結論

Datadogとは、サーバーやアプリの数値・ログ・処理の流れを1か所に集めて見張るSaaSです。読み方は「データドッグ」です。

この記事でわかること

  • DogStatsDで送った10種類のデータの実物
  • 料金の単価表と月335ドルの試算例
  • Zabbix・CloudWatchなど5製品との違い表

2026年10月22日更新|datadog 0.55.0・ddtrace 4.16.0で送信を実測

サーバーに入れた Datadog Agent が数値・ログ・トレースを集めて Datadog(SaaS)へ送り、画面のダッシュボードで見て、モニターが異常を通知します。クラウドの数値は API 連携で直接集めます。

flowchart TD
    A[アプリ・サーバー] -->|メトリクス・ログ・トレース| G[Datadog Agent]
    C[クラウド AWS など] -->|API 連携| D[(Datadog SaaS)]
    G -->|HTTPS| D
    D --> V[ダッシュボードで見る]
    D --> M[モニターが通知]

よく出る言葉を先にまとめます。

言葉 何か 例
メトリクス 時間ごとの数値 CPU 使用率、注文数、待ち件数
ログ アプリやOSが書き出す1行ごとの記録 payment failed order_id=1001
トレース(APM) 1つのリクエストの処理の流れと時間 注文 90ms=DB 30ms+決済 51ms
Agent ホストに入れて、データを集めて送るソフト Agent 7(7.84.5)
ダッシュボード グラフを並べた画面 サービスごとの遅さとエラー数
モニター 条件を満たしたら通知する設定 5分平均で100件を超えたら Slack へ
タグ データに付ける キー:値 のラベル env:prod・service:shop-api
インテグレーション 製品・クラウドとの連携の部品 AWS・PostgreSQL・nginx など1,000以上
料金 製品ごとに、ホスト数やデータ量で課金 Infrastructure Pro は1ホスト月15ドル〜

確認環境:Ubuntu 24.04.4・Python 3.11.15・datadog(Python ライブラリ)0.55.0・ddtrace 4.16.0。DogStatsD の形式で送ったデータグラムを自作の UDP 受信プログラムで受け、Agent の集計(10秒ごと)をまねたプログラムで集計し、ddtrace のトレースとモニター作成の API リクエストを自作の擬似サーバーで受けて中身を記録しました。ホスト数の数え方と料金の試算は Python で計算しました。Datadog Agent 本体は動かしておらず、設定項目とエラー文は Agent 7.84.5 のソース(GitHub)の設定例とコードで、仕様・画面・料金は docs.datadoghq.com と datadoghq.com の料金ページで、他の製品は各公式サイトで確かめました(確認日 2026年10月22日)。

本記事の内容は、ご自由にお使いください。
ご利用の際は、出典として本ページへのリンクを記載いただけますようお願いします。

(記載例)出典:株式会社RJC「Datadogとは|できること・料金・仕組みと他ツールとの違いを実例で解説」

Datadogとは(読み方・どんな会社のサービスか)

この節では、Datadog が何をするサービスで、どこの会社が出しているかが分かります。

Datadog(データドッグ)は、サーバー・コンテナ・クラウド・アプリ・ログのデータを集めて、1つの画面で見たり、異常を通知したりするための SaaS(インターネット越しに使うサービス)です。 自分で監視用のサーバーを立てて運用する必要がなく、ホストに Agent を入れるか、クラウドと API でつなぐとデータが届き始めます。

提供している Datadog, Inc. の概要です。

項目 内容
創業 2010年(Olivier Pomel 氏・Alexis Lê-Quôc 氏)
本社 米国ニューヨーク
上場 2019年9月19日、Nasdaq(ティッカー DDOG)
日本 2019年11月に日本法人 Datadog Japan 合同会社を設立
日本のデータ保管先 サイト「AP1」(ap1.datadoghq.com)。所在地は日本

監視とオブザーバビリティの違い

Datadog は自社を「オブザーバビリティ(observability、可観測性)」のプラットフォームと呼んでいます。似た言葉の「監視」との違いは次のとおりです。

監視(モニタリング)決めておいた項目が、しきい値を超えたかを見る
→
オブザーバビリティ集めたデータから、中で何が起きたかを後から説明できる

「CPU が90%を超えた」は監視で分かる。「なぜこの注文だけ遅いか」はメトリクス・ログ・トレースをつないで調べる

Datadogを使うと何が変わるか

11か所で見られる

サーバーの数値、アプリの処理時間、ログを同じ画面で行き来できる。

2タグで横断して絞れる

service:shop-api のように同じタグを付けると、数値・ログ・トレースを同じ条件で絞れる。

3連携の部品が多い

公式の試用ページでは「1,000+ technologies」。AWS・DB・Web サーバーは設定でつながる。

4監視基盤の運用が要らない

保存・画面・通知は Datadog 側が持つ。自分で持つのは Agent と設定。

Datadogでできること(製品の早見表)

この節では、Datadog の主な製品と、それぞれで何が見られるかが分かります。

Datadog は機能ごとに製品が分かれていて、使う製品の分だけ料金がかかります。最初は Infrastructure Monitoring から始め、必要に応じて APM・ログを足す順が一般的です。

領域 製品名 見られるもの
サーバー・コンテナ Infrastructure Monitoring CPU・メモリ・ディスク・プロセス、ホストの一覧
アプリの処理 APM リクエストごとの処理時間・エラー・呼び出しの流れ
ログ Log Management ログの検索・集計・保管、ログからの通知
利用者の画面 RUM(Real User Monitoring) ブラウザ・スマホでの表示の速さ、JavaScript エラー
外からの確認 Synthetic Monitoring API や画面を定期的に試す外形監視
データベース Database Monitoring クエリごとの負荷と実行計画
セキュリティ Cloud SIEM など ログから不審な動きを見つける
通知 Monitors(モニター) しきい値・異常検知・予測で通知
AI AI Observability(LLM Observability など) LLM アプリの呼び出し・費用・品質

公式ドキュメント(日本語版)の製品カテゴリは「インフラストラクチャー」「アプリケーションパフォーマンス」「Digital Experience」「Software Delivery」「セキュリティ」「AI Observability」「ログ管理」などに分かれています。

メトリクス・ログ・トレースの関係(調べる順番)

この節では、3種類のデータがそれぞれ何に答え、どうつながるかが分かります。

種類 中身 答えられる問い 料金の単位
メトリクス 時刻・数値・タグ いつから、どれくらい悪いか ホスト数(カスタムは個数)
トレース(APM) 1リクエストの処理の木と時間 どの処理で時間がかかったか APM ホスト数・スパン量
ログ 1行ごとの記録(JSON 推奨) そのとき何が起きたか 取り込み GB・保存件数

障害を調べるときは、次の順で行き来します。

flowchart TD
    M[モニターが通知] --> D[ダッシュボードでメトリクスを見る]
    D -->|service と env で絞る| T[APM で遅いトレースを探す]
    T -->|trace_id でつなぐ| L[同じ処理のログを読む]
    L --> F[原因を直す]

この行き来を可能にするのが、統合サービスタグ付け(Unified Service Tagging) です。公式ドキュメントは、env・service・version の3つを予約されたタグとし、同じ値をメトリクス・トレース・ログに付けることで、互いに移動できると説明しています。アプリ側では環境変数 DD_ENV・DD_SERVICE・DD_VERSION で指定します(後の節で、この3つが自動でタグになる様子を実物で見せます)。

タグ 意味 例
env 環境 prod・staging・dev
service サービス(アプリ)の名前 shop-api
version アプリの版 1.4.2(版で絞るとデプロイの影響が見える)

Datadog Agentの役割と仕組み

この節では、Agent が何をしていて、どのポートで何を受けるかが分かります。

Datadog Agent は、監視するホストで動くソフトです。 決まった数値を集め、アプリから届くデータを受け、まとめて Datadog に送ります。2026年10月22日時点の最新は Agent 7.84.5(GitHub のリリース、2026年10月21日)です。

部品 すること
Collector 標準のメトリクスを15秒ごとに集める。インテグレーションとカスタムチェックを動かす
Forwarder メトリクスを HTTPS で Datadog に送る。通信が切れたらメモリにためる
DogStatsD アプリから UDP(または Unix ソケット)でメトリクスを受けて集計する
APM Agent(Trace Agent) アプリのトレーサーからトレースを受ける。既定で有効
Process Agent プロセスの情報を集める。既定ではコンテナの情報だけ
ログ収集 ファイルなどのログを読んで送る。既定は無効(logs_enabled)

Agent が使う主なポートです(設定の既定値。Agent 7.84.5 の設定例と公式ドキュメントで確認)。

ポート 何に使うか 設定名
8125/UDP DogStatsD がアプリからメトリクスを受ける dogstatsd_port
8126/TCP APM がトレースを受ける apm_config.receiver_port
4317・4318 OpenTelemetry(OTLP の gRPC・HTTP)を受ける(有効にしたとき) otlp_config
5000 Agent 自身の稼働情報 expvar_port
5001 Agent のコマンドや GUI が Agent と話す cmd_port
5002 GUI(Windows・macOS) ―

設定ファイル datadog.yaml

Linux の設定ファイルは /etc/datadog-agent/datadog.yaml です。Agent 7.84.5 の設定例から、最初に触る項目だけを抜き出すと次のとおりです。

api_key: <API キー>          # 必須。データを送るためのキー(環境変数 DD_API_KEY)
site: ap1.datadoghq.com      # 既定は datadoghq.com(US1)。アカウントのサイトに合わせる
env: prod                    # このホストの env タグ
tags:
  - team:backend
logs_enabled: true           # ログ収集は既定で false
apm_config:
  enabled: true              # 既定で true。受け付けるポートは 8126
# dogstatsd_port: 8125       # 既定 8125。クライアントも同じ UDP ポートに送る

キーは2種類あります。設定例のコメントでは、API キーは「Agent がメトリクスやイベントを送るためのキー」、アプリケーションキーは「Datadog の API をプログラムから使うためのキー」と説明されています。

キー 使う場所 HTTP ヘッダー
API キー Agent・データの送信 DD-API-KEY
アプリケーションキー モニター作成など、API での管理 DD-APPLICATION-KEY

Agent のコマンド

sudo systemctl status datadog-agent        # 動いているか
sudo systemctl restart datadog-agent       # 設定を変えたら再起動
sudo datadog-agent status                  # 状態のページ(API キー・各チェックの結果)
sudo -u dd-agent -- datadog-agent check <チェック名>   # 1つのチェックを試す
sudo datadog-agent flare                   # サポートに送る診断情報をまとめる

インストールは、Datadog の画面(Fleet Automation)で OS を選ぶと、その環境用のコマンドが表示されるので、それをホストで実行します。Docker・Kubernetes 向けの入れ方も、同じ画面と公式ドキュメントにあります。

DogStatsDでメトリクスを送る(Pythonで実際に送った中身)

この節では、アプリから Agent へ送られる「DogStatsD」のデータが、実際にどんな文字列かが分かります。

DogStatsD の形式は 名前:値|種類|#タグ という1行の文字列です。 公式ドキュメントの形は次のとおりです。

<METRIC_NAME>:<VALUE>|<TYPE>|@<SAMPLE_RATE>|#<TAG_KEY_1>:<TAG_VALUE_1>,<TAG_2>

Agent の代わりに、届いた UDP のデータをそのまま表示するプログラムを用意しました。

"""DogStatsD の代わりに UDP を受けて、届いたデータグラムをそのまま表示する。"""
import socket, sys
port = int(sys.argv[1]) if len(sys.argv) > 1 else 8125
s = socket.socket(socket.AF_INET, socket.SOCK_DGRAM)
s.bind(("127.0.0.1", port))
print(f"listening udp 127.0.0.1:{port}", flush=True)
n = 0
while True:
    data, addr = s.recvfrom(65535)
    n += 1
    print(f"--- packet {n} ({len(data)} bytes)", flush=True)
    for line in data.decode().split("\n"):
        if line:
            print(line, flush=True)

Python の datadog ライブラリ(pip install datadog)で、種類の違うデータを1つずつ送りました。Agent の既定のポートは 8125 ですが、ここでは受信プログラムを 29000 番で待たせています。

from datadog import initialize, statsd
import time

initialize(statsd_host="127.0.0.1", statsd_port=29000)

tags = ["env:dev", "service:shop-api"]
statsd.increment("shop.order.count", tags=tags + ["status:ok"])        # カウント(+1)
statsd.increment("shop.order.count", value=3, tags=tags + ["status:ok"])
statsd.gauge("shop.queue.size", 42, tags=tags)                           # ゲージ(今の値)
statsd.histogram("shop.request.latency", 0.231, tags=tags)               # ヒストグラム
statsd.distribution("shop.request.duration", 231, tags=tags)            # ディストリビューション
statsd.set("shop.user.unique", "user-1001", tags=tags)                   # セット(種類の数)
statsd.timing("shop.db.query_ms", 12.5, tags=tags)                       # タイマー
statsd.service_check("shop.api.can_connect", statsd.OK, tags=tags, message="ok")
statsd.event("デプロイ完了", "v1.4.2 を本番に反映", alert_type="info", tags=tags)
statsd.increment("shop.page.view", sample_rate=0.5, tags=tags)           # 50% だけ送る
time.sleep(0.2)

受信プログラムに届いた中身です。

listening udp 127.0.0.1:29000
--- packet 1 (57 bytes)
shop.order.count:1|c|#env:dev,service:shop-api,status:ok
--- packet 2 (57 bytes)
shop.order.count:3|c|#env:dev,service:shop-api,status:ok
--- packet 3 (47 bytes)
shop.queue.size:42|g|#env:dev,service:shop-api
--- packet 4 (55 bytes)
shop.request.latency:0.231|h|#env:dev,service:shop-api
--- packet 5 (54 bytes)
shop.request.duration:231|d|#env:dev,service:shop-api
--- packet 6 (55 bytes)
shop.user.unique:user-1001|s|#env:dev,service:shop-api
--- packet 7 (51 bytes)
shop.db.query_ms:12.5|ms|#env:dev,service:shop-api
--- packet 8 (58 bytes)
_sc|shop.api.can_connect|0|#env:dev,service:shop-api|m:ok
--- packet 9 (88 bytes)
_e{18,25}:デプロイ完了|v1.4.2 を本番に反映|t:info|#env:dev,service:shop-api

1回の呼び出しが、1行のテキストになって UDP で飛んでいるだけでした。読み方は次のとおりです。

記号 意味 送ったもの
c COUNT(回数) increment
g GAUGE(今の値) gauge
h HISTOGRAM(分布。Agent で集計) histogram
d DISTRIBUTION(分布。Datadog 側で集計) distribution
s SET(種類の数) set
ms TIMER(時間。HISTOGRAM として扱われる) timing
_sc で始まる行 サービスチェック(名前の次の 0 は OK) service_check
_e{18,25} イベント(タイトルと本文のバイト数) event
@0.5 サンプリング率(送る割合) sample_rate=0.5

イベントの {18,25} は、タイトル「デプロイ完了」(6文字×UTF-8 で3バイト=18バイト)と本文のバイト数です。sample_rate=0.5 の shop.page.view は、同じスクリプトを4回動かして届いたのが2回でした。届いた行には @0.5 が付き、受け手はこれを見て「実際は2倍あった」と割り戻します。

シェルからも送れます。公式ドキュメントの例です(/dev/udp は bash の機能です。zsh では nc の形を使います)。

echo -n "custom_metric:60|g|#shell" >/dev/udp/localhost/8125
echo -n "custom_metric:60|g|#shell" | nc -4u -w0 127.0.0.1 8125

env・service・version は環境変数から自動でタグになる

DD_ENV・DD_SERVICE・DD_VERSION を付けて動かすと、コードに書いていない env・service・version のタグが全部の行に付きました。バッファを有効にしたクライアントでは、4つのメトリクスが改行区切りで1つのパケット(278バイト)にまとまって届きました。

$ DD_ENV=prod DD_SERVICE=shop-api DD_VERSION=1.4.2 python send2.py
--- packet 39 (278 bytes)
shop.order.count:1|c|#status:ok,env:prod,service:shop-api,version:1.4.2
shop.order.count:1|c|#status:ok,env:prod,service:shop-api,version:1.4.2
shop.order.count:1|c|#status:ok,env:prod,service:shop-api,version:1.4.2
shop.queue.size:40|g|#env:prod,service:shop-api,version:1.4.2

UDP は「届いたか」を確かめない

DogStatsD は UDP なので、送る側は届いたかどうかを知りません。受け手がいないポート(29099)に送っても、例外は出ずに終わりました。

$ python send2.py
sent to 29099 without error

さらに、同じカウントを3,000回、間を置かずに送り、受信した数を数えました。受け手は上の Python の受信プログラム(処理が遅い)です。

2,291回1回ずつ送ったとき届いた数3,000回のうち約24%が消えた。送信側にエラーは出ない
3,000回まとめて送ったとき届いた数バッファを有効にしたクライアントで全部届いた
62個まとめたときのパケット数1個あたり最大1,421バイトに詰めて送った

消えた割合は受け手の速さで変わりますが、「消えても送り手は気付かない」点は変わりません。公式ドキュメントも、UDP ではネットワークのエラーをクライアントが検出できないこと、OS のバッファが一杯になるとデータグラムが捨てられることを挙げ、1つのデータグラムに複数のメトリクスを詰めるバッファの利用と、UDP なら1パケット1,472バイト以下を勧めています。

メトリクスの種類とAgentの集計(count・gauge・histogram)

この節では、送った値が Datadog の画面でどんな数値になるかが分かります。

Agent の DogStatsD は、届いた値をすぐには送らず、10秒ごとにまとめて(フラッシュして) から送ります。公式ドキュメントの説明をもとに、その集計をまねた小さなプログラムを書き、公式の例と同じ8つの値 [1,1,1,2,2,2,3,3] をヒストグラムとして送りました。

from datadog import initialize, statsd
initialize(statsd_host="127.0.0.1", statsd_port=29002)
for v in [1, 1, 1, 2, 2, 2, 3, 3]:                     # 公式ドキュメントの例と同じ8つの値
    statsd.histogram("web.request.latency", v, tags=["env:dev"])
for i in range(25):
    statsd.increment("web.request.count", tags=["env:dev"])
for q in [10, 7, 3]:
    statsd.gauge("web.queue.size", q, tags=["env:dev"])
for u in ["u1", "u2", "u1", "u3", "u2"]:
    statsd.set("web.user.unique", u, tags=["env:dev"])

10秒たったときの集計結果です。

flush (interval=10s)
  web.request.count{env:dev}  RATE   2.5/s  (合計 25)
  web.queue.size{env:dev}  GAUGE  3
  web.request.latency.avg{env:dev}  GAUGE  1.88
  web.request.latency.count{env:dev}  RATE   0.8
  web.request.latency.median{env:dev}  GAUGE  2
  web.request.latency.95percentile{env:dev}  GAUGE  3
  web.request.latency.max{env:dev}  GAUGE  3
  web.user.unique{env:dev}  GAUGE  3  (種類の数)

ヒストグラムの5つの値(avg 1.88・count 0.8・median 2・95percentile 3・max 3)は、公式ドキュメントの例の表と同じになりました。

送る種類 10秒の間にすること 画面での種類 例の結果
COUNT(c) 足し合わせ、秒あたりにする RATE 25回 → 2.5/s
GAUGE(g) 最後の値を残す GAUGE 10・7・3 → 3
SET(s) 違う値の数を数える GAUGE u1・u2・u3 → 3
HISTOGRAM(h) avg・count・median・95percentile・max を作る GAUGE と RATE 上の5行
DISTRIBUTION(d) Agent では集計せず Datadog 側で全ホスト分をまとめる DISTRIBUTION 全体のパーセンタイル

公式ドキュメントでは、HISTOGRAM は Agent 側で集計し、DISTRIBUTION は生の値を送って Datadog のサーバー側(DDSketch というデータ構造)で集計します。HISTOGRAM はホストごとに Agent が集計するので、ホストAとBの95パーセンタイルを後から合わせても、全体の95パーセンタイルにはなりません。全ホストを通したパーセンタイルが必要なら DISTRIBUTION を使います。その分、後の節のとおりカスタムメトリクスの数は増えます。

APM(トレース)で送られるデータの中身

この節では、APM のトレースが「スパン」の集まりであることと、実際に送られる中身が分かります。

トレースは1つのリクエストの処理全体、スパンはその中の1つの処理(DB への問い合わせ、外部 API の呼び出しなど)です。 スパンは親のスパンの ID を持ち、たどると処理の木になります。

Python のトレーサー ddtrace(pip install ddtrace)で、注文処理の中で DB と決済 API を呼ぶ形を作りました。決済は 502 で失敗した扱いにしています。

import ddtrace.auto  # ログに trace_id などを入れる(logging の連携を有効にする)
import json, logging, time
from ddtrace import tracer

class JsonFormatter(logging.Formatter):
    def format(self, r):
        return json.dumps({
            "timestamp": self.formatTime(r, "%Y-%m-%dT%H:%M:%S%z"),
            "status": r.levelname.lower(),
            "logger.name": r.name,
            "message": r.getMessage(),
            "order_id": getattr(r, "order_id", None),
            "dd.service": getattr(r, "dd.service", ""),
            "dd.env": getattr(r, "dd.env", ""),
            "dd.version": getattr(r, "dd.version", ""),
            "dd.trace_id": getattr(r, "dd.trace_id", ""),
            "dd.span_id": getattr(r, "dd.span_id", ""),
        }, ensure_ascii=False)

h = logging.StreamHandler()
h.setFormatter(JsonFormatter())
log = logging.getLogger("shop")
log.addHandler(h)
log.setLevel(logging.INFO)

@tracer.wrap(name="order.create", resource="POST /orders")
def create_order():
    with tracer.trace("db.query", resource="INSERT INTO orders", span_type="sql"):
        time.sleep(0.03)
    with tracer.trace("http.request", resource="POST /payments") as span:
        time.sleep(0.05)
        span.set_tag("http.status_code", "502")
        span.error = 1
        log.error("payment failed", extra={"order_id": 1001})

create_order()
tracer.flush()

送り先には、Agent の代わりに、届いた HTTP リクエストを表示する擬似サーバーを置きました(msgpack を JSON にして表示します)。

"""Datadog Agent の代わりに HTTP を受けて、届いたリクエストを表示する。"""
import json, sys, msgpack
from http.server import BaseHTTPRequestHandler, HTTPServer

class H(BaseHTTPRequestHandler):
    def log_message(self, *a): pass
    def _reply(self, obj):
        b = json.dumps(obj).encode()
        self.send_response(200); self.send_header("Content-Type", "application/json")
        self.send_header("Content-Length", str(len(b))); self.end_headers(); self.wfile.write(b)
    def do_GET(self):
        print(f"GET {self.path}", flush=True)
        self._reply({"endpoints": ["/v0.4/traces", "/v0.5/traces"], "client_drop_p0s": False} if self.path == "/info" else {})
    def do_PUT(self): self.do_POST()
    def do_POST(self):
        n = int(self.headers.get("Content-Length", 0)); body = self.rfile.read(n)
        print(f"{self.command} {self.path} ({n} bytes)", flush=True)
        for k, v in self.headers.items():
            if k.lower().startswith(("datadog", "x-datadog", "content-type", "dd-")):
                print(f"  {k}: {v}", flush=True)
        ct = self.headers.get("Content-Type", "")
        try:
            if "msgpack" in ct:
                data = msgpack.unpackb(body, raw=False, strict_map_key=False)
                print("  BODY:", json.dumps(data, ensure_ascii=False, default=str)[:4000], flush=True)
            else:
                print("  BODY:", body[:2000].decode(errors="replace"), flush=True)
        except Exception as e:
            print("  decode error", e, flush=True)
        self._reply({"rate_by_service": {"service:,env:": 1}})

HTTPServer(("127.0.0.1", int(sys.argv[1])), H).serve_forever()

環境変数で送り先と3つのタグを指定して実行しました(DD_TRACE_API_VERSION=v0.4 は、中身を読みやすい形で受けるための指定です。指定しないと v0.5 の形式で送られました)。

DD_TRACE_AGENT_URL=http://127.0.0.1:29001 DD_SERVICE=shop-api DD_ENV=dev DD_VERSION=1.4.2 \
DD_TRACE_API_VERSION=v0.4 python app.py

擬似サーバーに届いたリクエストです(スパンの meta は一部の項目を省略しています)。

GET /info
POST /v0.4/traces (1054 bytes)
  datadog-meta-lang: python
  datadog-meta-lang-version: 3.11.15
  datadog-meta-lang-interpreter: CPython
  datadog-meta-tracer-version: 4.16.0
  datadog-client-computed-top-level: true
  datadog-send-real-http-status: 1
  x-datadog-trace-count: 1
  content-type: application/msgpack
[
  [
    {
      "service": "shop-api",
      "name": "order.create",
      "resource": "POST /orders",
      "trace_id": 9540812836095233591,
      "span_id": 4609399469661350964,
      "start": 1792660496041945861,
      "duration": 89878882,
      "meta": {
        "_dd.p.tid": "6ad9d41000000000",
        "env": "dev",
        "version": "1.4.2",
        "language": "python"
      }
    },
    {
      "service": "shop-api",
      "name": "db.query",
      "resource": "INSERT INTO orders",
      "trace_id": 9540812836095233591,
      "span_id": 8906995682161989639,
      "parent_id": 4609399469661350964,
      "duration": 30170201,
      "type": "sql"
    },
    {
      "service": "shop-api",
      "name": "http.request",
      "resource": "POST /payments",
      "trace_id": 9540812836095233591,
      "span_id": 17384192944225342332,
      "parent_id": 4609399469661350964,
      "duration": 50591841,
      "error": 1,
      "meta": {
        "http.status_code": "502"
      }
    }
  ]
]

duration はナノ秒です。3つのスパンを木にすると次のとおりで、APM の画面ではこれが横棒の図(フレームグラフ)で表示されます。

order.create   POST /orders          89.9 ms
├─ db.query     INSERT INTO orders    30.2 ms
└─ http.request POST /payments        50.6 ms  error=1 (502)
項目 意味
service サービス名(DD_SERVICE)
name 処理の種類(db.query・http.request など)
resource 処理の対象(URL のパターン、SQL など)。画面で一覧の単位になる
trace_id トレース全体で同じ ID。ログとのひも付けに使う
span_id・parent_id 自分の ID と親の ID。これで木になる
start・duration 開始時刻と所要時間(ナノ秒)
error 1 ならエラーのスパン
meta タグ(env・version・http.status_code など)

Agent が動いていないと、トレースは送れずに捨てられます。送り先にサーバーがいないときに出た表示です。

failed to send, dropping 1 traces to intake at http://127.0.0.1:29098/v0.5/traces: Network error: client error (Connect)

OpenTelemetry で計装したアプリは、Agent の OTLP の受け口(4317・4318)に送る形でも使えます。OpenTelemetry の計装は、関連記事「OpenTelemetry入門|Pythonで始めるトレース・メトリクス実装」で扱っています。

ログの送り方(JSON形式とトレースとのひも付け)

この節では、Agent にログを読ませる設定と、トレースとつながるログの形が分かります。

公式ドキュメントによると、ファイルのログを集めるには、datadog.yaml で logs_enabled: true にし、Agent の設定ディレクトリの conf.d/<アプリ名>.d/conf.yaml に読むファイルを書きます。

logs:
  - type: file
    path: "/var/log/shop-api/app.log"
    service: "shop-api"
    source: "python"

Datadog は、ログを JSON で書くことを強く勧めています(スタックトレースが1件のログにまとまるため)。上の APM の節のアプリが出したログは次の1行でした。

{"timestamp": "2026-10-22T18:14:56+0900", "status": "error", "logger.name": "shop", "message": "payment failed", "order_id": 1001, "dd.service": "shop-api", "dd.env": "dev", "dd.version": "1.4.2", "dd.trace_id": "6ad9d410000000008467c6b99bf18e37", "dd.span_id": "17384192944225342332"}

ログの dd.span_id は、決済のスパン(http.request)の span_id と同じ値です。dd.trace_id は32桁の16進数(128ビット)で、トレースの _dd.p.tid(上位)と trace_id を16進数にしたもの(下位)をつなげた値でした。

$ python3 -c "print(hex(9540812836095233591))"
0x8467c6b99bf18e37
_dd.p.tid 6ad9d41000000000 + 8467c6b99bf18e37 = 6ad9d410000000008467c6b99bf18e37

最初に import ddtrace.auto を書かずに動かしたときは、"dd.trace_id": "" と空のままでした。公式ドキュメントは、ddtrace-run で起動するか import ddtrace.auto を書くと logging の連携が有効になると説明しています。

Datadog が特別に扱うログの属性(予約属性)は次のとおりです。

属性 意味
host 送ったホストの名前(Agent が自動で付ける)
source ログの出どころの技術(インテグレーション名)
status ログのレベル(重大度)
service ログを出したサービス
trace_id トレースの ID
message ログの本文として扱われる値

ログに入れる項目の決め方は、関連記事「構造化ログ(JSON)設計|必須フィールド一覧とPython・Node実装例」で扱っています。

ダッシュボードとモニター(アラート)の作り方

この節では、集めたデータを見る画面と、通知の設定の形が分かります。

ダッシュボード

公式ドキュメントでは、ダッシュボードの形は3つです。グラフ1つ1つを「ウィジェット」と呼び、テンプレート変数で host や service を切り替えて同じダッシュボードを使い回せます。

形 特徴
Dashboards(グリッド) グリッドに沿って、グラフ・画像・ログなどを並べる
Timeboards 自動で並ぶ。全部のグラフが同じ時刻の範囲を表示する
Screenboards 自由な配置。グラフ・画像・ログなどを置ける

外部に公開する共有リンクも作れます。公開したダッシュボードは、選んだ時間の範囲にかかわらず30秒ごとに更新されます。

モニター(アラート)

モニターは「この条件を満たしたら通知する」設定です。メトリクスのモニターの検出方法は次の5つです。評価する時間の幅は既定で5分、1分〜730時間(1か月)の範囲で指定できます。

検出方法 何と比べるか
Threshold(しきい値) 決めた値
Change(変化) N 分前からの変化量・変化率
Anomaly(異常検知) 過去の動きから外れているか
Outliers(外れ値) 同じグループの他のホストなどと比べて外れているか
Forecast(予測) 予測した将来の値が、しきい値を超えるか

ほかに、ホストの死活(Host)、APM、ログ、Synthetic、SLO、複数のモニターを組み合わせる Composite、Datadog が自動で異常を見つける Watchdog などの種類があります。

API でモニターを作るときに送られるリクエストを、擬似サーバーで受けました(キーは仮の値です)。

from datadog import initialize, api
initialize(api_key="dummy-api-key-0000", app_key="dummy-app-key-0000", api_host="http://127.0.0.1:29001")
api.Monitor.create(
    type="metric alert",
    name="[shop-api] キューが溜まっている",
    query="avg(last_5m):avg:shop.queue.size{env:prod} by {host} > 100",
    message="{{#is_alert}}{{host.name}} のキューが {{value}} 件です(しきい値 {{threshold}})@slack-shop-alerts{{/is_alert}}\n{{#is_recovery}}回復しました{{/is_recovery}}",
    tags=["service:shop-api", "team:backend"],
    options={"thresholds": {"critical": 100, "warning": 50}, "notify_no_data": True, "no_data_timeframe": 10},
)
POST /api/v1/monitor (586 bytes)
  DD-API-KEY: dummy-api-key-0000
  DD-APPLICATION-KEY: dummy-app-key-0000
  Content-Type: application/json
{
  "type": "metric alert",
  "name": "[shop-api] キューが溜まっている",
  "query": "avg(last_5m):avg:shop.queue.size{env:prod} by {host} > 100",
  "message": "{{#is_alert}}{{host.name}} のキューが {{value}} 件です(しきい値 {{threshold}})@slack-shop-alerts{{/is_alert}}\n{{#is_recovery}}回復しました{{/is_recovery}}",
  "tags": [
    "service:shop-api",
    "team:backend"
  ],
  "options": {
    "thresholds": {
      "critical": 100,
      "warning": 50
    },
    "notify_no_data": true,
    "no_data_timeframe": 10
  }
}

query は「直近5分の平均(avg(last_5m))を、env:prod のホストごとに(by {host})出し、100を超えたら」という意味です。message の中の {{#is_alert}}・{{#is_recovery}} は状態で出し分ける部分、{{value}}・{{threshold}} は値としきい値、@slack-… は通知先です。画面で作ったモニターも、同じ項目を持っています。

何を監視し、しきい値をどう決めるかは、関連記事「監視設計の項目一覧|死活・リソース・ログ監視のしきい値例とテンプレート」で、SLO の考え方は関連記事「SREとは|SLI・SLO・SLAの違いとエラーバジェット計算」で扱っています。

Datadogの料金の考え方(無料枠・ホスト・データ量)

この節では、Datadog の料金がどの単位で決まるかと、主な製品の単価が分かります。

Datadog の料金は「製品ごと」に、ホスト数・データ量・件数で決まります。 料金ページの価格です(米ドル、1か月あたり。2026年10月22日時点)。

製品 単位 年契約 オンデマンド
Infrastructure Free 最大5ホスト 0ドル 0ドル
Infrastructure Pro 1ホスト 15ドル 18ドル
Infrastructure Enterprise 1ホスト 23ドル 27ドル
APM(Infrastructure と併用) 1 APM ホスト 31ドル 36ドル
APM Pro・APM Enterprise 1 APM ホスト 35ドル・40ドル 42ドル・48ドル
ログの取り込み 1GB 0.10ドル 0.10ドル
ログのインデックス(15日保持) 100万件 1.70ドル 2.55ドル

単価に含まれる枠と、プランの違いです(同じく料金ページ、2026年10月22日時点)。

項目 Free Pro Enterprise
メトリクスの保持 1日 15か月 ―
1ホストあたりのコンテナ ― 5個 10個
1ホストあたりのカスタムメトリクス ― 100個 200個
1ホストあたりのカスタムイベント ― 500件 1,000件

APM は1 APM ホストあたり、取り込むスパン 150GB と、インデックスするスパン100万件が月の枠に含まれます。RUM・Synthetic Monitoring などは、セッション数やテストの実行回数など、製品ごとに別の単位です。

無料で使う方法は2つです。 Free プランは最大5ホスト・メトリクス保持1日で、料金ページで Free があるのは Infrastructure だけです。試用は14日間で、公式の試用ページには「No credit card required」(クレジットカード不要)とあり、全製品を試せます。

ホスト数は「上位1%を除いた最大値」で数える

公式ドキュメントでは、Datadog は1時間ごとに監視しているホストの数を記録し、月末に上位1%を除いた残りの最大値(high-water mark)で請求します。短い急増で請求が増えないようにするためです。30日(720時間)の月で、その効き方を計算しました。上位1%は720時間のうち約7時間分です。

時間数 720 / 普段10台、20台が6時間、30台が10時間 → 請求の台数 30 台
時間数 720 / 普段10台、20台が6時間、30台が6時間  → 請求の台数 20 台

30台の時間が上位1%に収まると請求は20台分、はみ出すと30台分です。オートスケールでホストが増える構成では、増えている時間の長さが料金に直接効きます。

月額の試算

年契約の単価で、小さめの構成を試算しました。

項目 計算 月額
Infrastructure Pro 15ドル×10ホスト 150.00ドル
APM 31ドル×4ホスト 124.00ドル
ログの取り込み 0.10ドル×100GB 10.00ドル
ログのインデックス(15日保持) 1.70ドル×3,000万件 51.00ドル
合計 ― 335.00ドル

実際の請求は、契約・割引・枠を超えた分・税で変わります。正確な金額は、14日間の試用で自分の環境のホスト数・ログ量・カスタムメトリクス数を測り、営業に見積もりを取るのが確実です。

料金が膨らみやすい3つのポイント(カスタムメトリクス・ログ・ホスト)

この節では、Datadog の料金が想定より増えるよくある原因と、その確かめ方が分かります。

カスタムメトリクスは「名前×タグの値の組み合わせ」で数える

公式ドキュメントでは、カスタムメトリクスは「メトリクス名・ホスト・タグの値の、重複しない組み合わせ」1つにつき1個と数えます。送った回数ではありません。同じ回数を送り、タグだけを変えて、組み合わせの数を数えました。

eps = ["/orders", "/items", "/cart"]
for i in range(3000):
    ep = random.choice(eps); st = random.choice(["200", "500"])
    statsd.increment("api.req", tags=[f"endpoint:{ep}", f"status:{st}"])            # よい例
    statsd.increment("api.req_by_user", tags=[f"endpoint:{ep}", f"user_id:{random.randint(1, 1000)}"])  # 悪い例
api.req: 送った回数 2272 / タグの組み合わせ(カスタムメトリクス数) 6
api.req_by_user: 送った回数 2276 / タグの組み合わせ(カスタムメトリクス数) 1584

(送った回数が3,000より少ないのは、上の節の UDP の取りこぼしです。)ほぼ同じ回数でも、user_id のように値の種類が多いタグを付けると、6個が1,584個になりました。 Pro 10ホストの枠は合計1,000個(100個×10)なので、このメトリクス1つで枠を超えます。DISTRIBUTION は組み合わせ1つにつき5個、パーセンタイルを有効にするとさらに2倍(10個)と数えます。

  • 1タグに ID を入れていないかuser_id・order_id・request_id などはログやトレースに入れ、メトリクスのタグにはしない
  • 2DISTRIBUTION が要るか全ホストを通したパーセンタイルが要らなければ HISTOGRAM や GAUGE で数を抑えられる
  • 3ログを全部インデックスしていないか取り込み(GB)とインデックス(件数)は別に課金される。検索しないログまで保持していないか
  • 4ホストが増えている時間は長くないか上位1%を超えて増えた台数は、その月の請求に入る
  • 5APM を全ホストに入れていないかトレースを送ったホストが APM ホストとして数えられる

Zabbix・Prometheus+Grafana・CloudWatch・New Relicとの違い

この節では、よく比べられる監視ツールとの違いを、事実で比べられます。

ツール 形態 データの集め方 料金の単位(2026年10月22日時点)
Datadog SaaS Agent が送る(push)+クラウドは API 連携 製品ごと。ホスト数・データ量・件数
Prometheus+Grafana オープンソース(自分で運用) Prometheus が HTTP で取りに行く(pull) ソフトは無料。サーバー代と運用
Zabbix オープンソース(7.0 から AGPLv3) Zabbix エージェント・SNMP・IPMI・JMX・HTTP など ソフトは無料。有償サポートあり
Amazon CloudWatch AWS のサービス AWS のサービスが自動で送る。エージェントも使える カスタムメトリクス 0.30ドル/個(最初の1万個)など
New Relic SaaS エージェントや OpenTelemetry から送る データ量(月100GB まで無料、超過 0.40ドル/GB)+ユーザー数

各製品の公式の説明から、違いが出やすい点を挙げます。

  • Prometheus:公式の概要では、メトリクス名と キー=値 の組で時系列を表し、PromQL で問い合わせ、収集は HTTP の pull 型、データは各サーバーのローカルに保存します。可視化には Grafana などを使います。「リクエストごとの課金のように100%の正確さが要る用途には向かない」とも書かれています。
  • Zabbix:2026年10月22日時点の最新版は 7.4 です。サーバー・エージェント・プロキシなどの部品を自分で動かします。
  • CloudWatch:無料枠に、カスタムメトリクスと詳細モニタリングのメトリクス合わせて10個、アラーム10個、ログ5GB などが含まれます。ログの取り込みは米国東部の Standard で 0.50ドル/GB です。
  • New Relic:無料枠は月100GB のデータの取り込みとフルプラットフォームユーザー1人です。

SaaS(Datadog・New Relic)

保存・画面・通知の基盤を自分で持たない

データ量やホスト数に比例して費用が増える

データを社外のサービスに送る

自分で運用(Prometheus+Grafana・Zabbix)

ソフトの費用はかからない

サーバー・保存・冗長化・版の更新を自分で受け持つ

データを社内に置ける

Zabbix の構成・インストール・通信の中身は関連記事「Zabbixとは|構成・用語・インストールと使い方を実例で解説」で、Prometheus と Grafana で監視を組む手順は関連記事「Prometheus Grafana入門|監視構築とPromQL一覧」で扱っています。

CloudWatchと併用するとき

Datadog の AWS 連携は CloudWatch のデータを取り込む形なので、多くの場合は併用になります。公式の FAQ によると、次の点が変わります。

項目 内容
取り込みの間隔 AWS の各サービスのメトリクスを10分ごとに取得する
早く取り込む方法 CloudWatch Metric Streams と Amazon Data Firehose を使うと遅れが2〜3分になる
AWS 側の費用 取得の GetMetricData の呼び出し、または Metric Streams と Firehose の料金が AWS で発生する
切り替えの間 Metric Streams を有効にした直後、値が2倍に見えることがある

CloudWatch だけでアラームを作る方法は、関連記事「CloudWatchアラームをAWS CLIで作成|SNS通知・カスタム指標」で扱っています。

Datadogの導入の流れ(サイト選び→Agent→連携→モニター)

この節では、アカウントを作ってから通知が届くまでの順番が分かります。

1

サイトを選んでアカウントを作る

データの保存先(サイト)をアカウント作成時に選びます。日本なら AP1 があります。公式ドキュメントでは、サイトどうしは完全に独立していて、データは共有できません。

14日間の試用から始められる

2

ホストに Agent を入れる

画面(Fleet Automation)が出すコマンドをホストで実行します。datadog.yaml の site がアカウントのサイトと合っているかを確かめ、sudo datadog-agent status で API キーが有効かを見ます。

数分でホストの一覧に出る

3

クラウドと連携する

AWS は CloudFormation などで Datadog 用の IAM ロールを作ってつなぎます。AWS 側では CloudWatch の API の呼び出しに費用がかかります。

AWS は10分ごとの取得

4

タグを揃える

全部のホストとアプリに env・service・version を付けます。アプリは環境変数 DD_ENV・DD_SERVICE・DD_VERSION。

後から揃えるより最初が楽

5

APM とログを足す

トレーサー(Python なら ddtrace)をアプリに入れ、logs_enabled: true と conf.d のログ設定を書きます。ログは JSON で出し、trace_id を入れます。

料金が増えるので対象を決めてから

6

ダッシュボードとモニターを作る

サービスごとに、遅さ・エラー数・リクエスト数を並べたダッシュボードと、利用者に影響が出る条件のモニターを作り、通知先(Slack など)を設定します。

通知はまず少なく、必要なものだけ

Datadogのよくあるエラーとつまずき

この節では、データが画面に出ないときなどの原因と直し方を引けます。エラー文は、この記事で実際に出たもの、または Agent 7.84.5 のソースにある文言です。

エラー・症状 原因 直し方
failed to send, dropping 1 traces to intake at http://…/v0.5/traces: Network error: client error (Connect) トレーサーの送り先に Agent がいない Agent の起動と APM の有効化、DD_TRACE_AGENT_URL・8126 番を確かめる
カスタムメトリクスが画面に出ないのに、アプリにエラーが無い UDP は届かなくてもエラーにならない(送り先・ポート違い、取りこぼし) dogstatsd_port と送り先を合わせる。datadog-agent status の DogStatsD の欄を見る
datadog-agent status に API Key invalid API キーが違う、またはサイトが違う 画面の API キーを貼り直し、site をアカウントのサイトに合わせる
Agent のログに api_key '…' for domain … is invalid そのサイト(ドメイン)でキーが通らない 同上。AP1 のアカウントなら site: ap1.datadoghq.com
No valid api key found, reporting the forwarder as unhealthy. 有効な API キーが1つも無い api_key(または DD_API_KEY)を設定して再起動
ログに "dd.trace_id": "" と空で出る ログの連携が有効になっていない ddtrace-run で起動するか、先頭で import ddtrace.auto
AWS のメトリクスが遅れて出る 連携は10分ごとの取得 早さが要るなら CloudWatch Metric Streams
95パーセンタイルがホストごとにしか出ない HISTOGRAM は Agent ごとの集計 全体の値が要るなら DISTRIBUTION
請求のカスタムメトリクス数が多い タグの値の種類が多い(ID など) タグを見直す。上の「料金が膨らみやすい3つのポイント」

Agent の site は、設定例で既定値が datadoghq.com(US1)です。AP1 や EU1 のアカウントで site を書き忘れると、キーが通らずデータも画面に出ません。

Datadogが合う・合わないの判断表

この節では、状況ごとに Datadog を選ぶかどうかの目安が分かります。

状況 選ぶものの目安
AWS・GCP・オンプレなど複数の環境をまとめて見たい Datadog など、環境をまたげる SaaS
AWS だけで、主にアラームと簡単なグラフで済む CloudWatch(AWS の中で完結)
監視データを社外に出せない Prometheus+Grafana・Zabbix など、社内で動かせるもの
監視基盤の運用に人を割けない SaaS(Datadog・New Relic など)
ログを大量に、長く保存したい ログの量と保持期間で試算し、保存先を分けることも考える
マイクロサービスで、どのサービスが遅いか追いたい APM(Datadog APM、OpenTelemetry と対応するツール)
まず小さく試したい Datadog の Free(5ホスト)か14日間の試用で、ホスト数・ログ量・カスタムメトリクス数を測る

よくある質問

Q. Datadogの読み方は? A. 「データドッグ」です。公式の表記は英字の Datadog です。

Q. Datadogとは何ですか?何ができますか? A. サーバー・コンテナ・クラウド・アプリ・ログのデータを集め、1つの画面で見て、異常を通知する SaaS です。インフラ監視・APM・ログ管理・RUM・外形監視などが製品として分かれています。「Datadogでできること(製品の早見表)」の節にまとめています。

Q. Datadogはどこの国の会社ですか? A. 米国ニューヨークに本社がある Datadog, Inc. で、Nasdaq に DDOG で上場しています。日本には2019年11月に設立された日本法人があり、データの保存先として日本のサイト AP1 を選べます。

Q. Datadogは無料で使えますか? A. Free プランは最大5ホスト・メトリクス保持1日で、インフラ監視だけです(2026年10月22日時点)。APM・ログを含めて試すなら、クレジットカード不要の14日間の試用があります。

Q. Datadogの料金はいくらですか? A. 製品ごとに単位が違います。年契約で Infrastructure Pro が1ホスト月15ドル、APM が1ホスト月31ドル、ログは取り込み1GB 0.10ドルとインデックス100万件 1.70ドル(15日保持)です(2026年10月22日時点)。試算は「月額の試算」にあります。

Q. Datadog Agentとは何ですか? A. 監視するホストで動き、標準のメトリクスを15秒ごとに集め、アプリから DogStatsD(8125/UDP)やトレース(8126/TCP)を受けて、HTTPS で Datadog に送るソフトです。2026年10月22日時点の最新は 7.84.5 です。

Q. DatadogとCloudWatchの違いは?併用できますか? A. CloudWatch は AWS のサービスで、AWS の中の監視に向いています。Datadog は AWS 以外も含めてまとめて見る SaaS で、AWS のデータは CloudWatch から取り込むので併用になります。取り込みは10分ごとで、Metric Streams を使うと2〜3分になります。

Q. DatadogとPrometheus・Zabbixの違いは? A. Prometheus と Zabbix はオープンソースで、自分でサーバーを動かして運用します。Datadog は SaaS で、保存・画面・通知の基盤を Datadog 側が持ちます。比べた表は「Zabbix・Prometheus+Grafana・CloudWatch・New Relicとの違い」の節にあります。

Q. DatadogはOpenTelemetryと一緒に使えますか? A. 使えます。Agent は OTLP の受け口(gRPC 4317・HTTP 4318)を持ち、有効にすると OpenTelemetry で計装したアプリのデータを受けられます。

Q. Datadogの料金を抑えるには? A. メトリクスのタグに ID を入れない、検索しないログをインデックスしない、APM を入れるホストを決める、ホストが増える時間を短くする、の4点が効きます。「料金が膨らみやすい3つのポイント」の節のチェックリストで確かめられます。

Q. Datadogの資格(認定試験)はありますか? A. あります。Datadog Fundamentals、APM and Distributed Tracing Fundamentals、Log Management Fundamentals などの認定試験があり、公式ページでは各試験は多肢選択式90問、受験料100米ドルです。Datadog Fundamentals と APM and Distributed Tracing Fundamentals は日本語でも受けられます(2026年10月22日時点)。

Q. Datadogは何から始めればいいですか? A. サイト(日本なら AP1 も選べる)を選んでアカウントを作り、1台に Agent を入れ、クラウドと連携し、タグを揃えてからモニターを作る順です。「Datadogの導入の流れ」の節に手順があります。

まとめ

  • Datadog は、メトリクス・ログ・トレースを集めて1つの画面で見て、モニターで通知する SaaS。読み方は「データドッグ」。
  • データはホストの Agent(7.84.5)が集めて HTTPS で送る。アプリのメトリクスは DogStatsD(8125/UDP)、トレースは 8126/TCP で Agent が受ける。
  • DogStatsD は 名前:値|種類|#タグ の1行。UDP なので届かなくてもエラーにならず、バッファを使うとまとめて送れる。
  • env・service・version を揃えると、メトリクス・トレース・ログを行き来できる。ログの dd.trace_id でトレースとつながる。
  • 料金は製品ごと。Infrastructure Pro は1ホスト月15ドル(年契約)、ホスト数は上位1%を除いた最大値、カスタムメトリクスはタグの値の組み合わせで数える(2026年10月22日時点)。
  • Zabbix・Prometheus は自分で運用するオープンソース、CloudWatch は AWS のサービス、New Relic はデータ量とユーザー数の SaaS。

参考・出典

確認日はいずれも 2026年10月22日です。

  • Datadog「Pricing」:https://www.datadoghq.com/pricing/
  • Datadog「Free Datadog Trial」:https://www.datadoghq.com/free-datadog-trial/
  • Datadog Docs「Billing / Pricing」:https://docs.datadoghq.com/account_management/billing/pricing/
  • Datadog Docs「Custom Metrics Billing」:https://docs.datadoghq.com/account_management/billing/custom_metrics/
  • Datadog Docs「Getting Started with Datadog Sites」:https://docs.datadoghq.com/getting_started/site/
  • Datadog Docs「Agent」:https://docs.datadoghq.com/agent/
  • Datadog Docs「Agent Architecture」:https://docs.datadoghq.com/agent/architecture/
  • Datadog Docs「Linux(Agent)」:https://docs.datadoghq.com/agent/supported_platforms/linux/
  • Datadog Agent のリリース(GitHub):https://github.com/DataDog/datadog-agent/releases
  • Datadog Agent の設定例(Linux、GitHub):https://github.com/DataDog/datadog-agent/tree/main/pkg/config/example
  • Datadog Docs「Datagram Format and Shell Usage」(DogStatsD):https://docs.datadoghq.com/developers/dogstatsd/datagram_shell/
  • Datadog Docs「High Throughput Data Submission with DogStatsD」:https://docs.datadoghq.com/developers/dogstatsd/high_throughput/
  • Datadog Docs「Metric Types」:https://docs.datadoghq.com/metrics/types/
  • Datadog Docs「Metric Submission: DogStatsD」:https://docs.datadoghq.com/metrics/custom_metrics/dogstatsd_metrics_submission/
  • Datadog Docs「Distributions」:https://docs.datadoghq.com/metrics/distributions/
  • Datadog Docs「Unified Service Tagging」:https://docs.datadoghq.com/getting_started/tagging/unified_service_tagging/
  • Datadog Docs「Host Agent Log collection」:https://docs.datadoghq.com/agent/logs/
  • Datadog Docs「Python Log Collection」:https://docs.datadoghq.com/logs/log_collection/python/
  • Datadog Docs「Correlating Python Logs and Traces」:https://docs.datadoghq.com/tracing/other_telemetry/connect_logs_and_traces/python/
  • Datadog Docs「Attributes and Aliasing」:https://docs.datadoghq.com/logs/log_configuration/attributes_naming_convention/
  • Datadog Docs「Dashboards」:https://docs.datadoghq.com/dashboards/
  • Datadog Docs「Monitor Types」:https://docs.datadoghq.com/monitors/types/
  • Datadog Docs「Metric Monitor」:https://docs.datadoghq.com/monitors/types/metric/
  • Datadog Docs「Variables(モニターの通知)」:https://docs.datadoghq.com/monitors/notify/variables/
  • Datadog Docs「AWS Integration and CloudWatch FAQ」:https://docs.datadoghq.com/integrations/guide/aws-integration-and-cloudwatch-faq/
  • Datadog Docs(日本語版)トップ:https://docs.datadoghq.com/ja/
  • Datadog「認定プログラム」:https://www.datadoghq.com/ja/certification/overview/
  • Datadog「Leadership」:https://www.datadoghq.com/about/leadership/
  • Terraform Provider for Datadog「datadog_monitor」(モニターの query の例):https://github.com/DataDog/terraform-provider-datadog/blob/master/docs/resources/monitor.md
  • Wikipedia「Datadog」(英語版。創業・上場・日本法人):https://en.wikipedia.org/wiki/Datadog
  • Prometheus「Overview」:https://prometheus.io/docs/introduction/overview/
  • Zabbix「License」:https://www.zabbix.com/license
  • Zabbix Documentation「What is Zabbix」(7.4):https://www.zabbix.com/documentation/current/en/manual/introduction/about
  • Amazon CloudWatch「料金」:https://aws.amazon.com/cloudwatch/pricing/
  • New Relic「Pricing」:https://newrelic.com/pricing

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(記載例)出典:株式会社RJC「Datadogとは|できること・料金・仕組みと他ツールとの違いを実例で解説」

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