生成AIにコミットメッセージやプルリクエスト(PR)の説明文を書かせるときは、差分(git diff の出力)に「変更の目的」を1行添えて渡すのが基本です。 差分には「何を変えたか」は写っていますが、「なぜ変えたか」は写っていません。目的を添えないと、AI は差分をなぞった文しか書けません。

この記事では、コミットメッセージ用と PR 説明文用のプロンプトテンプレート、目的別の git diff コマンド早見表、差分が大きいときの分け方、渡す前に鍵や接続情報を除く確認表、そして「チャットに貼る/コマンドラインのツールに渡す/エディタの生成機能を使う」の選び方をまとめました。コミットメッセージや PR の規約そのものの説明は省き、AI への渡し方とプロンプトに絞っています。

確認環境:Ubuntu 24.04、Git 2.43.0、Python 3.11.15(確認日 2026-10-05)。掲載した git コマンドとスクリプトの出力は、架空の備品予約アプリのリポジトリで実行した結果です(パスとユーザー名は一般的な名前に置き換えています)。各ツールの機能は、同日に開いた Git・Conventional Commits・GitHub Docs・Visual Studio Code・Claude Code の公式ドキュメントの記載に沿っています。この記事はテンプレート集で、AI の回答例は載せていません。

この記事の結論

  • 差分+目的1行を渡す。目的が無いと、本文の「理由」は推測になる
  • コミット用は git diff --staged、PR 用は git diff main...HEAD(ドット3つ)と git log main..HEAD を渡す
  • 書式はプロンプトで固定する(種類の一覧、件名の長さ、本文に理由、見出しの並び)
  • ロックファイルや自動生成物は :(exclude) で外す。今回の例では 349 行の差分が 37 行になった
  • 渡す前に、追加行に鍵・パスワード・接続情報が無いかを grep で確かめる

コミットメッセージとPR説明文を作る早見表

作りたいもの AI に渡すもの 取り出すコマンド 書式の指定
コミットメッセージ ステージ済みの差分+目的1行 git diff --staged Conventional Commits の形、件名の長さ、本文に理由
PR 説明文 ブランチ全体の差分+コミット一覧+目的・確認したこと git diff main...HEAD と git log main..HEAD 概要・変更点・確認方法・影響範囲・レビューで見てほしい点
差分が大きいとき 変更の一覧+分けた差分 git diff --stat、パスを絞る指定 まとまりごとに要約してから統合
何を渡すか決める前 ファイル名と行数だけ git diff --staged --stat (人が見て絞る)

本記事の内容は、ご自由にお使いください。
ご利用の際は、出典として本ページへのリンクを記載いただけますようお願いします。

(記載例)出典:株式会社RJC「生成AIでコミットメッセージとPR説明文を作るプロンプトと差分の渡し方」

差分だけでは理由が書けない

次の差分は、備品予約アプリの重複チェックを1行直したものです。

     for s, e in existing:
-        if start <= e and s <= end:
+        if start < e and s < end:
             return False

ここから読み取れるのは「比較を『以下』から『未満』に変えた」ことだけです。「10:00 に終わる予約の直後、10:00 からの予約を入れられるようにしたかった」という理由は、どこにも書かれていません。

情報 差分に写るか 誰が渡すか
どのファイルのどの行を変えたか 写る git diff
追加・削除した行の中身 写る git diff
なぜ変えたか(困っていたこと、依頼の内容) 写らない 人が1行で添える
どう確かめたか(実行したテスト、手で試した操作) 写らない(テストコードの追加は写る) 人が添える
影響する画面・利用者・関連する Issue 番号 写らない 人が添える
チームの書式(種類の一覧、言語、件名の長さ) 写らない プロンプトで固定する

AI に任せるのは「差分を読んで文章の形に整える」部分で、理由と確認内容は人が渡す、という分担にすると、読み返して直す手間が減ります。

目的別 git diff コマンド早見表

やりたいこと コマンド 補足
これからコミットする差分を出す git diff --staged --cached と同じ意味。git add 済みの変更だけが出る
まだステージしていない変更を出す git diff 新しく作って git add していないファイルは出ない
ブランチで加えた変更だけを出す(PR 用) git diff main...HEAD ドット3つ。分岐した地点からの差分
ブランチのコミット一覧を出す git log --oneline main..HEAD こちらはドット2つ
ファイル名と行数だけを見る git diff --staged --stat 渡す前の下見に使う
ファイル名と変更の種類を見る git diff --staged --name-status M(変更)、A(追加)、D(削除)など
フォルダやファイルを絞る git diff --staged -- src tests -- の後ろにパスを並べる
特定のファイルを外す git diff --staged -- . ':(exclude)package-lock.json' ':!package-lock.json' と短く書ける
前後の行数を変える git diff --staged -U10 既定は前後3行。-U0 で変更行だけ
ファイルに書き出す git diff --staged --output=diff.txt > diff.txt でも同じ内容になる
色の指定を外す git diff --staged --no-color ファイルやパイプに渡すときに付けると確実
コマンドラインのツールへ渡す git diff --staged | ツールのコマンド 標準入力を受け取れるツールで使う
ステージ済みの変更があるか調べる git diff --staged --quiet 変更が無いと終了コード 0

下見:--stat で何が含まれているかを見る

git diff --staged --stat
 README.md                 |   4 +
 package-lock.json         | 303 +++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++-
 src/reservation.py        |   2 +-
 tests/test_reservation.py |   5 +
 4 files changed, 312 insertions(+), 2 deletions(-)

312 行の追加のうち 302 行がロックファイルです。このまま渡すと、AI が読む量のほとんどが、説明文に関係しない行になります。

ロックファイルを外して渡す

git diff --staged | wc -lc
git diff --staged -- . ':(exclude)package-lock.json' | wc -lc
    349   15379
     37    1334

左が行数、右がバイト数です。ロックファイルを1つ外すだけで、349 行が 37 行になりました。 :(exclude) は Git のパス指定(pathspec)の書き方で、:! または :^ と短く書けます。外したファイルについては「package-lock.json は依存の更新に伴う自動生成」と、目的の欄に一言添えておくと説明文から抜けません。

PR 用:ドット3つとドット2つの違い

作業ブランチを切ったあとに main が進んでいると、ドットの数で結果が変わります。次は、main 側に LICENSE が追加されたあとで実行した結果です。

git diff main...HEAD --stat | tail -1
git diff main..HEAD --stat | tail -1
git diff main..HEAD --name-status
 5 files changed, 317 insertions(+), 2 deletions(-)
 6 files changed, 317 insertions(+), 3 deletions(-)
A   .gitignore
D   LICENSE
M   README.md
M   package-lock.json
M   src/reservation.py
M   tests/test_reservation.py

ドット2つでは、自分が触っていない LICENSE が「削除」として出ています。main に後から入った変更が、逆向きの差分として混ざるためです。これを AI に渡すと「LICENSE を削除」と説明文に書かれてしまいます。PR の説明文には、分岐した地点からの差分になるドット3つを使います。

書き方 比べるもの 使う場面
git diff main...HEAD 分岐した地点と、いまのブランチの先端 PR の説明文(ブランチで加えた変更だけ)
git diff main..HEAD main の先端と、いまのブランチの先端 2つの時点をそのまま比べたいとき
git log main..HEAD main に無く、いまのブランチにあるコミット PR に含まれるコミットの一覧

コミットメッセージ用のプロンプトテンプレート

{ } の部分を書き換えて使います。差分を先に、指示を後ろに置いています(長い資料を先頭に、質問を末尾に置くと応答の質が上がる、という Anthropic の公式ガイドの記載に沿った並びです)。

<diff>
{git diff --staged の出力をここに貼る}
</diff>

<purpose>
{変更の目的を1行で。例:前の予約が終わる時刻ちょうどから、次の予約を入れられるようにする}
</purpose>

上の差分に対するコミットメッセージを1つ書いてください。

# 書式(Conventional Commits)
- 1行目:種類(範囲): 要約
- 種類は feat / fix / docs / style / refactor / perf / test / build / ci / chore から1つ選ぶ
- 範囲は変更の中心になったモジュール名。決めにくいときは省く
- 要約は日本語、全角25字以内、文末に句点を付けない。何をしたかを書く
- 2行目は空行
- 3行目から本文。purpose をもとに「なぜ変えたか」を2〜3行で書く。差分を見れば分かる手順の説明は書かない
- 互換性が変わる変更があれば、最後に「BREAKING CHANGE: 内容」を書く

# 守ること
- 差分と purpose に書かれていることだけを使う。読み取れない理由や効果は足さない
- purpose と差分が食い違って見えるときは、メッセージの後ろに「確認したい点:」として1行で書く
- 出力はコミットメッセージだけにする。前置きやコードブロックの記号は付けない

書式の指定がなぜ要るか

指定 入れる理由
種類の一覧 一覧が無いと、update や change など規約に無い語が出ることがある
件名の長さ Conventional Commits 1.0.0 の仕様は件名の長さを決めていない。チームの上限を数字で渡す
件名の言語 指定が無いと、差分の中のコメントや識別子に合わせて英語になることがある
本文に理由 指定が無いと、本文が差分の言い直しになりやすい
出力はメッセージだけ ファイルに保存して git commit -F に渡せる形になる

Conventional Commits 1.0.0 の仕様で決まっているのは「種類、任意の範囲、コロンと空白、説明」という1行目の形と、空行をはさんで本文・フッターを置くこと、BREAKING CHANGE: または種類の後ろの ! で互換性の変更を示すことです。仕様に名前が出てくる種類は feat と fix で、build・chore・ci・docs・style・refactor・perf・test は「使ってよいもの」として挙げられています。

受け取ったメッセージの形を機械的に確かめる

件名の長さや2行目の空行は、目で見るよりスクリプトで確かめるほうが確実です。

"""コミットメッセージの形を確かめる(Conventional Commits 1.0.0 の形+件名の長さ)"""
import re
import sys
import unicodedata

TYPES = "feat|fix|docs|style|refactor|perf|test|build|ci|chore|revert"
MAX_WIDTH = 50  # 件名の上限(半角換算)。チームの決まりに合わせて変える


def width(s: str) -> int:
    return sum(2 if unicodedata.east_asian_width(c) in "FWA" else 1 for c in s)


lines = open(sys.argv[1], encoding="utf-8").read().splitlines()
subject = lines[0] if lines else ""
problems = []
if not re.match(rf"^({TYPES})(\([^)]+\))?!?: \S", subject):
    problems.append("件名が「種類(範囲): 要約」の形になっていない")
if width(subject) > MAX_WIDTH:
    problems.append(f"件名が長い(半角換算 {width(subject)} > {MAX_WIDTH})")
if subject.endswith(("。", ".")):
    problems.append("件名の末尾に句点がある")
if len(lines) > 1 and lines[1] != "":
    problems.append("2行目が空行になっていない")
if len([l for l in lines[2:] if l.strip()]) == 0:
    problems.append("本文(変更の理由)が無い")

print(f"件名: {subject}")
print(f"文字数: {len(subject)} / 半角換算: {width(subject)}")
print("OK" if not problems else "\n".join("NG: " + p for p in problems))
sys.exit(1 if problems else 0)

手で書いた2つのメッセージ(msg.txt)で試した結果です。

python3 check_msg.py msg.txt
件名: fix(reservation): 終了時刻と同じ開始時刻の予約を受け付ける
文字数: 38 / 半角換算: 58
NG: 件名が長い(半角換算 58 > 50)
件名: fix(reservation): 連続する時間帯の予約を受け付ける
文字数: 34 / 半角換算: 50
OK

日本語の件名は、文字数では 38 字でも半角換算では 58 になります。 「50字以内」とだけ指示すると、数え方が人と AI で食い違います。プロンプトには「要約は全角25字以内」のように、どの部分を・どの数え方で数えるかまで書くと、そろえやすくなります。

確かめたメッセージは、そのままコミットに使えます。

git commit -F msg.txt
git log --oneline -1
e5c1058 fix(reservation): 連続する時間帯の予約を受け付ける

PR説明文用のプロンプトテンプレート

PR はコミットより範囲が広いので、差分に加えてコミット一覧と、人が確かめたことを渡します。

<diff>
{git diff main...HEAD -- . ':(exclude)package-lock.json' の出力}
</diff>

<commits>
{git log --reverse --format='- %s' main..HEAD の出力}
</commits>

<context>
目的:{なぜこの変更が必要か。1〜2行}
確認したこと:{実行したテスト、手で試した操作と結果}
関連:{Issue 番号や関連する PR。無ければ「なし」}
差分から外したもの:{例:package-lock.json(依存の更新に伴う自動生成)}
</context>

上の内容をもとに、プルリクエストの説明文を Markdown で書いてください。

# 見出し(この順番、この名前で)
## 概要
目的と、変更で何ができるようになるかを2〜3文で。

## 変更点
ファイルやモジュールごとに箇条書き。1項目1行。

## 確認方法
レビューする人が手元で再現できる手順を番号つきで。context の「確認したこと」に書かれた内容だけを使う。

## 影響範囲
変更が及ぶ機能・画面・設定。差分から読み取れる範囲で書き、読み取れないときは「差分からは判断できない」と書く。

## レビューで見てほしい点
判断が分かれそうな箇所を、ファイル名と行の内容を添えて1〜3点。

# 守ること
- diff・commits・context に書かれていないことは足さない
- 確認していないテストを「実施済み」と書かない
- タイトル案を説明文の前に1行で付ける(種類: 要約 の形、全角30字以内)

コミット一覧は、次のコマンドでそのまま貼れる形になります。

git log --reverse --format='- %s' main..HEAD
- fix(reservation): 連続する時間帯の予約を受け付ける
- docs: テストの実行方法を追記

「確認方法」と「影響範囲」は、差分だけでは書けない欄です。context の「確認したこと」を空のまま渡すと、AI が書けるのは一般的な手順の案までになります。確認した内容は、渡す人が1行でも書くのが、説明文を信頼できるものにする近道です。

差分が大きいときの分け方

差分が長いと、貼り付けの上限に当たったり、後半の変更が説明文から抜けたりします。次の順で小さくします。

順番 やること コマンドの例
1 行数の多いファイルを見つける git diff --staged --numstat | sort -rn | head
2 自動生成物・ロックファイルを外す git diff --staged -- . ':(exclude)package-lock.json'
3 フォルダやモジュールごとに分ける git diff main...HEAD -- src
4 前後の行数を減らす git diff --staged -U1
5 まとまりごとに要約させ、最後に統合する 下のプロンプト
6 コミット自体を分ける git restore --staged ファイル名 で一部を外し、目的ごとにコミットする

フォルダごとにファイルへ書き出す例です。

for d in src tests; do git diff main...HEAD --output=diff_$d.txt -- $d; done
git diff main...HEAD --output=diff_other.txt -- . ':(exclude)src' ':(exclude)tests' ':(exclude)package-lock.json'
wc -lc diff_*.txt
  23  519 diff_other.txt
  12  446 diff_src.txt
  13  574 diff_tests.txt
  48 1539 total

分けた差分は、2段階で説明文にします。

(1段階目:分けた差分ごとに送る)
<diff>
{diff_src.txt の中身}
</diff>

この差分の変更点を、ファイルごとに箇条書きで要約してください。
1項目1行。「何を変えたか」だけを書き、理由の推測は書かないでください。
(2段階目:要約を集めて送る)
<summaries>
{1段階目の出力を、フォルダ名を付けて並べる}
</summaries>

<context>
目的:{…}
確認したこと:{…}
</context>

上の要約と context をもとに、プルリクエストの説明文を書いてください。
(見出しと守ることは、PR 説明文用テンプレートと同じ)

1つのコミットに複数の目的が混ざっているときは、プロンプトを工夫するよりも、コミットを目的ごとに分けるほうがメッセージは書きやすくなります。「このステージ済みの差分に、目的の違う変更が混ざっていたら、分け方の案を出してください」と先に聞くのも有効です。

渡す前に鍵や接続情報を除く確認表

差分には、追加した行がそのまま載ります。外部のサービスに送る前に、次の点を確かめます。

確かめること 確かめ方 見つかったとき
パスワード・API キー・トークン 下の grep(追加行だけを見る) 値を環境変数や秘密情報の管理の仕組みに移し、ステージから外す
秘密鍵(BEGIN … PRIVATE KEY) 同上 ファイルをリポジトリに入れない。.gitignore に加える
設定ファイル(.env、鍵ファイル) ファイル名の grep git restore --staged ファイル名 でステージから外す
接続文字列(ホスト名・ユーザー名を含む URL) 目で見る 値を置き換えてから渡すか、その差分を外す
個人の情報を含むテストデータ・ログ 目で見る 架空の値に置き換える
社内の URL・サーバー名・顧客名 目で見る 所属先の利用ルールに従う
利用するサービスに送ってよい範囲 所属先の規程・契約 範囲外なら送らない

追加行にそれらしい語が無いかを調べるコマンドです。

git diff --staged | grep -nEi '^\+.*(password|passwd|secret|api[_-]?key|token|BEGIN [A-Z ]*PRIVATE KEY)'
git diff --staged --name-only | grep -nEi '(\.env|\.pem|\.key|id_rsa|credentials|secret)'

設定ファイル(config.local.env)を誤ってステージした状態で実行した結果です(値は例示用の文字列です)。

20:+DB_PASSWORD=Example-Pass-1234
21:+API_KEY=sk_test_EXAMPLE0000000000
2:config.local.env

見つかったら、ステージから外して .gitignore に加えます。

git restore --staged config.local.env
echo 'config.local.env' >> .gitignore

この grep は語の一致を見るだけなので、変数名が違う鍵は見つけられません。grep で絞ってから、最後は --stat の一覧と差分を目で見る、という2段がまえにします。これは AI に渡す前の確認であると同時に、鍵をコミットしないための確認にもなります。

チャット・コマンドライン・エディタの生成機能の選び方

方法 やること 手間 書式のそろえやすさ 目的の添えやすさ
チャットに貼る 差分をコピーし、テンプレートと一緒に貼る 毎回コピーと貼り付けがある テンプレートを貼れば自由に指定できる 貼るときに書ける
コマンドラインのツールに渡す git diff の出力をパイプで渡す コマンド1行。スクリプトにできる プロンプトをファイルにして使い回せる コマンドの引数に書ける
エディタの生成機能 ソース管理の画面でボタンを押す 最も少ない 指示ファイルや設定で決める 生成後に手で書き足す

チャットに貼る

差分をファイルに書き出し、エディタで開いて貼るのが確実です。

git diff --staged --no-color --output=diff.txt -- . ':(exclude)package-lock.json'

書き出した diff.txt は git status に「未追跡のファイル」として出ます。リポジトリの外に書き出すか、使い終わったら消します。

コマンドラインのツールに渡す

標準入力を受け取れるツールなら、パイプでそのまま渡せます。Claude Code の公式 CLI リファレンスには、cat file | claude -p "query" の形(パイプで渡した内容を処理して終了する)が載っています。同じ形で差分を渡すと次のようになります。

git diff --staged -- . ':(exclude)package-lock.json' \
  | claude -p "目的:連続する時間帯の予約を入れられるようにする。この差分のコミットメッセージを Conventional Commits の形で1つ書いて。件名は日本語で全角25字以内、本文に理由を2〜3行。出力はメッセージだけ"

プロンプトが長くなるときは、書式の部分をファイルに置き、--append-system-prompt-file で読み込ませる方法が同じリファレンスにあります。

エディタの生成機能(GitHub Copilot)

場所 操作 公式ドキュメントの記載
VS Code のソース管理ビュー きらめき(sparkle)のアイコンを押す 変更を要約したタイトルと説明を生成する
GitHub の PR 作成画面 説明欄のヘッダーにある Copilot のアイコンから Summary を選ぶ 既存の説明文の内容は考慮されないので、空の説明欄から始める。Copilot Free では使えない

VS Code のカスタム指示のページには、コミットメッセージ生成用の github.copilot.chat.commitMessageGeneration.instructions と、PR の説明生成用の github.copilot.chat.pullRequestDescriptionGeneration.instructions という設定が載っており、text(指示の文)か file(Markdown ファイルのパス)を持つオブジェクトの配列を受け取ります。

{
  "github.copilot.chat.commitMessageGeneration.instructions": [
    { "text": "Conventional Commits の形で書く。要約は日本語で全角25字以内。本文に変更の理由を書く。" }
  ],
  "github.copilot.chat.pullRequestDescriptionGeneration.instructions": [
    { "file": "docs/pr-description-rules.md" }
  ]
}

どれを選ぶか

条件 選ぶもの
たまに使う、書式をその場で変えたい チャットに貼る
毎回同じ書式で、手順をスクリプトにしたい コマンドラインのツールに渡す
エディタから離れずに下書きを得たい エディタの生成機能(生成後に理由を書き足す)
差分を外部に送れない決まりがある AI には渡さず、テンプレートの見出しだけを使って人が書く

どの方法でも、生成されたものは下書きです。理由が正しいか、試していないテストが「確認済み」と書かれていないかを読んでから、コミットや PR に使います。

確かめて分かったこと

  • 新しく作ったファイルは、git add するまで git diff にも git diff --staged にも出ない。渡した差分に入っていないファイルは、説明文にも出てきません。先に git status --short で ?? の行が無いかを見ます
  • ロックファイル1つで差分の9割近くを占めていた(349 行のうち 312 行)。--stat で下見してから外すと、渡す量が 37 行になりました
  • ドット2つの差分には、自分が触っていないファイルが「削除」として混ざることがある。PR 用はドット3つを使います
  • 日本語の件名は、文字数と半角換算で数が大きく変わる(38 字が半角換算 58)。上限は数え方と一緒に指定します
  • --output=diff.txt でリポジトリの中に書き出すと、そのファイルが未追跡として残る。git add -A で一緒にコミットしないよう、外に書き出すか消します
  • Conventional Commits 1.0.0 の仕様そのものには、件名の長さの決まりが無い。長さはチームで決めて、プロンプトに数字で書きます

よくある質問

Q. 生成AIにコミットメッセージを書かせるとき、何を渡せばよいですか? A. git diff --staged の出力と、変更の目的1行、書式の指定の3つを渡します。差分だけだと「何を変えたか」しか書けず、本文の理由が推測になります。

Q. git diff と git diff --staged の違いは何ですか? A. git diff はまだステージしていない変更、git diff --staged は git add 済みで次のコミットに入る変更を表示します。コミットメッセージを作るときは、コミットされる内容と一致する --staged を使います。

Q. 差分が長すぎて貼れないときはどうすればよいですか? A. まず --stat で行数の多いファイルを見つけ、ロックファイルや自動生成物を :(exclude) で外します。それでも長いときは、フォルダごとに分けて要約させ、要約を集めて説明文にします。

Q. PR説明文をAIに作らせると、確認方法の欄が一般的な内容になります。どうすればよいですか? A. 実行したテストや手で試した操作を、context の「確認したこと」に書いて渡します。差分には確認の内容が写らないため、渡さない限り AI は一般的な手順しか書けません。

Q. コミットメッセージは英語と日本語のどちらで生成させるのがよいですか? A. リポジトリの既存の履歴に合わせます。プロンプトに「要約は日本語」「種類は英語の小文字」のように言語を書くと、そろいます。

まとめ

  • AI に渡すのは差分+変更の目的1行。理由と確認内容は人が添える
  • コミット用は git diff --staged、PR 用は git diff main...HEAD(ドット3つ)とコミット一覧
  • 書式はプロンプトで固定する。種類の一覧、件名の長さと数え方、本文に理由、PR の見出しの並び
  • --stat で下見し、ロックファイルや自動生成物は :(exclude) で外す
  • 渡す前に、追加行の鍵・パスワード・接続情報を grep と目で確かめる
  • 方法は、たまに使うならチャット、決まった書式で繰り返すならコマンドライン、手早い下書きならエディタの生成機能
  • 生成されたものは下書きとして読み、確かめてから使う

参考・出典

  • Git「git-diff」 https://git-scm.com/docs/git-diff (2026年10月5日に閲覧)
  • Git「gitglossary(pathspec)」 https://git-scm.com/docs/gitglossary (2026年10月5日に閲覧)
  • Conventional Commits 1.0.0 https://www.conventionalcommits.org/en/v1.0.0/ (2026年10月5日に閲覧)
  • GitHub Docs「Creating a pull request summary with GitHub Copilot」 https://docs.github.com/en/copilot/how-tos/use-copilot-for-common-tasks/create-a-pr-summary (2026年10月5日に閲覧)
  • Visual Studio Code「Copilot smart actions」 https://code.visualstudio.com/docs/copilot/copilot-smart-actions (2026年10月5日に閲覧)
  • Visual Studio Code「Use custom instructions」 https://code.visualstudio.com/docs/copilot/customization/custom-instructions (2026年10月5日に閲覧)
  • Claude Code「CLI reference」 https://code.claude.com/docs/en/cli-reference (2026年10月5日に閲覧)
  • Anthropic「Prompting best practices」 https://platform.claude.com/docs/en/build-with-claude/prompt-engineering/claude-prompting-best-practices (2026年10月5日に閲覧)

本記事の内容は、ご自由にお使いください。
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(記載例)出典:株式会社RJC「生成AIでコミットメッセージとPR説明文を作るプロンプトと差分の渡し方」

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