- マネジメント
PMOの役割とPMとの違い|業務内容一覧と支援型・管理型の成果物
PMO(プロジェクトマネジメントオフィス)とは、プロジェクトの管理に使う手順・様式・情報を整え、PM(プロジェクトマネージャー)が判断しやすい状態をつくる組織または役割です。 PMが「1つのプロジェクトの結果に責任を持って決める人」であるのに対し、PMOは「決めるための材料と仕組みを整える側」に立ちます。
この記事では、PM・PMO・PL・事務局の違いを責任と権限で比べたうえで、PMOの業務30項目を成果物・作成頻度つきの一覧にし、支援型・管理型・指揮型がそれぞれどこまで行うかを○△×で示します。表はそのままコピーして、自分のチームの役割分担を決める下書きに使えます。
確認環境:Ubuntu 24.04、Python 3.11.15(一覧表の件数集計)、@mermaid-js/mermaid-cli 11.14.0 と Chromium 141(Mermaid 図の描画)。PMOの3つの型の定義は PMI の公開ページで確認しました。確認日は 2026-10-06 です。
この記事の結論
- PMは決める人、PMOは決めるための材料と仕組みを整える組織・役割です。
- PMOの種類(支援型・管理型・指揮型)の違いは、決定権の強さの違いです。支援型は求められたら手伝う、管理型は標準を守るよう求める、指揮型は自分で決めて動かします。
- 業務30項目のうち、PMOが主担当になる数は支援型9、管理型25、指揮型29でした(この記事の一覧での集計)。
- 型は「同時に動くプロジェクトの数」「標準の有無」「是正まで求めるか」の3点で選べます。
PMOとPMの違い早見表
| 比べる点 | PM | PMO |
|---|---|---|
| ひとことで | 決める人 | 決める材料と仕組みを整える組織・役割 |
| 対象 | 担当する1つのプロジェクト | 1つ〜複数のプロジェクト、または組織全体 |
| 責任 | 納期・費用・品質・範囲の結果 | 管理の仕組みが回り、情報が正しく集まること |
| 権限 | 計画の決定、要員への作業指示、変更の採否 | 型によって変わる(助言のみ〜承認まで) |
| 主な成果物 | プロジェクト計画書、体制図、各種の判断結果 | 進捗報告書、課題管理表、会議体一覧、標準テンプレート集 |
| 人数 | 1プロジェクトに1人 | 1人〜数人のチーム |
| 置かれる場所 | プロジェクトの中 | プロジェクトの中、または組織の横断部門 |
| 困ったときの動き | 自分で判断し、上位へ上申する | 事実を整理してPMに渡す(指揮型は自ら判断) |
本記事の内容は、ご自由にお使いください。
ご利用の際は、出典として本ページへのリンクを記載いただけますようお願いします。
(記載例)出典:株式会社RJC「PMOの役割とPMとの違い|業務内容一覧と支援型・管理型の成果物」
PM・PMO・PL・事務局の違い(責任・権限・成果物)
PMOは、PL(プロジェクトリーダー)や事務局とも混同されやすい役割です。違いは「何に責任を持つか」と「何を決められるか」に表れます。
| 役割 | 責任を持つもの | 決められること | 決められないこと | 主な成果物 |
|---|---|---|---|---|
| PM | プロジェクト全体の結果(納期・費用・品質・範囲) | 計画、体制、優先順位、変更の採否 | 予算枠そのものの増額(責任者の承認が要る) | プロジェクト計画書、体制図、完了報告書 |
| PMO | 管理の仕組みと情報の正しさ | 型による。報告様式、点検の方法、会議の進め方 | 支援型・管理型では、個別プロジェクトの計画や採否 | 進捗報告書、課題管理表、リスク登録簿、会議体一覧、標準テンプレート集 |
| PL | 担当チームの作業の完了と品質 | チーム内の作業の割り振り、技術的な進め方 | チームをまたぐ優先順位、範囲の変更 | 詳細スケジュール、設計書、テスト結果、チームの進捗報告 |
| 事務局 | 依頼された事務作業の完了 | 作業の段取り(日程調整の方法など) | 管理の方法そのもの、報告内容の評価 | 会議の案内、議事録の清書、名簿、配布資料 |
読み分けのポイントは次の2つです。
- PMOと事務局の違いは「中身を見るかどうか」です。事務局は議事録を整えて配ります。PMOは議事録から宿題を拾い、期限を過ぎたものをPMに知らせます。
- PMOとPLの違いは「作るものの種類」です。PLはシステムそのもの(設計書・プログラム・テスト結果)を仕上げます。PMOは管理に使う文書を仕上げます。
PMOの3つの種類:支援型・管理型・指揮型
PMOの種類は、PMI(Project Management Institute)の資料でプロジェクトに対するコントロールの度合いによって3つに分けられています。PMI の公開ページでは、支援型は「テンプレート、ベストプラクティス、研修、情報、ほかのプロジェクトの教訓を提供する相談役」でコントロールは低い、管理型(コントロール型)は「支援に加えて、枠組みや方法論の採用などを通じて順守を求める」でコントロールは中程度、指揮型は「プロジェクトを直接マネジメントする」でコントロールは高い、と説明されています。
| 比べる点 | 支援型 | 管理型(コントロール型) | 指揮型 |
|---|---|---|---|
| コントロールの度合い | 低い | 中程度 | 高い |
| PMとの関係 | 相談役。求められたら手伝う | 点検役。標準に沿うよう求める | 上位者。PMを束ねる、または自らPMを務める |
| 決定権 | 無い(提案まで) | 管理の方法について有る | 計画・要員・変更の採否まで有る |
| 標準(様式・手順) | 用意して紹介する | 使うことを求め、点検する | 定めて、守らせる |
| 報告の流れ | PMが報告し、PMOは集計を手伝う | PMOが集めて責任者へ横並びで報告する | PMOが報告を受け、指示を返す |
| 向く状況 | PMの管理作業があふれている、標準がまだ無い | 複数プロジェクトを同じ物差しで比べたい | 多くのプロジェクトの優先順位と要員を一括で決めたい |
| 気を付ける点 | 作業の引き受け先になりやすい。範囲を先に決める | 点検が目的になりやすい。集めた数値の使い道を決める | PMの裁量が狭くなる。任せる範囲を明文化する |
英語では支援型を Supportive、管理型を Controlling、指揮型を Directive と呼びます。日本語では管理型を「コントロール型」と書く資料もあり、同じものを指します。
PMOの業務内容一覧(30項目)と成果物・作成頻度
PMOの業務を11の領域・30項目に分け、作る成果物、作成頻度、型ごとの担当範囲を1つの表にまとめました。 記号の意味は次のとおりです。
| 記号 | 意味 |
|---|---|
| ○ | PMOが主担当として行う |
| △ | 依頼があれば手伝う、または一部だけ行う(主担当はPM) |
| × | PMOは行わない(PMまたは責任者が行う) |
| No | 領域 | 業務 | 主な成果物 | 作成頻度 | 支援型 | 管理型 | 指揮型 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 進捗 | 進捗データの収集と集計 | 進捗報告書 | 週次 | ○ | ○ | ○ |
| 2 | 進捗 | 進捗報告の様式をそろえる | 進捗報告テンプレート | 立ち上げ時・改定時 | △ | ○ | ○ |
| 3 | 進捗 | 遅れの検知とPMへの知らせ | 遅延一覧 | 週次 | △ | ○ | ○ |
| 4 | 進捗 | 複数プロジェクトの横並び報告 | 全体状況一覧 | 月次 | × | ○ | ○ |
| 5 | 課題 | 課題管理表の維持(起票・期限の点検) | 課題管理表 | 随時・週次で点検 | ○ | ○ | ○ |
| 6 | 課題 | 期限を過ぎた課題の催促と上申 | 期限超過課題一覧 | 週次 | △ | ○ | ○ |
| 7 | 課題 | 課題の優先度と対応方針の決定 | 課題対応方針(議事録に記載) | 随時 | × | △ | ○ |
| 8 | リスク | リスク登録簿の維持 | リスク登録簿 | 月次で見直し | ○ | ○ | ○ |
| 9 | リスク | リスクの洗い出し会の運営 | リスク洗い出し結果 | 工程の開始時 | △ | ○ | ○ |
| 10 | リスク | 対応策の実行状況の監視 | リスク対応状況報告 | 月次 | × | ○ | ○ |
| 11 | 変更 | 変更要求の受付と台帳管理 | 変更管理台帳 | 随時 | ○ | ○ | ○ |
| 12 | 変更 | 影響調査の取りまとめ | 影響調査書 | 変更のつど | △ | ○ | ○ |
| 13 | 変更 | 変更の採否の判断 | 変更審査結果 | 変更のつど | × | △ | ○ |
| 14 | 品質 | 品質の数値の収集(レビュー指摘・不具合) | 品質報告書 | 週次〜月次 | △ | ○ | ○ |
| 15 | 品質 | 工程完了の判定資料の点検 | 工程完了チェック結果 | 工程の終了時 | × | ○ | ○ |
| 16 | 品質 | 工程完了の可否の判定 | 工程完了判定書 | 工程の終了時 | × | △ | ○ |
| 17 | コスト | 工数の集計(予定と実際の比較) | 工数集計表 | 週次〜月次 | ○ | ○ | ○ |
| 18 | コスト | 完成時の見通しの算出 | コスト見通し報告 | 月次 | △ | ○ | ○ |
| 19 | コスト | 予算の配分と追加の承認 | 予算配分表 | 四半期・変更時 | × | × | ○ |
| 20 | 会議体 | 会議体の設計と一覧化 | 会議体一覧 | 立ち上げ時 | △ | ○ | ○ |
| 21 | 会議体 | 定例会の準備と進行の補助 | アジェンダ・会議資料 | 会議のつど | ○ | ○ | ○ |
| 22 | 会議体 | 議事録の作成と宿題の追跡 | 議事録・アクション一覧 | 会議のつど | ○ | ○ | △ |
| 23 | 標準化 | 標準テンプレートの整備 | 標準テンプレート集 | 立ち上げ時・半期ごと | △ | ○ | ○ |
| 24 | 標準化 | 管理の手順とルールの策定 | プロジェクト管理要領 | 立ち上げ時・年次 | × | ○ | ○ |
| 25 | 標準化 | 標準が守られているかの点検 | 点検結果報告 | 月次〜四半期 | × | ○ | ○ |
| 26 | 教育 | 管理手法の勉強会と相談窓口 | 研修資料・問い合わせ記録 | 四半期・随時 | ○ | ○ | ○ |
| 27 | 要員 | 要員の空き状況の一覧化 | 要員配置表 | 月次 | △ | ○ | ○ |
| 28 | 要員 | プロジェクト間の要員調整とPMの任命 | 要員調整結果・体制図 | 随時 | × | △ | ○ |
| 29 | 情報共有 | 文書の保管場所と版の管理 | 文書管理台帳・フォルダー構成 | 立ち上げ時・随時 | ○ | ○ | ○ |
| 30 | 情報共有 | 振り返りの取りまとめと知見の蓄積 | 振り返り報告・知見集 | 工程とプロジェクトの終了時 | △ | ○ | ○ |
表計算ソフトに貼る場合は、次のタブ区切りをコピーしてください。
No 領域 業務 主な成果物 作成頻度 支援型 管理型 指揮型
1 進捗 進捗データの収集と集計 進捗報告書 週次 ○ ○ ○
2 進捗 進捗報告の様式をそろえる 進捗報告テンプレート 立ち上げ時・改定時 △ ○ ○
3 進捗 遅れの検知とPMへの知らせ 遅延一覧 週次 △ ○ ○
4 進捗 複数プロジェクトの横並び報告 全体状況一覧 月次 × ○ ○
5 課題 課題管理表の維持(起票・期限の点検) 課題管理表 随時・週次で点検 ○ ○ ○
6 課題 期限を過ぎた課題の催促と上申 期限超過課題一覧 週次 △ ○ ○
7 課題 課題の優先度と対応方針の決定 課題対応方針(議事録に記載) 随時 × △ ○
8 リスク リスク登録簿の維持 リスク登録簿 月次で見直し ○ ○ ○
9 リスク リスクの洗い出し会の運営 リスク洗い出し結果 工程の開始時 △ ○ ○
10 リスク 対応策の実行状況の監視 リスク対応状況報告 月次 × ○ ○
11 変更 変更要求の受付と台帳管理 変更管理台帳 随時 ○ ○ ○
12 変更 影響調査の取りまとめ 影響調査書 変更のつど △ ○ ○
13 変更 変更の採否の判断 変更審査結果 変更のつど × △ ○
14 品質 品質の数値の収集(レビュー指摘・不具合) 品質報告書 週次〜月次 △ ○ ○
15 品質 工程完了の判定資料の点検 工程完了チェック結果 工程の終了時 × ○ ○
16 品質 工程完了の可否の判定 工程完了判定書 工程の終了時 × △ ○
17 コスト 工数の集計(予定と実際の比較) 工数集計表 週次〜月次 ○ ○ ○
18 コスト 完成時の見通しの算出 コスト見通し報告 月次 △ ○ ○
19 コスト 予算の配分と追加の承認 予算配分表 四半期・変更時 × × ○
20 会議体 会議体の設計と一覧化 会議体一覧 立ち上げ時 △ ○ ○
21 会議体 定例会の準備と進行の補助 アジェンダ・会議資料 会議のつど ○ ○ ○
22 会議体 議事録の作成と宿題の追跡 議事録・アクション一覧 会議のつど ○ ○ △
23 標準化 標準テンプレートの整備 標準テンプレート集 立ち上げ時・半期ごと △ ○ ○
24 標準化 管理の手順とルールの策定 プロジェクト管理要領 立ち上げ時・年次 × ○ ○
25 標準化 標準が守られているかの点検 点検結果報告 月次〜四半期 × ○ ○
26 教育 管理手法の勉強会と相談窓口 研修資料・問い合わせ記録 四半期・随時 ○ ○ ○
27 要員 要員の空き状況の一覧化 要員配置表 月次 △ ○ ○
28 要員 プロジェクト間の要員調整とPMの任命 要員調整結果・体制図 随時 × △ ○
29 情報共有 文書の保管場所と版の管理 文書管理台帳・フォルダー構成 立ち上げ時・随時 ○ ○ ○
30 情報共有 振り返りの取りまとめと知見の蓄積 振り返り報告・知見集 工程とプロジェクトの終了時 △ ○ ○
一覧の読み方
- 3つの型すべてが○の8項目(進捗データの収集、課題管理表の維持、リスク登録簿の維持、変更要求の受付、工数の集計、定例会の準備、勉強会と相談窓口、文書の保管と版の管理)が、どの型でもPMOが担う土台です。新しくPMOを置くときは、この8項目から始めると範囲がぶれにくくなります。
- 支援型で×、管理型で○に変わる項目は「横並びの報告」「対応策の監視」「工程完了の資料の点検」「ルールの策定」「標準の点検」です。ここが支援型と管理型の境目で、どれも「PMOの側から働きかける」業務です。
- 指揮型だけが○の5項目(No.7・13・16・19・28)は、すべて「決める」業務です。課題の対応方針、変更の採否、工程完了の可否、予算の配分、PMの任命がこれにあたります。
- No.22(議事録の作成)は指揮型で△にしています。判断を担う立場が記録も兼ねると負荷が偏るため、記録は事務局やプロジェクト側に任せる想定です。
領域ごとの件数と、型ごとの○△×の数
上の一覧を Python で集計した結果です。
| 型 | ○(主担当) | △(一部) | ×(行わない) |
|---|---|---|---|
| 支援型 | 9 | 11 | 10 |
| 管理型 | 25 | 4 | 1 |
| 指揮型 | 29 | 1 | 0 |
| 領域 | 件数 | 領域 | 件数 |
|---|---|---|---|
| 進捗 | 4 | 会議体 | 3 |
| 課題 | 3 | 標準化 | 3 |
| リスク | 3 | 教育 | 1 |
| 変更 | 3 | 要員 | 2 |
| 品質 | 3 | 情報共有 | 2 |
| コスト | 3 | 合計 | 30 |
作成頻度で並べ替えた成果物カレンダー
同じ30項目を「いつ作るか」で並べ替えると、PMOの1か月の動きが見えます。
| タイミング | 作る・更新する成果物 |
|---|---|
| 立ち上げ時 | 会議体一覧、進捗報告テンプレート、標準テンプレート集、プロジェクト管理要領、文書管理台帳・フォルダー構成 |
| 毎週 | 進捗報告書、遅延一覧、課題管理表の点検、期限超過課題一覧、工数集計表、品質報告書 |
| 会議のつど | アジェンダ・会議資料、議事録・アクション一覧 |
| 毎月 | 全体状況一覧、リスク登録簿の見直し、リスク対応状況報告、コスト見通し報告、要員配置表、点検結果報告 |
| 四半期・半期 | 研修資料、予算配分表、標準テンプレート集の改定 |
| 変更のつど・随時 | 変更管理台帳、影響調査書、変更審査結果、課題対応方針、要員調整結果・体制図、問い合わせ記録 |
| 工程・プロジェクトの終了時 | 工程完了チェック結果、工程完了判定書、振り返り報告・知見集 |
毎週の成果物が6つあり、PMOの定常作業の中心は週次の集計と点検だと分かります。立ち上げ時の5つを先に用意しておくと、週次の作業が様式探しで止まりません。
どの型を選ぶか:判断基準
型は、次の3つの条件で選べます。
| 条件 | 選ぶ型 | 理由 |
|---|---|---|
| プロジェクトは1〜2つで、PMの管理作業があふれている | 支援型 | 集計と会議運営を引き取るだけで効果が出る |
| プロジェクトは1〜2つで、管理作業もあふれていない | 事務局で足りる | 中身の点検まで求める場面が少ない |
| プロジェクトは3つ以上あるが、共通の様式や手順がまだ無い | 支援型で始めて標準を作る | 比べる物差しが無いうちは点検ができない |
| プロジェクトは3つ以上あり、標準があり、横並びで比べて是正まで求めたい | 管理型 | 同じ様式で集めた数値をもとに働きかけられる |
| 上の条件に加えて、PMOがPMを任命し計画を承認する | 指揮型 | 優先順位と要員を一括で決める権限が要る |
| 1つの大規模プロジェクトで、チームが5つ以上に分かれている | 管理型(プロジェクト内PMO) | チームを複数プロジェクトと見なして横並びで管理する |
「3つ以上」「5つ以上」は目安の例です。組織の大きさに合わせて読み替えてください。
同じ判断を流れ図にすると次のとおりです。
flowchart TD
S["PMOを置きたい"] --> N{"同時に動く<br>プロジェクトは3つ以上?"}
N -- "いいえ(1〜2つ)" --> B{"PMの管理作業が<br>あふれている?"}
B -- "はい" --> SUP["支援型"]
B -- "いいえ" --> NO["事務局で足りる"]
N -- "はい" --> ST{"共通の標準<br>(様式・手順)がある?"}
ST -- "まだ無い" --> SUP2["支援型で始めて<br>標準を作る"]
ST -- "ある" --> G{"横並びで比べて<br>是正まで求めたい?"}
G -- "はい" --> CTL["管理型"]
G -- "いいえ" --> SUP
CTL --> D{"PMOがPMを任命し<br>計画を承認する?"}
D -- "はい" --> DIR["指揮型"]
D -- "いいえ" --> CTL2["管理型のまま"]
型は段階的に強めてよい
最初から管理型や指揮型で始める必要はありません。次の順で進めると、PMとの関係を保ちながら範囲を広げられます。
- 支援型で土台の8項目を回す(集計・台帳・会議・文書の保管)。
- 集めた情報から標準テンプレート集と管理要領を作る(No.23・24)。
- 標準ができたら点検を始める(No.15・25)。ここで管理型になります。
- 責任者が決定権を委ねた項目だけ、PMOが決める(No.7・13・16・19・28)。ここで指揮型になります。
立ち上げ時に使える役割分担表テンプレート
PMOを置くときに最初に決めたいのは、「誰が決め、誰が作り、誰が手伝うか」です。次の表を、プロジェクト計画書や体制の資料にそのまま貼って使えます。記号は4つだけにしました。
| 記号 | 意味 |
|---|---|
| 決 | 決める(最終的に判断する人。1行に1人) |
| 作 | 作る(成果物を作成・更新する人) |
| 支 | 支える(材料を出す、確認する) |
| 報 | 報告を受ける |
担当の割り当て方を記号で表す書き方には RACI という広く使われる記法があります。ここでは記法の説明には踏み込まず、PMOの立ち上げで決める項目に絞っています。
テンプレート(空欄)
# 役割分担表(PMO立ち上げ時)
- 対象プロジェクト:
- PMOの型:支援型 / 管理型 / 指揮型
- 作成日: 作成者: 承認者:
- 見直しの時期:
| No | 業務 | 成果物 | 頻度 | 責任者 | PM | PMO | PL | 事務局 |
|---:|---|---|---|:---:|:---:|:---:|:---:|:---:|
| 1 | 進捗の集計と報告 | 進捗報告書 | | | | | | |
| 2 | 課題の管理 | 課題管理表 | | | | | | |
| 3 | 課題の対応方針の決定 | 議事録 | | | | | | |
| 4 | リスクの管理 | リスク登録簿 | | | | | | |
| 5 | 変更要求の受付 | 変更管理台帳 | | | | | | |
| 6 | 変更の採否の判断 | 変更審査結果 | | | | | | |
| 7 | 品質の数値の収集 | 品質報告書 | | | | | | |
| 8 | 工程完了の判定 | 工程完了判定書 | | | | | | |
| 9 | 工数の集計 | 工数集計表 | | | | | | |
| 10 | 会議体の設計 | 会議体一覧 | | | | | | |
| 11 | 定例会の運営 | アジェンダ・議事録 | | | | | | |
| 12 | 標準テンプレートの整備 | 標準テンプレート集 | | | | | | |
| 13 | 文書の保管と版の管理 | 文書管理台帳 | | | | | | |
## PMOが行わないこと
-
## 困ったときの上申先
- PMとPMOの見解が分かれたとき:
記入例(支援型・架空の備品予約システム刷新)
# 役割分担表(PMO立ち上げ時)
- 対象プロジェクト:備品予約システム刷新(開発チーム2つ、計12名)
- PMOの型:支援型
- 作成日:2026-10-06 作成者:PMO 佐藤 承認者:PM 鈴木
- 見直しの時期:基本設計の完了時
| No | 業務 | 成果物 | 頻度 | 責任者 | PM | PMO | PL | 事務局 |
|---:|---|---|---|:---:|:---:|:---:|:---:|:---:|
| 1 | 進捗の集計と報告 | 進捗報告書 | 週次(木曜) | 報 | 決 | 作 | 支 | |
| 2 | 課題の管理 | 課題管理表 | 随時・火曜に点検 | | 決 | 作 | 支 | |
| 3 | 課題の対応方針の決定 | 議事録 | 随時 | 報 | 決 | 支 | 支 | |
| 4 | リスクの管理 | リスク登録簿 | 月次 | 報 | 決 | 作 | 支 | |
| 5 | 変更要求の受付 | 変更管理台帳 | 随時 | | 決 | 作 | 支 | |
| 6 | 変更の採否の判断 | 変更審査結果 | 変更のつど | 決 | 作 | 支 | 支 | |
| 7 | 品質の数値の収集 | 品質報告書 | 月次 | 報 | 決 | 支 | 作 | |
| 8 | 工程完了の判定 | 工程完了判定書 | 工程の終了時 | 決 | 作 | 支 | 支 | |
| 9 | 工数の集計 | 工数集計表 | 週次 | | 決 | 作 | 支 | |
| 10 | 会議体の設計 | 会議体一覧 | 立ち上げ時 | 報 | 決 | 作 | | |
| 11 | 定例会の運営 | アジェンダ・議事録 | 週次 | | 決 | 作 | 支 | 作 |
| 12 | 標準テンプレートの整備 | 標準テンプレート集 | 立ち上げ時 | | 決 | 作 | 支 | |
| 13 | 文書の保管と版の管理 | 文書管理台帳 | 随時 | | 決 | 作 | | 支 |
## PMOが行わないこと
- 設計書やプログラムの作成とレビュー(PLが行う)
- 課題の対応方針と変更の採否の決定(PMと責任者が行う)
- 利用部門との仕様の調整(PMとPLが行う)
## 困ったときの上申先
- PMとPMOの見解が分かれたとき:責任者(情報システム部長)に、双方の案を並べて相談する
記入例の人名・部署名は架空のものです。タブ区切り版は次のとおりです。
No 業務 成果物 頻度 責任者 PM PMO PL 事務局
1 進捗の集計と報告 進捗報告書 週次(木曜) 報 決 作 支
2 課題の管理 課題管理表 随時・火曜に点検 決 作 支
3 課題の対応方針の決定 議事録 随時 報 決 支 支
4 リスクの管理 リスク登録簿 月次 報 決 作 支
5 変更要求の受付 変更管理台帳 随時 決 作 支
6 変更の採否の判断 変更審査結果 変更のつど 決 作 支 支
7 品質の数値の収集 品質報告書 月次 報 決 支 作
8 工程完了の判定 工程完了判定書 工程の終了時 決 作 支 支
9 工数の集計 工数集計表 週次 決 作 支
10 会議体の設計 会議体一覧 立ち上げ時 報 決 作
11 定例会の運営 アジェンダ・議事録 週次 決 作 支 作
12 標準テンプレートの整備 標準テンプレート集 立ち上げ時 決 作 支
13 文書の保管と版の管理 文書管理台帳 随時 決 作 支
記入するときの点検
| 点検すること | 見るところ | 直し方 |
|---|---|---|
| 「決」が1行に1人か | 各行を横に見る | 2人いる行は、最終判断者を1人に絞る |
| PMOの列に「決」が無いか(支援型・管理型) | PMOの列を縦に見る | 「決」があれば、型の認識がずれている。型を見直すか「支」に直す |
| 「作」が無い行が無いか | 各行を横に見る | 成果物を作る人がいない行は、担当を決める |
| 「PMOが行わないこと」が書かれているか | 表の下 | 3つ以上書く。作業の引き受けすぎを防げる |
| 見直しの時期が入っているか | 表の上 | 工程の区切りを1つ選んで書く |
型ごとの1週間の動き(例)
同じ「週次の進捗報告」でも、型によってPMOの動きが変わります。
| 曜日 | 支援型 | 管理型 | 指揮型 |
|---|---|---|---|
| 月 | 各チームから進捗データを集める | 同じ様式で全プロジェクトから集める | 同左 |
| 火 | 課題管理表の期限を点検し、PMに一覧を渡す | 期限超過を各PMに知らせ、対応予定日を求める | 期限超過の課題に対応方針を指示する |
| 水 | 進捗報告書の下書きを作る | 横並びの一覧を作り、基準を外れたものに印を付ける | 一覧をもとに優先順位と要員の入れ替えを決める |
| 木 | PMが定例会で報告する。PMOは進行と記録を補助する | PMOが責任者へ全体状況を報告する | PMOが各PMから報告を受け、指示を返す |
| 金 | 宿題をアクション一覧に反映する | 是正の進み具合を確認する | 決定事項を体制図と計画に反映する |
確かめて分かったこと
- 30項目を集計すると、支援型と管理型の差(○が9→25)は、管理型と指揮型の差(25→29)よりずっと大きいことが分かりました。型を1段強めるときの負荷は、支援型から管理型へ移るときに集中します。
- 指揮型だけが○になる5項目は、すべて「決める」業務でした。作業の量ではなく決定権が型を分けている、という結論が一覧からも読み取れます。
- 3つの型すべてで○の業務は8項目で、進捗・課題・リスク・変更・コスト・会議体・教育・情報共有の8領域に1つずつ分かれました。品質・標準化・要員の3領域には、型を問わずPMOが担う業務が入りませんでした。
- PMI の公開ページでは、3つの型は「コントロールの度合い」が低い・中程度・高いという1本の軸で説明されていました。業務の種類で分けているわけではありません。
- 判断の流れ図は Mermaid のコードのまま描画でき、分岐の文言の途中に改行タグを入れても崩れませんでした。
つまずきやすい点と整え方
| つまずきやすい点 | こうすると整う |
|---|---|
| PMOが議事録と日程調整だけを続けている | 一覧の No.5・6(課題の点検と催促)を担当に加え、中身を見る役割に広げる |
| PMとPMOの両方が同じ集計をしている | 役割分担表で「作」を1人に決め、もう一方は「支」にする |
| 報告様式がプロジェクトごとに違い、比べられない | No.2(様式をそろえる)を先に行い、その後に横並びの報告を始める |
| PMOの点検がPMの負担になっている | 集める項目を「判断に使うもの」だけに絞り、使い道を管理要領に書く |
| PMOがいつの間にか採否を決めている | 型を責任者と確認し、指揮型でなければ「決」をPMに戻す |
| PMOに依頼が集中して回らない | 「PMOが行わないこと」を書き足し、依頼の窓口を1つにする |
よくある質問
Q. PMOとPMの違いは何ですか? A. PMは1つのプロジェクトの結果に責任を持って決める人で、PMOは決めるための材料と仕組みを整える組織・役割です。PMは計画や変更の採否を決め、PMOは進捗報告書や課題管理表などを整えてその判断を支えます。
Q. PMOとは何をする仕事ですか? A. 進捗・課題・リスク・変更・品質・コストの情報を集めて整え、会議体と標準の様式を用意する仕事です。この記事の一覧では30項目に分けており、どの型でも共通して担うのは集計・台帳の維持・会議の準備・文書の保管などの8項目です。
Q. 支援型PMOと管理型PMOの違いは何ですか? A. 標準を守るよう求める権限があるかどうかです。支援型は様式や助言を提供して求められたら手伝い、管理型は様式の利用を求めて点検し、基準を外れたものの是正まで働きかけます。
Q. PMOと事務局の違いは何ですか? A. 管理の中身まで見るかどうかです。事務局は会議の案内や議事録の清書などの事務作業を担い、PMOは集めた情報から遅れや期限超過を見つけてPMに知らせます。
Q. PMOを置いてもうまく回らないときはどうすればよいですか? A. まず型と「PMOが行わないこと」を責任者・PMと文書で確認します。役割分担表で「決」と「作」が1行に1人ずつ決まっているかを点検すると、重複や空白が見つかります。
まとめ
- PMは決める人、PMOは決めるための材料と仕組みを整える組織・役割です。
- 支援型・管理型・指揮型の違いは決定権の強さで、PMI の資料ではコントロールの度合い(低い・中程度・高い)で分けられています。
- PMOの業務は11領域・30項目に整理でき、それぞれに成果物と作成頻度があります。
- PMOが主担当になる項目は支援型9、管理型25、指揮型29。差が大きいのは支援型から管理型へ移るときです。
- 指揮型だけが担う5項目はすべて「決める」業務です。
- 型はプロジェクトの数、標準の有無、是正まで求めるかで選び、段階的に強めていけます。
- 立ち上げ時は役割分担表で「決」「作」「支」「報」を1行ずつ決め、PMOが行わないことを書いておくと範囲がぶれません。
参考
- Project Management Institute「PMO evolution: from the origin to the future」(2015年。PMOの定義と、支援型・コントロール型・指揮型の説明を確認)https://www.pmi.org/learning/library/pmo-evolution-9645
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(記載例)出典:株式会社RJC「PMOの役割とPMとの違い|業務内容一覧と支援型・管理型の成果物」
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