- マネジメント
損益分岐点の計算方法|限界利益率とエクセル式
損益分岐点売上高は、利益がちょうど 0 になる売上高です。 これより売上が多ければ黒字、少なければ赤字です。
損益分岐点売上高 = 固定費 ÷ 限界利益率
限界利益率 =(売上高 − 変動費)÷ 売上高 = 1 − 変動費率
中小企業基盤整備機構の J-Net21 でも、同じ2つの式(固定費 ÷ 限界利益率、固定費 ÷(1 − 変動費比率))で説明されています。
| 用語 | 意味(J-Net21 の説明) | IT サービスの会社の例 |
|---|---|---|
| 変動費 | 売上に比例してかかる費用 | 外注費、仕入れたライセンス |
| 固定費 | 売上にかかわらず一定にかかる費用 | 正社員の給与、事務所の家賃 |
| 限界利益 | 売上 − 変動費 | 固定費を回収するための利益 |
数値の例は架空の数字です。計算は Python 3.11 で検算しました(確認日 2026年10月11日)。
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(記載例)出典:株式会社RJC「損益分岐点の計算方法|限界利益率とエクセル式」
計算例
例(架空):売上高 1億円、変動費(外注費など)4,000万円、固定費 5,000万円
| 項目 | 計算 | 結果 |
|---|---|---|
| 限界利益 | 1億 − 4,000万 | 6,000万円 |
| 限界利益率 | 6,000万 ÷ 1億 | 60% |
| 損益分岐点売上高 | 5,000万 ÷ 60% | 約 8,333万円 |
| 安全余裕率 | (1億 − 8,333万)÷ 1億 | 16.7% |
| 営業利益 | 6,000万 − 5,000万 | 1,000万円 |
安全余裕率 16.7% は、「売上が 16.7% 下がると赤字になる」という意味です。景気や大口の取引先の動きで、どこまで売上が下がっても耐えられるかの目安になります。
目標利益から、必要な売上を逆算する
必要な売上高 =(固定費 + 目標利益)÷ 限界利益率
| 目標の利益 | 必要な売上高 |
|---|---|
| 0円(損益分岐点) | 約 8,333万円 |
| 1,000万円 | (5,000万 + 1,000万)÷ 60% = 1億円 |
| 2,000万円 | (5,000万 + 2,000万)÷ 60% = 約 1億1,667万円 |
エクセルの式
| セル | 内容 | 式 |
|---|---|---|
| B1 | 売上高 | (入力) |
| B2 | 変動費 | (入力) |
| B3 | 固定費 | (入力) |
| B4 | 目標利益 | (入力) |
| B5 | 限界利益 | =B1-B2 |
| B6 | 限界利益率 | =B5/B1 |
| B7 | 損益分岐点売上高 | =B3/B6 |
| B8 | 安全余裕率 | =(B1-B7)/B1 |
| B9 | 目標利益に必要な売上高 | =(B3+B4)/B6 |
| B10 | 判定 | =IF(B1>=B7,"黒字","赤字") |
B6・B8 はパーセント表示にします。限界利益率が 0 以下(変動費が売上以上)のときは、いくら売っても固定費を回収できないので、B7 は意味のない値になります。
固定費と変動費の分け方で、結果が変わる
同じ会社でも、費用をどちらに分けるかで、損益分岐点が変わります。
| 分け方 | 変動費 | 固定費 | 限界利益率 | 損益分岐点 |
|---|---|---|---|---|
| A:人件費をすべて固定費 | 4,000万 | 5,000万 | 60% | 約 8,333万円 |
| B:人件費のうち 1,000万を変動費 | 5,000万 | 4,000万 | 50% | 8,000万円 |
B では、損益分岐点が約 333万円下がりました。 売上に合わせて増減させられる費用(案件ごとに増減する人員の費用など)をどう扱うかで、結果が変わります。どちらが正しいかではなく、実態に合わせて決め、毎回同じ分け方で計算することが大切です。
人件費が中心の IT サービスの会社での考え方
| 特徴 | 損益分岐点への影響 |
|---|---|
| 費用の多くが人件費(固定費になりやすい) | 限界利益率は高いが、固定費が大きい |
| 人が稼働していないと、売上が立たない | 稼働が下がると、固定費だけが残る |
| 外注を使う | 外注費は変動費。限界利益率は下がるが、固定費は増えない |
正社員中心の体制は、売上が損益分岐点を超えると利益が大きく伸びますが、下回ると赤字も早く広がります。 採用で固定費を増やす前に、増やした固定費を回収するのに必要な売上(= 増える固定費 ÷ 限界利益率)を計算しておくと、判断がしやすくなります。
(例)年間の人件費が 600万円増える場合
必要な売上の増加 = 600万 ÷ 60% = 1,000万円
よくある質問
Q. 限界利益と粗利は同じですか。 A. 似ていますが、粗利は「売上 − 売上原価」で、売上原価には固定的な費用が含まれることがあります。限界利益は「売上 − 変動費」です。損益分岐点の計算には限界利益を使います。
Q. 広告の損益分岐の計算とは関係がありますか。 A. 考え方は同じです。広告では「損益分岐の ROAS = 1 ÷ 粗利率」で計算します。関連記事の「ROASの計算方法|ROI・CPAとの違いと損益分岐」で扱っています。
まとめ
- 損益分岐点売上高 = 固定費 ÷ 限界利益率
- 安全余裕率は、売上がどこまで下がっても赤字にならないかの目安
- 必要な売上 =(固定費 + 目標利益)÷ 限界利益率
- 固定費と変動費の分け方で結果が変わる。毎回同じ分け方で
- 人件費が中心の会社は、固定費を増やす前に、回収に必要な売上を計算する
参考・出典
確認日はいずれも 2026年10月11日です。
- J-Net21(中小企業基盤整備機構、損益分岐点売上高の解説):https://j-net21.smrj.go.jp/startup/manual/list5/5-2-9.html
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(記載例)出典:株式会社RJC「損益分岐点の計算方法|限界利益率とエクセル式」
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