- マネジメント
QCDとは?優先順位の決め方とトレードオフの例・管理指標一覧
QCDとは、品質(Quality)・コスト(Cost)・納期(Delivery)の頭文字で、仕事の成果を測る3つの要素です。 3つは互いに引っ張り合う関係にあり、1つを動かすと残りのどれかが動きます。
「品質>コスト>納期」という優先順位はよく知られた一般論ですが、どの案件にもそのまま当てはまるわけではありません。この記事では、案件ごとに「固定する・最適化する・受け入れる」を1つずつ割り当てて、着手前に合意する方法を、そのまま使える表と数字つきの例で説明します。個々の指標の詳しい計算には踏み込まず、3つの釣り合いの取り方に絞ります。
確認環境(確認日 2026-10-05):トレードオフの3案と管理指標の計算例は Python 3.11 で検算しました。金額・工数・件数はすべて架空の例で、相場を示すものではありません。
この記事の結論
- 「品質>コスト>納期」は出発点となる一般論。案件ごとの優先順位は、着手前に関係者で決める
- 3つに「固定する・最適化する・受け入れる」を1つずつ割り当てる。3つとも固定にはできない
- 納期を縮める手段は、増員・範囲の削減・試験の圧縮の3つ。それぞれコスト・範囲・品質のどれを動かすかが違う
- 「範囲(スコープ)を動かす」が第4の選択肢。品質・コスト・納期を保ったまま調整できる余地になる
- 決めた優先順位は、Q・C・Dそれぞれの指標で週ごとに確かめる
QCDの早見表
| 要素 | 意味 | システム開発で指すもの | 主な指標 | 動かすと起きること |
|---|---|---|---|---|
| Q 品質 | 求められた水準を満たしている度合い | 欠陥の少なさ、性能、使いやすさ、保守のしやすさ | 欠陥密度、レビュー指摘密度、試験の消化率 | 上げるとレビューと試験の工数が増える |
| C コスト | かけた費用と工数 | 人の工数、機器やクラウドの利用料、外部への委託費 | CPI、コスト差異 | 抑えると人数か期間か範囲を減らすことになる |
| D 納期 | 約束した日に届けること | 稼働日、工程ごとの節目の日 | SPI、遅延日数 | 縮めると人数を増やすか、範囲か試験を減らすことになる |
本記事の内容は、ご自由にお使いください。
ご利用の際は、出典として本ページへのリンクを記載いただけますようお願いします。
(記載例)出典:株式会社RJC「QCDとは?優先順位の決め方とトレードオフの例・管理指標一覧」
「品質>コスト>納期」は一般論、案件ごとに決める
品質を最優先に置く考え方には理由があります。納期と費用を守っても、使えないものを届けたのでは目的を果たせないからです。一方で、次のような案件では順番が変わります。
| 案件の性格(例) | 動かせないもの | 理由 |
|---|---|---|
| 制度の開始日や催しの日に合わせる | 納期 | 日付を過ぎると価値がなくなる |
| 年度の予算の枠が決まっている | コスト | 枠を超える支出は承認を取り直す必要がある |
| 多くの人が毎日使う基幹の仕組み | 品質 | 止まったときの影響が大きい |
| 新しい仕組みを小さく試す | 納期かコスト | 早く試して学ぶことが目的で、品質は試せる水準でよい |
大切なのは、順番そのものよりも「誰と、いつ、どう決めたか」です。 着手したあとで問題が起きてから優先順位を話し合うと、立場ごとに答えが分かれます。着手前に決めて文書に残しておけば、問題が起きたときに「何を守り、何を動かすか」をその場で判断できます。
優先順位を合意するトレードオフ表
品質・コスト・納期の3つに、次の3つの扱いを1つずつ割り当てます。
| 扱い | 意味 | 問題が起きたとき |
|---|---|---|
| 固定する | 変えられない制約として扱う | これを守るために、ほかの2つを動かす |
| 最適化する | できるだけ良くする | 固定を守れる範囲で、最も良い値を目指す |
| 受け入れる | 変動を許す | 最初に動かす。どこまで動かしてよいかの幅を決めておく |
記入例(架空の備品予約システム:稼働日が決まっている案件)
| 要素 | 固定する | 最適化する | 受け入れる | 目標の値 | 動かしてよい幅 | 合意した人・日付 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 品質 | ○ | 稼働時の重大な欠陥0件、欠陥密度1.5件/KLOC以下 | 軽微な欠陥は稼働後1か月以内に直す | 総務部長・開発責任者 2026-10-05 | ||
| コスト | ○ | 1,600万円 | 5%(80万円)までの増加は開発責任者が判断。超える場合は協議 | 同上 | ||
| 納期 | ○ | 2027-04-01 稼働 | なし | 同上 | ||
| 範囲 | ― | ― | ― | 必須の機能12件は固定、希望の機能6件は調整の対象 | 希望の機能は次の段階へ回せる | 同上 |
表計算ソフトに貼れるタブ区切りです。
要素 固定する 最適化する 受け入れる 目標の値 動かしてよい幅 合意した人・日付
品質 ○ 稼働時の重大な欠陥0件、欠陥密度1.5件/KLOC以下 軽微な欠陥は稼働後1か月以内に直す 総務部長・開発責任者 2026-10-05
コスト ○ 1,600万円 5%(80万円)までの増加は開発責任者が判断。超える場合は協議 同上
納期 ○ 2027-04-01 稼働 なし 同上
範囲 ― ― ― 必須の機能12件は固定、希望の機能6件は調整の対象 希望の機能は次の段階へ回せる 同上
何も記入していないひな形です。
要素 固定する 最適化する 受け入れる 目標の値 動かしてよい幅 合意した人・日付
品質
コスト
納期
範囲 ― ― ―
記入の決まり
- ○は、各行に1つ、各列に1つ。 「固定する」が2つ以上ある表は、問題が起きたときに守れない約束を含んでいます。
- 「受け入れる」には必ず幅を書く。 「コストは受け入れる」だけでは、いくらまでなのかが人によって違ってしまいます。
- 範囲の行を足す。 必須の機能と、調整の対象にできる機能を分けておくと、Q・C・Dを動かす前に使える余地になります。
- 合意した人と日付を残す。 決めた人がわかれば、見直すときに誰と話せばよいかもわかります。
3つとも固定はできない
品質・コスト・納期の3つをすべて固定すると、見積もりと違うことが1つ起きただけで、どれかを破ることになります。開発では、要件の追加、想定より難しい処理、担当者の交代など、見積もりどおりにいかないことが必ず起きます。動かせるものを1つ決めておくことは、変化を吸収する場所を前もって用意することです。
どうしても3つとも動かせないと言われたときは、範囲の行を使います。「必須の機能は3つとも守る。希望の機能は調整の対象にする」という形なら、合意できることが多くなります。
納期を2週間縮める3案を数字で比べる
題材は、5名で16週(作業量80人週、費用1,600万円)の計画を、14週に縮めるという架空の例です。1人週の費用を20万円として計算します。5名のまま14週で進めると70人週で、10人週が足りません。この10人週をどこから出すかで、3つの案に分かれます。
| 案 | 動かすもの | 期間 | 工数 | 費用 | あとの作業を含む合計 | 残る課題 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 当初の計画 | ― | 16週 | 80人週 | 1,600万円 | 1,600万円 | ― |
| A 増員(最初から1名追加) | コスト | 14週 | 84人週 | 1,680万円(+80) | 1,680万円(+80) | 加わる人が最初から確保できること |
| B 範囲の削減 | 範囲 | 14週 | 70人週 | 1,400万円(−200) | 1,620万円(+20) | 10人週分の機能が次の段階になる |
| C 試験の圧縮 | 品質 | 14週 | 70人週 | 1,400万円(−200) | 1,640万円(+40) | 稼働後に欠陥が30件残る見込み |
計算の前提(すべて例)
- 案A:加わった人は最初の2週間、半分の速さで作業する。教える側も、1名につき合計0.5人週を使う。
- 案B:優先度の低い機能10人週分を次の段階へ回す。あとで再開するときに、準備として1人週かかる。
- 案C:試験20人週のうち10人週を減らす。試験で見つかる見込みの欠陥60件のうち、試験の量に比例して30件が見つからずに残る。欠陥1件を直す工数は、試験中なら0.5人日、稼働後なら2.0人日とする。
検算のコードと実行結果
# 納期を2週間縮める3案の比較(数字はすべて架空の例。Python 3.11、標準ライブラリのみ)
import math
WEEK_COST = 20 # 1人週あたりの費用(万円)
TEAM, WEEKS = 5, 16 # 当初の計画:5名で16週
WORK = TEAM * WEEKS # 作業量 80人週
TARGET = 14 # 縮めたあとの期間(週)
BASE = WORK * WEEK_COST
SHORT = WORK - TEAM * TARGET # 5名のまま14週で進めると足りない量
def show(name, weeks, effort, later=0.0, note=""):
cost, total = effort * WEEK_COST, (effort + later) * WEEK_COST
print(f"{name:<10} 期間{weeks:>3}週 工数{effort:>5.1f}人週 費用{cost:>5.0f}万円"
f"({cost - BASE:+.0f}) 後の作業を含む合計{total:>5.0f}万円({total - BASE:+.0f}) {note}")
print(f"作業量 {WORK}人週 / 5名×{TARGET}週 = {TEAM * TARGET}人週 / 不足 {SHORT}人週")
show("当初の計画", WEEKS, WORK)
# 案A 増員:加わって最初の2週は半分の速さ。教える側も1名につき合計0.5人週を使う
def gain(start_week): # 1名が第 start_week 週から加わったときに増える作業量
stay = TARGET - start_week + 1
return min(stay, 2) * 0.5 + max(stay - 2, 0) - 0.5, stay
for start in (1, 5, 9):
g, stay = gain(start)
n = math.ceil(SHORT / g)
show(f"A 増員(第{start}週〜)", TARGET, TEAM * TARGET + n * stay,
note=f"{n}名追加、1名あたりの増加 {g:.1f}人週")
# 案B 範囲の削減:優先度の低い機能10人週分を次の段階へ。再開の準備に1人週
show("B 範囲の削減", TARGET, WORK - SHORT, later=SHORT + 1, note="10人週分の機能を次の段階へ")
# 案C 試験の圧縮:試験20人週のうち10人週を減らす
TEST, BUGS = 20, 60 # 試験の工数、試験で見つかると見込む欠陥の数
FIX_AFTER, FIX_IN_TEST = 2.0, 0.5 # 欠陥1件を直す工数(人日):稼働後/試験中
left = BUGS * SHORT / TEST # 見つける機会が減る欠陥(試験の量に比例すると仮定)
extra = left * (FIX_AFTER - FIX_IN_TEST) / 5 # 稼働後に直すことで増える工数(人週)
show("C 試験の圧縮", TARGET, WORK - SHORT, later=left * FIX_AFTER / 5,
note=f"稼働後に残る欠陥 {left:.0f}件")
print(f" C の補足:稼働後の修正 {left:.0f}件×{FIX_AFTER}人日 = {left * FIX_AFTER / 5:.0f}人週。"
f"試験中に直す場合より {extra:.0f}人週多い")
# 管理指標の計算例
print("\n管理指標の計算例")
kloc, bugs, pages, comments = 30, 45, 320, 96
done, planned, passed = 850, 1000, 816
pv, ev, ac = 780, 720, 800 # 万円
print(f"欠陥密度 {bugs}/{kloc} = {bugs / kloc:.2f} 件/KLOC")
print(f"レビュー指摘密度 {comments}/{pages} = {comments / pages:.2f} 件/ページ")
print(f"試験の消化率 {done}/{planned} = {done / planned:.1%} 合格率 {passed}/{done} = {passed / done:.1%}")
print(f"CPI {ev}/{ac} = {ev / ac:.2f} コスト差異 CV {ev}-{ac} = {ev - ac}万円")
print(f"SPI {ev}/{pv} = {ev / pv:.2f} スケジュール差異 SV {ev}-{pv} = {ev - pv}万円")
print(f"完成時の費用の見込み BAC/CPI = 1600/{ev / ac:.2f} = {1600 / (ev / ac):.0f}万円")
作業量 80人週 / 5名×14週 = 70人週 / 不足 10人週
当初の計画 期間 16週 工数 80.0人週 費用 1600万円(+0) 後の作業を含む合計 1600万円(+0)
A 増員(第1週〜) 期間 14週 工数 84.0人週 費用 1680万円(+80) 後の作業を含む合計 1680万円(+80) 1名追加、1名あたりの増加 12.5人週
A 増員(第5週〜) 期間 14週 工数 90.0人週 費用 1800万円(+200) 後の作業を含む合計 1800万円(+200) 2名追加、1名あたりの増加 8.5人週
A 増員(第9週〜) 期間 14週 工数 88.0人週 費用 1760万円(+160) 後の作業を含む合計 1760万円(+160) 3名追加、1名あたりの増加 4.5人週
B 範囲の削減 期間 14週 工数 70.0人週 費用 1400万円(-200) 後の作業を含む合計 1620万円(+20) 10人週分の機能を次の段階へ
C 試験の圧縮 期間 14週 工数 70.0人週 費用 1400万円(-200) 後の作業を含む合計 1640万円(+40) 稼働後に残る欠陥 30件
C の補足:稼働後の修正 30件×2.0人日 = 12人週。試験中に直す場合より 9人週多い
管理指標の計算例
欠陥密度 45/30 = 1.50 件/KLOC
レビュー指摘密度 96/320 = 0.30 件/ページ
試験の消化率 850/1000 = 85.0% 合格率 816/850 = 96.0%
CPI 720/800 = 0.90 コスト差異 CV 720-800 = -80万円
SPI 720/780 = 0.92 スケジュール差異 SV 720-780 = -60万円
完成時の費用の見込み BAC/CPI = 1600/0.90 = 1778万円
結果の読み方
- 案Aは、いつ加わるかで結果が変わります。 最初から加われば1名(+80万円)で足りますが、第5週からなら2名(+200万円)、第9週からなら3名(+160万円)が必要です。加わるのが遅いほど、1名あたりの増加が12.5→8.5→4.5人週と小さくなるためです。
- 案Bと案Cは、その時点の費用は同じ1,400万円です。 違いは、あとに残るものです。案Bは「まだ無い機能」が残り、案Cは「見つかっていない欠陥」が残ります。
- あとの作業を含めると、案Cは案Bより20万円多くなりました。 しかも案Cの残り方は、利用者が使っている最中に不具合として現れます。金額の差以上に、利用者への影響が違います。
- あとの作業を含む合計は、3案とも当初の1,600万円を上回りました。 納期を縮めるには、どの案でも何かを支払うということです。
どの案を選ぶかは、トレードオフ表で決まります。記入例のように「納期を固定、コストを受け入れる(5%まで)」なら、+80万円の案Aは幅の中に収まります。コストが固定なら案B、という具合です。案Cを選ぶのは、品質を「受け入れる」と合意している場合だけで、その場合も、減らす試験の対象を利用者への影響が小さい機能に絞ります。
範囲(スコープ)を動かすという第4の選択肢
QCDは3要素ですが、実際の調整では「何を作るか」という範囲が4つ目の要素として効きます。
| 動かすもの | 具体的な手段 | 向いている場面 | 気を付ける点 |
|---|---|---|---|
| 納期 | 稼働日を延ばす、段階に分けて稼働する | 日付に外部の制約がない | 延ばした期間の分、費用も増える |
| コスト | 人を増やす、作業の一部を外部に任せる | 早い時期で、加わる人を確保できる | 遅い時期の増員は効果が小さい |
| 品質 | 試験やレビューの対象を絞る | 試作や、影響の小さい機能 | 稼働後に直すほうが工数がかかる |
| 範囲 | 優先度の低い機能を次の段階へ回す、機能を簡単な形にする | 必須と希望が分けられている | 回した機能をいつ作るかを決めておく |
範囲を動かす案は、品質・コスト・納期の3つを保ったまま調整できる点が強みです。 そのためには、着手前に機能へ優先度(必須・希望など)を付けておく必要があります。全部が必須になっている一覧では、この選択肢が使えません。
条件から選ぶ判断基準
| 条件 | 選ぶもの |
|---|---|
| 稼働日が動かせず、機能に優先度が付いている | 範囲を動かす(希望の機能を次の段階へ) |
| 稼働日が動かせず、機能はすべて必須で、早い時期である | コストを動かす(増員) |
| 稼働日が動かせず、機能はすべて必須で、残りの期間が短い | 段階に分けて稼働できないかを相談する。増員は人数が多く必要になる |
| 予算が動かせない | 範囲を動かすか、納期を延ばす |
| 品質の基準が動かせない | 範囲・納期・コストのいずれかを動かす。試験は減らさない |
| 試作で、早く試すことが目的 | 品質を「試せる水準」と決め、範囲も最小にする |
QCD別の管理指標一覧
決めた優先順位が守られているかは、指標で確かめます。目安の列は例で、過去の自分たちの値をもとに決め直してください。
| 要素 | 指標 | 定義 | 計算式 | 目安(例) | 計算例 |
|---|---|---|---|---|---|
| Q | 欠陥密度 | 規模あたりの欠陥の数 | 欠陥の数 ÷ 規模(KLOC) | 過去の案件の中央値の前後 | 45 ÷ 30 = 1.50 件/KLOC |
| Q | レビュー指摘密度 | 文書の量あたりの指摘の数 | 指摘の数 ÷ ページ数 | 過去の案件の中央値の前後 | 96 ÷ 320 = 0.30 件/ページ |
| Q | 試験の消化率 | 予定した試験のうち、終えた割合 | 実施した項目 ÷ 予定の項目 | 計画した日ごとの値に沿う | 850 ÷ 1,000 = 85.0% |
| Q | 試験の合格率 | 実施した試験のうち、合格した割合 | 合格した項目 ÷ 実施した項目 | 工程の終わりに100% | 816 ÷ 850 = 96.0% |
| C | CPI(コスト効率指数) | かけた費用に対して、どれだけ作業が進んだか | EV ÷ AC | 1.0以上で計画どおり。0.9を下回ったら原因を調べる | 720 ÷ 800 = 0.90 |
| C | コスト差異(CV) | 進んだ作業の価値と、かけた費用の差 | EV − AC | 0以上 | 720 − 800 = −80万円 |
| C | 完成時の費用の見込み | 今の効率が続いた場合の総費用 | BAC ÷ CPI | 合意した幅の中 | 1,600 ÷ 0.90 = 1,778万円 |
| D | SPI(スケジュール効率指数) | 予定に対して、どれだけ作業が進んだか | EV ÷ PV | 1.0以上で計画どおり。0.9を下回ったら原因を調べる | 720 ÷ 780 = 0.92 |
| D | スケジュール差異(SV) | 進んだ作業の価値と、予定の差 | EV − PV | 0以上 | 720 − 780 = −60万円 |
| D | 遅延日数 | 節目の予定日と実際の日の差 | 実際の完了日 − 予定の完了日 | 0日以下 | 3月12日 − 3月10日 = 2日 |
用語:PV は予定していた作業の価値、EV は完了した作業の価値(出来高)、AC は実際にかかった費用、BAC は完成までの予算の合計です。KLOC はソースコード1,000行を表します。
要素 指標 定義 計算式 目安(例) 計算例
Q 欠陥密度 規模あたりの欠陥の数 欠陥の数 ÷ 規模(KLOC) 過去の案件の中央値の前後 45 ÷ 30 = 1.50 件/KLOC
Q レビュー指摘密度 文書の量あたりの指摘の数 指摘の数 ÷ ページ数 過去の案件の中央値の前後 96 ÷ 320 = 0.30 件/ページ
Q 試験の消化率 予定した試験のうち、終えた割合 実施した項目 ÷ 予定の項目 計画した日ごとの値に沿う 850 ÷ 1,000 = 85.0%
Q 試験の合格率 実施した試験のうち、合格した割合 合格した項目 ÷ 実施した項目 工程の終わりに100% 816 ÷ 850 = 96.0%
C CPI(コスト効率指数) かけた費用に対して、どれだけ作業が進んだか EV ÷ AC 1.0以上で計画どおり。0.9を下回ったら原因を調べる 720 ÷ 800 = 0.90
C コスト差異(CV) 進んだ作業の価値と、かけた費用の差 EV − AC 0以上 720 − 800 = −80万円
C 完成時の費用の見込み 今の効率が続いた場合の総費用 BAC ÷ CPI 合意した幅の中 1,600 ÷ 0.90 = 1,778万円
D SPI(スケジュール効率指数) 予定に対して、どれだけ作業が進んだか EV ÷ PV 1.0以上で計画どおり。0.9を下回ったら原因を調べる 720 ÷ 780 = 0.92
D スケジュール差異(SV) 進んだ作業の価値と、予定の差 EV − PV 0以上 720 − 780 = −60万円
D 遅延日数 節目の予定日と実際の日の差 実際の完了日 − 予定の完了日 0日以下 3月12日 − 3月10日 = 2日
指標は3つを並べて読む
1つの指標だけを見ると、ほかの要素にしわ寄せが出ていることに気付けません。
| 見えている状態 | 併せて見る指標 | 考えられること |
|---|---|---|
| SPIが1.0以上で順調 | 欠陥密度、レビュー指摘密度 | レビューや試験を省いて進めていると、あとで欠陥が増える |
| CPIが1.0以上で順調 | SPI、試験の消化率 | 人を減らして費用を抑えた結果、進みが遅れていないか |
| 欠陥密度が低い | 試験の消化率 | 試験が進んでいないために、欠陥が見つかっていないだけではないか |
| 3つとも順調 | 範囲(完了した機能の数) | 機能を減らした結果ではないか |
記入例の案件(納期を固定、品質を最適化、コストを受け入れる)で、計算例の値(CPI 0.90、SPI 0.92)になった場合の読み方はこうです。固定している納期に対してSPIが1.0を下回っているので、まず納期を守る手を打ちます。受け入れると決めたコストは、完成時の見込みが1,778万円で、合意した幅(1,680万円まで)を超えています。幅を超える見込みになった時点で、合意した人と協議する、というのがトレードオフ表の使い方です。
QCD・QCDS・QCDSE・スコープ・時間・コストの三角形の違い
| 枠組み | 要素 | よく使われる場面 | 範囲(スコープ)の扱い |
|---|---|---|---|
| QCD | 品質、コスト、納期 | ものづくり全般、システム開発 | 要素には無い。品質や納期の前提として扱う |
| QCDS | QCD + S | サービスや対応まで含めて評価するとき | 要素には無い |
| QCDSE | QCD + S + E | 安全と環境への配慮が欠かせない仕事 | 要素には無い |
| スコープ・時間・コストの三角形 | 範囲、時間、コスト | プロジェクト管理 | 要素の1つ。品質は3つの釣り合いの結果として扱う説明が多い |
QCDSの S は「サービス(対応や支援)」、QCDSEの S は「安全」、E は「環境」を指す使い方が広く見られます。派生した呼び方は使う場面によって文字の意味が変わるので、会議や文書で使うときは、最初に各文字の意味を書いておくと行き違いを防げます。
スコープ・時間・コストの三角形は、PMI(プロジェクトマネジメント協会)のサイトに掲載されている文献でも、範囲・時間・コストの3つが互いに関係し、1つが変われば別のものも変わる、という形で紹介されています(出典は末尾)。
QCDと三角形の違いは、範囲が要素に入っているかどうかです。 QCDで話していて行き詰まったら、三角形の見方を借りて「範囲を動かせないか」を加えると、選択肢が1つ増えます。この記事のトレードオフ表に範囲の行を足しているのは、そのためです。
どの枠組みで話すかの判断基準
| 条件 | 選ぶもの |
|---|---|
| 成果物の出来を、発注する側と受注する側で確かめたい | QCD |
| 稼働後の対応や支援の水準まで合意したい | QCDS(S の意味を最初に定義する) |
| 計画の変更を話し合う。機能の追加や削減が論点になる | スコープ・時間・コストの三角形 |
| 優先順位を着手前に合意したい | QCDに範囲を足したトレードオフ表 |
確かめて分かったこと
- 増員の効果は、加わる時期で大きく変わりました。 同じ10人週を補うのに、第1週からなら1名、第5週からなら2名、第9週からなら3名が必要という計算になりました。
- 費用が増える順は、人数の順と一致しませんでした。 第5週から2名(+200万円)より、第9週から3名(+160万円)のほうが少なくなります。在籍する週の合計が、20人週と18人週で逆転するためです。人数だけでなく、在籍する期間との掛け算で見る必要があります。
- 範囲の削減と試験の圧縮は、その時点の費用が同じ(−200万円)でした。 目先の数字では区別がつかないので、「あとに何が残るか」を並べて比べないと、試験の圧縮が選ばれやすくなります。
- あとの作業まで含めると、3案とも当初の計画より費用が増えました。 範囲の削減でも、再開の準備の分(この例では1人週)が上乗せになります。
- CPIが0.90のとき、完成時の費用の見込みは1,778万円で、予算より178万円多くなりました。 0.1の差は小さく見えますが、予算1,600万円に対しては11%の増加にあたります。受け入れる幅を5%と決めていれば、CPIが0.95を下回った時点で協議の対象です(1,600 ÷ 0.95 = 1,684万円)。
よくある質問
Q. QCDとは何ですか? A. 品質(Quality)・コスト(Cost)・納期(Delivery)の3つの頭文字です。仕事の成果を測る基本の要素で、1つを動かすとほかが影響を受ける関係にあります。
Q. QCDの優先順位はどう決めればよいですか? A. 品質・コスト・納期に「固定する・最適化する・受け入れる」を1つずつ割り当て、着手前に関係者で合意します。品質を最優先とする一般論を出発点にしつつ、稼働日や予算の制約に合わせて案件ごとに決めます。
Q. QCDのトレードオフとは何ですか? A. 3つのうち1つを良くしようとすると、ほかのどれかを譲ることになる関係のことです。納期を縮めるなら、人を増やす(コスト)、機能を減らす(範囲)、試験を減らす(品質)のいずれかが必要になります。
Q. QCDとQCDSの違いは何ですか? A. QCDSは、QCDに S を加えた枠組みです。S はサービス(対応や支援)を指す使い方が広く見られますが、場面によって意味が変わるので、使うときに定義を確かめます。
Q. 品質もコストも納期も守れないときはどうすればよいですか? A. 範囲(スコープ)を動かせないかを検討します。機能に必須と希望の優先度を付け、希望の機能を次の段階へ回すと、3つを保ったまま調整できる場合があります。
まとめ
- QCDは品質・コスト・納期。1つを動かすと、ほかが動く
- 「品質>コスト>納期」は一般論。案件ごとに、固定する・最適化する・受け入れるを1つずつ割り当てる
- 3つとも固定はできない。「受け入れる」には動かしてよい幅を書く
- 納期を2週間縮める例では、増員は+80万円、範囲の削減と試験の圧縮はその時点で−200万円。あとの作業を含めると3案とも当初より増える
- 範囲を動かすのが第4の選択肢。そのために機能へ優先度を付けておく
- Q・C・Dの指標は3つを並べて読み、受け入れる幅を超える見込みになったら協議する
参考・出典
- Angelo Baratta(2006)、スコープ・時間・コストの三角形(triple constraint)を論じた文献。PMI のサイトに掲載 https://www.pmi.org/learning/library/triple-constraint-erroneous-useless-value-8024 (2026-10-05 確認)
本記事の内容は、ご自由にお使いください。
ご利用の際は、出典として本ページへのリンクを記載いただけますようお願いします。
(記載例)出典:株式会社RJC「QCDとは?優先順位の決め方とトレードオフの例・管理指標一覧」
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RJCは、Web・モバイル・AIを活用した開発プロジェクトで、テックリードやPM・PMOも活躍するシステム開発会社です。会社を知る、待遇を確かめる、話を聞いてみる。気になるところ見てみてください!
- 127日年間休日
- 12時間平均残業時間
- 毎日ガチャ遊びココロも大切にする福利厚生。アマギフなどの賞品ラインナップ!
ほかにも、チケットレストラン、書籍読み放題、2年ごとの慰労報奨(休暇 or 金一封)、11期連続の黒字決算。