LTV(Life Time Value:顧客生涯価値)は1人の顧客が取引の間にもたらす価値、CAC(Customer Acquisition Cost:顧客獲得費用)は1人の顧客を獲得するのにかかった費用です。 2つを比べて、1人の顧客あたりで採算が取れているかを見るのが、ユニットエコノミクスです。

指標 計算式(継続課金の場合)
LTV(粗利ベース) 月の平均単価 × 粗利率 ÷ 月の解約率
LTV(売上ベース) 月の平均単価 ÷ 月の解約率
CAC 獲得にかかった費用(広告・営業など)÷ 獲得した顧客数
CAC の回収期間 CAC ÷(月の平均単価 × 粗利率)
目安 内容
LTV ÷ CAC が 3 より大きい David Skok「SaaS Metrics 2.0」:よい SaaS の会社は LTV/CAC が 3 より大きい
CAC の回収が 12か月以内 同:回収が 12か月を超えると、採算が弱くなる

数値の例は架空の数字です。計算は Python 3.11 で検算しました(確認日 2026年10月11日)。

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(記載例)出典:株式会社RJC「LTVとCACの計算方法|ユニットエコノミクス」

売上ベースと粗利ベースで、LTV が大きくずれる

例(架空):月の平均単価 30,000円、粗利率 70%、月の解約率 2%、CAC 600,000円

計算 LTV LTV ÷ CAC
売上ベース(30,000 ÷ 0.02) 1,500,000 円 2.5
粗利ベース(30,000 × 0.7 ÷ 0.02) 1,050,000 円 1.75

同じ顧客でも、どちらで計算するかで LTV/CAC が 2.5 と 1.75 に分かれました。 CAC は「費用」なので、比べる LTV も費用を引いた粗利ベースで計算するのが筋です。売上ベースで「3倍近いから大丈夫」と判断すると、実際の採算を見誤ります。社内で LTV を報告するときは、どちらの式かを必ず添えます。

「÷ 解約率」の意味

月の解約率 2% なら、平均の継続期間は 1 ÷ 0.02 = 50か月として計算しています。解約率が毎月同じ、という前提の式です。サービスを始めたばかりで解約率が安定していないときは、LTV が大きくぶれます。

CAC に含める費用

含める 含めるか決める 含めない
広告費 営業・マーケティングの人件費 既存の顧客のサポート費用
展示会・イベントの費用 ツールの費用(MA・CRM) 製品の開発費
紹介の報酬 無料の試用にかかる費用 —

広告費だけで計算した CAC は、人件費を含めた CAC より大幅に小さくなります。 営業の人件費が大きい BtoB では、含めるかどうかで判断が変わるので、範囲を決めて毎回そろえます。

CAC の回収期間

CAC の回収期間 = CAC ÷(月の平均単価 × 粗利率)
= 600,000 ÷(30,000 × 0.7)= 28.6 か月

この例では、1人の顧客の獲得費用を回収するのに約 29か月かかります。 Skok の目安(12か月以内)を大きく超えており、顧客が増えるほど先に費用が出ていき、資金が必要になります。

改善の方向 例
CAC を下げる 紹介・自然検索を増やす、営業の効率を上げる
単価を上げる 上位の料金、追加の機能
粗利率を上げる 提供の費用を下げる
解約率を下げる 導入の支援、使われ方の確認

スプレッドシートの式

セル 内容 式
B1 月の平均単価 (入力)
B2 粗利率 (入力、例:0.7)
B3 月の解約率 (入力、例:0.02)
B4 CAC (入力)
B5 LTV(粗利ベース) =B1*B2/B3
B6 LTV ÷ CAC =B5/B4
B7 CAC の回収期間(月) =B4/(B1*B2)
B8 判定 =IF(AND(B6>3,B7<=12),"良好","要改善")

受託開発・保守契約での考え方

継続課金でなくても、継続する取引なら同じ考え方が使えます。

保守契約の LTV(粗利ベース)= 月額 × 粗利率 × 平均の継続月数
(例:月額 50万円 × 粗利率 30% × 60か月 = 900万円)
項目 受託開発・保守での考え方
LTV 最初の開発+保守+追加の改修の粗利の合計
CAC 提案・見積もり・営業にかかった人件費(失注した案件の分も含める)
解約率 保守契約の更新されなかった割合

失注した提案の費用も CAC に含めるのがポイントです。受注した案件の費用だけで計算すると、CAC が小さく見えます。

よくある質問

Q. LTV/CAC が高すぎるのも問題ですか。 A. Skok の記事では、3 より大きいことが目安とされ、7〜8 に達する会社もあると紹介されています。高い場合に獲得の費用をどこまで増やすかは、資金と成長の目標を見た経営の判断になります。

Q. 解約率の計算方法は。 A. 月次と年次の換算や、顧客数と売上の違いで値が変わります。関連記事の「チャーンレートの計算方法|月次と年次の換算」で扱っています。

まとめ

  • LTV は1人の顧客の価値、CAC は1人の獲得費用。比べて採算を見る
  • LTV は粗利ベースで計算する(売上ベースだと 2.5 倍が、粗利ベースで 1.75 倍に)
  • 目安は LTV/CAC が 3 より大きい、CAC の回収が 12か月以内(David Skok)
  • CAC に含める費用の範囲(人件費・失注の分)を決めてそろえる
  • 受託開発・保守契約でも、継続する取引の粗利で LTV を考えられる

参考・出典

確認日はいずれも 2026年10月11日です。

  • David Skok「SaaS Metrics 2.0 – A Guide to Measuring and Improving what Matters」(For Entrepreneurs):https://www.forentrepreneurs.com/saas-metrics-2/

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(記載例)出典:株式会社RJC「LTVとCACの計算方法|ユニットエコノミクス」

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