UML(統一モデリング言語)の図は全部で14種類あり、構造を表す図が7種類、振る舞いを表す図が7種類です。 ただし14種類をすべて描く必要はありません。まず5種類を押さえ、残りは「その図でしか伝わらないこと」が出てきたときに足す、という使い方で十分に役立ちます。

この記事は図の選び方に絞り、14種類の一覧、工程別の早見表、同じ題材(架空の図書貸出システム)を描いた PlantUML と Mermaid のコードを載せます。1つ1つの図の細かい記法には踏み込みません。

この記事の結論

  • まず描くのは、ユースケース図・クラス図・シーケンス図・アクティビティ図・ステートマシン図の5つです。
  • 残りの9種類は、必要になったときだけ描きます。 配置図は本番の構成を決めるとき、コンポーネント図は部品の分け方を話すとき、という具合です。
  • どの図を描くかは「何を伝えたいか」で決めます。 誰が何をするか→ユースケース図、何を持つか→クラス図、誰が誰に何を頼むか→シーケンス図、どの順に進むか→アクティビティ図、状態がどう変わるか→ステートマシン図。
  • コードで描くなら、14種類のうち PlantUML は9種類に専用の記法があり、Mermaid 11 はクラス図・シーケンス図・ステートマシン図の3種類に専用の記法があります。 ほかの図は別の記法で代用できます。

確認環境:PlantUML 1.2026.8(OpenJDK 21.0.10、内蔵レイアウト Smetana を指定)、Mermaid 11.14.0(@mermaid-js/mermaid-cli 11.14.0 と Chromium)。掲載した PlantUML と Mermaid のコードは、すべてこの環境で SVG に描画できることを確かめています。確認日 2026-10-05。

UML図の種類一覧(全14種類)

番号 図の名前 分類 何を表すか 使う頻度の目安
1 クラス図 構造 クラス(データと操作のまとまり)と、その関係 高(まず描く5つ)
2 オブジェクト図 構造 ある時点の具体的なデータ(インスタンス)とつながり 低
3 パッケージ図 構造 クラスなどをまとめた単位(パッケージ)と依存の向き 中
4 コンポーネント図 構造 部品(コンポーネント)と、部品どうしのインターフェース 中
5 複合構造図 構造 1つのクラスや部品の内部の構成 低
6 配置図 構造 サーバーや端末と、そこに置くプログラム 中
7 プロファイル図 構造 UML 自体を特定の分野向けに拡張する定義(ステレオタイプなど) 低
8 ユースケース図 振る舞い 利用者(アクター)と、システムが提供する機能 高(まず描く5つ)
9 アクティビティ図 振る舞い 処理や業務の流れ、分岐、並行 高(まず描く5つ)
10 ステートマシン図 振る舞い 1つの対象の状態と、状態が変わるきっかけ 高(まず描く5つ)
11 シーケンス図 振る舞い(相互作用) 登場するもの同士のやり取りを時間順に 高(まず描く5つ)
12 コミュニケーション図 振る舞い(相互作用) やり取りを、つながりの形を中心に 低
13 タイミング図 振る舞い(相互作用) 時間の経過にそった状態の変化 低
14 相互作用概要図 振る舞い(相互作用) 複数のやり取りを、流れ図の形でつないだ全体像 低

シーケンス図・コミュニケーション図・タイミング図・相互作用概要図の4つは、振る舞い図の中でも「相互作用図」と呼ばれるグループです。ステートマシン図は「状態遷移図」「ステートチャート図」、配置図は「デプロイメント図」、複合構造図は「コンポジット構造図」と呼ばれることもあります。

本記事の内容は、ご自由にお使いください。
ご利用の際は、出典として本ページへのリンクを記載いただけますようお願いします。

(記載例)出典:株式会社RJC「UML図の種類一覧:全14種類の使い分けと工程別早見表・PlantUML例」

工程別の早見表(14種類×5工程)

◎は中心になる図、○は必要に応じて描く図、-はその工程ではあまり使わない図です。チームで決めるときの出発点として使える目安です。

図 要件定義 基本設計 詳細設計 実装 テスト
ユースケース図 ◎ ○ - - ○(受入の観点の洗い出し)
アクティビティ図 ◎(業務の流れ) ◎(画面や処理の流れ) ○(込み入った処理) - ○(経路の洗い出し)
クラス図 ○(用語と概念の整理) ◎ ◎ ○(コードと見比べる) -
シーケンス図 - ◎(システム間のやり取り) ◎(クラス間の呼び出し) ○ ○(結合の確認)
ステートマシン図 ○(状態の洗い出し) ◎ ◎ ○ ◎(遷移の網羅)
コンポーネント図 - ◎(部品の分け方) ○ - -
配置図 ○(構成の前提) ◎(本番の構成) ○ ○(環境の準備) ○(テスト環境の構成)
パッケージ図 - ○ ◎(依存の向き) ○ -
オブジェクト図 ○(具体例で確かめる) ○ ○ - ○(テストデータの形)
コミュニケーション図 - ○ ○ - -
タイミング図 - ○ ○(時間の制約がある処理) - ○
相互作用概要図 - ○ - - -
複合構造図 - - ○ - -
プロファイル図 - - - - -

表計算ソフトに貼れるタブ区切り版

図   要件定義    基本設計    詳細設計    実装  テスト
ユースケース図 ◎   ○   -   -   ○
アクティビティ図    ◎   ◎   ○   -   ○
クラス図    ○   ◎   ◎   ○   -
シーケンス図  -   ◎   ◎   ○   ○
ステートマシン図    ○   ◎   ◎   ○   ◎
コンポーネント図    -   ◎   ○   -   -
配置図 ○   ◎   ○   ○   ○
パッケージ図  -   ○   ◎   ○   -
オブジェクト図 ○   ○   ○   -   ○
コミュニケーション図  -   ○   ○   -   -
タイミング図  -   ○   ○   -   ○
相互作用概要図 -   ○   -   -   -
複合構造図   -   -   ○   -   -
プロファイル図 -   -   -   -   -

伝えたいことから図を選ぶ

伝えたいこと 選ぶ図
誰が、このシステムで何をできるのか ユースケース図
業務や処理がどの順に進み、どこで分かれるのか アクティビティ図
どんなデータがあり、どう関係しているのか クラス図
画面・サービス・データベースの間で、どの順に何を呼ぶのか シーケンス図
1つのもの(蔵書、申請など)の状態がどう変わるのか ステートマシン図
システムをどんな部品に分け、どこでつなぐのか コンポーネント図
どのサーバーに何を置くのか 配置図
ソースコードのまとまりと、依存してよい向き パッケージ図
クラス図が正しいかを、具体的な値で確かめたい オブジェクト図
一定時間内に終える、といった時間の条件 タイミング図

まず描く5つの図:PlantUMLとMermaidのコード

題材は架空の図書貸出システムです。利用者が本を借りて返す、という場面を5つの図で描きます。PlantUML のコードにある !pragma layout smetana は、Graphviz を入れていない環境で描くために内蔵のレイアウトを指定する行です。

ユースケース図:誰が何をするか

PlantUML:

@startuml
!pragma layout smetana
left to right direction
actor 利用者
actor 司書
rectangle 図書貸出システム {
  usecase "本を検索する" as UC1
  usecase "本を借りる" as UC2
  usecase "本を返す" as UC3
  usecase "予約する" as UC4
  usecase "蔵書を登録する" as UC5
  usecase "会員を確認する" as UC6
}
利用者 --> UC1
利用者 --> UC2
利用者 --> UC3
利用者 --> UC4
司書 --> UC5
UC2 ..> UC6 : <<include>>
UC4 ..> UC6 : <<include>>
@enduml

Mermaid(11.14.0 にはユースケース図の専用記法が無いので、フローチャートで代用):

flowchart LR
  user(["利用者"])
  staff(["司書"])
  subgraph 図書貸出システム
    uc1(("本を検索する"))
    uc2(("本を借りる"))
    uc3(("本を返す"))
    uc4(("予約する"))
    uc5(("蔵書を登録する"))
    uc6(("会員を確認する"))
  end
  user --- uc1
  user --- uc2
  user --- uc3
  user --- uc4
  staff --- uc5
  uc2 -. include .-> uc6
  uc4 -. include .-> uc6

クラス図:何を持ち、どう関係するか

PlantUML:

@startuml
!pragma layout smetana
class 会員 {
  会員番号
  氏名
  貸出上限冊数
}
class 本 {
  ISBN
  書名
}
class 蔵書 {
  蔵書番号
  状態
}
class 貸出 {
  貸出日
  返却期限
  返却日
  延滞しているか()
}
本 "1" -- "1..*" 蔵書
会員 "1" -- "0..*" 貸出
蔵書 "1" -- "0..*" 貸出
@enduml

Mermaid:

classDiagram
  class 会員 {
    会員番号
    氏名
    貸出上限冊数
  }
  class 本 {
    ISBN
    書名
  }
  class 蔵書 {
    蔵書番号
    状態
  }
  class 貸出 {
    貸出日
    返却期限
    返却日
    延滞しているか()
  }
  本 "1" -- "1..*" 蔵書
  会員 "1" -- "0..*" 貸出
  蔵書 "1" -- "0..*" 貸出

「本」は書名などの情報、「蔵書」は棚にある1冊1冊です。同じ本が3冊あれば蔵書は3件になります。

シーケンス図:誰が誰に何を頼むか

PlantUML:

@startuml
actor 利用者
participant 貸出画面
participant 貸出サービス
database 貸出DB
利用者 -> 貸出画面 : 会員証と本を読み取る
貸出画面 -> 貸出サービス : 貸出を依頼(会員番号, 蔵書番号)
貸出サービス -> 貸出DB : 貸出中の冊数を取得
貸出DB --> 貸出サービス : 冊数
alt 上限未満
  貸出サービス -> 貸出DB : 貸出を登録
  貸出サービス --> 貸出画面 : 返却期限
else 上限に達している
  貸出サービス --> 貸出画面 : 貸出できない理由
end
貸出画面 --> 利用者 : 結果を表示
@enduml

Mermaid:

sequenceDiagram
  actor 利用者
  participant 貸出画面
  participant 貸出サービス
  participant 貸出DB
  利用者->>貸出画面: 会員証と本を読み取る
  貸出画面->>貸出サービス: 貸出を依頼(会員番号, 蔵書番号)
  貸出サービス->>貸出DB: 貸出中の冊数を取得
  貸出DB-->>貸出サービス: 冊数
  alt 上限未満
    貸出サービス->>貸出DB: 貸出を登録
    貸出サービス-->>貸出画面: 返却期限
  else 上限に達している
    貸出サービス-->>貸出画面: 貸出できない理由
  end
  貸出画面-->>利用者: 結果を表示

アクティビティ図:どの順に進むか

PlantUML:

@startuml
start
:会員証を読み取る;
if (会員は有効か) then (はい)
  :本を読み取る;
  if (貸出上限に達しているか) then (いいえ)
    :貸出を登録する;
    :返却期限を表示する;
  else (はい)
    :上限の案内を表示する;
  endif
else (いいえ)
  :窓口を案内する;
endif
stop
@enduml

Mermaid(フローチャートで代用):

flowchart TD
  s((開始)) --> a1[会員証を読み取る]
  a1 --> d1{会員は有効か}
  d1 -- はい --> a2[本を読み取る]
  d1 -- いいえ --> a5[窓口を案内する]
  a2 --> d2{貸出上限に達しているか}
  d2 -- いいえ --> a3[貸出を登録する]
  a3 --> a4[返却期限を表示する]
  d2 -- はい --> a6[上限の案内を表示する]
  a4 --> e((終了))
  a5 --> e
  a6 --> e

ステートマシン図:状態がどう変わるか

PlantUML:

@startuml
!pragma layout smetana
[*] --> 在架
在架 --> 貸出中 : 貸し出す
貸出中 --> 在架 : 返却する
貸出中 --> 延滞 : 返却期限を過ぎる
延滞 --> 在架 : 返却する
在架 --> 予約取置 : 予約が入る
予約取置 --> 貸出中 : 予約者に貸し出す
在架 --> [*] : 除籍する
@enduml

Mermaid:

stateDiagram-v2
  [*] --> 在架
  在架 --> 貸出中: 貸し出す
  貸出中 --> 在架: 返却する
  貸出中 --> 延滞: 返却期限を過ぎる
  延滞 --> 在架: 返却する
  在架 --> 予約取置: 予約が入る
  予約取置 --> 貸出中: 予約者に貸し出す
  在架 --> [*]: 除籍する

必要になったら描く図:PlantUMLのコード

オブジェクト図

クラス図の「会員 1 対 貸出 0以上」を、具体的な値で確かめるときに使います。

@startuml
!pragma layout smetana
object "山田さん : 会員" as m1 {
  会員番号 = "M0001"
  貸出上限冊数 = 5
}
object "蔵書B-0012 : 蔵書" as c1 {
  状態 = "貸出中"
}
object "貸出L-0100 : 貸出" as l1 {
  貸出日 = 2026-10-01
  返却期限 = 2026-10-15
}
m1 -- l1
c1 -- l1
@enduml

コンポーネント図

@startuml
!pragma layout smetana
component 貸出画面
component 貸出API
component 通知バッチ
interface "貸出の操作" as I1
database 貸出DB
貸出API - I1
貸出画面 ..> I1 : 利用
貸出API --> 貸出DB
通知バッチ --> 貸出DB
@enduml

配置図

@startuml
!pragma layout smetana
node "利用者の端末" {
  artifact ブラウザ
}
node "アプリケーションサーバー" {
  artifact "貸出API.jar" as api
}
node "DBサーバー" {
  database 貸出DB
}
ブラウザ --> api : HTTPS
api --> 貸出DB : SQL
@enduml

パッケージ図

PlantUML では、クラス図の中で package を使って描きます。

@startuml
!pragma layout smetana
package 画面 {
  class 貸出画面
}
package 業務 {
  class 貸出サービス
}
package データ {
  class 貸出リポジトリ
}
画面 ..> 業務
業務 ..> データ
@enduml

タイミング図

横軸の数字は貸出からの日数です。3日目に貸し出し、17日目に返却期限を過ぎ、20日目に返却された、という経過を表します。

@startuml
robust "蔵書の状態" as B
@0
B is 在架
@3
B is 貸出中
@17
B is 延滞
@20
B is 在架
@enduml

コミュニケーション図(代用)

PlantUML の公式サイトの図の一覧にコミュニケーション図の項目は無いので、箱と番号付きのメッセージで代用します。

@startuml
!pragma layout smetana
rectangle ":貸出画面" as A
rectangle ":貸出サービス" as B
rectangle ":貸出DB" as C
A --> B : 1: 貸出を依頼
B --> C : 1.1: 貸出中の冊数を取得
B --> C : 1.2: 貸出を登録
@enduml

PlantUMLとMermaidで描ける図・代用する図の対応表

PlantUML の列は、公式サイト(plantuml.com)が UML の図として挙げている9種類を「専用の記法あり」としています。Mermaid の列は、11.14.0 で描画して確かめた結果です。

図 PlantUML Mermaid 11.14.0 Mermaid での書き出し
クラス図 専用の記法あり 専用の記法あり classDiagram
シーケンス図 専用の記法あり 専用の記法あり sequenceDiagram
ステートマシン図 専用の記法あり 専用の記法あり stateDiagram-v2
ユースケース図 専用の記法あり フローチャートで代用 flowchart LR
アクティビティ図 専用の記法あり フローチャートで代用 flowchart TD
オブジェクト図 専用の記法あり クラス図の記法で代用 classDiagram
コンポーネント図 専用の記法あり フローチャートで代用 flowchart LR
配置図 専用の記法あり フローチャートの subgraph で代用 flowchart LR
タイミング図 専用の記法あり 専用の記法なし ―
パッケージ図 クラス図の package で描く クラス図の namespace で代用 classDiagram
コミュニケーション図 箱と番号付きの矢印で代用 フローチャートで代用 flowchart LR
複合構造図 一覧に項目なし 専用の記法なし ―
相互作用概要図 一覧に項目なし 専用の記法なし ―
プロファイル図 一覧に項目なし 専用の記法なし ―

Mermaid の公式ドキュメントには、v12.0.0 以降で使える usecase-beta というユースケース図の記法が載っています。11.14.0 でこの書き出しを使うと UnknownDiagramError: No diagram type detected matching given configuration for text: usecase-beta というエラーになったので、使う前に自分の環境の Mermaid の版を確かめます。

Mermaidで代用するコード

オブジェクト図(クラス図の記法で、ラベルを「名前 : クラス」の形にする):

classDiagram
  class m1["山田さん : 会員"] {
    会員番号 = "M0001"
    貸出上限冊数 = 5
  }
  class l1["貸出L-0100 : 貸出"] {
    貸出日 = 2026-10-01
    返却期限 = 2026-10-15
  }
  m1 -- l1

パッケージ図(namespace でまとめる):

classDiagram
  namespace 画面 {
    class 貸出画面
  }
  namespace 業務 {
    class 貸出サービス
  }
  貸出画面 ..> 貸出サービス

コンポーネント図:

flowchart LR
  ui["貸出画面"] -. 利用 .-> api["貸出API"]
  api --> db[("貸出DB")]
  batch["通知バッチ"] --> db

配置図:

flowchart LR
  subgraph n1["利用者の端末"]
    b["ブラウザ"]
  end
  subgraph n2["アプリケーションサーバー"]
    api["貸出API.jar"]
  end
  subgraph n3["DBサーバー"]
    db[("貸出DB")]
  end
  b -- HTTPS --> api
  api -- SQL --> db

コミュニケーション図:

flowchart LR
  A[":貸出画面"] -- "1: 貸出を依頼" --> B[":貸出サービス"]
  B -- "1.1: 貸出中の冊数を取得" --> C[":貸出DB"]
  B -- "1.2: 貸出を登録" --> C

13種類と14種類の違い

「UML は13種類」と書かれた資料と「14種類」と書かれた資料があります。違いは、プロファイル図を1つの図として数えるかどうかです。 13種類として挙げられる図は、上の一覧からプロファイル図を除いたものと一致します。

数え方 含まれる図
13種類 クラス図、オブジェクト図、パッケージ図、コンポーネント図、複合構造図、配置図、ユースケース図、アクティビティ図、ステートマシン図、シーケンス図、コミュニケーション図、タイミング図、相互作用概要図
14種類 上の13種類+プロファイル図

UML の仕様を公開している OMG のページによると、現在の版は UML 2.5.1(2017年12月)で、その前に 2.0(2005年7月)、2.1.2、2.2(2009年1月)、2.3、2.4.1 などの版があります。プロファイル図は UML 自体を拡張するための図で、業務システムの設計で描く機会は多くありません。設計で使う図を数えるなら、13種類と覚えていても14種類と覚えていても困ることはありません。

似た図のどちらを選ぶか

クラス図とオブジェクト図

比べる点 クラス図 オブジェクト図
描く対象 型(会員、蔵書、貸出) 具体的な1件(山田さん、蔵書 B-0012)
表す範囲 いつでも成り立つ決まり ある時点の様子
向いている場面 設計を決めて共有する 設計が具体例で成り立つかを確かめる、込み入った関係を説明する
保守のしやすさ 設計が変わるまでそのまま使える 例なので、説明が済めば役目を終える

シーケンス図とコミュニケーション図

比べる点 シーケンス図 コミュニケーション図
強調するもの やり取りの順番(上から下へ時間が進む) 誰と誰がつながっているか
順番の表し方 縦の位置 メッセージに付けた番号(1、1.1、1.2)
分岐や繰り返し alt や loop の枠で描ける 描きにくい
コードで描く道具 PlantUML・Mermaid ともに専用の記法あり どちらも代用

判断基準

条件 選ぶ図
設計として残す。レビューで合意したい クラス図
クラス図だけでは関係が伝わらず、具体例を見せたい クラス図に加えてオブジェクト図
呼び出しの順番、分岐、戻り値を確かめたい シーケンス図
登場するものが少なく、つながりの形を1枚で見せたい コミュニケーション図
どちらか迷う シーケンス図(道具の対応が広く、読める人も多い)

そのほかに混同しやすい組み合わせも並べておきます。

似た図 選び方
アクティビティ図とステートマシン図 「作業の流れ」を追うならアクティビティ図、「1つのものの状態」を追うならステートマシン図
アクティビティ図とシーケンス図 担当や分岐を含む流れ全体はアクティビティ図、特定の場面のやり取りの順番はシーケンス図
コンポーネント図と配置図 論理的な部品の分け方はコンポーネント図、物理的にどこへ置くかは配置図
パッケージ図とコンポーネント図 ソースコードのまとまりと依存はパッケージ図、動く部品とインターフェースはコンポーネント図
クラス図とER図 操作も含めて設計するならクラス図、テーブルと列を決めるなら ER 図(ER 図は UML の図ではありません)

確かめて分かったこと

  • PlantUML は Graphviz が無い環境でも、!pragma layout smetana の1行を入れると10種類の図すべてを SVG にできました。 シーケンス図・アクティビティ図・タイミング図は、この行が無くても描けました。
  • Mermaid 11.14.0 では、ユースケース図の書き出し(usecase-beta)がエラーになりました。 公式ドキュメントの記載は v12.0.0 以降が対象です。ドキュメントの版と手元の版が違うと、同じコードでも描けないことがあります。
  • Mermaid でも、14種類のうち10種類は専用の記法か代用で描けました。 専用の記法が3種類、フローチャートやクラス図の記法での代用が7種類です。
  • 日本語のクラス名・状態名・参加者名は、PlantUML でも Mermaid でもそのまま使えました。 Mermaid のフローチャートでは、コロンを含むラベルを二重引用符で囲んでいます。
  • PlantUML と Mermaid では、クラス図とステートマシン図の書き方がよく似ています。 関係の線("1" -- "0..*")や遷移(在架 --> 貸出中)はほぼ同じ形で、違いは書き出しの行と、メッセージの矢印の記号(-> と ->>)などです。

よくある質問

Q. UML図は全部で何種類ありますか? A. 14種類です。構造図が7種類、振る舞い図が7種類で、振る舞い図のうち4種類は相互作用図と呼ばれます。プロファイル図を数えない資料では13種類と書かれています。

Q. UML図のうち、最初に覚えるのはどれですか? A. ユースケース図・クラス図・シーケンス図・アクティビティ図・ステートマシン図の5つです。要件から詳細設計まで、多くの場面をこの5つで説明できます。

Q. クラス図とシーケンス図はどちらを先に描きますか? A. どちらか一方を完成させてからではなく、行き来しながら描きます。クラス図で登場するものを仮に置き、シーケンス図でやり取りを描いてみると、足りないクラスや操作が見つかるので、それをクラス図に戻します。

Q. Mermaid でユースケース図が描けないときはどうしますか? A. フローチャートで代用します。アクターを丸みのある箱、ユースケースを円、システムの境界を subgraph で描くと、この記事のコードのように同じ内容を表せます。新しい版の Mermaid を使える環境なら、公式ドキュメントの専用記法も確かめてみてください。

Q. フローチャートや ER 図は UML ですか? A. UML の14種類には含まれません。フローチャートに近い役割の図がアクティビティ図、ER 図に近い役割の図がクラス図です。

まとめ

  • UML の図は14種類(構造図7、振る舞い図7)。 13種類という数え方は、プロファイル図を含めていません。
  • まず描くのはユースケース図・クラス図・シーケンス図・アクティビティ図・ステートマシン図の5つです。
  • 工程別の早見表を出発点にして、チームで「この工程ではこの図を描く」を決めます。
  • 図は「何を伝えたいか」で選びます。 伝えたいことが無い図は描かなくて構いません。
  • PlantUML は9種類に専用の記法があり、Mermaid 11 は3種類に専用の記法があります。 ほかはフローチャートなどで代用できます。
  • 似た図で迷ったら、設計として残すならクラス図、順番を確かめるならシーケンス図を選びます。

参考

  • OMG「About the Unified Modeling Language Specification Version 2.5.1」https://www.omg.org/spec/UML/2.5.1/About-UML
  • PlantUML 公式サイト https://plantuml.com/
  • Mermaid 公式ドキュメント https://mermaid.js.org/intro/ 、Use Case Diagram https://mermaid.js.org/syntax/usecase.html

本記事の内容は、ご自由にお使いください。
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(記載例)出典:株式会社RJC「UML図の種類一覧:全14種類の使い分けと工程別早見表・PlantUML例」

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