- マネジメント
オンコール体制のルールとローテーションの組み方|当番表と引き継ぎ手順
オンコール体制とは、システムの異常を知らせる通知を「誰が・いつ」受けるかを、あらかじめ当番として決めておく仕組みです。 当番の人は、決めた時間内に通知を受け取り、最初の対応を始めます。
この記事は、障害が起きた後の対応手順ではなく、当番の設計(誰がいつ受けるか) に絞っています。人数別のローテーションの組み方、当番表を自動で作るPythonコード、体制ルールのひな形、引き継ぎのチェックリストとメモのテンプレートを、そのまま使える形で載せています。
確認環境:Python 3.11.15(当番表の生成と頻度の計算)、@mermaid-js/mermaid-cli 12.0.0 と Chromium(Mermaid の図の描画)。確認日は2026-10-06です。人名・システム名・数値は架空の例です。
この記事の結論
- 一次・二次の2段構えを週次で回すには、最低4〜5人が必要です。4人で「2週に1回は一次か二次」、5人で「5週のうち2週」になります。
- 3人以下なら、受ける時間帯を絞ります(平日の日中だけ、など)。2人で一次・二次を回すと、2人とも常に当番です。
- 二次は 「前の週の一次」 にすると、直前の状況を知っている人が控えに回るので引き継ぎが軽くなります。
- ルールは 応答目標時間・繰り上げの分数・交代の申請方法・対応後の休息 の4つを先に決めます。
- 交代のときは、チェックリストと引き継ぎメモで「続いている事象」と「一時的に変えた設定」を必ず渡します。
人数別のローテーション早見表(2人〜8人)
一次と二次を1人ずつ置いた場合の、1人あたりの当番頻度です。後の節のPythonで計算した値です。
| 人数 | 週次:一次の頻度 | 週次:一次か二次の週の割合 | 週次:一次の週数(年) | 日次:一次の日数(月) | 平日/土日分割:それぞれの頻度 | 組み方の目安 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2人 | 2週に1回 | 100% | 26.1週 | 15.2日 | 2週に1回 | 時間帯を絞る。二次は置かず責任者を繰り上げ先にする |
| 3人 | 3週に1回 | 67% | 17.4週 | 10.1日 | 3週に1回 | 時間帯を絞る。または二次を置かない |
| 4人 | 4週に1回 | 50% | 13.0週 | 7.6日 | 4週に1回 | 週次の2段構えが成り立つ下限 |
| 5人 | 5週に1回 | 40% | 10.4週 | 6.1日 | 5週に1回 | 週次の2段構えを続けやすい。交代の余地もある |
| 6人 | 6週に1回 | 33% | 8.7週 | 5.1日 | 6週に1回 | 週次。休みの人が出ても回る |
| 7人 | 7週に1回 | 29% | 7.5週 | 4.3日 | 7週に1回 | 週次。日次にすると曜日が固定される(後述) |
| 8人 | 8週に1回 | 25% | 6.5週 | 3.8日 | 8週に1回 | 週次。当番の割合が4分の1になる |
本記事の内容は、ご自由にお使いください。
ご利用の際は、出典として本ページへのリンクを記載いただけますようお願いします。
(記載例)出典:株式会社RJC「オンコール体制のルールとローテーションの組み方|当番表と引き継ぎ手順」
オンコール・シフト勤務・待機・エスカレーション先の違い
| 言葉 | 何をするか | その時間の過ごし方 | 人数の決まり方 |
|---|---|---|---|
| オンコール | 通知が来たら決めた時間内に対応を始める | ふだんの仕事や生活を続け、通知が来たときだけ動く | 当番の頻度から決める |
| シフト勤務 | 決めた時間帯に持ち場で作業を続ける | その時間はずっと監視や運用の作業をする | 時間帯の数から決める |
| 待機 | 作業の予定に合わせて、呼ばれたらすぐ動けるよう備える | リリースや切り替えなど特定の作業の間だけ備える | 作業の予定から決める |
| エスカレーション先 | 当番が判断や対応に困ったときに相談を受ける | 順番では回さず、役割で固定する | 役割(リーダー、責任者)で決まる |
どれを選ぶかの判断基準
| 条件 | 選ぶもの |
|---|---|
| 通知は月に数件で、来たときだけ対応すればよい | オンコール |
| 通知や作業が常にあり、画面を見続ける必要がある | シフト勤務 |
| リリースやデータ移行の当日だけ備えたい | 待機(期間を決めて指名) |
| 当番では判断できない事柄(利用者への告知、停止の判断)がある | エスカレーション先を役割で決める |
| 夜間の通知がほとんどない | オンコールの時間帯を日中に絞る |
この記事で扱うのはオンコールの当番設計です。重大度の決め方や起きた後の対応の流れ、目標値そのものの決め方は扱いません。
ローテーションの組み方
一次と二次の2段構え
一次当番が最初に通知を受け、決めた時間内に返事がなければ二次当番に通知が移ります。二次がいると、一次が電波の届かない場所にいた場合や、同時に2件起きた場合にも受けられます。
二次の決め方は2通りあります。
| 決め方 | 特徴 | 向いている場合 |
|---|---|---|
| 前の週の一次が二次になる | 直前の状況を知っている人が控えになる。当番が2週続く | 引き継ぎを軽くしたい |
| 次の週の一次が二次になる | 二次の週に状況をつかんでから一次になる。当番が2週続く | 新しく入った人に慣れてもらいたい |
この記事のコードは「前の週の一次が二次」で組んでいます。
週次・日次・平日/土日分割の選び方
| 回し方 | よい点 | 気をつける点 | 向いている条件 |
|---|---|---|---|
| 週次 | 当番表が分かりやすい。引き継ぎは週1回 | 夜間の通知が多いと1週間が長い | 通知が少ない。4人以上 |
| 日次 | 1回の負担が小さい | 引き継ぎが毎日ある。人数によって曜日が固定される | 夜間の通知が多い |
| 平日/土日分割 | 土日の当番を均等に配れる | 当番表が2本になる | 土日の負担をそろえたい |
| 時間帯を絞る | 少人数でも続けられる | 対象外の時間は翌朝の対応になる | 3人以下。夜間の利用が少ない |
繰り上げの流れ(Mermaidのコード)
flowchart TD
A[アラート発生] --> B[一次当番に通知]
B --> C{15分以内に<br/>受け取りの返事}
C -- あり --> D[一次当番が対応]
C -- なし --> E[二次当番に通知]
E --> F{15分以内に<br/>受け取りの返事}
F -- あり --> G[二次当番が対応]
F -- なし --> H[エスカレーション先<br/>チームリーダーに通知]
D --> I{30分で<br/>見通しが立つ}
G --> I
I -- 立つ --> J[復旧して記録]
I -- 立たない --> H
15分・30分は例です。次の節のルールで自分たちの値を決めます。
Pythonで当番表を自動生成する(CSV出力)
人数(名前の一覧)と開始日、週数を渡すと、一次・二次の当番表をCSVで出力します。標準ライブラリだけで動きます。
oncall.py:
import csv
import sys
from datetime import date, timedelta
def weekly(members, start, weeks):
"""週次ローテーション。二次は前の週の一次が受け持つ。"""
n = len(members)
rows = []
for w in range(weeks):
begin = start + timedelta(weeks=w)
rows.append({
"週": w + 1,
"開始日": begin.isoformat(),
"終了日": (begin + timedelta(days=6)).isoformat(),
"一次": members[w % n],
"二次": members[(w - 1) % n],
})
return rows
def swap(rows, week, role, new_member):
"""交代の申請を反映する。同じ週の一次と二次が同じ人になる交代は受け付けない。"""
row = rows[week - 1]
other = "二次" if role == "一次" else "一次"
if row[other] == new_member:
raise ValueError(f"第{week}週: {new_member} は{other}の当番です")
row[role] = new_member
def summary(rows, members):
out = []
for m in members:
p = sum(r["一次"] == m for r in rows)
s = sum(r["二次"] == m for r in rows)
out.append((m, p, s, len(rows) - p - s))
return out
if __name__ == "__main__":
members = sys.argv[1].split(",")
start = date.fromisoformat(sys.argv[2])
weeks = int(sys.argv[3])
if start.weekday() != 0:
sys.exit("開始日は月曜日にしてください")
if len(members) < 2:
sys.exit("一次と二次を分けるには2人以上が必要です")
rows = weekly(members, start, weeks)
for a in sys.argv[4:]: # 交代の指定: 週:役割:名前
week, role, name = a.split(":")
try:
swap(rows, int(week), role, name)
except ValueError as e:
sys.exit(f"交代できません: {e}")
w = csv.DictWriter(sys.stdout, fieldnames=["週", "開始日", "終了日", "一次", "二次"], lineterminator="\n")
w.writeheader()
w.writerows(rows)
print()
print("名前,一次の週数,二次の週数,当番なしの週数")
for m, p, s, free in summary(rows, members):
print(f"{m},{p},{s},{free}")
5人で10週分を作る例です。開始日は月曜日(2026-10-05)にします。
python3 oncall.py 青木,井上,上田,遠藤,小川 2026-10-05 10
実行結果:
週,開始日,終了日,一次,二次
1,2026-10-05,2026-10-11,青木,小川
2,2026-10-12,2026-10-18,井上,青木
3,2026-10-19,2026-10-25,上田,井上
4,2026-10-26,2026-11-01,遠藤,上田
5,2026-11-02,2026-11-08,小川,遠藤
6,2026-11-09,2026-11-15,青木,小川
7,2026-11-16,2026-11-22,井上,青木
8,2026-11-23,2026-11-29,上田,井上
9,2026-11-30,2026-12-06,遠藤,上田
10,2026-12-07,2026-12-13,小川,遠藤
名前,一次の週数,二次の週数,当番なしの週数
青木,2,2,6
井上,2,2,6
上田,2,2,6
遠藤,2,2,6
小川,2,2,6
上半分をそのまま表計算ソフトに貼ると当番表になります。下半分は偏りの確認用で、5人とも一次2週・二次2週・当番なし6週にそろっています。ファイルに保存する場合は > oncall.csv を付けます。
交代の申請を反映する
第3週の一次を小川さんに、第5週の一次を上田さんに入れ替える例です(上田さんと小川さんが互いに週を交換)。4つ目以降の引数に 週:役割:名前 を並べます。
python3 oncall.py 青木,井上,上田,遠藤,小川 2026-10-05 10 3:一次:小川 5:一次:上田
実行結果(先頭6行):
週,開始日,終了日,一次,二次
1,2026-10-05,2026-10-11,青木,小川
2,2026-10-12,2026-10-18,井上,青木
3,2026-10-19,2026-10-25,小川,井上
4,2026-10-26,2026-11-01,遠藤,上田
5,2026-11-02,2026-11-08,上田,遠藤
同じ週の一次と二次が同じ人になる交代は受け付けません。
python3 oncall.py 青木,井上,上田,遠藤,小川 2026-10-05 4 2:一次:青木
交代できません: 第2週: 青木 は二次の当番です
開始日が月曜日でない場合は、次のように表示して終了します。
python3 oncall.py 青木,井上 2026-10-06 4
開始日は月曜日にしてください
人数別の当番頻度を計算する
早見表の数値を出したコードです。週次・日次・平日/土日分割の3通りを、2人から8人まで数えます。
freq.py:
from datetime import date, timedelta
START = date(2026, 10, 5) # 月曜日
DAYS = 7 * 840 # 2〜8人のどの人数でも割り切れる長さ(840週)
def weekly(n):
"""週次。一次は週ごとに交代、二次は前の週の一次。"""
prim = [0] * n; sec = [0] * n
for d in range(DAYS):
w = d // 7
prim[w % n] += 1; sec[(w - 1) % n] += 1
return prim, sec
def daily(n):
"""日次。一次は日ごとに交代、二次は前の日の一次。"""
prim = [0] * n; sec = [0] * n; wkend = [0] * n
for d in range(DAYS):
prim[d % n] += 1; sec[(d - 1) % n] += 1
if (START + timedelta(days=d)).weekday() >= 5:
wkend[d % n] += 1
return prim, sec, wkend
def split(n):
"""平日(月〜金)と休日(土日)を別の順番で回す。休日は平日と半周ずらす。"""
wd = [0] * n; we = [0] * n; both = 0
for w in range(DAYS // 7):
a = w % n; b = (w + n // 2) % n
wd[a] += 5; we[b] += 2
both += (a == b)
return wd, we, both
print("人数 | 週次:一次は何週に1回 | 週次:一次か二次の割合 | 週次:一次の週数/年 | 日次:一次の日数/月 | 日次:休日の一次/年 | 分割:平日当番は何週に1回 | 分割:休日当番は何週に1回")
for n in range(2, 9):
p, s = weekly(n)
assert len(set(p)) == 1 and len(set(s)) == 1
both = (p[0] + s[0]) / DAYS if n > 1 else 1
dp, ds, dw = daily(n)
years = DAYS / 365.25
assert len(set(dp)) == 1
lo, hi = min(dw) / years, max(dw) / years
wk = f"{lo:.1f}日" if hi - lo < 0.05 else f"{lo:.1f}〜{hi:.1f}日"
wd, we, same = split(n)
assert same == 0
print(f"{n}人 | {n}週に1回 | {both:.0%} | {p[0] / 7 / years:.1f}週 | {dp[0] / (years * 12):.1f}日 | {wk} | {DAYS // 7 * 5 // wd[0]}週に1回 | {DAYS // 7 * 2 // we[0]}週に1回")
実行結果(python3 freq.py):
人数 | 週次:一次は何週に1回 | 週次:一次か二次の割合 | 週次:一次の週数/年 | 日次:一次の日数/月 | 日次:休日の一次/年 | 分割:平日当番は何週に1回 | 分割:休日当番は何週に1回
2人 | 2週に1回 | 100% | 26.1週 | 15.2日 | 52.2日 | 2週に1回 | 2週に1回
3人 | 3週に1回 | 67% | 17.4週 | 10.1日 | 34.8日 | 3週に1回 | 3週に1回
4人 | 4週に1回 | 50% | 13.0週 | 7.6日 | 26.1日 | 4週に1回 | 4週に1回
5人 | 5週に1回 | 40% | 10.4週 | 6.1日 | 20.9日 | 5週に1回 | 5週に1回
6人 | 6週に1回 | 33% | 8.7週 | 5.1日 | 17.4日 | 6週に1回 | 6週に1回
7人 | 7週に1回 | 29% | 7.5週 | 4.3日 | 0.0〜52.2日 | 7週に1回 | 7週に1回
8人 | 8週に1回 | 25% | 6.5週 | 3.8日 | 13.0日 | 8週に1回 | 8週に1回
7人の日次だけ、土日の一次が「0.0〜52.2日」と人によって分かれました。理由は「確かめて分かったこと」に書きます。
オンコール体制のルールのひな形
当番表と一緒に、次の項目を1枚にまとめておきます。
# オンコール体制ルール(○○システム)
## 1. 対象
- 対象システム:
- 対象の通知:(例)重大度が高い通知だけ。それ以外は翌営業日に確認
- 対象の時間帯:(例)毎日 0:00〜24:00 / 平日 9:00〜21:00
## 2. 当番
- 回し方:(例)週次、月曜10:00に交代
- 一次当番:通知を最初に受ける
- 二次当番:前の週の一次当番
- エスカレーション先:(役割で書く)
## 3. 応答の目標
- 受け取りの返事:通知から○分以内
- 対応の開始:通知から○分以内
- 繰り上げ:一次から○分返事がなければ二次へ、さらに○分でエスカレーション先へ
- 相談の目安:○分たっても見通しが立たなければエスカレーション先に相談
## 4. 当番中の約束
- 通知を受け取れる状態にしておく(端末、通信、手順書を開ける環境)
- 受け取れない時間があるときは、事前に二次当番へ伝える
- 対応したら、時刻・事象・行ったことを記録に残す
## 5. 交代の申請
- 申請先:
- 期限:(例)当番の○日前まで
- 方法:交代する相手を自分で見つけ、当番表を更新して連絡する
- 急な事情のとき:エスカレーション先に連絡し、代わりを決めてもらう
## 6. 対応後の休息
- (例)夜間に対応したときは、翌日の開始時刻を遅らせる
- (例)夜間の対応が続いたときは、当番を二次に引き継ぐ
## 7. 見直し
- 時期:(例)3か月ごと
- 見るもの:通知の件数、時間帯、繰り上げの回数、交代の回数
記入例:備品予約システム(5人)
# オンコール体制ルール(備品予約システム)
## 1. 対象
- 対象システム:備品予約システム(予約画面、通知メール、夜間バッチ)
- 対象の通知:予約画面が開けない、夜間バッチが止まった、の2種類。それ以外は翌営業日に確認
- 対象の時間帯:毎日 7:00〜23:00(23:00〜7:00 の通知は 7:00 にまとめて確認)
## 2. 当番
- 回し方:週次、月曜10:00に交代
- 一次当番:通知を最初に受ける
- 二次当番:前の週の一次当番
- エスカレーション先:チームリーダー
## 3. 応答の目標
- 受け取りの返事:通知から15分以内
- 対応の開始:通知から30分以内
- 繰り上げ:一次から15分返事がなければ二次へ、さらに15分でチームリーダーへ
- 相談の目安:30分たっても見通しが立たなければチームリーダーに相談
## 4. 当番中の約束
- 通知を受け取れる状態にしておく(端末、通信、手順書を開ける環境)
- 受け取れない時間があるときは、事前に二次当番へ伝える
- 対応したら、時刻・事象・行ったことを当番記録に残す
## 5. 交代の申請
- 申請先:チームのチャット(当番の話題)
- 期限:当番の3日前まで
- 方法:交代する相手を自分で見つけ、当番表を更新して連絡する
- 急な事情のとき:チームリーダーに連絡し、代わりを決めてもらう
## 6. 対応後の休息
- 21:00以降に対応したときは、翌日の開始時刻を遅らせる
- 2晩続けて対応したときは、残りの期間を二次当番に引き継ぐ
## 7. 見直し
- 時期:3か月ごと
- 見るもの:通知の件数、時間帯、繰り上げの回数、交代の回数
4つの項目の決め方
| 項目 | 決め方 | 値の例 |
|---|---|---|
| 応答目標時間 | 利用者への影響が出るまでの時間から逆算する。利用者に直接関わるものは短く、それ以外は長く | 15分、30分 |
| 繰り上げの分数 | 応答目標時間と同じか、少し短くする | 15分 |
| 交代の申請方法 | 相手探し・当番表の更新・連絡の3つを申請者が行う形にする | 3日前まで |
| 対応後の休息 | 夜間に対応した翌日の扱いと、連続したときの引き継ぎを決める | 翌日の開始を遅らせる |
Google の SRE 本「Being On-Call」の章には、応答時間の代表的な値として「利用者に直接関わるサービスは5分、それほど時間に厳しくないシステムは30分」と書かれています。自分たちのシステムがどちらに近いかで決めます。
引き継ぎチェックリスト
交代のタイミング(例:月曜10:00)に、前の当番と次の当番が10〜15分で確認します。
## 引き継ぎチェックリスト
### 前の当番(渡す側)
- [ ] 期間中の通知の件数と内容を引き継ぎメモに書いた
- [ ] 続いている事象と、次に確認する時刻を書いた
- [ ] 一時的に変えた設定(通知の停止、しきい値の変更、手動での再実行)を書いた
- [ ] 手順書に足りなかった点を書いた(または手順書を直した)
- [ ] 今週の予定(リリース、メンテナンス、利用が増える日)を書いた
### 次の当番(受ける側)
- [ ] 引き継ぎメモを読み、分からない点を質問した
- [ ] 通知が自分の端末に届くことをテスト通知で確かめた
- [ ] 手順書と管理画面を開けることを確かめた
- [ ] 二次当番とエスカレーション先の連絡先を確かめた
- [ ] 受け取れない時間帯がある場合、二次当番に伝えた
### 2人で
- [ ] 当番表の今週の行が正しいことを確かめた
- [ ] 引き継ぎが終わったことをチームに知らせた
引き継ぎメモのテンプレート
# オンコール引き継ぎメモ
- 期間:YYYY-MM-DD 〜 YYYY-MM-DD
- 前の当番: / 次の当番: / 二次当番:
## 1. 期間中の通知
| 日時 | 事象 | 行ったこと | 状態 |
|---|---|---|---|
| | | | 完了/継続 |
## 2. 続いている事象
- 事象:
- 次に確認する時刻と見るもの:
- 悪化したときの手順:
## 3. 一時的に変えた設定
| 変えたもの | 変える前 | 今 | 戻す条件 |
|---|---|---|---|
| | | | |
## 4. 今週の予定
-
## 5. 手順書への反映
-
## 6. 次の当番へのひとこと
-
記入例
# オンコール引き継ぎメモ
- 期間:2026-10-05 〜 2026-10-11
- 前の当番:青木 / 次の当番:井上 / 二次当番:青木
## 1. 期間中の通知
| 日時 | 事象 | 行ったこと | 状態 |
|---|---|---|---|
| 10-06 07:12 | 夜間バッチ(利用状況の集計)が止まった | 手順書3.2に沿って再実行し、07:40に完了 | 完了 |
| 10-08 19:05 | 予約画面の応答が遅い | アプリを再起動して回復。原因は調査中 | 継続 |
## 2. 続いている事象
- 事象:予約画面の応答が夕方に遅くなる(10-08、10-09 の2回)
- 次に確認する時刻と見るもの:毎日18:00〜19:30 の応答時間のグラフ
- 悪化したときの手順:手順書2.1(アプリの再起動)。2回続いたらチームリーダーに相談
## 3. 一時的に変えた設定
| 変えたもの | 変える前 | 今 | 戻す条件 |
|---|---|---|---|
| 応答時間の通知のしきい値 | 3秒 | 5秒 | 原因が分かったら3秒に戻す |
## 4. 今週の予定
- 10-14(水)20:00〜 備品マスタの更新リリース
- 10-16(金)月次の締めで予約が増える見込み
## 5. 手順書への反映
- 手順書3.2に「再実行の前に前回分の一時ファイルを消す」を追記した
## 6. 次の当番へのひとこと
- しきい値を5秒に上げているので、通知が来たときは影響が大きい可能性があります
引き継ぎメモで特に抜けやすいのは 「3. 一時的に変えた設定」 です。通知を止めたまま、しきい値を上げたままになると、次の当番が異常に気づくのが遅れます。
当番表を運用するときのポイント
| 場面 | すること |
|---|---|
| 当番表を配るとき | 2〜3か月分をまとめて出す。予定を立てやすくなる |
| 新しい人が入るとき | 最初の1〜2回は二次から始め、一次の対応を一緒に見る |
| 人数が減ったとき | 早見表で割合を確かめ、67%以上になるなら時間帯を絞る |
| 長い休みの時期 | 先に希望を集め、交代を当番表に反映してから配る |
| 通知が増えてきたとき | 当番を増やす前に、対応の要らない通知を減らす |
確かめて分かったこと
- 2人で一次・二次を回すと、2人とも100%当番でした。一次でない週は必ず二次になるためです。2人の場合は二次を置かず、責任者を繰り上げ先にして時間帯を絞るほうが続けられます。
- 「一次か二次の週の割合」は 2÷人数 になります。4人で50%、5人で40%、8人でちょうど25%です。Google の SRE 本には「オンコールに充てる時間は25%まで」「1拠点のチームでオンコールを回すのに必要な最少人数は8人」とあり、一次・二次を週次で回す計算と合います。
- 7人の日次ローテーションは、曜日が固定されます。 7日周期と人数が一致するので、土曜と日曜の一次が毎回同じ2人になり、残りの5人は土日が0日でした。7人のときは週次にするか、平日と土日を別の順番で回します。
- 平日/土日分割は、土日の順番を半周ずらすと、同じ人が平日と土日を同じ週に受けることがありません(2人〜8人のすべてで重なりが0回)。ずらさないと、平日5日と土日2日が同じ人に続きます。
- 交代は「2人が互いに週を入れ替える」形にすると、回数がそろったままでした。片方だけ入れ替えると、一次の回数が1人に偏ります。
- 二次を「前の週の一次」にすると、当番は必ず2週続きます。 5人の場合、2週続けて当番、3週は当番なし、という周期になります。
よくある質問
Q. オンコール体制とは何ですか? A. システムの通知を受ける人を、順番に当番として決めておく仕組みです。当番の人は、決めた時間内に通知を受け取り、最初の対応を始めます。
Q. オンコールとシフト勤務の違いは何ですか? A. オンコールは通知が来たときだけ動き、シフト勤務は決めた時間帯ずっと作業を続けます。通知が月に数件ならオンコール、常に監視が要るならシフト勤務が向いています。
Q. オンコールのローテーションは何人から組めますか? A. 一次・二次の2段構えを週次で回すなら4〜5人からです。3人以下の場合は、受ける時間帯を絞るか、二次を置かずに責任者を繰り上げ先にします。
Q. 当番の日に都合が悪いときはどうしますか? A. 交代する相手を見つけ、互いの週を入れ替えて当番表を更新します。申請の期限と連絡先をルールに書いておくと、迷わず動けます。
Q. 一次当番に連絡がつかないときはどうなりますか? A. 決めた分数(例:15分)で二次当番に通知が移ります。二次にもつながらなければ、エスカレーション先に通知します。
まとめ
- オンコール体制は「誰がいつ受けるか」の当番設計。 一次・二次・エスカレーション先の3段で考える。
- 週次の2段構えは4〜5人から。 一次か二次の週の割合は 2÷人数。
- 3人以下は時間帯を絞る。 2人で2段構えにすると常に当番になる。
- 二次は前の週の一次にすると、引き継ぎが軽くなる。
- ルールは応答目標時間・繰り上げの分数・交代の申請方法・対応後の休息の4つを先に決める。
- 引き継ぎは、続いている事象と一時的に変えた設定を必ず渡す。
- 当番表はコードで作り、偏りを数えて確かめる。
参考・出典
- Google「Site Reliability Engineering」Being On-Call(確認日 2026-10-06)https://sre.google/sre-book/being-on-call/
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(記載例)出典:株式会社RJC「オンコール体制のルールとローテーションの組み方|当番表と引き継ぎ手順」
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