テスト完了報告書は、テストの結果を数字で示し、「終了基準を満たしたか」「残ったリスクは何か」「リリースしてよいか」を判断する人に渡す文書です。 結果を並べるだけでなく、数字から品質をどう評価したかと、判断に要る残課題を書くのが中心です。

章 書くこと 読む人が知りたいこと
1. 概要・結論 対象・期間と、リリース可否の判断(案) 結局、出してよいのか
2. 目的・範囲 テストした範囲、しなかった範囲 何を確かめ、何を確かめていないか
3. 実施結果 予定・実施・合格・不合格・未実施の件数 予定どおりに終わったか
4. 消化率 実施 ÷ 予定 やり残しはあるか
5. 不具合の集計 重大度別・原因別・機能別の件数、密度 どこが弱いか
6. 計画との差異 予定から変えたこと、その理由 計画どおりでないところ
7. 品質の評価 終了基準ごとの判定と根拠、バグ曲線 品質は足りているか
8. 残課題・リスク 未解決の不具合、未実施のテスト、その対応 出したあとに何が起こりうるか
9. リリース可否の判断 判断と条件、承認 誰が、何を条件に決めたか

確認環境:数値の計算は Python 3.11・NumPy 2.4.6・SciPy 1.17.1 で実際に行いました。項目は、IEEE 829 のテストサマリー報告書の構成、公開されている ISO/IEC/IEEE 29119-3 の概要資料のテスト完了報告書の見出し、JSTQB(ISTQB)のシラバスの用語をもとに整理しています。図は mermaid-cli 11.14.0 で描画できることを確かめました(確認日 2026年10月13日)。

本記事の内容は、ご自由にお使いください。
ご利用の際は、出典として本ページへのリンクを記載いただけますようお願いします。

(記載例)出典:株式会社RJC「テスト完了報告書の書き方|テンプレートと品質の評価の書き方」

規格の項目との対応

テスト完了報告書の項目は、国際規格の構成をもとにすると、抜けが減ります。 IEEE 829(1998年版)の「テストサマリー報告書」と、それを置き換えた ISO/IEC/IEEE 29119-3 の「テスト完了報告書」の項目を、この記事の章と対応させました。

この記事の章 IEEE 829-1998 ISO/IEC/IEEE 29119-3
1. 概要・結論 Test summary report identifier、Summary Summary of testing performed
2. 目的・範囲 Summary(テストした項目) Summary of testing performed
3〜5. 実施結果・消化率・不具合 Summary of results Test measures
6. 計画との差異 Variances Deviations from planned testing
7. 品質の評価 Comprehensiveness assessment、Evaluation Test completion evaluation
8. 残課題・リスク Summary of results(未解決の問題) Residual risks、Factors that blocked progress
9. 判断・承認 Approvals ―
付録 Summary of activities Test deliverables、Reusable test assets、Lessons learned

IEEE 829 は 2008年版のあと、ISO/IEC/IEEE 29119-3 に置き換えられています。 2008年版では、テストレベルごとの「Level Test Report」と、全体の「Master Test Report」に分かれました。29119-3 では、テストの記録を残す文書として「テスト完了報告書(Test Completion Report)」の名前で決められていて、「再利用できるテスト資産」「教訓(Lessons learned)」の項目があるのが特徴です。次のテストで使えるものと、うまくいかなかったことを残します。

JSTQB(ISTQB)のシラバスでも、テストの終わりに「テスト完了レポート」を作り、関係者に伝えることが、テスト完了の活動として書かれています。

コピペ用テンプレート(Markdown)

そのまま貼って、( ) を埋めて使えます。 表の数字は、テスト進捗管理表と不具合管理表から転記します。

# テスト完了報告書(○○システム 結合テスト)

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 文書番号 / 版 | (TR-IT-001 / 1.0) |
| 作成日 / 作成者 | (2026-10-13 / ○○) |
| 対象 | (○○システム v1.2.0、コミット abc1234) |
| テスト期間 | (2026-09-14 〜 2026-10-09、20営業日) |
| 関連文書 | (テスト計画書 TP-001 v1.1、テスト仕様書 TS-IT-001〜004、不具合管理表) |

## 1. 結論
- リリース可否の判断(案):(条件付きで可 / 可 / 否)
- 理由:(終了基準 6 項目中 5 項目を満たした。未達の 1 項目は〜のため、〜を条件とする)

## 2. 目的・範囲
- 目的:(結合テストの終了基準を満たし、システムテストに進めるかを判断する)
- 範囲:(機能 A〜F の画面・API・バッチの結合)
- 対象外:(性能・負荷はシステムテストで実施。外部決済はモックで代替)

## 3. 実施結果
| 区分 | 件数 | 割合 |
|---|---|---|
| 予定 | ( ) | 100% |
| 実施 | ( ) | ( ) |
|  合格 | ( ) | ( ) |
|  不合格 | ( ) | ( ) |
|  保留(前提が整わず判定できない) | ( ) | ( ) |
| 未実施 | ( ) | ( ) |

## 4. 消化率
- 消化率(実施 ÷ 予定):( )%
- 未実施の内訳と理由:( )

## 5. 不具合の集計
### 5.1 重大度別
| 重大度 | 見つかった | 直した | 未解決 |
|---|---|---|---|
| 重大 | | | |
| 高 | | | |
| 中 | | | |
| 低 | | | |
| 計 | | | |

### 5.2 原因別・機能別
| 原因 | 件数 | 主な例 |
|---|---|---|
| 仕様の誤り・もれ | | |
| 設計の誤り | | |
| 実装の誤り | | |
| テストの誤り(不具合ではない) | | |

### 5.3 密度
| 指標 | 値 | 目標・過去の値 | 判定 |
|---|---|---|---|
| テスト密度(件/KLOC) | | | |
| バグ密度(件/KLOC) | | | |

## 6. 計画との差異
| 計画 | 実際 | 理由 | 影響 |
|---|---|---|---|
| | | | |

## 7. 品質の評価
### 7.1 終了基準ごとの判定
| 終了基準(テスト計画書より) | 結果 | 判定 |
|---|---|---|
| | | |

### 7.2 バグ曲線
- (累積の見つかった件数・直した件数のグラフ)
- 収束の判断:( )

### 7.3 総合評価
- (数字から言えること、弱い機能、追加で行ったテスト)

## 8. 残課題・リスク
| No | 内容 | 影響 | 対応 | 期限 | 担当 |
|---|---|---|---|---|---|
| | | | | | |

## 9. リリース可否の判断
- 判断:( )
- 条件:( )
- 承認:(品質管理責任者 ○○ / 日付)、(プロジェクト責任者 ○○ / 日付)

## 付録
- 教訓(次に生かすこと):( )
- 再利用できるテスト資産:(自動テスト、テストデータ、手順書)

数値の書き方と計算

報告書の数字は、定義(何を何で割ったか)を必ず書きます。 同じ「合格率」でも、分母を「実施した件数」にするか「予定の件数」にするかで値が変わるためです。

計算に使う式

指標 式 単位 何が分かるか
消化率 実施した件数 ÷ 予定の件数 % やり残しの量
合格率 合格 ÷ 実施した件数(または予定) % 結果の良し悪し(分母を明記)
テスト密度 テストケース数 ÷ 規模(KLOC) 件/KLOC テストの量が規模に見合っているか
バグ密度 不具合の件数 ÷ 規模(KLOC) 件/KLOC 不具合の出方が多いか少ないか
未解決の件数 累積の見つかった件数 − 累積の直した件数 件 リリース時に残るもの
直近の新規 直近 N 日に見つかった件数 件 収束しているか

KLOC は千行(Kilo Lines Of Code)です。 規模の数え方(コメント・空行を含むか、自動生成のコードを含むか)は、比べる相手(過去のプロジェクト・社内の基準)とそろえます。指標の一覧と式は、関連記事「品質管理の指標一覧(システム開発)|バグ密度・レビュー指摘密度の計算式」で扱っています。

Python で計算した例

結合テストの例のデータ(規模 24.5 KLOC、テストケース 520件、20営業日)で計算しました。

"""テスト完了報告書の数値を計算する(結合テストの例)"""
import numpy as np
from scipy.optimize import curve_fit

# ---- 入力(テスト進捗管理表・不具合管理表から転記) ----
ksloc = 24.5                      # 対象の規模(千行、コメント・空行を除く)
planned, executed = 520, 512      # 予定・実施したテストケース数
passed, failed, blocked = 498, 9, 5   # 実施 512 件の内訳(blocked は実施したが前提が整わず判定できない)
# 日ごとの不具合の「見つかった件数」と「直した件数」(20営業日)
found  = [3, 5, 8, 9, 7, 8, 6, 5, 4, 4, 3, 2, 3, 1, 2, 1, 0, 1, 0, 0]
closed = [0, 2, 4, 6, 7, 8, 7, 6, 5, 5, 4, 3, 3, 2, 2, 1, 1, 1, 1, 0]
severity = {"重大": 2, "高": 9, "中": 31, "低": 30}   # 見つかった不具合の重大度別

# ---- 消化率・合格率 ----
print(f"消化率(実施 ÷ 予定)        {executed / planned:6.1%}  ({executed}/{planned})")
print(f"合格率(合格 ÷ 実施)        {passed / executed:6.1%}  ({passed}/{executed})")
print(f"合格率(合格 ÷ 予定)        {passed / planned:6.1%}  ({passed}/{planned})")

# ---- 密度 ----
total_bugs = sum(found)
assert total_bugs == sum(severity.values())
print(f"テスト密度                   {planned / ksloc:6.1f} 件/KLOC")
print(f"バグ密度                     {total_bugs / ksloc:6.2f} 件/KLOC  ({total_bugs} 件)")
print(f"テスト1件あたりの不具合      {total_bugs / executed:6.3f} 件")

# ---- 未解決 ----
cum_found, cum_closed = np.cumsum(found), np.cumsum(closed)
print(f"未解決(見つかった − 直した) {cum_found[-1] - cum_closed[-1]} 件")

# ---- 収束の判断(直近5日) ----
last5 = sum(found[-5:])
print(f"直近5日の新規               {last5} 件(全体の {last5 / total_bugs:.1%})")

# ---- 信頼度成長曲線(ゴンペルツ曲線)で、最終的な不具合の数を推定 ----
def gompertz(t, a, b, c):
    return a * np.exp(-b * np.exp(-c * t))

t = np.arange(1, len(found) + 1)
(a, b, c), _ = curve_fit(gompertz, t, cum_found, p0=(cum_found[-1] * 1.1, 5, 0.2), maxfev=10000)
print(f"ゴンペルツ曲線の a(収束値)  {a:.1f} 件 → 今の累積 {cum_found[-1]} 件は推定の {cum_found[-1] / a:.1%}")
print(f"推定の残り                   {a - cum_found[-1]:.1f} 件")
for day in (10, 15, 20):
    print(f"  {day:>2}日目  実際 {cum_found[day - 1]:>2} 件 / 曲線 {gompertz(day, a, b, c):5.1f} 件")

print("累積(見つかった)", cum_found.tolist())
print("累積(直した)    ", cum_closed.tolist())
消化率(実施 ÷ 予定)         98.5%  (512/520)
合格率(合格 ÷ 実施)         97.3%  (498/512)
合格率(合格 ÷ 予定)         95.8%  (498/520)
テスト密度                     21.2 件/KLOC
バグ密度                       2.94 件/KLOC  (72 件)
テスト1件あたりの不具合       0.141 件
未解決(見つかった − 直した) 4 件
直近5日の新規               2 件(全体の 2.8%)
ゴンペルツ曲線の a(収束値)  72.6 件 → 今の累積 72 件は推定の 99.2%
推定の残り                   0.6 件
  10日目  実際 59 件 / 曲線  59.9 件
  15日目  実際 70 件 / 曲線  69.5 件
  20日目  実際 72 件 / 曲線  71.9 件
累積(見つかった) [3, 8, 16, 25, 32, 40, 46, 51, 55, 59, 62, 64, 67, 68, 70, 71, 71, 72, 72, 72]
累積(直した)     [0, 2, 6, 12, 19, 27, 34, 40, 45, 50, 54, 57, 60, 62, 64, 65, 66, 67, 68, 68]
指標 値 書き方の例
消化率 98.5%(512/520) 「消化率 98.5%(512/520件)。未実施 8件は外部連携先の環境が用意できなかったため」
合格率 97.3%(498/512) 「合格率 97.3%(合格 498件 ÷ 実施 512件)」と分母を書く
テスト密度 21.2 件/KLOC 過去の値・社内の基準と並べて書く
バグ密度 2.94 件/KLOC(72件) 同上。高い・低いの理由も書く
未解決 4件 重大度と、リリースまでの対応を書く

バグ密度は、高くても低くても理由を書きます。 高いなら「どの機能に集中したか」、低いなら「テストが足りなかったのではないか(テスト密度・観点の抜け)」を確かめた結果を書きます。数字だけ書いて「問題なし」とすると、レビューで必ず聞かれます。

バグ曲線の収束の判断

バグ曲線は、累積の「見つかった件数」と「直した件数」を日ごとに並べたグラフです。 見つかった件数の線が寝てきて(新しく見つからなくなり)、直した件数の線が追いついていれば、収束に近づいています。

xychart-beta
    title "バグ曲線(累積)"
    x-axis "営業日" [1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 10, 11, 12, 13, 14, 15, 16, 17, 18, 19, 20]
    y-axis "件数" 0 --> 80
    line [3, 8, 16, 25, 32, 40, 46, 51, 55, 59, 62, 64, 67, 68, 70, 71, 71, 72, 72, 72]
    line [0, 2, 6, 12, 19, 27, 34, 40, 45, 50, 54, 57, 60, 62, 64, 65, 66, 67, 68, 68]

上の線が見つかった件数、下の線が直した件数です。この例では、16日目以降はほとんど増えず、20日目で 72件・68件です。

収束の判断は、1つの指標ではなく、次の表を組み合わせて書きます。

見るもの この例の値 判断の書き方の例
直近5日の新規 2件(全体の 2.8%) 「直近5日の新規は 2件で、いずれも重大度『低』」
未解決 4件 「未解決 4件はいずれも中・低。リリース前に 2件を直す」
新規の重大度 終盤は低のみ 「重大・高の新規は 13日目以降 0件」のように書く
曲線との差 推定の 99.2% 下の「信頼度成長曲線」を参照
テストの消化 98.5% 「テストを消化しきって見つからない」のか「テストが進んでいないから見つからない」のかを区別する

「見つからなくなった」のは、テストを流しきったからか、テストが止まっていたからかを分けて書きます。 消化率と並べると区別できます。進み具合の管理とバグ曲線の読み方は、関連記事「テスト進捗管理表テンプレート|消化率の計算とバグ曲線の読み方」で扱っています。

信頼度成長曲線(ゴンペルツ曲線)を使うときの注意

信頼度成長曲線は、累積の不具合の数を S 字の曲線に当てはめ、最終的に見つかる数(収束値)を推定する方法です。 上の計算では、ゴンペルツ曲線の収束値は 72.6件で、今の累積 72件は推定の 99.2% でした。

ただし、終盤まで不具合が見つかり続けているデータでも、曲線は「ほぼ収束」に見えることがあります。 終盤の 5日で 20件見つかり続けたデータで同じ計算をしました。

found = [3, 5, 8, 9, 7, 8, 6, 5, 4, 4, 3, 2, 3, 4, 5, 3, 4, 5, 4, 4]   # 終盤も見つかり続ける
データ 14日目までで推定 17日目までで推定 20日目までで推定 20日目の累積 ÷ 推定
収束した例 70.4件 72.2件 72.6件 99.2%
見つかり続けている例 72.1件 83.4件 99.9件 96.1%

見つかり続けている例でも、20日目の「累積 ÷ 推定」は 96.1% になりました。 一方で、推定の収束値は 3日で 83.4件から 99.9件に動いています。曲線を使うときは、推定の値が日を追って安定しているかも一緒に見て、直近の新規の件数と合わせて判断します。

記入例

上の計算の数字で、主な章を埋めた例です。

## 1. 結論
- リリース可否の判断(案):**条件付きで、システムテストへ進めてよい**
- 理由:終了基準 6 項目中 5 項目を満たした。未達の「全件消化」は、外部連携の 8 件が
  連携先の環境の都合で実施できなかったため。システムテストの初週に実施することを条件とする。

## 3. 実施結果
| 区分 | 件数 | 割合 |
|---|---|---|
| 予定 | 520 | 100% |
| 実施 | 512 | 98.5% |
|  合格 | 498 | 95.8%(予定比)/ 97.3%(実施比) |
|  不合格 | 9 | 1.8%(実施比) |
|  保留 | 5 | 1.0%(実施比) |
| 未実施 | 8 | 1.5% |

## 5.1 重大度別
| 重大度 | 見つかった | 直した | 未解決 |
|---|---|---|---|
| 重大 | 2 | 2 | 0 |
| 高 | 9 | 9 | 0 |
| 中 | 31 | 29 | 2 |
| 低 | 30 | 28 | 2 |
| 計 | 72 | 68 | 4 |

## 5.3 密度
| 指標 | 値 | 目標・過去の値 | 判定 |
|---|---|---|---|
| テスト密度 | 21.2 件/KLOC | 目標 20 以上 | 満たす |
| バグ密度 | 2.94 件/KLOC | 過去 3 案件 2.1〜3.4 | 範囲内 |

## 7.1 終了基準ごとの判定
| 終了基準(テスト計画書 TP-001 4.2 節) | 結果 | 判定 |
|---|---|---|
| 予定のテストケースを全件消化 | 98.5%(未実施 8 件) | **未達**(条件付きで可) |
| 重大・高の未解決が 0 件 | 0 件 | 満たす |
| 中・低の未解決は対応方針が決まっている | 4 件すべて方針あり | 満たす |
| 直近 5 日の新規が 3 件以下 | 2 件(いずれも低) | 満たす |
| テスト密度が 20 件/KLOC 以上 | 21.2 | 満たす |
| バグ密度が過去の範囲内 | 2.94(範囲 2.1〜3.4) | 満たす |

## 7.3 総合評価
- 不具合 72 件のうち 28 件(39%)が機能 C(請求計算)に集中した。
  原因は仕様の読み違い(端数処理)で、機能 C は観点を追加して 36 件のテストを追加実施し、
  追加分で新たな不具合は見つかっていない。
- 16 日目以降の新規は 2 件で、いずれも重大度「低」(画面の文言)。

## 8. 残課題・リスク
| No | 内容 | 影響 | 対応 | 期限 | 担当 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 外部連携 8 件が未実施 | 連携の不具合が残る可能性 | システムテスト初週に実施 | 10/16 | 佐藤 |
| 2 | 未解決の中 2 件(BUG-061, 066) | 一覧画面の並び順が一部違う | リリース前に修正 | 10/20 | 田中 |
| 3 | 未解決の低 2 件(BUG-070, 072) | 文言の誤り | 次の版で修正(利用者へ周知) | 11/30 | 田中 |

「総合評価」には、数字から読み取ったこと(どこに集中したか、なぜか、何をしたか)を書きます。 「品質は良好と判断する」だけでは、読む人が判断の根拠を確かめられません。

レビューでよく指摘される点

指摘 よくある書き方 直し方
分母が分からない 「合格率 97%」 「合格 498 ÷ 実施 512 = 97.3%」と式と件数を書く
結論が最後にある 結果の表から始まる 1章に結論(リリース可否の案) を書く
「問題なし」の根拠が無い 「品質は良好」 終了基準ごとに、結果と判定を表で書く
未実施の理由が無い 「未実施 8件」 理由・影響・いつ実施するかを書く
対象外が書かれていない 範囲だけ書く テストしなかった範囲と、その理由を書く
密度を比べていない 「バグ密度 2.94」だけ 目標・過去の値と並べ、高い・低いの理由を書く
未解決の扱いが曖昧 「残り4件は対応中」 重大度・影響・期限・担当を表にする
不具合でないものが混ざる テストの誤りも件数に入れる 原因別の集計で「テストの誤り」を分ける
計画との差異が無い 計画どおりのように書く 期間・範囲・環境の変更と、その影響を書く
承認者が無い 作成者だけ 判断した人・日付を残す

計画書に書いた終了基準と、報告書の判定の表が1対1で対応しているかを、最後に見比べます。計画書の終了基準の書き方は、関連記事「テスト計画書の書き方と項目一覧|開始基準・終了基準のテンプレート」で扱っています。

よくある質問

Q. テスト完了報告書とテスト結果報告書は違うものですか? A. 呼び方の違いで、中身はほぼ同じです。IEEE 829 では「テストサマリー報告書(Test Summary Report)」、ISO/IEC/IEEE 29119-3 や JSTQB では「テスト完了報告書(テスト完了レポート)」と呼びます。テスト中に定期的に出すものは「テスト進捗報告書」で、別のものです。

Q. 終了基準を満たしていないと、リリースできませんか? A. 判断するのは、報告書を受け取る人(品質管理の責任者・発注者など)です。報告書では、満たしていない基準・理由・影響・条件を示し、判断に要る材料をそろえます。「条件付きで可」とする場合は、条件と期限を書きます。

Q. 自動テストの結果はどう書きますか? A. 手で行ったテストと分けて、件数・成功・失敗と、どの CI の実行の結果か(日時・コミット)を書きます。どこまでを自動テストで確かめたかを範囲の章に書くと、二重に数えずに済みます。

Q. 受入テストやシステムテストでも同じ形で使えますか? A. 使えます。終了基準と、範囲(業務シナリオ・非機能)の書き方が変わります。システムテストの観点は、関連記事「システムテストとは|結合テストとの違いと観点一覧」で、受入テストは「受入テストの観点チェックリストとUATシナリオの書き方」で扱っています。

まとめ

  • テスト完了報告書は 「終了基準を満たしたか」「残ったリスク」「リリース可否」 を判断する人に渡す文書
  • 項目は IEEE 829 のテストサマリー報告書・ISO/IEC/IEEE 29119-3 のテスト完了報告書と対応させると抜けが減る
  • 結論は1章に。数字には式と分母を書く(例:合格 498 ÷ 実施 512 = 97.3%)
  • バグ密度・テスト密度は、目標・過去の値と並べて、理由まで書く
  • バグ曲線の収束は 直近の新規・未解決・重大度・消化率を組み合わせて判断する
  • ゴンペルツ曲線は、見つかり続けているデータでも「96%」に見えることがある。推定の値が安定しているかも見る
  • 残課題は 内容・影響・対応・期限・担当 の表にする

参考・出典

確認日はいずれも 2026年10月13日です。

  • University of Otago「IEEE Software Test Documentation, a summary」(IEEE 829 のテストサマリー報告書の項目):https://www.cs.otago.ac.nz/cosc345/lecs/lec22/testplan.htm
  • Wikipedia「Software test documentation」(IEEE 829-2008 と ISO/IEC/IEEE 29119-3):https://en.wikipedia.org/wiki/Software_test_documentation
  • The University of Edinburgh「ISO 29119-3 Overview」(テスト完了報告書の見出し):https://opencourse.inf.ed.ac.uk/sites/default/files/https/opencourse.inf.ed.ac.uk/st/2024/iso-29119-3-examples.pdf
  • ANSI Webstore「ISO/IEC/IEEE 29119-3:2013 プレビュー」(目次):https://webstore.ansi.org/preview-pages/ISO/preview_ISO+IEC+IEEE+29119-3-2013.pdf
  • ISTQB「Certified Tester Foundation Level Syllabus v4.0.1」:https://istqb.org/wp-content/uploads/2024/11/ISTQB_CTFL_Syllabus_v4.0.1.pdf
  • JSTQB「シラバス・用語集」:https://jstqb.jp/syllabus.html
  • SciPy ドキュメント「scipy.optimize.curve_fit」:https://docs.scipy.org/doc/scipy/reference/generated/scipy.optimize.curve_fit.html

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