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日時が9時間ずれる原因と直し方|Java・JS・MySQL・PG・Docker
日時がちょうど9時間ずれるのは、日本時間(JST=UTC+9)とUTC(協定世界時)がどこかで入れ替わっているからです。 原因は次の2つのどちらかに分けられます。
- どこかの層がUTCで動いている(サーバー・コンテナ・JVM・DBの設定がUTCのまま)
- UTCの値をJSTとして、またはJSTの値をUTCとして読んでいる(タイムゾーンを持たない型で受け渡し、受け取った側が別のタイムゾーンで解釈した)
日時は「OS → コンテナ → アプリ(Java・Python・Node.js)→ ドライバ(JDBC など)→ DB → JSON → ブラウザ」と何層も通るため、どの層でずれたかを見つけることが一番の近道です。この記事では、各層でずれを実際に起こし、出た値と直し方を並べました。
確認環境:Ubuntu 24.04(OSのタイムゾーンはUTC)、OpenJDK 21.0.10、PostgreSQL 16.15+PostgreSQL JDBC Driver 42.7.2、MySQL 8.0.46、Node.js 22、Python 3.13、Docker 29.4.3(確認日 2026年10月10日)。MySQL Connector/J の設定は、MySQL公式マニュアルと Connector/J 9.7.0 のソースに書かれた既定値で確認しています。
ずれの向きで原因を絞る
| 症状 | 起きていること | 主な原因 |
|---|---|---|
| 9時間遅い(20:00のはずが11:00) | UTCの時刻をそのまま表示している | サーバー・コンテナ・JVM・DBセッションがUTC(例1〜4) |
| 9時間進む(09:00のはずが18:00) | JSTの値をUTCとみなして、さらにJSTへ変換した(二重変換) | MySQLのTIMESTAMPをセッションのタイムゾーンを変えて読んだ、ドライバとDBの設定の食い違い(例3・5) |
| 日付が1日前になる(10/10が10/09) | 0時〜8時59分のJSTをUTCの文字列にして日付を切り出した | JavaScriptの toISOString()、JSONの Z(例7) |
| 日付だけの値が9:00になる | '2026-10-10' がUTCの0時として読まれた |
JavaScriptの new Date('2026-10-10')(例7) |
| ログの時刻だけ9時間遅い | ログ出力の時刻はJVMやOSのタイムゾーンを使う | JVM・コンテナがUTC(例1・2) |
本記事の内容は、ご自由にお使いください。
ご利用の際は、出典として本ページへのリンクを記載いただけますようお願いします。
(記載例)出典:株式会社RJC「日時が9時間ずれる原因と直し方|Java・JS・MySQL・PG・Docker」
まず3か所の「今の時刻」を並べる
どの層がUTCで動いているかは、同じ瞬間に3か所の時刻を出すと分かります。
| 層 | 確認コマンド | JSTならこう出る |
|---|---|---|
| OS・コンテナ | date(Windowsは tzutil /g) |
JST と表示される |
| Java | 例2の Now.java を java Now.java で実行 |
default zone : Asia/Tokyo |
| MySQL | SELECT @@global.time_zone, @@system_time_zone, @@session.time_zone, NOW(); |
NOW() が今の日本時間 |
| PostgreSQL | SHOW TimeZone; SELECT now(); |
Asia/Tokyo と +09 |
| Node.js | node -e "console.log(Intl.DateTimeFormat().resolvedOptions().timeZone)" |
Asia/Tokyo |
3か所のうち1か所だけUTCなら、そこが原因です。 すべてJSTなのにずれる場合は、値の受け渡し(型・ドライバ・JSON)でずれています(例5・7)。
例1:サーバー・コンテナのタイムゾーンがUTC
クラウドのサーバーやDockerのコンテナは、既定でUTCです。この記事の確認環境も、OSのタイムゾーンは Etc/UTC です。
$ cat /etc/timezone
Etc/UTC
Dockerコンテナで再現
タイムゾーンのデータ(tzdata)が入っていない小さなイメージで、設定を変えて date と Java の時刻を出しました(20:55 JST に実行)。
| 指定の仕方 | date の結果 |
Java の既定のタイムゾーン |
|---|---|---|
| 何も指定しない | 11:55:29 UTC(9時間遅い) |
GMT(9時間遅い) |
-e TZ=Asia/Tokyo |
11:55:30 Asia(9時間遅いまま) |
Asia/Tokyo(正しい) |
-e TZ=Asia/Tokyo + zoneinfo をマウント |
20:55:31 JST(正しい) |
― |
/etc/localtime だけマウント |
20:55:31 JST(正しい) |
GMT(9時間遅いまま) |
$ docker run --rm -e TZ=Asia/Tokyo tzdemo:1 date
Sat Oct 10 11:55:30 Asia 2026 ← tzdata が無いので Asia/Tokyo を解釈できず UTC のまま
$ docker run --rm -e TZ=Asia/Tokyo tzdemo:1 java -cp / Now
default zone : Asia/Tokyo
LocalDateTime : 2026-10-10T20:55:30.891036748 ← Java は自前のデータを持つので正しい
ここから分かることは2つです。
TZ環境変数は、イメージに tzdata が入っていないとdateやC言語系のプログラム(MySQL・PostgreSQL のサーバーなど)には効かない。Java は自前のタイムゾーンデータを持っているのでTZだけで効きます/etc/localtimeのマウントだけでは Java に効かないことがある。Java は Linux で、環境変数TZや/etc/localtimeのリンク先のファイル名からタイムゾーン名を決めます。リンクではなくファイルとしてマウントされ、比べる先の/usr/share/zoneinfoもイメージに無かったため、名前を決められず GMT になりました
直し方:Dockerfile で tzdata を入れて TZ を指定するのが確実です。
# Debian・Ubuntu 系
RUN apt-get update && apt-get install -y --no-install-recommends tzdata && rm -rf /var/lib/apt/lists/*
ENV TZ=Asia/Tokyo
# Alpine 系
RUN apk add --no-cache tzdata
ENV TZ=Asia/Tokyo
# docker compose
services:
app:
environment:
TZ: Asia/Tokyo
db:
image: mysql:8.4
environment:
TZ: Asia/Tokyo
サーバー(VM)なら sudo timedatectl set-timezone Asia/Tokyo で変えられます。ただし、サーバーをUTCのまま運用し、アプリ側で表示のときだけJSTにする方針もよく採られます(後の「保存と表示の決め方」を参照)。
例2:JavaのタイムゾーンがUTC
Java の LocalDateTime.now() や new Date() は、JVMの既定のタイムゾーンの時刻を返します。同じプログラムを、TZ を変えて実行しました。
import java.time.*;
public class Now {
public static void main(String[] args) {
System.out.println("default zone : " + ZoneId.systemDefault());
System.out.println("LocalDateTime : " + LocalDateTime.now());
System.out.println("Instant : " + Instant.now());
System.out.println("Tokyo : " + ZonedDateTime.now(ZoneId.of("Asia/Tokyo")));
System.out.println("java.util.Date: " + new java.util.Date());
}
}
--- TZ=UTC
default zone : UTC
LocalDateTime : 2026-10-10T11:53:01.631682415 ← 9時間遅い
Instant : 2026-10-10T11:53:01.631842577Z ← Instant は常にUTC(正しい)
Tokyo : 2026-10-10T20:53:01.642927670+09:00[Asia/Tokyo]
java.util.Date: Sat Oct 10 11:53:01 UTC 2026
--- TZ=UTC で -Duser.timezone=Asia/Tokyo を付けた
default zone : Asia/Tokyo
LocalDateTime : 2026-10-10T20:53:01.889099354 ← 正しい
直し方は3通りです。上ほど影響範囲が広くなります。
| 方法 | 書き方 | 向いている場面 |
|---|---|---|
| JVMの起動オプション | java -Duser.timezone=Asia/Tokyo -jar app.jar |
サーバーやコンテナの設定を変えられないとき |
| 環境変数 | TZ=Asia/Tokyo(コンテナなら ENV TZ=Asia/Tokyo) |
JVM以外(ログ収集など)もそろえたいとき |
| コードで明示 | LocalDateTime.now(ZoneId.of("Asia/Tokyo")) |
実行環境に左右されたくない処理(締め時刻の判定など) |
-Duser.timezone を付けられないときは、環境変数 JAVA_TOOL_OPTIONS=-Duser.timezone=Asia/Tokyo でも同じ指定ができます。Instant と OffsetDateTime・ZonedDateTime は瞬間を表すのでずれません。ずれるのは、タイムゾーンを持たない LocalDateTime と、表示のときにJVMのタイムゾーンを使う java.util.Date・java.sql.Timestamp です。
例3:MySQLのDATETIMEとTIMESTAMPで9時間ずれる
MySQL の時刻は、セッションの time_zone で決まります。既定は SYSTEM(OSのタイムゾーン)なので、OSがUTCならUTCです。
mysql> SELECT @@global.time_zone, @@system_time_zone, @@session.time_zone;
+--------------------+--------------------+---------------------+
| SYSTEM | UTC | SYSTEM |
+--------------------+--------------------+---------------------+
mysql> SELECT NOW();
| 2026-10-10 11:52:47 | ← 9時間遅い
さらに、TIMESTAMP 型はセッションのタイムゾーンで変換され、DATETIME 型は変換されません。UTCのセッションで2つの型に同じ値を入れ、セッションを +09:00 にして読み直すと、TIMESTAMP だけ9時間進みます。
CREATE TABLE t (id INT PRIMARY KEY, dt DATETIME, ts TIMESTAMP);
INSERT INTO t VALUES (1, '2026-10-10 09:00:00', '2026-10-10 09:00:00'); -- セッションはUTC
SET time_zone = '+09:00';
SELECT id, dt, ts FROM t;
+----+---------------------+---------------------+
| id | dt | ts |
+----+---------------------+---------------------+
| 1 | 2026-10-10 09:00:00 | 2026-10-10 18:00:00 | ← TIMESTAMP だけ +9時間
+----+---------------------+---------------------+
| 型 | 保存のしかた | セッションのタイムゾーンを変えると |
|---|---|---|
DATETIME |
見たままの値を保存 | 変わらない |
TIMESTAMP |
セッションのタイムゾーン→UTCに変換して保存 | 読むときにセッションのタイムゾーンへ変換される |
アプリとバッチでDB接続のタイムゾーンが違う、移行の前後でサーバーの設定が違う、といったときに「片方の画面だけ9時間ずれる」が起きます。
Asia/Tokyo を指定するとエラーになる
mysql> SET time_zone = 'Asia/Tokyo';
ERROR 1298 (HY000): Unknown or incorrect time zone: 'Asia/Tokyo'
MySQL は、タイムゾーンのテーブルを読み込むまで Asia/Tokyo のような名前を使えません('+09:00' のような時差の指定は使えます)。Linux なら次のコマンドで読み込み、MySQL を再起動します。
mysql_tzinfo_to_sql /usr/share/zoneinfo | mysql -u root -p mysql
mysql> SET time_zone = 'Asia/Tokyo';
mysql> SELECT @@session.time_zone, NOW();
| Asia/Tokyo | 2026-10-10 20:52:54 |
直し方:サーバー全体をJSTにするなら、設定ファイルに書きます。
[mysqld]
default-time-zone = '+09:00'
日本には夏時間が無いので、'+09:00' で困ることはありません。タイムゾーンのテーブルを読み込んであれば 'Asia/Tokyo' とも書けます。Amazon RDS・Aurora はパラメータグループの time_zone で指定します。
例4:PostgreSQLのTimeZoneがUTC
PostgreSQL も、セッションの TimeZone で表示が変わります。timestamptz(timestamp with time zone)はUTCで保存され、表示のときにセッションのタイムゾーンに変換されます。
tzdemo=# SHOW TimeZone;
Etc/UTC
tzdemo=# SELECT id, ts, tstz FROM t;
id | ts | tstz
----+---------------------+------------------------
1 | 2026-10-10 09:00:00 | 2026-10-10 00:00:00+00 ← 日本時間 9:00 が UTC の 0:00 で表示される
tzdemo=# SET TIME ZONE 'Asia/Tokyo';
tzdemo=# SELECT id, ts, tstz FROM t;
1 | 2026-10-10 09:00:00 | 2026-10-10 09:00:00+09
timestamp(without time zone)の列には注意が要ります。'2026-10-10 09:00:00+09' と時差付きで入れても、時差は黙って捨てられます(id=2 の行で確認しました)。
直し方:データベース単位でタイムゾーンを決めておくと、接続するすべてのクライアントに効きます。
ALTER DATABASE tzdemo SET timezone TO 'Asia/Tokyo'; -- 次の接続から有効
サーバー全体なら postgresql.conf の timezone = 'Asia/Tokyo' です。
例5:JDBCドライバで9時間ずれる(Java+DB)
Java から DB に接続すると、JVMのタイムゾーンがDBのセッションにも影響します。PostgreSQL JDBC Driver は、接続時に JVM のタイムゾーンをセッションの TimeZone に設定します。同じプログラムを TZ だけ変えて実行しました。
try (Connection c = DriverManager.getConnection("jdbc:postgresql://localhost:5432/tzdemo", "postgres", "pass");
Statement s = c.createStatement()) {
ResultSet r = s.executeQuery("SHOW TimeZone"); r.next();
System.out.println("JVM=" + ZoneId.systemDefault() + " session TimeZone=" + r.getString(1));
r = s.executeQuery("SELECT now()::timestamp AS local_now, ts, tstz FROM t WHERE id = 1"); r.next();
System.out.println("now()::timestamp : " + r.getString("local_now"));
System.out.println("tstz getObject(OffsetDT) : " + r.getObject("tstz", OffsetDateTime.class));
System.out.println("tstz getTimestamp : " + r.getTimestamp("tstz"));
}
--- TZ=UTC
JVM=UTC session TimeZone=UTC
now()::timestamp : 2026-10-10 11:53:14.396139 ← 9時間遅い
tstz getObject(OffsetDT) : 2026-10-10T00:00Z ← 瞬間としては正しい
tstz getTimestamp : 2026-10-10 00:00:00.0 ← 表示は9時間遅い
--- TZ=Asia/Tokyo
JVM=Asia/Tokyo session TimeZone=Asia/Tokyo
now()::timestamp : 2026-10-10 20:53:14.943062
tstz getObject(OffsetDT) : 2026-10-10T00:00Z
tstz getTimestamp : 2026-10-10 09:00:00.0
DB側でデータベースのタイムゾーンを Asia/Tokyo にしていても、Javaから接続するとJVMのタイムゾーン(UTC)で上書きされます。PostgreSQL では、JVMのタイムゾーンをそろえるのが直し方です(例2)。
MySQL Connector/J の設定
MySQL Connector/J 8.0.23 以降は、次の3つの接続プロパティで TIMESTAMP の変換を決めます。
| プロパティ | 意味 | 既定値(9.7.0) |
|---|---|---|
preserveInstants |
Timestamp・OffsetDateTime の「瞬間」を保つように変換する |
true |
connectionTimeZone |
DBのセッションのタイムゾーンを何とみなすか(LOCAL=JVMと同じ、SERVER=DBに問い合わせる、Asia/Tokyo など) |
LOCAL |
forceConnectionTimeZoneToSession |
connectionTimeZone の値をDBのセッションの time_zone に設定する |
false |
既定の connectionTimeZone=LOCAL は「DBのセッションはJVMと同じタイムゾーン」とみなします。JVMはJST、MySQLはUTC(またはその逆)だと、この前提が崩れて9時間ずれます。 MySQL公式マニュアルが一般に安全としている書き方は次のとおりです。
jdbc:mysql://localhost:3306/app?preserveInstants=true&connectionTimeZone=SERVER
以前の版で使われていた serverTimezone は、8.0.23 から connectionTimeZone の別名になっています。Spring Boot+Hibernate では、spring.jpa.properties.hibernate.jdbc.time_zone を指定している場合もその値で変換されるので、設定ファイルも確認します。
例6:Pythonのdatetimeで9時間ずれる
Python の datetime.now() は、OSのタイムゾーンの時刻を、タイムゾーンを持たない値(naive)で返します。
import datetime as dt
from zoneinfo import ZoneInfo
JST = ZoneInfo("Asia/Tokyo")
print(dt.datetime.now()) # OSのタイムゾーン(naive)
print(dt.datetime.now(JST)) # 常にJST(aware)
print(dt.datetime.fromtimestamp(1791590400)) # UNIX時刻 → OSのタイムゾーン
print(dt.datetime.fromtimestamp(1791590400, JST))
--- TZ=UTC
2026-10-10 11:53:35.381761 ← 9時間遅い
2026-10-10 20:53:35.381800+09:00
2026-10-10 00:00:00 ← 9時間遅い
2026-10-10 09:00:00+09:00
--- TZ=Asia/Tokyo
2026-10-10 20:53:35.422178
2026-10-10 20:53:35.422212+09:00
2026-10-10 09:00:00
2026-10-10 09:00:00+09:00
datetime.utcnow() は Python 3.12 から非推奨になり、実行すると DeprecationWarning が出ます。UTCがほしいときは datetime.now(datetime.UTC) と書きます。now(JST)・fromtimestamp(..., JST) のようにタイムゾーンを渡しておけば、実行環境がUTCでもずれません。 APIの "2026-10-10T00:00:00Z" は datetime.fromisoformat()(3.11以降は Z も読める)で読み、.astimezone(JST) で日本時間にします。
例7:JavaScriptのDateで9時間・1日ずれる
JavaScript では、文字列の書き方によってUTCとして読むかローカル時刻として読むかが変わります。日本のPC(TZ=Asia/Tokyo)で実行しました。
new Date('2026-10-10').toString()
new Date('2026-10-10T00:00').toString()
new Date('2026-10-10T08:00:00+09:00').toISOString().slice(0, 10)
JSON.stringify({ d: new Date('2026-10-10T09:00:00+09:00') })
Sat Oct 10 2026 09:00:00 GMT+0900 ← 日付だけの文字列は UTC の 0:00 として読まれる
Sat Oct 10 2026 00:00:00 GMT+0900 ← 日付と時刻があればローカル時刻
2026-10-09 ← UTC に直してから切り出したので前日になる
{"d":"2026-10-10T00:00:00.000Z"} ← JSON は UTC の文字列になる
| 書き方 | 読み方 | 日本で表示すると |
|---|---|---|
'2026-10-10'(日付だけ) |
UTC | 10/10 9:00 |
'2026-10-10T00:00'(時刻あり・時差なし) |
ローカル時刻 | 10/10 0:00 |
'2026-10-10T00:00:00Z' |
UTC | 10/10 9:00 |
'2026-10-10T00:00:00+09:00' |
指定どおり | 10/10 0:00 |
直し方:日付の文字列を作るときは toISOString() を使わず、タイムゾーンを指定して整形します。
const d = new Date('2026-10-09T23:30:00Z'); // 日本時間 10/10 8:30
new Intl.DateTimeFormat('sv-SE', { timeZone: 'Asia/Tokyo' }).format(d);
// → "2026-10-10"(sv-SE は yyyy-mm-dd 形式で出る)
new Intl.DateTimeFormat('sv-SE', { timeZone: 'Asia/Tokyo', dateStyle: 'short', timeStyle: 'medium' }).format(d);
// → "2026-10-10 08:30:00"
timeZone: 'Asia/Tokyo' を指定すると、利用者のPCやサーバー(Node.js)がUTCでも同じ結果になります(TZ=UTC でも同じ値を確認しました)。日付だけの入力(<input type="date"> の値など)を Date にするときは、'2026-10-10T00:00' のように時刻を付けるとローカル時刻として読まれます。
保存と表示の決め方
9時間ずれを繰り返さないためには、「DBにはどのタイムゾーンで保存するか」をチームで1つに決めておくことです。
| 方針 | 保存 | 表示 | 向いているシステム |
|---|---|---|---|
| A:すべてJST | 全層をJSTにそろえる(OS・JVM・DB・コンテナ) | そのまま | 国内だけで使う業務システム、既存のデータがJSTで入っている |
| B:保存はUTC | timestamptz・TIMESTAMP、または UTC と決めた DATETIME |
画面・帳票でJSTに変換 | 海外拠点・クラウドの複数リージョン・外部APIとの連携がある |
どちらでも、次の3つを守るとずれません。
- APIのJSONは時差付き(
2026-10-10T09:00:00+09:00または...Z)で受け渡す - 「今日」「締め時刻」の判定は、タイムゾーンを明示して計算する(
LocalDate.now(ZoneId.of("Asia/Tokyo"))など) - バッチ・ログ収集・DBのコンテナも同じタイムゾーンにする(アプリだけ直すと、ログやバッチの時刻がずれたまま残る)
確認の手順(チェックリスト)
| 順番 | 確認すること | 見るもの |
|---|---|---|
| 1 | ずれの向き(遅い・進む・日付が前日) | 冒頭の表 |
| 2 | OS・コンテナのタイムゾーン | date、cat /etc/timezone、tzdata の有無 |
| 3 | JVMのタイムゾーン | user.timezone、JAVA_TOOL_OPTIONS |
| 4 | DBのセッションのタイムゾーン | MySQL @@session.time_zone、PostgreSQL SHOW TimeZone |
| 5 | 列の型 | DATETIME か TIMESTAMP か、timestamp か timestamptz か |
| 6 | ドライバの設定 | Connector/J の connectionTimeZone、Hibernate の jdbc.time_zone |
| 7 | JSON・画面の変換 | Z 付きの文字列を toISOString() で切り出していないか |
よくある質問
Q. 開発PCでは正しいのに、本番だけ9時間ずれます。
A. 開発PCは日本時間、本番のサーバーやコンテナはUTCという組み合わせがほとんどです。例1・2の方法で本番のOSとJVMのタイムゾーンを確認します。コードで ZoneId.of("Asia/Tokyo") を明示しておくと、実行環境に左右されません。
Q. 画面は正しいのに、CSV出力やバッチだけずれます。
A. CSV出力やバッチが、別のJVM・別のコンテナ・別のDB接続設定で動いていることが多い原因です。バッチの起動スクリプトに -Duser.timezone が無い、cron がUTCで動いている、などを確認します。
Q. MySQLのDATETIMEとTIMESTAMPはどちらを使えばよいですか。
A. 国内だけで使うシステムで全層をJSTにそろえるなら DATETIME が分かりやすく、セッションの設定の影響も受けません。TIMESTAMP は保存できる範囲が2038年1月19日(UTC)までという制約もあります。複数のタイムゾーンを扱うなら、UTCで保存すると決めて DATETIME に入れる方法もあります。
Q. 夏時間(サマータイム)は気にする必要がありますか。
A. 日本には夏時間が無いので、日本時間だけを扱うなら +09:00 固定で問題ありません。海外拠点の時刻を扱う場合は、America/New_York のような地域名で指定すると夏時間も自動で切り替わります。
まとめ
- 9時間ずれは、UTCとJSTがどこかで入れ替わっている。ずれの向き(遅い・進む・前日)で原因を絞る
- コンテナは既定でUTC。
TZは tzdata が無いとdateやDBサーバーに効かない。Java はTZだけで効く - Javaは
-Duser.timezone=Asia/Tokyoか、コードでZoneId.of("Asia/Tokyo")を明示する - MySQLの
TIMESTAMPはセッションのタイムゾーンで変換される。Asia/Tokyoを使うにはタイムゾーンのテーブルの読み込みが要る - PostgreSQL JDBCはJVMのタイムゾーンをセッションに設定する。Connector/J は
connectionTimeZoneで決まる - JavaScriptは
'2026-10-10'をUTCとして読む。日付の文字列はIntl.DateTimeFormatにtimeZoneを渡して作る
参考・出典
確認日はいずれも 2026年10月10日です。
- MySQL 8.0 Reference Manual「MySQL Server Time Zone Support」:https://dev.mysql.com/doc/refman/8.0/en/time-zone-support.html
- MySQL Connector/J Developer Guide「Preserving Time Instants」:https://dev.mysql.com/doc/connector-j/en/connector-j-time-instants.html
- PostgreSQL 16 文書「Date/Time Types」:https://www.postgresql.org/docs/16/datatype-datetime.html
- MDN Web Docs「Date.parse()」:https://developer.mozilla.org/en-US/docs/Web/JavaScript/Reference/Global_Objects/Date/parse
- MySQL Connector/J 9.7.0 ソース(接続プロパティの説明と既定値):https://github.com/mysql/mysql-connector-j
本記事の内容は、ご自由にお使いください。
ご利用の際は、出典として本ページへのリンクを記載いただけますようお願いします。
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