- マネジメント
TAM・SAM・SOMの計算方法|市場規模の出し方
TAM・SAM・SOM は、市場の大きさを3段階に分けて表す考え方です。
| 段階 | 意味 | 問い |
|---|---|---|
| TAM(Total Addressable Market) | その製品が対象にできる市場の全体 | 全員が買ったら、いくらになるか |
| SAM(Serviceable Available Market) | 自社の製品・売り方で届けられる範囲 | 対象の業種・規模・地域に絞ると、いくらか |
| SOM(Serviceable Obtainable Market) | 一定の期間で実際に獲得できる見込み | 3年でどこまで取れるか |
事業計画で大切なのは TAM の大きさより、SOM の根拠です。SOM は、上から絞る計算(トップダウン)と、下から積み上げる計算(ボトムアップ)の両方で出して、差を確かめます。
計算例の単価・割合は架空の数字です。企業数は中小企業庁の公表値を使いました。計算は Python 3.11 で検算しました(確認日 2026年10月11日)。
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(記載例)出典:株式会社RJC「TAM・SAM・SOMの計算方法|市場規模の出し方」
計算例:中小企業向けの業務システム(月額1万円)
使う数字
| 数字 | 値 | 出典 |
|---|---|---|
| 中小企業の数 | 336.5万者 | 中小企業庁(2021年6月1日時点、経済センサス‐活動調査) |
| うち小規模事業者 | 285.3万者 | 同上 |
| 中規模の企業(小規模事業者を除く) | 336.5万 − 285.3万 = 51.2万者 | 上の差 |
| 年間の単価 | 1万円 × 12か月 = 12万円 | 架空 |
トップダウン(上から絞る)
| 段階 | 計算 | 結果 |
|---|---|---|
| TAM | 中小企業 336.5万者 × 12万円 | 約 4,038 億円 |
| SAM | 中規模の企業 51.2万者 × 12万円(小規模事業者は対象外とした) | 約 614 億円 |
| SOM | SAM × 3年で取れる割合 1%(仮定) | 約 6.1 億円 |
ボトムアップ(下から積み上げる)
| 項目 | 値 |
|---|---|
| 営業1人が1年で獲得できる会社数 | 60社(仮定) |
| 営業の人数 | 10人 |
| 期間 | 3年 |
| 獲得できる会社数 | 60 × 10 × 3 = 1,800社 |
| SOM(年間の売上) | 1,800社 × 12万円 = 約 2.2 億円 |
2つの計算で差が出たときの見方
| 計算 | 3年後の SOM |
|---|---|
| トップダウン(SAM の 1%) | 約 6.1 億円 |
| ボトムアップ(営業の体制から) | 約 2.2 億円 |
同じ市場で、約3倍の差が出ました。 トップダウンの「1%」は、根拠を説明しにくい数字です。ボトムアップの計算で、1% を取るには何人の営業が必要かを逆算すると、計画の無理が見えます。
SAM の 1% = 51.2万者 × 1% = 5,120社
5,120社 ÷(60社 × 3年)= 約 28人の営業が必要
| 差が出たときに確かめること | 内容 |
|---|---|
| トップダウンの割合の根拠 | 似た製品の普及の速さ、競合の数 |
| ボトムアップの前提 | 1人あたりの獲得数、解約、営業以外の獲得(紹介・広告) |
| どちらに合わせるか | 投資の判断はボトムアップ(実行できる計画)に合わせる |
スプレッドシートの式
| セル | 内容 | 式 |
|---|---|---|
| B1 | 対象の企業数(全体) | (入力) |
| B2 | 対象の企業数(届けられる範囲) | (入力) |
| B3 | 年間の単価 | (入力) |
| B4 | 獲得できる割合 | (入力) |
| B5 | TAM | =B1*B3 |
| B6 | SAM | =B2*B3 |
| B7 | SOM(トップダウン) | =B6*B4 |
| B8 | 営業1人の年間獲得数 | (入力) |
| B9 | 営業の人数 | (入力) |
| B10 | 年数 | (入力) |
| B11 | SOM(ボトムアップ) | =B8*B9*B10*B3 |
| B12 | 必要な営業の人数(トップダウンを取るには) | =B2*B4/(B8*B10) |
数字を集めるときの注意
| 注意 | 内容 |
|---|---|
| 出典と時点を書く | 「中小企業庁、2021年6月1日時点」のように |
| 「企業」と「事業所」を混ぜない | 統計によって数え方が違う |
| 調査会社の市場規模の数字 | 何を含むか(ハード・サービスなど)の定義を確かめる |
| 単価 | 自社の価格表、または競合の公開価格から |
統計の数字は「何を数えたか」で大きく変わります。 中小企業庁の数字にも、農林漁業などを含まないといった対象の範囲の定義があります。使う前に、数字の説明を読みます。
よくある質問
Q. 社内の新規事業の審査では、どこまで示せばよいですか。 A. TAM の大きさより、SOM をボトムアップで出した根拠(何社に、いくらで、何人で売るか)が問われます。トップダウンとの差と、その理由も添えると議論がかみ合います。
Q. 市場規模が分からない、まったく新しい市場はどうしますか。 A. 「その課題を持つ人・会社の数 × 払ってよい金額」を、インタビューや試作への反応から積み上げます。課題の検証の進め方は、関連記事の「PSFとPMFの違い|検証の順番と判断基準」で扱っています。
まとめ
- TAM は全体、SAM は届けられる範囲、SOM は実際に取れる見込み
- 中小企業 336.5万者 × 年12万円で TAM 約 4,038億円(例)
- トップダウン 6.1億円・ボトムアップ 2.2億円のように、2つで計算して差を見る
- SAM の 1% を取るには、約 28人の営業が必要、と逆算すると計画の無理が見える
- 統計は出典・時点・何を数えたかを確かめる
参考・出典
確認日はいずれも 2026年10月11日です。
- 中小企業庁(中小企業・小規模事業者の数、2021年6月時点の集計結果):https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/chousa/chu_kigyocnt/2023/231213chukigyocnt.html
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(記載例)出典:株式会社RJC「TAM・SAM・SOMの計算方法|市場規模の出し方」
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