの注意が分かります。
ルーターの LAN ポートとハブをつなぐ
ルーターの「LAN」側のポートと、ハブの空いているポートを LAN ケーブルでつなぐ。WAN(INTERNET)側には差さない。
ハブの電源を入れる
家庭用のハブは設定が要らない。ポートのランプが点けばつながっている。
機器をハブにつなぐ
PC などは、ルーターから IP アドレスを自動で受け取る。ハブは IP アドレスを配らない。
輪にならないように確かめる
ハブとハブ、ハブとルーターの間を2本でつないでいないかを見る。
- 家庭用のハブには、ルーター用などの決まったポートが無い製品がほとんどです。 仕様表に「Auto-MDI/MDIX」とあれば、ケーブルの種類(ストレートかクロスか)を自動で合わせるので、どのポートにどちらのケーブルを差しても通じます。上の仕様表の例にも書かれています。
- ハブの先にハブをつなぐ(カスケード)こともできます。 ただし、ハブどうしを2本以上のケーブルでつなぐと、前の節のループになります。
- ハブの先につないだ PC は、ルーターに直接つないだ PC と同じネットワークに入り、同じデフォルトゲートウェイ(ルーター)を通ってインターネットに出ます。この仕組みは、関連記事「デフォルトゲートウェイとは|調べ方・設定・決め方をLinuxで実演」で扱っています。
家や事務所のつなぎ方を図に描いて残しておくと、ループや差し間違いを見つけやすくなります。図の描き方は、関連記事「ネットワーク構成図の書き方|記号・レイヤー別の書き分けとAWS構成の例」で扱っています。
ハブのよくあるトラブルと直し方(ループ・速度が出ない)
この節では、ハブを入れたあとに起きやすい症状から、原因と直し方を探せます。
- 1ランプを見る点かないポートはケーブル・相手の電源を、全ポートが激しく点滅し続けるならループを疑う
- 2ハブを外してルーターに直接つなぐ直れば、ハブかハブまでのケーブルが原因
- 3リンクの速さを確かめる1Gbps のはずが 100Mbps になっていれば、ケーブルかポートを替える
- 4ルーターに ping するルーターまで届けば、家の中は通っている。届かなければ配線か IP アドレスの設定
| 症状 | 考えられる原因 | 直し方 |
|---|---|---|
| 家中のネットがつながらない・とても遅い | ループ(ハブどうしを2本でつないだ) | 余ったケーブルを抜く。ループ検知のある製品にする |
| 特定の機器だけ遅い(100Mbps しか出ない) | ケーブルがカテゴリ5・断線、ポートが 100Mbps | カテゴリ5e 以上に替える。別のポートで試す |
| ハブにつないだ PC がネットにつながらない | ハブを ONU やルーターの WAN 側につないだ | ルーターの LAN 側につなぎ直す |
| IP アドレスが 169.254.x.x になる | ルーターから IP アドレスを受け取れていない | ハブとルーターの間のケーブル・電源を確かめる |
| ポートのランプが点かない | ケーブルの抜け・断線、相手の電源が切れている | 差し直す。ケーブルを替える |
| 2.5G のはずが 1Gbps でつながる | 相手の機器・ケーブルが 2.5G に対応していない | 両側の対応速度とケーブルを確かめる |
| PoE の機器が動かない・ときどき切れる | ハブ全体の給電容量を超えた・規格が足りない | 機器の消費電力の合計と規格(at・bt)を確かめる |
| 夏に通信が切れる | 熱がこもっている | 風通しのよい場所に置く。金属の筐体の製品にする |
Linux では、つながっている速さを次のように確かめられます。上の実験の仮想のケーブル(veth)では、10000(Mbps)と全二重(full)でした。実機の LAN ポートでは、ここに 1000 や 100 が出ます。
$ cat /sys/class/net/a0/speed /sys/class/net/a0/duplex
10000
full
自分の PC の MAC アドレスと、同じネットワークの相手の MAC アドレス(ARP の表)は、次のコマンドで見られます。
$ ip link show a0
2: a0@if3: <BROADCAST,MULTICAST,UP,LOWER_UP> mtu 1500 qdisc noqueue state UP mode DEFAULT group default qlen 1000
link/ether 02:00:00:00:88:0a brd ff:ff:ff:ff:ff:ff link-netns s388-sw
link/ether の後ろが MAC アドレスです。ip・ss などで通信の状態を確かめるコマンドの一覧は、関連記事「Linuxネットワークコマンド一覧|ip/ss/ncで障害切り分け」で扱っています。
よくある質問
Q. ハブとは簡単に言うと何ですか? A. 複数の機器を LAN ケーブルでつなぐための、口(ポート)を増やす装置です。いま売られているハブは、宛先の機器にだけデータを送るスイッチングハブです。
Q. ハブとスイッチの違いは何ですか? A. もともとのハブ(リピーターハブ)は届いた信号を全ポートに流し、スイッチは MAC アドレスを見て宛先のポートにだけ送ります。いまは「ハブ」の名前で売られている製品もスイッチングハブなので、家庭向けではほぼ同じ物を指します。
Q. スイッチングハブとは何ですか? A. つながった機器の MAC アドレスを学習し、宛先の機器のポートにだけデータを送るハブです。L2 スイッチとも呼ばれます。実測では、学習ありで A→B に 10MB 送っても、関係のない C に届いたのは 42バイトでした。
Q. ハブとルーターの違いは何ですか? A. ハブは同じネットワークの中で機器をつなぎ、ルーターは家のネットワークとインターネットのように別のネットワークどうしをつなぎます。ハブには IP アドレスを配る機能もインターネットにつなぐ機能も無いので、ルーターの LAN 側につないで使います。
Q. ハブは OSI 参照モデルの何層の機器ですか? A. リピーターハブは第1層(物理層)、スイッチングハブは第2層(データリンク層)、ルーターと L3 スイッチは第3層(ネットワーク層)の機器です。
Q. ハブをつなぐと通信速度は遅くなりますか? A. スイッチングハブは宛先にだけ送るので、つなぐだけで目に見えて遅くなることはほとんどありません。遅くなるときは、100Mbps のハブやポート、カテゴリ5のケーブル、ループを疑います。
Q. ハブはどこにつなげばよいですか? A. ルーターの LAN 側のポートにつなぎます。ONU(モデム)に直接つないでも、ハブにはルーターの機能が無いのでインターネットにはつながりません。
Q. 家庭用のハブはどれを選べばよいですか? A. 設定の要らないスイッチングハブを、ポート数(台数+ルーター用1つ+予備)、速度(1G か 2.5G)、PoE の要否、ループ検知の有無で選びます。10Gbps の回線や 2.5G 対応の機器があれば 2.5G 以上が向いています。
Q. ループとは何ですか?どうすれば防げますか? A. ハブやスイッチの間を2本以上のケーブルで輪の形につなぐことです。全員あてのフレームが回り続け、実測では1回の ARP 要求が約1秒で 312,736 個になりました。余ったケーブルを差さない、ループ検知や STP のある製品を使う、の2つで防げます。
Q. リピーターハブはいまでも使われていますか? A. ほとんど使われていません。全ポートに流すため同時に通信できず、ほかの機器にもデータが届くためです。
Q. ブリッジとスイッチの違いは何ですか? A. どちらも MAC アドレスを見て送る第2層の機器です。ブリッジは2つの区間をつなぐ装置として生まれ、スイッチはポートの多いブリッジとして広まりました。Linux の仮想スイッチも「bridge」という名前です。
Q. PoE ハブとは何ですか? A. LAN ケーブルでデータと一緒に電気も送れるハブです。規格によって送れる電力が違い、IEEE 802.3at(PoE+)では機器側で 25.5W、802.3bt Type 4 では 71W まで使えます。
まとめ
- ネットワークのハブは、複数の機器を LAN ケーブルでつなぐ集線装置。いま売られているのはスイッチングハブ(L2 スイッチ)。
- リピーターハブは全ポートに流す第1層の機器、スイッチは MAC アドレスで宛先だけに送る第2層の機器、ルーターは IP アドレスで別のネットワークとつなぐ第3層の機器。
- スイッチは送信元の MAC アドレスとポートを表(FDB)に学習し、表に無い宛先と全員あてだけを全ポートに流す。Linux の既定では300秒で記録が消える。
- 実測では、A→B の 10MB の転送で C に届いたのは、学習ありで 42バイト、学習なしで約10MB だった。
- ループでは1回の ARP 要求が約1秒で 312,736 個になり、正常な通信も止まった。STP を有効にすると片方のポートが blocking になって直った。
- 家庭用はポート数・速度(1G/2.5G/10G とケーブル)・PoE・ループ検知で選ぶ。
次に読むとよい記事です。層ごとの役割は関連記事「OSI参照モデルとは|7層の早見表とTCP/IP対応・パケット実例」で、ハブの先の機器がインターネットに出る仕組みは関連記事「デフォルトゲートウェイとは|調べ方・設定・決め方をLinuxで実演」で扱っています。
参考・出典
確認日はいずれも 2026年10月23日です。
- NTT東日本「LANハブとは?」:https://business.ntt-east.co.jp/column/service/omakase_it_lan/hub.html
- NTT東日本「ネットワークスイッチとは?」:https://business.ntt-east.co.jp/column/service/omakase_it_lan/network_switch.html
- The Linux Kernel documentation「Ethernet Bridging」:https://docs.kernel.org/networking/bridge.html
- man7.org「bridge(8)」:https://man7.org/linux/man-pages/man8/bridge.8.html
- man7.org「ip-link(8)」:https://man7.org/linux/man-pages/man8/ip-link.8.html
- Microchip「Learn About Power over Ethernet (PoE)」:https://developerhelp.microchip.com/xwiki/bin/view/applications/ethernet/poe/standards/
- バッファロー「新規格「IEEE 802.3bz(2.5/5GBASE-T)」に対応。最大10GbEまでに対応し、VLAN・QoS機能を搭載した法人様向けスイッチを発売」:https://www.buffalo.jp/press/detail/20170208-03.html
- Cisco Blogs「NBASE-T Alliance: Achieving a New Industry Standard」:https://blogs.cisco.com/networking/nbase-t-alliance-achieving-a-new-industry-standard
- バッファロー「LXW-2G5 仕様」:https://www.buffalo.jp/product/detail/print/lxw-2g5.html
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(記載例)出典:株式会社RJC「ハブとは|スイッチ・ルーターとの違いと仕組みを実例で解説」
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