結論

IMAPは「メールをサーバーに置いたまま、どの端末からも同じ状態で読む」ための受信の規格です。POP3は「サーバーから端末に取り込む」受信の規格、SMTPは「送る」規格で、メールソフトの受信サーバーにはIMAPかPOP3、送信サーバーにはSMTPを設定します。

この記事でわかること

  • IMAP・POP3・SMTPの役割の違いと、143/993・110/995・25/587/465の各ポートの意味
  • 手元のDovecotと自作SMTPに送った LOGIN・FETCH・RETR・AUTH などのコマンド応答の原文
  • 2台の端末で既読が同期する実験、認証・暗号化エラーの原文、Gmail・Outlook.comの設定値

2026年10月29日更新|Dovecot 2.3.21・Python 3.13・OpenSSL 3.0 で実行確認

メールは「送る」と「受け取る」で使う規格が分かれています。送る側は SMTP、受け取る側は IMAP か POP3 です。相手に届くまでの流れを先に図にします。

flowchart TD
    A[自分のメールソフト] -->|SMTP 587<br>認証して送る| S[送信サーバー]
    S -->|SMTP 25<br>サーバー間| R[相手の受信サーバー]
    R -->|IMAP 993<br>置いたまま読む| B[相手のメールソフト]
    R -->|POP3 995<br>取り込む| C[相手の別のソフト]

よく調べられることの答えを先にまとめます。

知りたいこと 答え 詳しい節
IMAP とは サーバーに置いたまま読む受信の規格。複数端末で既読・フォルダーが同期する IMAPとは
IMAP と POP3 の違い IMAP はサーバーが本体、POP3 は端末が本体(取り込んで読む) IMAPとPOP3の違い
SMTP と IMAP の違い SMTP は送信、IMAP は受信。役割が違うので両方設定する IMAP・POP3・SMTPの違い
IMAP のポート番号 993(SSL/TLS)か 143(STARTTLS) ポート番号一覧
SSL/TLS と STARTTLS の違い 最初から暗号化か、平文で始めて途中から暗号化か。ポートが変わる ポート番号一覧
Gmail の IMAP 設定値 imap.gmail.com 993 SSL/smtp.gmail.com 587 TLS(465 SSL) GmailとOutlook.comの設定値
認証に失敗する パスワード・ポートと暗号化方式の組み合わせ・アプリパスワードを順に見る エラーの原文と直し方
IMAP と POP3 のどちらを選ぶか 端末が2台以上なら IMAP。1台で手元に残したいなら POP3 判断表

確認環境:Ubuntu 24.04.5 LTS の上で、Dovecot 2.3.21(Ubuntu のパッケージ dovecot-imapd・dovecot-pop3d)を自分の設定ファイルで 127.0.0.1 のポート 46143(IMAP)・46993(IMAPS)・46110(POP3)・46995(POP3S)に起動し、自己署名証明書で TLS を有効にしました。SMTP は Python 3.13.18 で書いた最小のサーバー(EHLO・STARTTLS・AUTH・MAIL・RCPT・DATA に応答し、Maildir に配達する)を 127.0.0.1:46587(サブミッション)と 46025(サーバー間を模した受け口)で動かし、外部のメールサーバーには一切接続していません。コマンドと応答は Python の socket で1行ずつ送受信して記録し、プログラムからの利用は標準ライブラリの imaplib・poplib・smtplib、手での確認は OpenSSL 3.0.13 の s_client で行いました。平文認証の拒否は、ip netns の中に別の Dovecot を 10.206.0.1 に立てて確かめています(Dovecot は localhost からの接続を安全とみなす仕様のため)。Gmail・Outlook.com の設定値は Google と Microsoft の公式ヘルプ、各規格は RFC 9051・3501・1939・5321・6409・8314・2177 で確かめました。図は mermaid で描画を確かめています(確認日 2026年10月29日)。

本記事の内容は、ご自由にお使いください。
ご利用の際は、出典として本ページへのリンクを記載いただけますようお願いします。

(記載例)出典:株式会社RJC「IMAPとは|POP3・SMTPとの違いとポート・設定をコマンド原文で」

IMAPとは(意味と役割)

この節では、IMAP が何をする規格で、メールソフトのどの設定に関わるのかが分かります。

IMAP(Internet Message Access Protocol)は、メールサーバーに置いてあるメールを、端末に取り込まずにサーバー上で読み書きするための通信の規格(プロトコル)です。 メールの本体はサーバーにあり、メールソフトはその「見え方」を同期します。既読にした、フォルダーに移した、削除した、といった操作はサーバーに記録されるので、パソコンでもスマートフォンでも同じ状態で見えます。

いま使われている版は IMAP4rev1(RFC 3501)と、その改訂版の IMAP4rev2(RFC 9051、2021年)です。手元の Dovecot も最初の応答で IMAP4rev1 と名乗りました。

S: * OK [CAPABILITY IMAP4rev1 SASL-IR LOGIN-REFERRALS ID ENABLE IDLE LITERAL+ STARTTLS AUTH=PLAIN AUTH=LOGIN] Dovecot (Ubuntu) ready.

1サーバーが本体

メールはサーバーに残る。端末はキャッシュ(控え)を持つだけなので、端末を替えても同じ受信箱が見える。

2状態も同期する

既読・未読・フラグ・フォルダー分けはサーバー上の「フラグ」と「メールボックス」として保存される。

3必要な部分だけ取る

件名と差出人だけ、本文だけ、添付だけ、と部分ごとに取り出せる。スマートフォンで一覧が速く出るのはこのため。

IMAP・POP3・SMTPの違い(一覧表)

この節では、3つの規格の役割の違いと、メールソフトのどの欄に対応するのかが一覧で分かります。

SMTP は「送る」、IMAP と POP3 は「受け取る」の規格です。 受信は IMAP か POP3 のどちらか一方を選び、送信は必ず SMTP なので、メールソフトの設定は「受信サーバー+送信サーバー」の2つになります。

IMAP POP3 SMTP
役割 受信(サーバー上で読む) 受信(端末に取り込む) 送信・サーバー間の配送
メールの本体がある場所 サーバー 端末(取り込み後はサーバーから消すのが元の設計) ―(運ぶだけ)
複数端末での利用 同じ状態で見える 端末ごとにばらばら ―
既読・フォルダーの同期 する しない ―
ポート(暗号化あり) 993(143 は STARTTLS) 995(110 は STARTTLS) 587 STARTTLS・465 SSL/TLS(25 はサーバー間)
規格 RFC 3501/9051 RFC 1939 RFC 5321/6409
メールソフトの欄 受信メールサーバー 受信メールサーバー 送信メールサーバー

郵便にたとえると

POP3私書箱の中身を全部持ち帰る。家で読めるが、私書箱は空になり、別の人(別の端末)は読めない
↔
IMAP私書箱の中で読む。読んだ印や仕分けも私書箱に残るので、誰がいつ来ても同じ状態

SMTP はどちらの場合も「ポストに投函して配達してもらう」側

「SMTP と IMAP の違い」は、比べるものではなく組み合わせて使うものです。送信だけできて受信できない、受信だけできて送信できない、というときは、片方の設定だけが間違っています。

メールが届くまでの流れ(SMTP→受信サーバー→IMAP/POP3)

この節では、自分のメールソフトから相手のメールソフトまで、メールがどの規格でどこを通るのかが分かります。

  1. 1メールソフト → 自分の送信サーバー(SMTP・587)ユーザー名とパスワードで認証(SMTP AUTH)してから送る。サブミッション(RFC 6409)
  2. 2送信サーバー → 相手ドメインの受信サーバー(SMTP・25)相手ドメインの MX レコードを DNS で引いて配送する。サーバー同士のやりとり
  3. 3受信サーバーがメールボックスに保存Maildir や mbox などの形式でディスクに置く
  4. 4相手のメールソフト → 受信サーバー(IMAP・993 か POP3・995)IMAP ならサーバー上で読む。POP3 なら端末に取り込む

手元の環境で、この流れを 127.0.0.1 だけで再現しました。自作の SMTP サーバーに 46587 で認証して送ると Maildir に保存され、直後に IMAP で SELECT INBOX すると件数が1つ増え、POP3 の STAT でも +OK 5 1394(5通・1394バイト)と同じ件数が返りました。同じメールボックスを IMAP と POP3 のどちらで見るかの違いであって、メールの置き場所は同じです。 MX レコードの引き方は、関連記事「nslookupの使い方|逆引き・DNS指定・MX・エラーの意味を実例で」で扱っています。

IMAPとPOP3の違いを2台の端末で確かめる

この節では、「既読が同期する・しない」「別の端末で受信できなくなる」を、実際に2つの接続を張って確かめた結果が分かります。

IMAP では端末 A の操作が端末 B にそのまま見え、POP3 では端末 A が何をしたかを端末 B は知らず、削除すると端末 B では受信できなくなりました。 同じ INBOX に対して、接続 A と接続 B(端末2台のつもり)を Python から張った結果です。

--- IMAP: 端末A と 端末B が同じ INBOX を開く ---
B 最初: ['1 (FLAGS ())', '2 (FLAGS ())', '3 (FLAGS ())', '4 (FLAGS ())', '5 (FLAGS ())']
A: 2 を既読、3 にフラグ
B NOOP後: ['2 (FLAGS (\\Seen))', '3 (FLAGS (\\Flagged))', '1 (FLAGS ())', '2 (FLAGS (\\Seen))', '3 (FLAGS (\\Flagged))', ...]

--- POP3: 端末A が受信(サーバーに残す)→ 端末B ---
A STAT: (5, 1394)
A: 1,2 を RETR(DELE せず)して QUIT
B STAT: (5, 1394) -> 既読かどうかは B に伝わらない
--- POP3: 端末A が受信してサーバーから削除 → 端末B ---
A: 1 を RETR + DELE して QUIT
B STAT: (4, 973) -> 1通減った。B では受信できない

IMAP の B の結果に 2 (FLAGS (\Seen)) が2回出ているのは、NOOP を送った瞬間にサーバーが「2番のフラグが変わった」と自分から知らせ(* 2 FETCH (FLAGS (\Seen)))、そのあと改めて一覧を取ったためです。

観点 IMAP(手元の結果) POP3(手元の結果)
端末 A で既読にした 端末 B にも \Seen が付いた 端末 B には何も伝わらない
端末 A でフラグ(★)を付けた 端末 B にも \Flagged が付いた POP3 にフラグの概念が無い
端末 A で削除した EXPUNGE 後は端末 B でも消える DELE+QUIT で端末 B は受信できなくなる
端末 A で取り込んだだけ ―(取り込む操作が無い) 「サーバーに残す」設定なら端末 B も受信できる
フォルダー分け サーバー上に CREATE・MOVE 端末の中だけ

IMAP が向く

パソコンとスマートフォンの両方で読む

複数人で1つのアドレスを見る

端末が壊れてもサーバーに残したい

POP3 が向く

端末は1台だけ

サーバーの容量が小さく、手元に全部置きたい

回線が無い場所で全文を読みたい(IMAP でも全文キャッシュの設定で可)

ポート番号一覧(143/993・110/995・25/587/465)とSSL/TLS・STARTTLSの違い

この節では、メールの各ポートが何のためにあり、「SSL/TLS」と「STARTTLS」でなぜポートが変わるのかが分かります。

同じ規格でも、「最初から暗号化する(SSL/TLS・暗黙の TLS)」と「平文で始めて途中から暗号化する(STARTTLS)」でポートが分かれています。 RFC 8314(2018年)は、メールソフトからの接続には最初から暗号化するポート(993・995・465)を優先するよう勧めています。

規格 ポート 暗号化 用途 手元で確認
IMAP 993 SSL/TLS(最初から) メールソフトの受信。いちばん一般的 46993 で実行
IMAP 143 STARTTLS(途中から)か平文 以前からのポート。STARTTLS で暗号化 46143 で実行
POP3 995 SSL/TLS(最初から) メールソフトの受信 46995 で実行
POP3 110 STLS(途中から)か平文 以前からのポート 46110 で実行
SMTP 587 STARTTLS メールソフトからの送信(サブミッション)。認証が必要 46587 で実行
SMTP 465 SSL/TLS(最初から) メールソフトからの送信。RFC 8314 で正式に登録 公式(RFC)
SMTP 25 STARTTLS か平文 サーバー同士の配送。家庭の回線では送信が遮断されることが多い(OP25B) 46025 で模擬

STARTTLS の実物

143 に平文でつないで STARTTLS を送ると、サーバーが「いまから TLS を始める」と答え、そこから先が暗号化されます。暗号化のあとに CAPABILITY を取り直すと、STARTTLS が消えて AUTH=PLAIN AUTH=LOGIN が現れました。

S: * OK [CAPABILITY IMAP4rev1 SASL-IR LOGIN-REFERRALS ID ENABLE IDLE LITERAL+ STARTTLS AUTH=PLAIN AUTH=LOGIN] Dovecot (Ubuntu) ready.
C: a1 STARTTLS
S: a1 OK Begin TLS negotiation now.
-- TLS handshake done: TLSv1.3 TLS_AES_256_GCM_SHA384
C: a2 CAPABILITY
S: * CAPABILITY IMAP4rev1 SASL-IR LOGIN-REFERRALS ID ENABLE IDLE LITERAL+ AUTH=PLAIN AUTH=LOGIN
S: a2 OK Pre-login capabilities listed, post-login capabilities have more.

ポートと暗号化方式の組み合わせを間違えると、認証の前に接続そのものが失敗します。143 に「SSL/TLS(最初から)」でつなぐと [SSL: WRONG_VERSION_NUMBER] wrong version number、993 に「暗号化なし」でつなぐとサーバーの挨拶が来ずにタイムアウトしました(エラーの節で一覧にしています)。

  • 1993・995・465 には「SSL/TLS」メールソフトの暗号化の欄が「SSL/TLS」「SSL」「暗黙の TLS」ならこちら
  • 2143・110・587 には「STARTTLS」欄が「STARTTLS」「TLS」「可能なら TLS」ならこちら。Outlook の「TLS」はこの意味
  • 3「なし」は使わないパスワードがそのまま流れる。手元のサーバーは平文の LOGIN を [PRIVACYREQUIRED] で拒否した
  • 425 はメールソフトに書かないサーバー間用。送信は 587 か 465

ポート番号の全体像と、どのポートが開いているかの調べ方は、関連記事「ポート番号一覧【2026年版】well-knownポートと確認コマンドの早見表」で扱っています。

IMAPのコマンドと応答の原文(LOGIN・LIST・SELECT・FETCH・STORE)

この節では、メールソフトが裏で送っている IMAP のコマンドと、サーバーの応答の読み方が、実際のやりとりで分かります。

IMAP は「タグ コマンド」を送り、サーバーが「* で始まるデータ行」を返したあと、「同じタグ OK/NO/BAD」で締める会話です。 手元の Dovecot に STARTTLS 後に送った原文です(パスワードは伏せています)。

LOGIN:失敗と成功

C: a3 LOGIN alice ********        ← 違うパスワード
S: a3 NO [AUTHENTICATIONFAILED] Authentication failed.
C: a4 LOGIN bob ********          ← 存在しないユーザー
S: a4 NO [AUTHENTICATIONFAILED] Authentication failed.
C: a5 LOGIN alice ********        ← 正しい
S: a5 OK [CAPABILITY IMAP4rev1 ... IDLE SORT THREAD=REFERENCES ... UIDPLUS LIST-EXTENDED ... MOVE ...] Logged in

パスワード違いと存在しないユーザーで、クライアントに返る文言は同じでした(どちらが間違いかを相手に教えないため)。サーバーのログには区別して残ります。

auth: Info: passwd-file(alice,127.0.0.1,<T16Fi/Zenph/AAAB>): Password mismatch
auth: Info: passwd-file(bob,127.0.0.1,<T16Fi/Zenph/AAAB>): unknown user
imap-login: Info: Login: user=<alice>, method=PLAIN, rip=127.0.0.1, lip=127.0.0.1, mpid=7818, TLS, session=<T16Fi/Zenph/AAAB>

LIST・SELECT:フォルダーの一覧と受信箱を開く

C: a6 LIST "" "*"
S: * LIST (\HasNoChildren) "." INBOX
S: a6 OK List completed (0.004 + 0.000 + 0.003 secs).
C: a7 SELECT INBOX
S: * FLAGS (\Answered \Flagged \Deleted \Seen \Draft)
S: * OK [PERMANENTFLAGS (\Answered \Flagged \Deleted \Seen \Draft \*)] Flags permitted.
S: * 3 EXISTS
S: * 3 RECENT
S: * OK [UNSEEN 1] First unseen.
S: * OK [UIDVALIDITY 1793262887] UIDs valid
S: * OK [UIDNEXT 4] Predicted next UID
S: a7 OK [READ-WRITE] Select completed (0.001 + 0.000 secs).

3 EXISTS が「3通ある」、[UNSEEN 1] が「最初の未読は1番」です。UIDVALIDITY と UIDNEXT は、メールソフトが「前回からどれが増えたか」を判断するための番号です。

FETCH:件名だけ、本文だけ、全部

C: a8 FETCH 1:* (FLAGS INTERNALDATE RFC822.SIZE ENVELOPE)
S: * 2 FETCH (FLAGS (\Recent) INTERNALDATE "29-Oct-2026 17:31:47 +0900" RFC822.SIZE 293 ENVELOPE ("Wed, 29 Oct 2026 09:05:00 +0900" "[CI] build #42 passed" (("Build Bot" NIL "notify" "example.test")) ... "<m2@example.test>"))
S: a8 OK Fetch completed (0.001 + 0.000 secs).
C: a10 FETCH 2 BODY[TEXT]
S: * 2 FETCH (FLAGS (\Seen \Recent) BODY[TEXT] {30}
S: All 128 tests passed in 42s.
S: )
S: a10 OK Fetch completed (0.001 + 0.000 secs).

メールソフトの一覧画面は ENVELOPE(差出人・件名・日付)だけを取り、開いたときに BODY[] を取ります。BODY[TEXT] を取った瞬間に \Seen(既読)が付いた点に注目です。既読にせず中身を見たいときは BODY.PEEK[...] を使います(IDLE の節で使っています)。日本語の件名は =?UTF-8?B?...?= の形(MIME エンコード)で返り、復号はメールソフトの仕事です。

STORE・SEARCH・CREATE・MOVE・EXPUNGE:既読・検索・フォルダー・削除

C: a12 STORE 2 +FLAGS (\Seen)
S: a12 OK Store completed (0.001 + 0.000 secs).
C: a14 SEARCH UNSEEN
S: * SEARCH 3
C: a15 SEARCH FROM "hanako"
S: * SEARCH 3
C: a16 CREATE Archive
S: a16 OK Create completed (0.003 + 0.000 + 0.002 secs).
C: a18 MOVE 3 Archive
S: * OK [COPYUID 1793262888 3 1] Moved UIDs.
S: * 3 EXPUNGE
C: a20 STORE 1 +FLAGS (\Deleted)
S: * 1 FETCH (FLAGS (\Deleted \Seen \Recent))
C: a21 EXPUNGE
S: * 1 EXPUNGE
S: a21 OK Expunge completed (0.001 + 0.000 secs).

IMAP の削除は2段階です。\Deleted を付けただけでは消えず、EXPUNGE で初めて消えます。メールソフトで「削除したのに別の端末に残っている」ときは、この2段階目がまだのことがあります。

プログラムから使う(Python imaplib)

Python の標準ライブラリで同じことができます。手元の 46993 に対して実行した例です。

import imaplib, ssl
ctx = ssl.create_default_context(cafile="cert.pem")   # 本番は公的な証明書なので cafile は不要
m = imaplib.IMAP4_SSL("127.0.0.1", 46993, ssl_context=ctx)
m.login("alice", "********")
typ, data = m.select("INBOX")          # ('OK', [b'5'])  ← 5通
typ, nums = m.search(None, "UNSEEN")   # 未読の番号
typ, msg = m.fetch(b"2", "(BODY.PEEK[HEADER.FIELDS (SUBJECT)])")
m.logout()

IMAP IDLE(新着のプッシュ通知)の実物

この節では、スマートフォンに新着がすぐ届く仕組み IMAP IDLE が、実際にどう動くのかが分かります。

IDLE(RFC 2177)は、クライアントが「待つ」と宣言して接続を開けたままにし、サーバーが新着やフラグの変化を自分から知らせる拡張です。 定期的に見に行く(ポーリング)必要が無くなります。手元で IDLE を送り、3秒後に別の経路で Maildir にメールを置いた結果です。

C: a3 IDLE
S: + idling
-- (3.0s) new mail written to Maildir/new
S: * 4 EXISTS
   (received 3.5s after IDLE)
C: DONE
S: * 1 RECENT
S: a3 OK Idle completed (3.504 + 3.502 + 3.503 secs).
C: a4 FETCH 4 (FLAGS BODY.PEEK[HEADER.FIELDS (SUBJECT)])
S: * 4 FETCH (FLAGS (\Recent) BODY[HEADER.FIELDS (SUBJECT)] {33}
S: Subject: new mail during IDLE
S: )
C: a5 FETCH 4 FLAGS
S: * 4 FETCH (FLAGS (\Recent))        ← PEEK なので \Seen は付かない
0.5秒新着が届くまでMaildir に置いてから * 4 EXISTS まで(手元)
29分IDLE を送り直す目安RFC 2177 はサーバーが30分で切ってよいとする
1接続/フォルダーIDLE の単位監視したいフォルダーごとに接続が要る

POP3 には IDLE に当たるものが無く、メールソフトが「○分ごとに確認」で取りに行きます。「スマートフォンで新着通知がすぐ来るのは IMAP」と言われるのは、この差です。サーバーは IDLE 中の接続を 30 分で切ってよい(RFC 2177)ので、メールソフトは 29 分以内に DONE と IDLE を送り直します。

POP3のコマンドと応答の原文(USER・PASS・LIST・RETR・DELE)

この節では、POP3 の一連のやりとりと、「サーバーにメッセージを残す」設定が何をしているのかが分かります。

POP3 は「+OK」「-ERR」の2種類で答える単純な会話で、取り込んで(RETR)、削除の印を付け(DELE)、QUIT で確定します。 46995(最初から TLS)に送った原文です。

S: +OK Dovecot (Ubuntu) ready.
C: USER alice
S: +OK
C: PASS ********                  ← 違うパスワード
S: -ERR [AUTH] Authentication failed.
C: USER alice
C: PASS ********                  ← 正しい
S: +OK Logged in.
C: STAT
S: +OK 3 995                      ← 3通・合計 995 バイト
C: LIST
S: +OK 3 messages:
S: 1 421
S: 2 293
S: 3 281
S: .
C: UIDL
S: +OK
S: 1 000000016ae30549
S: 2 000000026ae30549
S: 3 000000036ae30549
S: .
C: TOP 2 0                        ← ヘッダーだけ
S: +OK
S: From: Build Bot <notify@example.test>
S: Subject: [CI] build #42 passed
S: .
C: RETR 2                         ← 全文を取り込む
S: +OK 293 octets
S: ...(ヘッダーと本文)
S: All 128 tests passed in 42s.
S: .
C: DELE 2
S: +OK Marked to be deleted.
C: STAT
S: +OK 2 702
C: RSET                           ← 削除の印を取り消す
S: +OK
C: STAT
S: +OK 3 995
C: QUIT
S: +OK Logging out.
1

STAT・LIST

件数と大きさ。POP3 には件名や差出人を返すコマンドが無く、知りたければ TOP でヘッダーを取る。

一覧は端末が作る

2

UIDL

メールごとの固定の ID。「サーバーに残す」設定のメールソフトは、この ID を覚えて同じメールを二度取り込まないようにする。

残す設定の要

3

DELE → QUIT

DELE は印を付けるだけで、QUIT で確定する。途中で切れれば RSET と同じく残る。

削除は QUIT で確定

4

既読の概念が無い

RETR しても何も変わらない。既読・未読は端末の中だけの情報で、別の端末には伝わらない。

2端末の実験のとおり

メールソフトの「サーバーにメッセージのコピーを置く」「○日後にサーバーから削除」は、RETR のあと DELE を送るかどうか、いつ送るかの設定です。RFC 1939 の元の設計は「取り込んだら消す」ですが、いまは残す設定が既定のメールソフトが多くなっています。

SMTPのコマンドと応答の原文(EHLO・STARTTLS・AUTH・MAIL・RCPT・DATA)

この節では、送信のときに流れる SMTP の会話と、「認証が要る」「中継を断られた」がどの応答なのかが分かります。

SMTP は3桁の数字で答え、2xx が成功、3xx が続きを促す、5xx が失敗です。 自作の SMTP サーバーの 46587(サブミッション)に送った原文です。認証の前に送ろうとすると 530、暗号化のあとに AUTH が現れ、宛先が無ければ 550 になりました。

S: 220 mail.example.test ESMTP lab-smtpd ready
C: EHLO laptop.local
S: 250-mail.example.test
S: 250-SIZE 10485760
S: 250-STARTTLS
S: 250 ENHANCEDSTATUSCODES
C: MAIL FROM:<alice@example.test>      ← 認証せずに送ろうとした
S: 530 5.7.0 Authentication required
C: STARTTLS
S: 220 2.0.0 Ready to start TLS
-- TLS handshake done: TLSv1.3
C: EHLO laptop.local
S: 250-AUTH PLAIN LOGIN                 ← 暗号化後に AUTH が現れる
S: 250 ENHANCEDSTATUSCODES
C: AUTH PLAIN AGFsaWNlAHdyb25ncGFzcw==  ← 違うパスワード(Base64)
S: 535 5.7.8 Authentication credentials invalid
C: AUTH PLAIN AGFsaWNlAHNlY3JldDEyMw==
S: 235 2.7.0 Authentication successful
C: MAIL FROM:<alice@example.test>
S: 250 2.1.0 Ok
C: RCPT TO:<nobody@example.test>
S: 550 5.1.1 <nobody@example.test>: Recipient address rejected: User unknown in local recipient table
C: RCPT TO:<alice@example.test>
S: 250 2.1.5 Ok
C: DATA
S: 354 End data with <CR><LF>.<CR><LF>
C: From: Alice <alice@example.test>
C: Subject: sent via SMTP lab
C:
C: Hello from SMTP.
C: .
S: 250 2.0.0 Ok: queued as 1A186CD84F0
C: QUIT
S: 221 2.0.0 Bye

AUTH PLAIN の後ろは「ユーザー名とパスワードを Base64 にしただけ」で暗号ではありません。STARTTLS の前に AUTH を出さないのはそのためで、Python の smtplib も暗号化前に login() を呼ぶと SMTP AUTH extension not supported by server. と断りました。

サーバー間(25番)の受け口は認証ではなく「宛先」で判断する

C: EHLO other-mail.example.org
C: MAIL FROM:<someone@example.org>
S: 250 2.1.0 Ok
C: RCPT TO:<alice@example.test>        ← 自分のドメイン宛 → 受け取る
S: 250 2.1.5 Ok
C: RCPT TO:<friend@example.net>        ← よそ宛を中継させようとした
S: 554 5.7.1 <friend@example.net>: Relay access denied

メールソフトの送信で 554 5.7.1 Relay access denied が出るときは、認証の設定が無いまま 25 番や認証不要の受け口に送っていることが多いです。送信は 587 か 465 で、「送信サーバーは認証が必要」を有効にします。送信の実装は、関連記事「Python smtplibでメール送信|添付・HTML・Gmail対応コード」と関連記事「Spring Bootでメール送信|HTML・添付・Gmail設定」で扱っています。

メールソフトの設定項目の読み方(受信サーバー・送信サーバー・SSL/TLS・認証)

この節では、メールソフトの設定画面に並ぶ項目が、ここまでのどの話に対応するのかが分かります。

設定画面は「受信(IMAP か POP3)」と「送信(SMTP)」の2組で、それぞれにサーバー名・ポート・暗号化・認証の4つがあります。

設定画面の項目 意味 この記事での対応
アカウントの種類(IMAP/POP/POP3) 受信の規格。あとから切り替えるにはアカウントの作り直しが要るソフトが多い IMAPとPOP3の違い
受信メールサーバー IMAP か POP3 のサーバー名(imap.example.com など) LOGIN の相手
送信メールサーバー(SMTP) 送信の相手(smtp.example.com など)。受信と別の名前のこともある EHLO の相手
ポート 993/143・995/110・587/465。暗号化の欄と組で決まる ポート番号一覧
暗号化(SSL/TLS・STARTTLS・なし) 最初から/途中から/しない STARTTLS の実物
認証方式(通常のパスワード・OAuth2) LOGIN/PLAIN か、ブラウザでログインしてトークンを使うか Gmail・Outlook.com
送信サーバーは認証が必要 SMTP AUTH を使う。587/465 では必ず有効 530 5.7.0 の応答
サーバーにメッセージのコピーを置く(POP) RETR のあと DELE を送らない POP3 の DELE
1

プロバイダーのヘルプで4つの値を控える

受信サーバー名・ポート・暗号化・送信サーバー名。会社のアドレスなら管理者に聞く。推測で入れない。

受信・送信の両方

2

ポートと暗号化を組で入れる

993 なら SSL/TLS、143 なら STARTTLS。片方だけ変えると WRONG_VERSION_NUMBER やタイムアウトになる。

接続エラーの大半

3

ユーザー名はアドレス全体か、@ の前か

サービスによって違う。Gmail と Outlook.com はアドレス全体。

認証エラー

4

送信サーバーの認証を有効にする

受信と同じユーザー名・パスワードを使う設定が多い。無効のままだと 530 や 554 になる。

送信だけ失敗するとき

5

OAuth2 が選べるならそちらを選ぶ

Gmail と Outlook.com はパスワード方式を推奨していない。選べないソフトではアプリパスワード。

Gmail・Outlook.com

GmailとOutlook.comのIMAP・POP3・SMTP設定値(公式ヘルプ)

この節では、よく設定する2つのサービスのサーバー名・ポート・暗号化を、公式ヘルプの記述で確かめた値で示します。

どちらも「IMAP は 993・SSL/TLS、SMTP は 587・STARTTLS」で、認証は OAuth2(Google でログイン/先進認証)が前提です。 2026年10月29日時点の公式ヘルプの値です。

Gmail Outlook.com
受信(IMAP) imap.gmail.com・993・SSL outlook.office365.com・993・SSL/TLS
受信(POP) pop.gmail.com・995・SSL outlook.office365.com・995・SSL/TLS
送信(SMTP) smtp.gmail.com・587・TLS(SSL なら 465) smtp-mail.outlook.com・587・STARTTLS
ユーザー名 メールアドレス全体 メールアドレス全体
認証 「Google でログイン」を推奨。2段階認証ならアプリパスワードも可(推奨ではない) OAuth2/先進認証が必要。POP・IMAP は既定で無効
  • Gmail:公式ヘルプは、Google のユーザー名とパスワードをそのまま渡すサードパーティ製アプリをサポートしなくなったこと、「Google でログイン」を使うこと、アプリパスワードは推奨されずほとんどの場合は不要なこと、2025年1月以降「IMAP を有効にする」の設定が無くなり IMAP は常に有効なこと、1アカウントに追加できるメールクライアントは最大15個であることを説明しています。
  • Gmail の POP について:2026年に「Gmail が POP をやめる」という話題がありますが、公式ヘルプ(Gmailify と POP の今後の変更)が終了を案内しているのは「他のアカウントのメールを Gmail に POP で取り込む機能」と Gmailify で、新規は2026年第1四半期以降、既存ユーザーは2027年1月までです。同じページの FAQ に、サードパーティ製アプリから Gmail のサーバーへ POP または IMAP で接続できることが書かれています。
  • Outlook.com:公式ヘルプは「POP & IMAP アクセスは既定で無効になっています」「Outlook.com には、先進認証/OAuth2 を使用する必要があります」と書いています。メールソフトで使うには、まず Outlook.com の設定で POP・IMAP を有効にします。

認証エラー・接続エラーの原文と直し方

この節では、設定を間違えたときに出る文言と、どの設定を疑えばよいかが、手元で再現した原文で分かります。

エラーは「つながらない(接続・暗号化)」と「つながるがログインできない(認証)」に分けて見ると早いです。 Python の標準ライブラリで、わざと間違えた設定を12通り試した結果です。

やったこと 出た原文 疑う設定
IMAP でパスワード違い [AUTHENTICATIONFAILED] Authentication failed. パスワード・ユーザー名の形・アプリパスワード
POP3 でパスワード違い -ERR [AUTH] Authentication failed. 同上
SMTP でパスワード違い 535 5.7.8 Authentication credentials invalid 送信サーバーの認証情報
SMTP で認証せずに送信 530 5.7.0 Authentication required 「送信サーバーは認証が必要」が無効
よそ宛を 25 番に中継させた 554 5.7.1 Relay access denied 25 ではなく 587/465+認証
143 に SSL/TLS でつないだ [SSL: WRONG_VERSION_NUMBER] wrong version number ポートと暗号化の組み合わせ
587 に SSL/TLS でつないだ [SSL: WRONG_VERSION_NUMBER] wrong version number 587 は STARTTLS。SSL/TLS なら 465
993 に暗号化なしでつないだ TimeoutError: timed out(挨拶が来ない) 暗号化を SSL/TLS にする
ポート番号を間違えた ConnectionRefusedError: [Errno 111] Connection refused ポート番号・ファイアウォール
STARTTLS の前に LOGIN(別 IP から) NO [PRIVACYREQUIRED] Plaintext authentication disallowed on non-secure (SSL/TLS) connections. 暗号化「なし」をやめる
STARTTLS の前に SMTP AUTH SMTP AUTH extension not supported by server. 暗号化を STARTTLS にする
自己署名証明書のサーバー [SSL: CERTIFICATE_VERIFY_FAILED] certificate verify failed: self-signed certificate サーバー名のつづり・サーバー側の証明書
証明書と違う名前でつないだ CERTIFICATE_VERIFY_FAILED ... IP address mismatch, certificate is not valid for '127.0.0.1'. IP ではなく証明書どおりのサーバー名で

平文での認証を断られたときの原文は、別 IP(10.206.0.2 → 10.206.0.1)から 143 に送ったときのものです。サーバーは警告も一緒に返しました。

S: * OK [CAPABILITY IMAP4rev1 SASL-IR LOGIN-REFERRALS ID ENABLE IDLE LITERAL+ STARTTLS LOGINDISABLED] Dovecot (Ubuntu) ready.
C: a2 LOGIN alice ********
S: * BAD [ALERT] Plaintext authentication not allowed without SSL/TLS, but your client did it anyway. If anyone was listening, the password was exposed.
S: a2 NO [PRIVACYREQUIRED] Plaintext authentication disallowed on non-secure (SSL/TLS) connections.
C: a3 STARTTLS
S: a3 OK Begin TLS negotiation now.
C: a5 LOGIN alice ********
S: a5 OK [CAPABILITY ...] Logged in

最初の挨拶に LOGINDISABLED があるのが「暗号化するまでログインは受け付けない」の合図です(127.0.0.1 からの接続は Dovecot が安全とみなすため、この拒否は出ません)。証明書のエラーの読み方は、関連記事「opensslコマンドの使い方|目的別一覧と実行結果・エラー対処【3系】」で扱っています。

openssl s_client で手で確かめる

メールソフトを使わずに、サーバー名・ポート・証明書・ログインまでを1行で確かめられます。993 の例です。

$ openssl s_client -connect 127.0.0.1:46993 -CAfile cert.pem -quiet
depth=0 CN = mail.example.test
verify return:1
* OK [CAPABILITY IMAP4rev1 ... AUTH=PLAIN AUTH=LOGIN] Dovecot (Ubuntu) ready.
a1 LOGIN alice ********
a1 OK [CAPABILITY ...] Logged in
a2 STATUS INBOX (MESSAGES UNSEEN)
* STATUS INBOX (MESSAGES 4 UNSEEN 3)
a2 OK Status completed (0.001 + 0.000 + 0.001 secs).
a3 LOGOUT
* BYE Logging out

143 の STARTTLS は openssl s_client -connect ホスト:143 -starttls imap、587 は -starttls smtp、110 は -starttls pop3 で同じように確かめられます。

IMAPとPOP3どちらを選ぶか(判断表)

この節では、自分の使い方に合わせて IMAP と POP3 のどちらを設定するかが決められます。

端末が2台以上、または複数人で見るなら IMAP です。 POP3 を選ぶ理由は「1台で、手元に全部残したい」「サーバーの容量が小さい」に限られます。

状況 選ぶ 理由
パソコンとスマートフォンで同じアドレスを読む IMAP 既読・フォルダーが同期する(手元の実験)
問い合わせ窓口を複数人で見る IMAP 誰かが読んだ・返信したが全員に見える
端末が壊れてもメールを残したい IMAP 本体がサーバーにある
サーバーの容量が小さく、すぐ一杯になる POP3(残さない) 取り込んだら消えるので容量を使わない
端末は1台で、回線の無い場所でも全文を読みたい POP3 か IMAP(全文キャッシュ) IMAP でも「すべてのメールをオフラインで使う」設定で可
1つのアドレスを IMAP と POP3 で併用 どちらかに揃える POP3 側の DELE で IMAP 側から消えるなど混乱する
Gmail・Outlook.com IMAP(OAuth2) 公式ヘルプが案内する組み合わせ

よくある質問

Q. IMAP とは何ですか? A. メールをサーバーに置いたまま読み書きするための受信の規格です。既読・フォルダー分けもサーバーに記録されるので、パソコンとスマートフォンで同じ状態が見えます。現行の版は IMAP4rev1(RFC 3501)と IMAP4rev2(RFC 9051)です。

Q. IMAP と POP3 の違いは何ですか? A. IMAP はサーバーが本体で端末は同期、POP3 は端末に取り込んで端末が本体です。手元の実験では、IMAP は端末 A の既読が端末 B に見え、POP3 は端末 A が削除すると端末 B で受信できなくなりました。

Q. SMTP と IMAP の違いは何ですか? A. SMTP は送信、IMAP は受信の規格で、比べるものではなく組み合わせて使います。メールソフトには送信サーバー(SMTP)と受信サーバー(IMAP か POP3)の両方を設定します。

Q. IMAP のポート番号は何番ですか? A. 993(SSL/TLS・最初から暗号化)か 143(STARTTLS・途中から暗号化)です。POP3 は 995 か 110、SMTP の送信は 587(STARTTLS)か 465(SSL/TLS)です。

Q. SSL/TLS と STARTTLS はどちらを選べばよいですか? A. ポートと組で決まります。993・995・465 なら SSL/TLS、143・110・587 なら STARTTLS です。組み合わせを間違えると WRONG_VERSION_NUMBER やタイムアウトになりました。

Q. 「認証に失敗しました」と出ます。 A. パスワードのほか、ユーザー名がアドレス全体か @ の前か、2段階認証でアプリパスワードが要るか、Gmail・Outlook.com なら OAuth2 が必要かを順に見ます。サーバーの応答は [AUTHENTICATIONFAILED](IMAP)・-ERR [AUTH](POP3)・535 5.7.8(SMTP)です。

Q. 受信はできるのに送信だけ失敗します。 A. 送信サーバー(SMTP)の設定だけが違います。「送信サーバーは認証が必要」が無効だと 530 5.7.0 Authentication required、25 番に送って中継を断られると 554 5.7.1 Relay access denied になります。587 か 465 で、認証を有効にします。

Q. IMAP で削除したのに別の端末に残っています。 A. IMAP の削除は \Deleted の印を付ける段階と EXPUNGE で消す段階の2つです。メールソフトの「削除済みを整理」や「完全に削除」で2段階目が行われます。

Q. スマートフォンで新着がすぐ届くのはなぜですか? A. IMAP IDLE です。接続を開けたままにして、サーバーが新着を自分から知らせます。手元では新着を置いてから 0.5 秒で * 4 EXISTS が届きました。POP3 には同じ仕組みが無く、定期的に取りに行きます。

Q. Gmail は POP をやめるのですか? A. 公式ヘルプが終了を案内しているのは「他のアカウントのメールを Gmail に POP で取り込む機能」と Gmailify です(新規は2026年第1四半期以降、既存は2027年1月まで)。同じページに、サードパーティ製アプリから Gmail のサーバーへ POP または IMAP で接続できると書かれています。

Q. IMAP と POP3 を同じアドレスで両方設定してもよいですか? A. 動きはしますが、POP3 側が「サーバーに残さない」設定だと IMAP 側からメールが消えます。どちらかに揃えるのが安全です。

Q. telnet や openssl で接続を確かめられますか? A. 暗号化ポートは openssl s_client -connect ホスト:993、STARTTLS のポートは -starttls imap(smtp・pop3 も同様)で接続し、a1 LOGIN ユーザー名 パスワード を手で送れます。手元の実行例を本文に載せています。

まとめ

  • IMAP はサーバーに置いたまま読む受信の規格、POP3 は端末に取り込む受信の規格、SMTP は送信の規格。メールソフトには受信(IMAP か POP3)と送信(SMTP)の2組を設定する。
  • ポートは IMAP 993/143・POP3 995/110・SMTP 587/465(25 はサーバー間)。993・995・465 は SSL/TLS、143・110・587 は STARTTLS と組で覚える。
  • 手元の2端末の実験で、IMAP は既読・フラグが同期し、POP3 は端末 A の削除で端末 B が受信できなくなった。端末が2台以上なら IMAP。
  • IMAP の会話は LOGIN → LIST → SELECT → FETCH → STORE → EXPUNGE。削除は2段階、IDLE で新着が 0.5 秒で届いた。POP3 は USER/PASS → STAT → RETR → DELE → QUIT。
  • 認証エラーは [AUTHENTICATIONFAILED]・535 5.7.8、組み合わせ違いは WRONG_VERSION_NUMBER・タイムアウト、中継拒否は 554 5.7.1。Gmail と Outlook.com は OAuth2 が前提で、設定値は公式ヘルプのとおり。

参考・出典

確認日はいずれも 2026年10月29日です。

  • IETF「RFC 9051 Internet Message Access Protocol (IMAP) - Version 4rev2」:https://www.rfc-editor.org/rfc/rfc9051
  • IETF「RFC 3501 INTERNET MESSAGE ACCESS PROTOCOL - VERSION 4rev1」:https://www.rfc-editor.org/rfc/rfc3501
  • IETF「RFC 2177 IMAP4 IDLE command」:https://www.rfc-editor.org/rfc/rfc2177
  • IETF「RFC 1939 Post Office Protocol - Version 3」:https://www.rfc-editor.org/rfc/rfc1939
  • IETF「RFC 5321 Simple Mail Transfer Protocol」:https://www.rfc-editor.org/rfc/rfc5321
  • IETF「RFC 6409 Message Submission for Mail」:https://www.rfc-editor.org/rfc/rfc6409
  • IETF「RFC 8314 Cleartext Considered Obsolete: Use of TLS for Email Submission and Access」:https://www.rfc-editor.org/rfc/rfc8314
  • Google ヘルプ「他のメール プラットフォームで Gmail を確認する」:https://support.google.com/mail/answer/7126229?hl=ja
  • Google ヘルプ「POP を使用して他のメール クライアントで Gmail のメールを読む」:https://support.google.com/mail/answer/7104828?hl=ja
  • Google Workspace 管理者ヘルプ「サードパーティのメール クライアントで Gmail を設定する」:https://support.google.com/a/answer/9003945?hl=ja
  • Google ヘルプ「Gmail の Gmailify と POP の今後の変更について」:https://support.google.com/mail/answer/16604719?hl=ja
  • Microsoft サポート「Outlook.com の POP、IMAP、および SMTP 設定」:https://support.microsoft.com/ja-jp/office/d088b986-291d-42b8-9564-9c414e2aa040
  • Dovecot「Core settings」(disable_plaintext_auth・login_trusted_networks):https://doc.dovecot.org/2.3/settings/core/
  • Python「imaplib」「poplib」「smtplib」:https://docs.python.org/ja/3/library/imaplib.html

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(記載例)出典:株式会社RJC「IMAPとは|POP3・SMTPとの違いとポート・設定をコマンド原文で」

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