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Zabbixとは|構成・用語・インストールと使い方を実例で解説
結論
Zabbixとは、サーバーやネットワーク機器を監視し、異常を通知する無料のオープンソースソフトです。読み方は一般に「ザビックス」です。
この記事でわかること
- 構成5部品の図と用語10個の早見表
- ポート10050・10051で流れるデータの実物
- エラー原文9件とPrometheus・Datadogとの違い表
監視対象に入れた Zabbix エージェントが値を集め、Zabbix サーバーが受け取ってデータベースに保存し、条件(トリガー)に合えば通知します。拠点が離れているときは、間にプロキシを置きます。
flowchart TD
A[Zabbix エージェント<br/>監視対象のサーバー] -->|値| P[Zabbix プロキシ<br/>拠点ごと 任意]
A -->|値| S[Zabbix サーバー]
P --> S
S <--> D[(データベース)]
W[Web 画面] <--> D
S --> N[通知 メール Slack など]
よく出る言葉と数字を先にまとめます。
| 言葉 | 意味 | 例 |
|---|---|---|
| ホスト | 監視する対象(サーバー・機器) | web01、ルーター |
| アイテム | ホストから集める1つの値 | system.cpu.load[all,avg1] |
| トリガー | 「障害」と判定する条件式 | CPU 使用率が5分間ずっと90%超 |
| アクション | 障害のときにすること | 担当者にメールと Slack |
| テンプレート | アイテム・トリガーのひな形 | Linux by Zabbix agent |
| エージェント | 監視対象で値を集めるソフト | Zabbix agent・Zabbix agent 2 |
| ポート | エージェントが待つ・サーバーが待つ | 10050・10051(TCP) |
| 最新の LTS | 長期サポート版 | 7.0(7.0.32、2026年10月20日) |
| 料金 | ソフトは無料(AGPLv3) | 有償サポート・Zabbix Cloud は別 |
確認環境:Ubuntu 24.04.4・Python 3.11.15・zabbix_utils 2.0.4(Zabbix 社の公式 Python ライブラリ)。zabbix_utils から送ったエージェントへの問い合わせ・zabbix_sender と同じ送信・API のリクエストを、届いた通信を表示する自作の擬似サーバーで受けて記録しました。設定の既定値・エラー文・画面の日本語・初期データ(テンプレート数・メディアタイプ数・テーブル数・初期パスワード)は Zabbix 7.0.32 のソース(GitHub のタグ)で、版・リリース日・パッケージ名は zabbix.com のリリースノートと repo.zabbix.com で、ライセンス・料金は各公式サイトで確かめました(確認日 2026年10月22日)。
本記事の内容は、ご自由にお使いください。
ご利用の際は、出典として本ページへのリンクを記載いただけますようお願いします。
(記載例)出典:株式会社RJC「Zabbixとは|構成・用語・インストールと使い方を実例で解説」
Zabbixとは(読み方・できること)
この節では、Zabbix が何をするソフトで、誰が作っているかが分かります。
Zabbix は、サーバー・ネットワーク機器・アプリ・クラウドの状態を集めて保存し、決めた条件を超えたら通知する、オープンソースの統合監視ソフトです。 読み方は一般に「ザビックス」です。監視の基盤(サーバー・データベース・Web 画面)を自分で用意して動かす形が基本で、2026年10月22日時点ではマネージドの Zabbix Cloud もあります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 開発元 | Zabbix LLC(本社 ラトビア・リガ、2005年4月設立) |
| 最初のリリース | 2001年 |
| 日本の拠点 | Zabbix Japan LLC(2012年10月設立、東京都港区) |
| ライセンス | 7.0 から AGPLv3、6.4 までは GPLv2 |
| 画面の言語 | 日本語あり(Web サーバーに ja_JP のロケールが要る) |
1いろいろな集め方
エージェント・SNMP・IPMI・JMX・HTTP・SSH・ICMP(ping)など、対象に合う方法で値を集める。
2テンプレートが多い
7.0.32 の初期データには356個のテンプレートが入っている。Linux・Windows・MySQL・PostgreSQL・Nginx・Docker・AWS など。
3通知先が多い
メディアタイプ(通知の手段)は初期状態で39種類。Email・Slack・MS Teams・Telegram・LINE・Jira など。
4自動化の仕組み
ネットワークディスカバリ・ローレベルディスカバリ(LLD)・自動登録・API で、ホストや監視項目の登録を自動にできる。
テンプレート数・メディアタイプ数は、7.0.32 のソースにある初期データ(create/src/*.tmpl)を数えた値です。
Zabbixの構成(Server・Agent・Proxy・DB・Web)
この節では、Zabbix を動かす部品と、それぞれの役割・使うポートが分かります。
| 部品 | すること | 待ち受け(既定) |
|---|---|---|
| Zabbix サーバー | 値を受け取り、トリガーを判定し、通知を出す中心のプロセス | 10051/TCP(トラッパー) |
| データベース | 設定・収集した値(ヒストリ・トレンド)・障害を保存 | PostgreSQL 5432 など |
| Web 画面(フロントエンド) | 設定と閲覧の画面。PHP で動く | 80・443(Web サーバー) |
| Zabbix エージェント | 監視対象で CPU・メモリ・ディスク・ログなどを集める | 10050/TCP |
| Zabbix プロキシ | 拠点ごとに値を集めて、まとめてサーバーへ送る | 10051/TCP |
| Java ゲートウェイ | JMX で Java アプリの値を集める(任意) | 10052/TCP |
サーバーとプロキシの待ち受け 10051、エージェントの 10050 は、7.0.32 の設定ファイル(zabbix_server.conf・zabbix_proxy.conf・zabbix_agentd.conf)の ListenPort の既定値です。
データベースとWeb画面の要件(7.0)
7.0.32 のソースに書かれている、対応するデータベースの範囲と PHP の最低版です。
| 対象 | 対応する版(7.0.32) |
|---|---|
| PostgreSQL | 13.0〜18.x |
| MySQL | 8.0.30〜9.7.x |
| MariaDB | 10.5〜12.3.x |
| PHP(Web 画面) | 8.0.0 以上 |
Ubuntu 24.04 の apt で入る PostgreSQL 16・PHP 8.3 はこの範囲に入ります。データベースには、データの型ごとにヒストリのテーブルが分かれています(ソースのスキーマ定義は全203テーブル)。
| データ型(画面の表示) | 保存先のテーブル |
|---|---|
| 数値(浮動小数) | history・trends |
| 数値(整数) | history_uint・trends_uint |
| 文字列 | history_str |
| ログ | history_log |
| テキスト | history_text |
| バイナリ | history_bin |
ヒストリは集めた値そのまま、トレンドは1時間ごとの最小・平均・最大です。監視するホストとアイテムが増えるほどデータベースへの書き込みが増えるので、規模の見積もりには次の「NVPS」を使います。
規模の目安(NVPS)
NVPS(New Values Per Second)は、サーバーが1秒あたりに受け取る新しい値の数です。アイテム数÷監視間隔で計算できます。
ホスト50台 × アイテム100個 ÷ 間隔60秒 = NVPS 83.3
ホスト100台 × アイテム150個 ÷ 間隔60秒 = NVPS 250.0
ホスト300台 × アイテム200個 ÷ 間隔60秒 = NVPS 1000.0
Zabbix Cloud の料金も、この NVPS で段階が分かれています(後の「料金」の節)。
Zabbixの用語早見表(ホスト・アイテム・トリガー・アクション・テンプレート)
この節では、設定画面に出てくる言葉の意味と、画面の日本語表記が分かります。
| 用語(英語) | 意味 | 例 |
|---|---|---|
| ホスト(Host) | 監視する対象。IP・DNS とインターフェースを持つ | web01(192.0.2.10:10050) |
| ホストグループ(Host group) | ホストのまとまり。権限の単位にもなる | Linux servers |
| アイテム(Item) | 1つの値の集め方。キーと監視間隔を持つ | vm.memory.size[available] を1分ごと |
| トリガー(Trigger) | 値から障害を判定する条件式と深刻度 | min(/web01/system.cpu.util,5m)>90 |
| イベント・障害(Problem) | トリガーが障害になった記録 | 「High CPU utilization」 |
| アクション(Action) | 障害・復旧のときに何をするか | 管理者グループにメール |
| メディアタイプ(Media type) | 通知の手段 | Email・Slack・Webhook |
| テンプレート(Template) | アイテム・トリガー・グラフ等のひな形 | Linux by Zabbix agent |
| マクロ(Macro) | 値を入れ替えられる変数 | {$CPU.UTIL.CRIT}=90 |
| ディスカバリ(LLD) | ディスク・NIC などを見つけて自動で監視項目を作る | マウントポイントごとの空き容量 |
7.0 の画面(日本語)では、メニューは次の名前です。7.0.32 の日本語の翻訳ファイルで確かめました。
| 英語の画面 | 日本語の画面 | ここでする操作 |
|---|---|---|
| Dashboards | ダッシュボード | 全体の状況を見る |
| Monitoring | 監視データ | 障害・最新データ・ホスト・マップを見る |
| Data collection | データ収集 | ホスト・テンプレート・アイテム・トリガーを作る |
| Alerts | 通知 | アクション・メディアタイプ・スクリプトを設定 |
| Users | ユーザー | ユーザー・ユーザーグループ・権限 |
| Administration | 管理 | 一般設定・プロキシ・キュー・マクロ |
トリガーの深刻度は6段階で、画面では次の表示です。
| 英語 | 日本語の画面 | API の値 |
|---|---|---|
| Not classified | 未分類 | 0 |
| Information | 情報 | 1 |
| Warning | 警告 | 2 |
| Average | 軽度の障害 | 3 |
| High | 重度の障害 | 4 |
| Disaster | 致命的な障害 | 5 |
Zabbixは無料?料金とライセンス
この節では、Zabbix に費用がかかる場面と、ライセンスの条件が分かります。
Zabbix のソフトそのものは無料です。 公式サイトは「すべての機能を制限なく利用できるオープンソースの監視ソフトウェア」と説明しています。有料版と無料版の機能差はありません。
| 費用がかかるもの | 内容(2026年10月22日時点) |
|---|---|
| ソフト | 無料。7.0 以降は AGPLv3、6.4 までは GPLv2 |
| 動かす環境 | サーバー・データベース・ストレージの費用(自分で用意) |
| 公式のサポート | ベーシック・シルバー・ゴールド・プラチナの4段階。価格はサーバー・プロキシの台数などで変わり、パートナー経由で見積もり |
| Zabbix Cloud(SaaS) | Nano(50 NVPS)月50ドル〜。5日間の無料試用あり |
Zabbix Cloud の段階です(料金ページの「開始価格」、2026年10月22日時点)。
| 段階 | NVPS | 月額(から) |
|---|---|---|
| Nano | 50 | 50ドル(ストレージ10GB 込み) |
| Micro | 100 | 100ドル |
| Small | 250 | 250ドル |
| Medium | 1,000 | 750ドル |
| Large | 2,500 | 1,875ドル |
AGPLv3 は、Zabbix を改変してネットワーク越しに他人へ提供する場合に、改変したソースの公開を求めるライセンスです。公式のライセンスページはこの点を説明したうえで、商用で使う場合はサポートの購入などで開発を支えてほしいとしていますが、これはライセンス料ではありません。
Zabbixの最新バージョンとLTS(どれを入れるか)
この節では、2026年10月22日時点の版と、どれを選ぶかの目安が分かります。
| 版 | 種類 | 最新の更新 | サポート終了(フル/限定) |
|---|---|---|---|
| 7.0 | LTS(長期サポート) | 7.0.32(2026年10月20日) | 2027年6月30日/2029年6月30日 |
| 7.4 | 通常版 | 7.4.16(2026年10月20日) | 8.0 LTS まで/2027年第1四半期 |
| 8.0 | LTS(予定) | 8.0.0rc2(2026年10月21日、リリース候補) | 2029年第4四半期/2031年第4四半期(予定) |
| 6.0 | LTS | ― | 2025年2月28日/2027年2月28日 |
LTS は5年間サポートされ、通常版は次の版が出るまでの短い期間です。業務の監視基盤は LTS を選ぶのが一般的で、2026年10月22日時点で正式に出ている最新の LTS は 7.0 です。8.0 はリリース候補(rc2)の段階で、リリースノートには OpenTelemetry のトレース表示、ClickHouse をヒストリの保存先にする機能、PHP の最低版を 8.2 に上げる変更などが並んでいます。
Zabbixのインストール(Ubuntu 24.04・公式リポジトリ)
この節では、Zabbix 7.0 のサーバー・Web 画面・エージェントを1台に入れる流れが分かります。
Zabbix は公式のパッケージリポジトリ(repo.zabbix.com)から入れます。公式のダウンロードページで「Zabbix のバージョン・OS・OS の版・部品・データベース・Web サーバー」を選ぶと、その組み合わせのコマンドが表示されます。Ubuntu 24.04・PostgreSQL・Nginx の場合の流れです。リポジトリの登録用パッケージ zabbix-release_latest_7.0+ubuntu24.04_all.deb(中身は 7.0-5、2026年7月2日)は repo.zabbix.com で確かめました。
# 1. Zabbix の公式リポジトリを登録する
wget https://repo.zabbix.com/zabbix/7.0/ubuntu/pool/main/z/zabbix-release/zabbix-release_latest_7.0+ubuntu24.04_all.deb
sudo dpkg -i zabbix-release_latest_7.0+ubuntu24.04_all.deb
sudo apt update
# 2. サーバー・Web 画面・初期 SQL・エージェント 2 を入れる
sudo apt install zabbix-server-pgsql zabbix-frontend-php php8.3-pgsql zabbix-nginx-conf zabbix-sql-scripts zabbix-agent2
# 3. データベースとユーザーを作り、初期データを入れる
sudo -u postgres createuser --pwprompt zabbix
sudo -u postgres createdb -O zabbix zabbix
zcat /usr/share/zabbix-sql-scripts/postgresql/server.sql.gz | sudo -u zabbix psql zabbix
# 4. /etc/zabbix/zabbix_server.conf にデータベースのパスワードを書く
DBPassword=(createuser で決めたパスワード)
# 5. /etc/zabbix/nginx.conf の listen と server_name を自分の環境に合わせる
listen 8080;
server_name zabbix.example.com;
# 6. 起動して、OS の起動時にも動くようにする
sudo systemctl restart zabbix-server zabbix-agent2 nginx php8.3-fpm
sudo systemctl enable zabbix-server zabbix-agent2 nginx php8.3-fpm
ブラウザで Web 画面を開くと、初回だけセットアップ画面(言語・データベースの接続・タイムゾーン)が出ます。初期のログインは ユーザー名 Admin、パスワード zabbix です。7.0.32 の初期データにある Admin のパスワードのハッシュ(bcrypt)を照合した結果です。
zabbix True
Zabbix False
admin False
パスワードは小文字の zabbix だけが一致しました。ユーザー名は大文字の A で始まる Admin です。ログインしたら、最初にこのパスワードを変えます。
- 1データベースの版は範囲内か7.0 は PostgreSQL 13〜18、MySQL 8.0.30〜9.7。範囲外だとサーバーが起動時に止まる
- 2DBPassword を書いたか書き忘れるとサーバーがデータベースにつながらない
- 3ファイアウォールでポートを開けたかWeb 画面のポート、アクティブチェックを受けるならサーバー側の 10051
- 4日本語のロケールを入れたかWeb サーバーに ja_JP.UTF-8 が無いと、言語の一覧で日本語が選べない
- 5Admin の初期パスワードを変えたか初期値は全部の環境で同じ zabbix
ロケールが無いときのセットアップ画面の表示は「Webサーバーにロケールがインストールされていないため、いくつかの言語は利用できません。」です(7.0.32 の日本語の翻訳ファイルの文言)。Ubuntu では sudo apt install language-pack-ja などで ja_JP.UTF-8 を入れ、PHP-FPM を再起動します。ポートの開け方は、関連記事「ufwとfirewalldの使い方|コマンド対応表とSSH締め出し対策」で扱っています。
ほかのOS・Docker
| 環境 | 入れ方 |
|---|---|
| RHEL・AlmaLinux・Rocky Linux | repo.zabbix.com の各 OS 向けリポジトリ(dnf) |
| Debian・Raspberry Pi OS | repo.zabbix.com の debian・raspbian 向けリポジトリ |
| Windows(エージェント) | 公式の MSI パッケージ |
| macOS(エージェント) | 公式の PKG パッケージ |
| Docker | 公式のイメージ(GitHub の zabbix/zabbix-docker) |
Zabbix AgentとAgent 2の違い
この節では、2種類のエージェントの違いと、監視対象への入れ方が分かります。
Zabbix agent(zabbix_agentd)は C 言語、Zabbix agent 2 は Go 言語で書かれたエージェントです。 どちらも同じポート 10050 で待ち、基本の監視項目(CPU・メモリ・ディスク・ネットワーク・ログ)は同じキーで使えます。7.0.32 のソースと設定ファイルで比べた違いです。
| 項目 | Zabbix agent | Zabbix agent 2 |
|---|---|---|
| 言語 | C | Go(7.0.32 は Go 1.25.12 で指定) |
| 設定ファイル | zabbix_agentd.conf |
zabbix_agent2.conf |
| パッシブチェックの処理 | 先に起動した複数のプロセス(StartAgents=10) |
StartAgents の設定は無い(1つのプロセスで動く) |
| アクティブチェックの値のためる数 | BufferSize=100 |
BufferSize=1000 |
| ディスクに値をためる機能 | なし | EnablePersistentBuffer=1 で有効 |
| 状態を HTTP で返す | なし | StatusPort を設定すると有効 |
| ミドルウェアの監視 | ユーザーパラメータ(自作スクリプト)で足す | プラグインで内蔵 |
agent 2 に内蔵されているプラグイン(Linux 版)は、Docker・MySQL・Redis・Memcached・MQTT・Oracle・Ceph・Modbus・S.M.A.R.T.・systemd・Web 証明書などです。PostgreSQL・MongoDB・MSSQL・Ember+ は別のパッケージ(zabbix-agent2-plugin-postgresql など)で、repo.zabbix.com の 7.0 のリポジトリにあります。
Zabbix agent を選ぶ場面
これまでの環境と設定をそのまま使う
OS の基本の値とログを集められればよい
ユーザーパラメータ(自作スクリプト)で項目を足している
Zabbix agent 2 を選ぶ場面
Docker・MySQL・PostgreSQL・Redis などをプラグインで監視したい
サーバーと切れている間の値をディスクにためたい
新しく入れるホスト(公式テンプレートに agent 2 用がある)
監視対象にエージェント2を入れる
監視されるホスト(ここでは web01)には、エージェントだけを入れます。リポジトリの登録はサーバーと同じです。
sudo apt install zabbix-agent2 zabbix-agent2-plugin-*
設定ファイル /etc/zabbix/zabbix_agent2.conf で、最低限この3つを書きます。7.0.32 の設定例の既定値は Server=127.0.0.1・ServerActive=127.0.0.1・Hostname=Zabbix server なので、サーバーと別のホストでは必ず書き換えます。
Server=192.0.2.1 # 問い合わせを受け付けるサーバー・プロキシ(パッシブ)
ServerActive=192.0.2.1 # 値を送りに行くサーバー・プロキシ(アクティブ。既定のポート 10051)
Hostname=web01 # Web 画面で登録するホスト名と一字一句同じにする
sudo systemctl restart zabbix-agent2
sudo systemctl enable zabbix-agent2
Server は「この送り元からの問い合わせだけを受け付ける」という許可の一覧です。どちらのエージェントも、既定では system.run[*](任意のコマンドを実行するキー)が DenyKey で止められています。
パッシブチェックとアクティブチェック(ポート10050・10051)
この節では、値の集め方が2通りあり、どちらがどちらへつなぐかが分かります。
パッシブは監視対象の 10050 を開ける。アクティブは監視対象からサーバーへの通信だけで済み、ログ監視はアクティブで動く
flowchart TD
S1[サーバー] -->|パッシブ 10050へ| A1[エージェント]
A1 -->|値| S1
A2[エージェント] -->|アクティブ 10051へ| S2[サーバー]
S2 -->|項目の一覧| A2
| 項目 | パッシブ | アクティブ |
|---|---|---|
| つなぐ向き | サーバー → エージェント:10050 | エージェント → サーバー:10051 |
| アイテムの種類(画面) | Zabbixエージェント | Zabbixエージェント(アクティブ) |
| 使う設定 | Server |
ServerActive・Hostname |
| 監視項目の一覧の更新 | ― | RefreshActiveChecks=5(秒) |
| 向いている場面 | サーバーから監視対象へ届く社内 | NAT・ファイアウォールの内側、ログ監視 |
RefreshActiveChecks の既定値 5 秒は、7.0.32 の設定ファイルのものです。
zabbix_getとzabbix_senderで値を確かめる(実際に流れるデータ)
この節では、zabbix_get・zabbix_sender が何をしているかと、ポートを流れるデータの形が分かります。
zabbix_get は、サーバーの代わりにエージェントへパッシブチェックを1回送るコマンド、zabbix_sender は、エージェントの代わりにサーバーへ値を送るコマンドです。マニュアル(man)にある使い方の例です。
# エージェントに1つの値を問い合わせる(パッシブチェック)
zabbix_get -s 127.0.0.1 -p 10050 -k "system.cpu.load[all,avg1]"
# サーバーに値を送る(アイテムの種類は「Zabbixトラッパー」)
zabbix_sender -z 192.168.1.113 -s "Monitored Host" -k mysql.queries -o 342.45
zabbix_sender -z 192.168.1.113 -i data_values.txt
エージェントへの問い合わせ(zabbix_get と同じ通信)
Zabbix 社の公式 Python ライブラリ zabbix_utils の Getter は、zabbix_get -P plaintext と同じ形(キーの文字列だけ)で問い合わせます。エージェントの代わりに、届いたデータを表示して、同じキーの値を Linux から読んで返す擬似エージェントを 30850 番で待たせ、7つのキーを問い合わせました。
from zabbix_utils import Getter
agent = Getter(host="127.0.0.1", port=30850)
for key in ["agent.ping", "system.cpu.num", "system.cpu.load[all,avg1]", "vm.memory.size[available]",
"vfs.fs.size[/,pused]", "system.uptime", "no.such.key"]:
r = agent.get(key)
print(f"{key:30} value={r.value!r} error={r.error!r}")
agent.ping value='1' error=None
system.cpu.num value='2' error=None
system.cpu.load[all,avg1] value='3.091797' error=None
vm.memory.size[available] value='5599883264' error=None
vfs.fs.size[/,pused] value='97.914066' error=None
system.uptime value='2757' error=None
no.such.key value=None error='Unsupported item key.'
擬似エージェントの側に届いたデータです。
[agent:30850] from 127.0.0.1 header=5a 42 58 44 01 0a 00 00 00 00 00 00 00 body=b'agent.ping'
[agent:30850] reply=b'1'
[agent:30850] from 127.0.0.1 header=5a 42 58 44 01 0b 00 00 00 00 00 00 00 body=b'no.such.key'
[agent:30850] reply=b'ZBX_NOTSUPPORTED\x00Unsupported item key.'
1回の問い合わせは「13バイトの見出し+キーの文字列」だけでした。見出しの読み方は次のとおりです。
| バイト | 値 | 意味 |
|---|---|---|
| 1〜4 | 5a 42 58 44 |
文字列「ZBXD」(Zabbix の通信の印) |
| 5 | 01 |
フラグ(01 は通常の Zabbix の通信) |
| 6〜9 | 0a 00 00 00 |
続くデータの長さ(リトルエンディアン。0x0a=10バイト=agent.ping) |
| 10〜13 | 00 00 00 00 |
予約 |
知らないキーには ZBX_NOTSUPPORTED と NUL 文字に続けて理由を返す形で、Unsupported item key. は 7.0.32 のエージェントのソースにある文言と同じです。画面ではこのアイテムが「取得不可」になります。
7.0 のサーバーと zabbix_get(-P auto・-P json)は、キーを JSON に包んだ形でも問い合わせます。7.0.32 のソースでは、送る側が {"request":"passive checks","data":[{"key":"…","timeout":…}]} を作り、7.0 のエージェントは version・variant と data(値か error)を持つ JSON で答えます。中身が JSON になるだけで、13バイトの見出しは同じです。
擬似エージェントが返した値は、エージェントと同じ情報源(7.0.32 のソースで確かめた読み先)から読んでいます。同じ時刻に Linux のコマンドで見た値と並べます。
| アイテムのキー | エージェントの読み先 | 同じ値を見るコマンド |
|---|---|---|
system.cpu.num |
CPU の数 | nproc → 2 |
system.cpu.load[all,avg1] |
getloadavg()(1分平均) |
cat /proc/loadavg → 2.84 2.19 1.60 … |
vm.memory.size[available] |
/proc/meminfo の MemAvailable |
grep MemAvailable /proc/meminfo |
vfs.fs.size[/,pused] |
使用量÷(使用量+利用できる空き) | df -P / の Use% → 98% |
system.uptime |
起動からの秒数 | cat /proc/uptime → 2767.12 … |
vfs.fs.size[/,pused] の 97.9 は、df の Use% 98% と同じ計算(root 用の予約分を除いた空きで割る)です。公式の Linux テンプレートの説明にも、ファイルシステムの使用率は予約分を除いた空きで計算すると書かれています。
サーバーへの送信(zabbix_sender と同じ通信)
zabbix_utils の Sender は、zabbix_sender と同じ形で値を送ります。サーバーのトラッパー(10051)の代わりに 30851 番で受けました。web01 の app.orders・app.queue だけが登録済み、web02 は未登録という設定にしています。
from zabbix_utils import Sender, ItemValue
sender = Sender(server="127.0.0.1", port=30851)
print(sender.send_value("web01", "app.orders", 42))
print(sender.send([ItemValue("web01", "app.orders", 43), ItemValue("web01", "app.queue", 7),
ItemValue("web02", "app.orders", 1)]))
[trapper:30851] header=5a 42 58 44 01 c6 00 00 00 00 00 00 00 (198 bytes)
[trapper] body={"request": "sender data", "data": [{"host": "web01", "key": "app.orders", "value": "43"}, {"host": "web01", "key": "app.queue", "value": "7"}, {"host": "web02", "key": "app.orders", "value": "1"}]}
[trapper] reply={"response": "success", "info": "processed: 2; failed: 1; total: 3; seconds spent: 0.000178"}
send_value: {"processed": 1, "failed": 0, "total": 1, "time": "0.000180", "chunk": 1}
send: {"processed": 2, "failed": 1, "total": 3, "time": "0.000178", "chunk": 1}
応答の info の形(processed: …; failed: …; total: …; seconds spent: …)は、7.0.32 のサーバーのソースにある書式に合わせて擬似サーバーで返したものです。送信が届いても、ホスト名とキーが登録と一致しない値は failed に数えられ、捨てられます。 zabbix_sender の終了コードは、全部処理されたら 0、一部が失敗したら 2、送信そのものが失敗したら 1 です(man の EXIT STATUS)。
Zabbixの監視設定の流れ(ホスト登録からトリガーまで)
この節では、画面で監視を始めるまでの順番が分かります。画面の名前は 7.0 の日本語表示です。
ホストを作る
「データ収集」→「ホスト」→「ホストの作成」。ホスト名はエージェントの Hostname と同じにし、ホストグループ(例:Linux servers)を選びます。
インターフェースを足す
「エージェント」のインターフェースに IP と 10050 を入れます。SNMP で監視する機器なら「SNMP」を選びます。
テンプレートをつなぐ
Linux なら Linux by Zabbix agent(アクティブなら Linux by Zabbix agent active)。アイテム・トリガー・グラフ・ディスカバリがまとめて付きます。
値が入ったか見る
「監視データ」→「最新データ」で値が更新されているか、ホスト一覧の「エージェントの状態」の ZBX が緑かを見ます。
しきい値をマクロで合わせる
テンプレートのしきい値はマクロで決まっています。ホスト側で同じ名前のマクロを作ると、そのホストだけ値を変えられます。
通知を設定する
「通知」→「メディアタイプ」で手段を有効にし、ユーザーに送信先を登録し、「通知」→「アクション」→「トリガーアクション」で条件と送る相手を決めます。
公式テンプレートの中身(Linux by Zabbix agent)
7.0.32 の Linux by Zabbix agent の説明(README)から、しきい値を決めているマクロの既定値を抜き出しました。
| マクロ | 意味 | 既定値 |
|---|---|---|
{$CPU.UTIL.CRIT} |
CPU 使用率の上限(%) | 90 |
{$LOAD_AVG_PER_CPU.MAX.WARN} |
CPU 1個あたりのロードアベレージの上限 | 1.5 |
{$MEMORY.UTIL.MAX} |
メモリ使用率の上限(%) | 90 |
{$MEMORY.AVAILABLE.MIN} |
利用できるメモリの下限 | 20M |
{$VFS.FS.PUSED.MAX.WARN} |
ディスク使用率の警告(%) | 80 |
{$VFS.FS.PUSED.MAX.CRIT} |
ディスク使用率の重大(%) | 90 |
{$AGENT.TIMEOUT} |
エージェントが応答しないと見なす時間 | 3m |
同じテンプレートのトリガーの例です(条件式は README のまま)。
| トリガー | 条件式 | 深刻度 |
|---|---|---|
| High CPU utilization | min(/Linux by Zabbix agent/system.cpu.util,5m)>{$CPU.UTIL.CRIT} |
Warning(警告) |
| Lack of available memory | max(/Linux by Zabbix agent/vm.memory.size[available],5m)<{$MEMORY.AVAILABLE.MIN} and … |
Average(軽度の障害) |
| has been restarted | last(/Linux by Zabbix agent/system.uptime)<10m |
Warning(警告) |
| Zabbix agent is not available | max(/Linux by Zabbix agent/zabbix[host,agent,available],{$AGENT.TIMEOUT})=0 |
Average(軽度の障害) |
何を監視し、しきい値をどう決めるかの考え方は、関連記事「監視設計の項目一覧|死活・リソース・ログ監視のしきい値例とテンプレート」で、利用者から見た目標(SLO)から通知の条件を決める考え方は、関連記事「SREとは|SLI・SLO・SLAの違いとエラーバジェット計算」で扱っています。
Zabbixのトリガー条件式の書き方(last・avg・min)
この節では、条件式の形と、関数によって障害になるタイミングがどう変わるかが分かります。
条件式は 関数(/ホスト/キー,期間)演算子 値 の形です。テンプレートの中では、ホストの部分がテンプレート名になります。
last(/web01/system.cpu.util)>90 最新の値が90を超えた
avg(/web01/system.cpu.util,5m)>90 直近5分の平均が90を超えた
min(/web01/system.cpu.util,5m)>90 直近5分の最小値も90を超えた(=5分間ずっと90超)
max(/web01/app.orders,10m)=0 直近10分の最大が0(=10分間ずっと0件)
同じ CPU 使用率の並びに3つの式を当てはめ、1分ごとに判定しました(Python で計算。5分の窓は直近5個の値)。
分 値 last>90 avg(5m)>90 min(5m)>90
0 40 OK OK OK
1 95 障害 OK OK
2 50 OK OK OK
3 92 障害 OK OK
4 96 障害 OK OK
5 97 障害 OK OK
6 93 障害 OK OK
7 95 障害 障害 障害
8 98 障害 障害 障害
9 60 OK OK OK
10 45 OK OK OK
last は1回の跳ね上がり(1分目の95)でも障害になり、障害と復旧を繰り返しやすくなります。公式テンプレートが min(…,5m) を使うのは、「5分間ずっと超えている」ときだけ障害にするためです。
| 書きたい条件 | 条件式の例 |
|---|---|
| 一瞬でも超えたら | last(/web01/system.cpu.util)>90 |
| 5分間ずっと超えたら | min(/web01/system.cpu.util,5m)>90 |
| 10分間値が届かなかったら | nodata(/web01/agent.ping,10m)=1 |
| 直近3回のうち2回以上0だったら | count(/web01/net.tcp.service[http],#3,"eq","0")>=2 |
| 2つの条件を両方 | … and …(or も使える) |
復旧の条件を別に書く「復旧条件式」を使うと、「90 を超えたら障害、80 を下回ったら復旧」のように、障害と復旧のしきい値を分けられます。
Zabbixの通知設定(アクションとメディアタイプ)
この節では、障害をメールや Slack に送るまでの3つの設定が分かります。
| 設定 | 画面の場所 | 決めること |
|---|---|---|
| メディアタイプ | 通知 → メディアタイプ | 送る手段(Email・Slack・Webhook など)と接続先 |
| ユーザーのメディア | ユーザー → ユーザー → メディア | そのユーザーの送信先(メールアドレス等)と深刻度 |
| トリガーアクション | 通知 → アクション → トリガーアクション | 実行条件(深刻度・ホストグループ等)、実行内容、復旧時の実行内容 |
7.0.32 の初期データに入っているメディアタイプは39種類です。
Email, SMS, Email (HTML), Gmail, Gmail relay, Office365, Office365 relay, Brevis.one, Discord,
Event-Driven Ansible, Express.ms, GitHub, iLert, iTop, Jira, Jira Service Management, Line,
ManageEngine ServiceDesk, MantisBT, Mattermost, MS Teams Workflow, Opsgenie, OTRS CE, PagerDuty,
Pushover, Redmine, Rocket.Chat, ServiceNow, SIGNL4, Slack, SolarWinds Service Desk, SysAid,
Telegram, TOPdesk, VictorOps, Zammad, Zendesk, GLPI, IBM Maximo Service Request
アクションの「実行内容」にはステップ(1回目・2回目…)を付けられ、時間をおいて送る相手を広げられます。障害の確認(画面の「障害確認」)をすると、そのことを通知する「更新時の実行内容」も設定できます。
Zabbix APIで設定を自動化する
この節では、Zabbix の API に送るリクエストの形と、ホスト・アイテム・トリガーを作る例が分かります。
Zabbix の API は JSON-RPC 2.0 で、Web 画面の api_jsonrpc.php に POST します。zabbix_utils の ZabbixAPI から送ったリクエストを、擬似サーバー(30880 番)で受けました。
from zabbix_utils import ZabbixAPI
api = ZabbixAPI(url="http://127.0.0.1:30880/zabbix/api_jsonrpc.php")
api.login(user="Admin", password="zabbix")
api.host.create(host="web01", groups=[{"groupid": "2"}],
interfaces=[{"type": 1, "main": 1, "useip": 1, "ip": "192.0.2.10", "dns": "", "port": "10050"}],
templates=[{"templateid": "10001"}])
api.item.create(name="受注件数", key_="app.orders", hostid="10650", type=2, value_type=3)
api.trigger.create(description="受注が10分間0件", priority=3, expression="max(/web01/app.orders,10m)=0")
api.logout()
擬似サーバーに届いたリクエストです(id は省略)。
POST /zabbix/api_jsonrpc.php
Content-Type: application/json-rpc
User-Agent: zabbix_utils.api/2.0.4
{"jsonrpc": "2.0", "method": "apiinfo.version", "params": {}}
POST /zabbix/api_jsonrpc.php
{"jsonrpc": "2.0", "method": "user.login", "params": {"username": "Admin", "password": "zabbix"}}
POST /zabbix/api_jsonrpc.php
Authorization: Bearer 0424bd59b807674191e7d77572075f33
{"jsonrpc": "2.0", "method": "host.create", "params": {"host": "web01", "groups": [{"groupid": "2"}], "interfaces": [{"type": 1, "main": 1, "useip": 1, "ip": "192.0.2.10", "dns": "", "port": "10050"}], "templates": [{"templateid": "10001"}]}}
POST /zabbix/api_jsonrpc.php
Authorization: Bearer 0424bd59b807674191e7d77572075f33
{"jsonrpc": "2.0", "method": "item.create", "params": {"name": "受注件数", "key_": "app.orders", "hostid": "10650", "type": 2, "value_type": 3}}
POST /zabbix/api_jsonrpc.php
Authorization: Bearer 0424bd59b807674191e7d77572075f33
{"jsonrpc": "2.0", "method": "trigger.create", "params": {"description": "受注が10分間0件", "priority": 3, "expression": "max(/web01/app.orders,10m)=0"}}
最初に apiinfo.version で版を聞き、user.login で得たセッション ID を、以後は Authorization: Bearer ヘッダーで送っていました。 画面で作る API トークンでログインした場合も、zabbix_utils は同じヘッダーで送ります(6.4 より前の版には JSON の auth に入れて送る、とライブラリのコードにあります)。数字の意味は 7.0.32 の画面のソースの定数で確かめました。
| パラメータ | 値 | 意味 |
|---|---|---|
groups.groupid |
2 | 初期データのホストグループ Linux servers |
templates.templateid |
10001 | 初期データのテンプレート Linux by Zabbix agent |
interfaces.type |
1 | エージェント(2 は SNMP、3 は IPMI、4 は JMX) |
item.type |
2 | Zabbixトラッパー(0 は Zabbixエージェント、7 はアクティブ) |
value_type |
3 | 数値(整数)。0 は浮動小数、1 は文字列、4 はテキスト |
priority |
3 | 深刻度 Average(軽度の障害) |
zabbix_utils 2.0.4 が対応を宣言している Zabbix の版は 6.0〜7.4 です(ライブラリの version.py)。
Zabbixのよくあるエラーと直し方
この節では、値が取れないときなどに出る文言から、原因と直し方を引けます。エラー文は 7.0.32 のソース・日本語の翻訳ファイルにある文言、またはこの記事で実際に出たものです。
| エラー・表示(原文) | 原因 | 直し方 |
|---|---|---|
Get value from agent failed: cannot establish TCP connection to [[192.0.2.10]:10050]: timed out |
サーバーからエージェントの 10050 に届かない(IP の誤り・ファイアウォール) | 監視対象で 10050/TCP を開け、ホストのインターフェースの IP を確かめる |
Connection refused([Errno 111]) |
エージェントが動いていない、またはポートが違う | systemctl status zabbix-agent2、ss -ltn で 10050 を待っているか見る |
connection from "192.0.2.1" rejected, allowed hosts: "127.0.0.1"(エージェントのログ) |
エージェントの Server にサーバーの IP が無い |
Server= にサーバー(とプロキシ)の IP を書いて再起動 |
Received empty response from Zabbix Agent at [192.0.2.10]. Assuming that agent dropped connection because of access permissions. |
上と同じ。エージェントが接続を切った | 同上 |
no active checks on server [192.0.2.1:10051]: host [web01] not found(エージェントのログ) |
Web 画面にそのホスト名が無い、または Hostname と違う |
Hostname と画面のホスト名を一字一句そろえる |
Unsupported item key. |
そのエージェントに無いキー、キーの書き間違い | キーの綴りと引数を見直す。agent 2 専用のキーではないか確かめる |
Zabbixサーバーが動作していません(画面上部の表示。続けて再確認を促す文が出る) |
Zabbix サーバーのプロセスが止まっている、画面から 10051 に届かない | journalctl -u zabbix-server と、設定の LogFile にあるサーバーのログを読む |
データベースに接続できません。 |
Web 画面の設定のデータベース接続が違う | zabbix.conf.php のホスト・ユーザー・パスワードを確かめる |
Webサーバーにロケールがインストールされていないため、いくつかの言語は利用できません。 |
Web サーバーに ja_JP.UTF-8 が無い | 日本語のロケールを入れて PHP-FPM を再起動 |
擬似エージェントの Server に無い送り元(127.0.0.2)から問い合わせたときは、エージェント側に次の行が出て接続が切られ、問い合わせた側(zabbix_utils)には次のエラーが出ました。
[agent:30850] connection from "127.0.0.2" rejected, allowed hosts: "127.0.0.1"
source 127.0.0.2 -> ProcessingError: Unexpected response was received from Zabbix.
port 30899 (no listener) -> ConnectionRefusedError: [Errno 111] Connection refused
エージェントが 10050 を待っているかを ss・lsof で確かめる方法は、関連記事「ポートを使っているプロセスの調べ方|ss・lsof・netstat比較」で扱っています。サービスのログは journalctl -u zabbix-agent2 で読めます。
Zabbix・Prometheus・Datadogの違い
この節では、よく比べられる監視ツールとの違いを、事実で比べられます。
| ツール | 形態 | 値の集め方 | 保存先 | 費用(2026年10月22日時点) |
|---|---|---|---|---|
| Zabbix | オープンソース(AGPLv3)。Zabbix Cloud もある | エージェント(パッシブ・アクティブ)・SNMP・IPMI・JMX・HTTP など | PostgreSQL・MySQL などの RDB | ソフトは無料。Cloud は月50ドル〜 |
| Prometheus | オープンソース(Apache 2.0)。CNCF のプロジェクト | Prometheus が HTTP で取りに行く(pull) | 各サーバーのローカル | ソフトは無料 |
| Datadog | SaaS | Datadog Agent が送る(push)・クラウドは API 連携 | Datadog 側 | Infrastructure Pro 1ホスト月15ドル〜(年契約) |
| Nagios Core | オープンソース(GPLv2) | プラグイン(スクリプト)で確かめる | ― | ソフトは無料 |
各公式の説明から、違いが出やすい点です。
- Prometheus:メトリクス名とラベル(キーと値)で時系列を表し、PromQL で問い合わせます。通知は Alertmanager が受け持ち、ダッシュボードには Grafana などを使います。公式の概要は、リクエストごとの課金のように100%の正確さが要る用途には向かないとしています。Zabbix 7.0 には Prometheus の形式の値を読むテンプレート(
Linux by Promなど)もあります。 - Datadog:Free プランは最大5ホスト・メトリクスの保持1日で、APM・ログなどは製品ごとに別料金です。
- Grafana:Zabbix のデータを Grafana で表示するプラグイン(
alexanderzobnin-zabbix-app、6.9.1、Grafana 11.6.0 以上)があります。Zabbix に Grafana は必須ではなく、Zabbix 単体の画面にもダッシュボード・グラフ・マップがあります。 - JP1:日立製作所の統合システム運用管理の製品群で、価格・構成例のページと評価版がある商用製品です。
Zabbix が合う場面
サーバー・ネットワーク機器(SNMP)をまとめて1つの画面で監視したい
監視データを社内に置きたい
設定を画面で作り、テンプレートで揃えたい
ほかを考える場面
Kubernetes 上のコンテナが次々に入れ替わる(Prometheus がよく使われる)
監視基盤の運用に人を割けない(SaaS の Datadog など)
アプリの処理の流れ(トレース)まで追いたい(APM 製品)
Datadog の仕組み・料金・Agent の通信の中身は、関連記事「Datadogとは|できること・料金・仕組みと他ツールとの違いを実例で解説」で、Prometheus と Grafana で監視を組む手順は、関連記事「Prometheus Grafana入門|監視構築とPromQL一覧」で扱っています。
どれを選ぶかの判断表
| 状況 | 選ぶものの目安 |
|---|---|
| オンプレのサーバーとネットワーク機器が中心 | Zabbix(エージェント+SNMP) |
| 監視データを社外に出せない | Zabbix・Prometheus(自分で運用) |
| Kubernetes・マイクロサービスが中心 | Prometheus+Grafana |
| 監視基盤の運用に人を割けない | Datadog などの SaaS、または Zabbix Cloud |
| 既に Zabbix があり、見た目を揃えたい | Zabbix+Grafana のプラグイン |
| まず小さく試したい | Zabbix をサーバー1台に入れる。Datadog は Free(5ホスト)や試用 |
よくある質問
Q. Zabbixとは何ですか? A. サーバー・ネットワーク機器・アプリの状態を集めて保存し、決めた条件を超えたら通知するオープンソースの監視ソフトです。Zabbix LLC(ラトビア)が開発し、日本には Zabbix Japan LLC があります。
Q. Zabbixの読み方は? A. 一般に「ザビックス」と読まれます。
Q. Zabbixは無料ですか? A. ソフトは無料で、機能の制限もありません(7.0 以降は AGPLv3)。費用がかかるのは、動かすサーバーと、必要なら公式のサポート、または Zabbix Cloud です(2026年10月22日時点で月50ドル〜)。
Q. Zabbixの最新バージョンは? A. 2026年10月22日時点で、LTS の最新は 7.0.32、通常版の最新は 7.4.16(どちらも2026年10月20日)です。8.0 LTS はリリース候補(8.0.0rc2、2026年10月21日)の段階です。
Q. Zabbixのポート番号は? A. エージェントが待つのは 10050/TCP(パッシブチェック)、サーバーとプロキシが待つのは 10051/TCP(アクティブチェックと zabbix_sender)です。Java ゲートウェイは 10052/TCP です。
Q. Zabbix agentとagent 2はどちらを入れればいいですか? A. Docker・MySQL・PostgreSQL・Redis などをプラグインで監視したい、切断中の値をディスクにためたい場合は agent 2 です。既存の設定やスクリプトをそのまま使う場合は agent が向いています。違いの表は「Zabbix AgentとAgent 2の違い」の節にあります。
Q. Zabbixの初期ユーザー名とパスワードは?
A. ユーザー名 Admin、パスワード zabbix(小文字)です。7.0.32 の初期データのハッシュで確かめました。ログインしたらすぐに変えます。
Q. ZabbixでWindowsやネットワーク機器も監視できますか?
A. できます。Windows には公式の MSI でエージェントを入れ、Windows by Zabbix agent テンプレートを使います。ルーター・スイッチなどは SNMP で監視し、Generic by SNMP などのテンプレートがあります。
Q. Zabbixを日本語で表示するには? A. ユーザーの設定で言語を「日本語」にします。選べない場合は、Web サーバーに ja_JP.UTF-8 のロケールが入っていないので、入れて PHP-FPM を再起動します。
Q. ZabbixとPrometheusの違いは? A. Zabbix はエージェントや SNMP で集めて RDB に保存し、画面で設定する統合監視ソフトです。Prometheus は HTTP で値を取りに行き(pull)、ローカルの時系列データベースに保存して PromQL で問い合わせます。比べた表は「Zabbix・Prometheus・Datadogの違い」の節にあります。
Q. zabbix_getとzabbix_senderの違いは?
A. zabbix_get はエージェントに値を1回問い合わせる(10050)コマンド、zabbix_sender はサーバーに値を送る(10051)コマンドです。送る先のアイテムの種類は「Zabbixトラッパー」にします。
まとめ
- Zabbix は、サーバー・ネットワーク機器を監視して通知するオープンソースのソフト。読み方は一般に「ザビックス」。ソフトは無料(7.0 から AGPLv3)。
- 部品はサーバー(10051)・データベース・Web 画面・エージェント(10050)・プロキシ。設定はホスト・アイテム・トリガー・アクション・テンプレートの組み合わせ。
- 2026年10月22日時点の最新 LTS は 7.0.32。Ubuntu 24.04 では公式リポジトリから入れ、初期ログインは
Admin/zabbix。 - agent は C、agent 2 は Go でプラグインを内蔵。パッシブはサーバーから 10050 へ、アクティブはエージェントから 10051 へつなぐ。
- 通信は「ZBXD」で始まる13バイトの見出し+中身。送った値はホスト名とキーが登録と一致しないと捨てられる。
- トリガーは
min(…,5m)>90のように期間付きの関数で「ずっと超えたら」を表す。
参考・出典
確認日はいずれも 2026年10月22日です。
- Zabbix「Zabbixマニュアル(8.0、日本語)はじめに」:https://www.zabbix.com/documentation/8.0/jp/manual/introduction
- Zabbix「Zabbix Life Cycle & Release Policy」:https://www.zabbix.com/life_cycle_and_release_policy
- Zabbix「Release Notes for Zabbix 7.0.32」:https://www.zabbix.com/rn/rn7.0.32
- Zabbix「Release Notes for Zabbix 8.0.0rc2」:https://www.zabbix.com/rn/rn8.0.0rc2
- Zabbix「ダウンロード」:https://www.zabbix.com/jp/download
- Zabbix 公式リポジトリ(zabbix-release):https://repo.zabbix.com/zabbix/7.0/ubuntu/pool/main/z/zabbix-release/
- Zabbix 公式リポジトリ(7.0 Ubuntu のパッケージ一覧):https://repo.zabbix.com/zabbix/7.0/ubuntu/pool/main/z/
- Zabbix「ライセンス」:https://www.zabbix.com/license
- Zabbix「True Open Source」:https://www.zabbix.com/jp/true_open_source
- Zabbix「テクニカルサポート」:https://www.zabbix.com/jp/support
- Zabbix「Zabbix Cloud」:https://www.zabbix.com/cloud
- Zabbix「会社概要」:https://www.zabbix.com/jp/about
- Zabbix のソース(GitHub、タグ 7.0.32。設定ファイル conf/・src/go/conf/、man/、templates/os/linux/README.md、create/src/、ui/locale/ja/、include/zbx_dbversion_constants.h):https://github.com/zabbix/zabbix
- Zabbix の公式 Docker イメージ(GitHub):https://github.com/zabbix/zabbix-docker
- zabbix_utils(PyPI):https://pypi.org/project/zabbix-utils/
- zabbix_utils(GitHub):https://github.com/zabbix/python-zabbix-utils
- Prometheus「Overview」:https://prometheus.io/docs/introduction/overview/
- Prometheus(GitHub、ライセンス):https://github.com/prometheus/prometheus
- Datadog「Pricing」:https://www.datadoghq.com/pricing/
- Grafana「Zabbix plugin for Grafana」:https://grafana.com/grafana/plugins/alexanderzobnin-zabbix-app/
- Nagios「Nagios Core」:https://www.nagios.org/projects/nagios-core/
- 日立製作所「統合システム運用管理 JP1」:https://www.hitachi.co.jp/Prod/comp/soft1/jp1/
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(記載例)出典:株式会社RJC「Zabbixとは|構成・用語・インストールと使い方を実例で解説」
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