- マネジメント
テスト完了報告書の書き方|テンプレートと品質の評価の書き方
テスト完了報告書は、テストの結果を数字で示し、「終了基準を満たしたか」「残ったリスクは何か」「リリースしてよいか」を判断する人に渡す文書です。 結果を並べるだけでなく、数字から品質をどう評価したかと、判断に要る残課題を書くのが中心です。
| 章 | 書くこと | 読む人が知りたいこと |
|---|---|---|
| 1. 概要・結論 | 対象・期間と、リリース可否の判断(案) | 結局、出してよいのか |
| 2. 目的・範囲 | テストした範囲、しなかった範囲 | 何を確かめ、何を確かめていないか |
| 3. 実施結果 | 予定・実施・合格・不合格・未実施の件数 | 予定どおりに終わったか |
| 4. 消化率 | 実施 ÷ 予定 | やり残しはあるか |
| 5. 不具合の集計 | 重大度別・原因別・機能別の件数、密度 | どこが弱いか |
| 6. 計画との差異 | 予定から変えたこと、その理由 | 計画どおりでないところ |
| 7. 品質の評価 | 終了基準ごとの判定と根拠、バグ曲線 | 品質は足りているか |
| 8. 残課題・リスク | 未解決の不具合、未実施のテスト、その対応 | 出したあとに何が起こりうるか |
| 9. リリース可否の判断 | 判断と条件、承認 | 誰が、何を条件に決めたか |
確認環境:数値の計算は Python 3.11・NumPy 2.4.6・SciPy 1.17.1 で実際に行いました。項目は、IEEE 829 のテストサマリー報告書の構成、公開されている ISO/IEC/IEEE 29119-3 の概要資料のテスト完了報告書の見出し、JSTQB(ISTQB)のシラバスの用語をもとに整理しています。図は mermaid-cli 11.14.0 で描画できることを確かめました(確認日 2026年10月13日)。
本記事の内容は、ご自由にお使いください。
ご利用の際は、出典として本ページへのリンクを記載いただけますようお願いします。
(記載例)出典:株式会社RJC「テスト完了報告書の書き方|テンプレートと品質の評価の書き方」
規格の項目との対応
テスト完了報告書の項目は、国際規格の構成をもとにすると、抜けが減ります。 IEEE 829(1998年版)の「テストサマリー報告書」と、それを置き換えた ISO/IEC/IEEE 29119-3 の「テスト完了報告書」の項目を、この記事の章と対応させました。
| この記事の章 | IEEE 829-1998 | ISO/IEC/IEEE 29119-3 |
|---|---|---|
| 1. 概要・結論 | Test summary report identifier、Summary | Summary of testing performed |
| 2. 目的・範囲 | Summary(テストした項目) | Summary of testing performed |
| 3〜5. 実施結果・消化率・不具合 | Summary of results | Test measures |
| 6. 計画との差異 | Variances | Deviations from planned testing |
| 7. 品質の評価 | Comprehensiveness assessment、Evaluation | Test completion evaluation |
| 8. 残課題・リスク | Summary of results(未解決の問題) | Residual risks、Factors that blocked progress |
| 9. 判断・承認 | Approvals | ― |
| 付録 | Summary of activities | Test deliverables、Reusable test assets、Lessons learned |
IEEE 829 は 2008年版のあと、ISO/IEC/IEEE 29119-3 に置き換えられています。 2008年版では、テストレベルごとの「Level Test Report」と、全体の「Master Test Report」に分かれました。29119-3 では、テストの記録を残す文書として「テスト完了報告書(Test Completion Report)」の名前で決められていて、「再利用できるテスト資産」「教訓(Lessons learned)」の項目があるのが特徴です。次のテストで使えるものと、うまくいかなかったことを残します。
JSTQB(ISTQB)のシラバスでも、テストの終わりに「テスト完了レポート」を作り、関係者に伝えることが、テスト完了の活動として書かれています。
コピペ用テンプレート(Markdown)
そのまま貼って、( ) を埋めて使えます。 表の数字は、テスト進捗管理表と不具合管理表から転記します。
# テスト完了報告書(○○システム 結合テスト)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 文書番号 / 版 | (TR-IT-001 / 1.0) |
| 作成日 / 作成者 | (2026-10-13 / ○○) |
| 対象 | (○○システム v1.2.0、コミット abc1234) |
| テスト期間 | (2026-09-14 〜 2026-10-09、20営業日) |
| 関連文書 | (テスト計画書 TP-001 v1.1、テスト仕様書 TS-IT-001〜004、不具合管理表) |
## 1. 結論
- リリース可否の判断(案):(条件付きで可 / 可 / 否)
- 理由:(終了基準 6 項目中 5 項目を満たした。未達の 1 項目は〜のため、〜を条件とする)
## 2. 目的・範囲
- 目的:(結合テストの終了基準を満たし、システムテストに進めるかを判断する)
- 範囲:(機能 A〜F の画面・API・バッチの結合)
- 対象外:(性能・負荷はシステムテストで実施。外部決済はモックで代替)
## 3. 実施結果
| 区分 | 件数 | 割合 |
|---|---|---|
| 予定 | ( ) | 100% |
| 実施 | ( ) | ( ) |
| 合格 | ( ) | ( ) |
| 不合格 | ( ) | ( ) |
| 保留(前提が整わず判定できない) | ( ) | ( ) |
| 未実施 | ( ) | ( ) |
## 4. 消化率
- 消化率(実施 ÷ 予定):( )%
- 未実施の内訳と理由:( )
## 5. 不具合の集計
### 5.1 重大度別
| 重大度 | 見つかった | 直した | 未解決 |
|---|---|---|---|
| 重大 | | | |
| 高 | | | |
| 中 | | | |
| 低 | | | |
| 計 | | | |
### 5.2 原因別・機能別
| 原因 | 件数 | 主な例 |
|---|---|---|
| 仕様の誤り・もれ | | |
| 設計の誤り | | |
| 実装の誤り | | |
| テストの誤り(不具合ではない) | | |
### 5.3 密度
| 指標 | 値 | 目標・過去の値 | 判定 |
|---|---|---|---|
| テスト密度(件/KLOC) | | | |
| バグ密度(件/KLOC) | | | |
## 6. 計画との差異
| 計画 | 実際 | 理由 | 影響 |
|---|---|---|---|
| | | | |
## 7. 品質の評価
### 7.1 終了基準ごとの判定
| 終了基準(テスト計画書より) | 結果 | 判定 |
|---|---|---|
| | | |
### 7.2 バグ曲線
- (累積の見つかった件数・直した件数のグラフ)
- 収束の判断:( )
### 7.3 総合評価
- (数字から言えること、弱い機能、追加で行ったテスト)
## 8. 残課題・リスク
| No | 内容 | 影響 | 対応 | 期限 | 担当 |
|---|---|---|---|---|---|
| | | | | | |
## 9. リリース可否の判断
- 判断:( )
- 条件:( )
- 承認:(品質管理責任者 ○○ / 日付)、(プロジェクト責任者 ○○ / 日付)
## 付録
- 教訓(次に生かすこと):( )
- 再利用できるテスト資産:(自動テスト、テストデータ、手順書)
数値の書き方と計算
報告書の数字は、定義(何を何で割ったか)を必ず書きます。 同じ「合格率」でも、分母を「実施した件数」にするか「予定の件数」にするかで値が変わるためです。
計算に使う式
| 指標 | 式 | 単位 | 何が分かるか |
|---|---|---|---|
| 消化率 | 実施した件数 ÷ 予定の件数 | % | やり残しの量 |
| 合格率 | 合格 ÷ 実施した件数(または予定) | % | 結果の良し悪し(分母を明記) |
| テスト密度 | テストケース数 ÷ 規模(KLOC) | 件/KLOC | テストの量が規模に見合っているか |
| バグ密度 | 不具合の件数 ÷ 規模(KLOC) | 件/KLOC | 不具合の出方が多いか少ないか |
| 未解決の件数 | 累積の見つかった件数 − 累積の直した件数 | 件 | リリース時に残るもの |
| 直近の新規 | 直近 N 日に見つかった件数 | 件 | 収束しているか |
KLOC は千行(Kilo Lines Of Code)です。 規模の数え方(コメント・空行を含むか、自動生成のコードを含むか)は、比べる相手(過去のプロジェクト・社内の基準)とそろえます。指標の一覧と式は、関連記事「品質管理の指標一覧(システム開発)|バグ密度・レビュー指摘密度の計算式」で扱っています。
Python で計算した例
結合テストの例のデータ(規模 24.5 KLOC、テストケース 520件、20営業日)で計算しました。
"""テスト完了報告書の数値を計算する(結合テストの例)"""
import numpy as np
from scipy.optimize import curve_fit
# ---- 入力(テスト進捗管理表・不具合管理表から転記) ----
ksloc = 24.5 # 対象の規模(千行、コメント・空行を除く)
planned, executed = 520, 512 # 予定・実施したテストケース数
passed, failed, blocked = 498, 9, 5 # 実施 512 件の内訳(blocked は実施したが前提が整わず判定できない)
# 日ごとの不具合の「見つかった件数」と「直した件数」(20営業日)
found = [3, 5, 8, 9, 7, 8, 6, 5, 4, 4, 3, 2, 3, 1, 2, 1, 0, 1, 0, 0]
closed = [0, 2, 4, 6, 7, 8, 7, 6, 5, 5, 4, 3, 3, 2, 2, 1, 1, 1, 1, 0]
severity = {"重大": 2, "高": 9, "中": 31, "低": 30} # 見つかった不具合の重大度別
# ---- 消化率・合格率 ----
print(f"消化率(実施 ÷ 予定) {executed / planned:6.1%} ({executed}/{planned})")
print(f"合格率(合格 ÷ 実施) {passed / executed:6.1%} ({passed}/{executed})")
print(f"合格率(合格 ÷ 予定) {passed / planned:6.1%} ({passed}/{planned})")
# ---- 密度 ----
total_bugs = sum(found)
assert total_bugs == sum(severity.values())
print(f"テスト密度 {planned / ksloc:6.1f} 件/KLOC")
print(f"バグ密度 {total_bugs / ksloc:6.2f} 件/KLOC ({total_bugs} 件)")
print(f"テスト1件あたりの不具合 {total_bugs / executed:6.3f} 件")
# ---- 未解決 ----
cum_found, cum_closed = np.cumsum(found), np.cumsum(closed)
print(f"未解決(見つかった − 直した) {cum_found[-1] - cum_closed[-1]} 件")
# ---- 収束の判断(直近5日) ----
last5 = sum(found[-5:])
print(f"直近5日の新規 {last5} 件(全体の {last5 / total_bugs:.1%})")
# ---- 信頼度成長曲線(ゴンペルツ曲線)で、最終的な不具合の数を推定 ----
def gompertz(t, a, b, c):
return a * np.exp(-b * np.exp(-c * t))
t = np.arange(1, len(found) + 1)
(a, b, c), _ = curve_fit(gompertz, t, cum_found, p0=(cum_found[-1] * 1.1, 5, 0.2), maxfev=10000)
print(f"ゴンペルツ曲線の a(収束値) {a:.1f} 件 → 今の累積 {cum_found[-1]} 件は推定の {cum_found[-1] / a:.1%}")
print(f"推定の残り {a - cum_found[-1]:.1f} 件")
for day in (10, 15, 20):
print(f" {day:>2}日目 実際 {cum_found[day - 1]:>2} 件 / 曲線 {gompertz(day, a, b, c):5.1f} 件")
print("累積(見つかった)", cum_found.tolist())
print("累積(直した) ", cum_closed.tolist())
消化率(実施 ÷ 予定) 98.5% (512/520)
合格率(合格 ÷ 実施) 97.3% (498/512)
合格率(合格 ÷ 予定) 95.8% (498/520)
テスト密度 21.2 件/KLOC
バグ密度 2.94 件/KLOC (72 件)
テスト1件あたりの不具合 0.141 件
未解決(見つかった − 直した) 4 件
直近5日の新規 2 件(全体の 2.8%)
ゴンペルツ曲線の a(収束値) 72.6 件 → 今の累積 72 件は推定の 99.2%
推定の残り 0.6 件
10日目 実際 59 件 / 曲線 59.9 件
15日目 実際 70 件 / 曲線 69.5 件
20日目 実際 72 件 / 曲線 71.9 件
累積(見つかった) [3, 8, 16, 25, 32, 40, 46, 51, 55, 59, 62, 64, 67, 68, 70, 71, 71, 72, 72, 72]
累積(直した) [0, 2, 6, 12, 19, 27, 34, 40, 45, 50, 54, 57, 60, 62, 64, 65, 66, 67, 68, 68]
| 指標 | 値 | 書き方の例 |
|---|---|---|
| 消化率 | 98.5%(512/520) | 「消化率 98.5%(512/520件)。未実施 8件は外部連携先の環境が用意できなかったため」 |
| 合格率 | 97.3%(498/512) | 「合格率 97.3%(合格 498件 ÷ 実施 512件)」と分母を書く |
| テスト密度 | 21.2 件/KLOC | 過去の値・社内の基準と並べて書く |
| バグ密度 | 2.94 件/KLOC(72件) | 同上。高い・低いの理由も書く |
| 未解決 | 4件 | 重大度と、リリースまでの対応を書く |
バグ密度は、高くても低くても理由を書きます。 高いなら「どの機能に集中したか」、低いなら「テストが足りなかったのではないか(テスト密度・観点の抜け)」を確かめた結果を書きます。数字だけ書いて「問題なし」とすると、レビューで必ず聞かれます。
バグ曲線の収束の判断
バグ曲線は、累積の「見つかった件数」と「直した件数」を日ごとに並べたグラフです。 見つかった件数の線が寝てきて(新しく見つからなくなり)、直した件数の線が追いついていれば、収束に近づいています。
xychart-beta
title "バグ曲線(累積)"
x-axis "営業日" [1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 10, 11, 12, 13, 14, 15, 16, 17, 18, 19, 20]
y-axis "件数" 0 --> 80
line [3, 8, 16, 25, 32, 40, 46, 51, 55, 59, 62, 64, 67, 68, 70, 71, 71, 72, 72, 72]
line [0, 2, 6, 12, 19, 27, 34, 40, 45, 50, 54, 57, 60, 62, 64, 65, 66, 67, 68, 68]
上の線が見つかった件数、下の線が直した件数です。この例では、16日目以降はほとんど増えず、20日目で 72件・68件です。
収束の判断は、1つの指標ではなく、次の表を組み合わせて書きます。
| 見るもの | この例の値 | 判断の書き方の例 |
|---|---|---|
| 直近5日の新規 | 2件(全体の 2.8%) | 「直近5日の新規は 2件で、いずれも重大度『低』」 |
| 未解決 | 4件 | 「未解決 4件はいずれも中・低。リリース前に 2件を直す」 |
| 新規の重大度 | 終盤は低のみ | 「重大・高の新規は 13日目以降 0件」のように書く |
| 曲線との差 | 推定の 99.2% | 下の「信頼度成長曲線」を参照 |
| テストの消化 | 98.5% | 「テストを消化しきって見つからない」のか「テストが進んでいないから見つからない」のかを区別する |
「見つからなくなった」のは、テストを流しきったからか、テストが止まっていたからかを分けて書きます。 消化率と並べると区別できます。進み具合の管理とバグ曲線の読み方は、関連記事「テスト進捗管理表テンプレート|消化率の計算とバグ曲線の読み方」で扱っています。
信頼度成長曲線(ゴンペルツ曲線)を使うときの注意
信頼度成長曲線は、累積の不具合の数を S 字の曲線に当てはめ、最終的に見つかる数(収束値)を推定する方法です。 上の計算では、ゴンペルツ曲線の収束値は 72.6件で、今の累積 72件は推定の 99.2% でした。
ただし、終盤まで不具合が見つかり続けているデータでも、曲線は「ほぼ収束」に見えることがあります。 終盤の 5日で 20件見つかり続けたデータで同じ計算をしました。
found = [3, 5, 8, 9, 7, 8, 6, 5, 4, 4, 3, 2, 3, 4, 5, 3, 4, 5, 4, 4] # 終盤も見つかり続ける
| データ | 14日目までで推定 | 17日目までで推定 | 20日目までで推定 | 20日目の累積 ÷ 推定 |
|---|---|---|---|---|
| 収束した例 | 70.4件 | 72.2件 | 72.6件 | 99.2% |
| 見つかり続けている例 | 72.1件 | 83.4件 | 99.9件 | 96.1% |
見つかり続けている例でも、20日目の「累積 ÷ 推定」は 96.1% になりました。 一方で、推定の収束値は 3日で 83.4件から 99.9件に動いています。曲線を使うときは、推定の値が日を追って安定しているかも一緒に見て、直近の新規の件数と合わせて判断します。
記入例
上の計算の数字で、主な章を埋めた例です。
## 1. 結論
- リリース可否の判断(案):**条件付きで、システムテストへ進めてよい**
- 理由:終了基準 6 項目中 5 項目を満たした。未達の「全件消化」は、外部連携の 8 件が
連携先の環境の都合で実施できなかったため。システムテストの初週に実施することを条件とする。
## 3. 実施結果
| 区分 | 件数 | 割合 |
|---|---|---|
| 予定 | 520 | 100% |
| 実施 | 512 | 98.5% |
| 合格 | 498 | 95.8%(予定比)/ 97.3%(実施比) |
| 不合格 | 9 | 1.8%(実施比) |
| 保留 | 5 | 1.0%(実施比) |
| 未実施 | 8 | 1.5% |
## 5.1 重大度別
| 重大度 | 見つかった | 直した | 未解決 |
|---|---|---|---|
| 重大 | 2 | 2 | 0 |
| 高 | 9 | 9 | 0 |
| 中 | 31 | 29 | 2 |
| 低 | 30 | 28 | 2 |
| 計 | 72 | 68 | 4 |
## 5.3 密度
| 指標 | 値 | 目標・過去の値 | 判定 |
|---|---|---|---|
| テスト密度 | 21.2 件/KLOC | 目標 20 以上 | 満たす |
| バグ密度 | 2.94 件/KLOC | 過去 3 案件 2.1〜3.4 | 範囲内 |
## 7.1 終了基準ごとの判定
| 終了基準(テスト計画書 TP-001 4.2 節) | 結果 | 判定 |
|---|---|---|
| 予定のテストケースを全件消化 | 98.5%(未実施 8 件) | **未達**(条件付きで可) |
| 重大・高の未解決が 0 件 | 0 件 | 満たす |
| 中・低の未解決は対応方針が決まっている | 4 件すべて方針あり | 満たす |
| 直近 5 日の新規が 3 件以下 | 2 件(いずれも低) | 満たす |
| テスト密度が 20 件/KLOC 以上 | 21.2 | 満たす |
| バグ密度が過去の範囲内 | 2.94(範囲 2.1〜3.4) | 満たす |
## 7.3 総合評価
- 不具合 72 件のうち 28 件(39%)が機能 C(請求計算)に集中した。
原因は仕様の読み違い(端数処理)で、機能 C は観点を追加して 36 件のテストを追加実施し、
追加分で新たな不具合は見つかっていない。
- 16 日目以降の新規は 2 件で、いずれも重大度「低」(画面の文言)。
## 8. 残課題・リスク
| No | 内容 | 影響 | 対応 | 期限 | 担当 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 外部連携 8 件が未実施 | 連携の不具合が残る可能性 | システムテスト初週に実施 | 10/16 | 佐藤 |
| 2 | 未解決の中 2 件(BUG-061, 066) | 一覧画面の並び順が一部違う | リリース前に修正 | 10/20 | 田中 |
| 3 | 未解決の低 2 件(BUG-070, 072) | 文言の誤り | 次の版で修正(利用者へ周知) | 11/30 | 田中 |
「総合評価」には、数字から読み取ったこと(どこに集中したか、なぜか、何をしたか)を書きます。 「品質は良好と判断する」だけでは、読む人が判断の根拠を確かめられません。
レビューでよく指摘される点
| 指摘 | よくある書き方 | 直し方 |
|---|---|---|
| 分母が分からない | 「合格率 97%」 | 「合格 498 ÷ 実施 512 = 97.3%」と式と件数を書く |
| 結論が最後にある | 結果の表から始まる | 1章に結論(リリース可否の案) を書く |
| 「問題なし」の根拠が無い | 「品質は良好」 | 終了基準ごとに、結果と判定を表で書く |
| 未実施の理由が無い | 「未実施 8件」 | 理由・影響・いつ実施するかを書く |
| 対象外が書かれていない | 範囲だけ書く | テストしなかった範囲と、その理由を書く |
| 密度を比べていない | 「バグ密度 2.94」だけ | 目標・過去の値と並べ、高い・低いの理由を書く |
| 未解決の扱いが曖昧 | 「残り4件は対応中」 | 重大度・影響・期限・担当を表にする |
| 不具合でないものが混ざる | テストの誤りも件数に入れる | 原因別の集計で「テストの誤り」を分ける |
| 計画との差異が無い | 計画どおりのように書く | 期間・範囲・環境の変更と、その影響を書く |
| 承認者が無い | 作成者だけ | 判断した人・日付を残す |
計画書に書いた終了基準と、報告書の判定の表が1対1で対応しているかを、最後に見比べます。計画書の終了基準の書き方は、関連記事「テスト計画書の書き方と項目一覧|開始基準・終了基準のテンプレート」で扱っています。
よくある質問
Q. テスト完了報告書とテスト結果報告書は違うものですか? A. 呼び方の違いで、中身はほぼ同じです。IEEE 829 では「テストサマリー報告書(Test Summary Report)」、ISO/IEC/IEEE 29119-3 や JSTQB では「テスト完了報告書(テスト完了レポート)」と呼びます。テスト中に定期的に出すものは「テスト進捗報告書」で、別のものです。
Q. 終了基準を満たしていないと、リリースできませんか? A. 判断するのは、報告書を受け取る人(品質管理の責任者・発注者など)です。報告書では、満たしていない基準・理由・影響・条件を示し、判断に要る材料をそろえます。「条件付きで可」とする場合は、条件と期限を書きます。
Q. 自動テストの結果はどう書きますか? A. 手で行ったテストと分けて、件数・成功・失敗と、どの CI の実行の結果か(日時・コミット)を書きます。どこまでを自動テストで確かめたかを範囲の章に書くと、二重に数えずに済みます。
Q. 受入テストやシステムテストでも同じ形で使えますか? A. 使えます。終了基準と、範囲(業務シナリオ・非機能)の書き方が変わります。システムテストの観点は、関連記事「システムテストとは|結合テストとの違いと観点一覧」で、受入テストは「受入テストの観点チェックリストとUATシナリオの書き方」で扱っています。
まとめ
- テスト完了報告書は 「終了基準を満たしたか」「残ったリスク」「リリース可否」 を判断する人に渡す文書
- 項目は IEEE 829 のテストサマリー報告書・ISO/IEC/IEEE 29119-3 のテスト完了報告書と対応させると抜けが減る
- 結論は1章に。数字には式と分母を書く(例:合格 498 ÷ 実施 512 = 97.3%)
- バグ密度・テスト密度は、目標・過去の値と並べて、理由まで書く
- バグ曲線の収束は 直近の新規・未解決・重大度・消化率を組み合わせて判断する
- ゴンペルツ曲線は、見つかり続けているデータでも「96%」に見えることがある。推定の値が安定しているかも見る
- 残課題は 内容・影響・対応・期限・担当 の表にする
参考・出典
確認日はいずれも 2026年10月13日です。
- University of Otago「IEEE Software Test Documentation, a summary」(IEEE 829 のテストサマリー報告書の項目):https://www.cs.otago.ac.nz/cosc345/lecs/lec22/testplan.htm
- Wikipedia「Software test documentation」(IEEE 829-2008 と ISO/IEC/IEEE 29119-3):https://en.wikipedia.org/wiki/Software_test_documentation
- The University of Edinburgh「ISO 29119-3 Overview」(テスト完了報告書の見出し):https://opencourse.inf.ed.ac.uk/sites/default/files/https/opencourse.inf.ed.ac.uk/st/2024/iso-29119-3-examples.pdf
- ANSI Webstore「ISO/IEC/IEEE 29119-3:2013 プレビュー」(目次):https://webstore.ansi.org/preview-pages/ISO/preview_ISO+IEC+IEEE+29119-3-2013.pdf
- ISTQB「Certified Tester Foundation Level Syllabus v4.0.1」:https://istqb.org/wp-content/uploads/2024/11/ISTQB_CTFL_Syllabus_v4.0.1.pdf
- JSTQB「シラバス・用語集」:https://jstqb.jp/syllabus.html
- SciPy ドキュメント「scipy.optimize.curve_fit」:https://docs.scipy.org/doc/scipy/reference/generated/scipy.optimize.curve_fit.html
本記事の内容は、ご自由にお使いください。
ご利用の際は、出典として本ページへのリンクを記載いただけますようお願いします。
(記載例)出典:株式会社RJC「テスト完了報告書の書き方|テンプレートと品質の評価の書き方」
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