- マネジメント
ワーキングアグリーメントの例一覧と決め方 テンプレート付き
ワーキングアグリーメントとは、チームのメンバー自身が話し合って決める「一緒に働くときの約束」です。 会社の規則やマネージャーの指示とは違い、チーム全員が同意したものだけを載せ、チームの判断でいつでも書き換えられます。
この記事では、そのまま候補として使える例50個を6分類の一覧にし、60分で決める進行表、Markdownテンプレートと記入例、見直しの問いかけをまとめました。グランドルールやチーム憲章、完成の定義との違いも表で整理しています。
確認環境:進行表の時間配分と例の件数は Python 3.11.15 で検算し、スクラムガイドは scrumguides.org の2020年版(英語のHTML版)を開いて確認しました(確認日 2026-10-05)。
この記事の結論
- 数は5〜10個に絞る。全員が覚えていられる数にすると、日々の判断で使われます。
- 全員が同意したものだけを載せる。1人でも同意できない文は、文言を直すか今回は見送ります。
- 行動の形で書く。「助け合う」ではなく「15分調べて進まなければチームのチャンネルに書く」のように、見て確かめられる文にします。
- 決めた日に次の見直し日を決める。合わなくなった約束は外し、身についた約束は卒業させます。
ワーキングアグリーメントの早見表
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 何か | チームが自分たちで決める、働き方の約束 |
| 誰が決めるか | チームのメンバー全員(同意で決める) |
| 数の目安 | 5〜10個 |
| 書き方 | 「誰が・いつ・何をする」が分かる行動の文 |
| 置き場所 | チャットのピン留め、チームのWikiの先頭、ボードの端など、毎日目に入る所 |
| 決めるのにかかる時間 | 60分(下の進行表) |
| 見直し | ふりかえりのたびに1〜2分、まとめて見直すのは1〜3か月ごと |
| 載せないもの | 成果物の品質基準(完成の定義へ)、会社の規則(就業規則へ) |
本記事の内容は、ご自由にお使いください。
ご利用の際は、出典として本ページへのリンクを記載いただけますようお願いします。
(記載例)出典:株式会社RJC「ワーキングアグリーメントの例一覧と決め方 テンプレート付き」
分類別の例一覧(6分類・50個)
候補として眺めて、自分のチームの困りごとに合うものだけを選んでください。50個すべてを採用する一覧ではありません。数値(15分、24時間など)は例なので、チームで話して決めます。
連絡(8個)
| No. | 約束の例 | ねらい |
|---|---|---|
| 1 | 仕事の相談はチームのチャンネルに書き、個別メッセージは使わない | 経緯を全員が追える |
| 2 | メンションを受けたら、読んだ印のリアクションをその日のうちに付ける | 伝わったかの確認を減らす |
| 3 | 質問には「やりたいこと・試したこと・出たメッセージ」の3点を添える | 1往復で答えられる |
| 4 | 返信に時間がかかるときは「〇時までに返します」と先に書く | 待つ側が次の作業に移れる |
| 5 | 離席・休み・早上がりは、分かった時点でチームの予定表に入れる | 予定を組みやすくする |
| 6 | 急ぎの用件は件名の先頭に【至急】と期限を書く | 優先度が一目で分かる |
| 7 | 口頭や通話で決めたことは、決めた人が5分以内にチャンネルへ書く | いなかった人にも伝わる |
| 8 | 感謝は気づいた時にチャンネルで伝える | よい行動が続く |
会議(9個)
| No. | 約束の例 | ねらい |
|---|---|---|
| 9 | 会議の招待には目的とゴールを1行ずつ書く | 参加の判断と準備ができる |
| 10 | 開始時刻に始め、終了5分前に決まったことと担当を読み上げる | 時間内に結論まで進む |
| 11 | 50分を超える会議は途中で5分休む | 集中を保つ |
| 12 | オンライン会議では、話す人はカメラをつける | 反応が伝わりやすい |
| 13 | 発言していない人に、進行役が一度は声をかける | 全員の意見が出る |
| 14 | 資料は前日の終業までに共有し、当日は質問から始める | 読み上げの時間を省く |
| 15 | 議事メモは当番が会議中に書き、終了時に全員で確認する | 認識のずれをその場で直す |
| 16 | 議題に関係が薄いと感じたら、途中で抜けてよい | 時間を作業に回せる |
| 17 | 朝会は15分で終え、長くなる話は終了後に残れる人で続ける | 全体の時間を守る |
レビュー(8個)
| No. | 約束の例 | ねらい |
|---|---|---|
| 18 | レビュー依頼には、翌営業日の午前中までに最初の反応を返す | 待ち時間を短くする |
| 19 | 1つのプルリクエストは差分300行以内を目安に分ける | 読み切れる大きさにする |
| 20 | 指摘には「必須」「提案」「質問」のどれかを先頭に付ける | 対応の要否が分かる |
| 21 | 指摘は「〜するとこうなるので、〜はどうですか」と理由と案を添える | 直し方がすぐ分かる |
| 22 | よいと思った箇所にも1つはコメントする | よい書き方が広まる |
| 23 | 往復が3回を超えたら、通話で話して結果をコメントに残す | やりとりを短くする |
| 24 | レビュー待ちが2件たまったら、新しい作業より先にレビューする | 仕掛かりをためない |
| 25 | 依頼する側は、確認手順と画面の写しを説明欄に入れる | レビューする人の準備を減らす |
作業時間(8個)
| No. | 約束の例 | ねらい |
|---|---|---|
| 26 | 10時〜15時は全員が連絡の取れる時間にする | 相談できる時間をそろえる |
| 27 | 13時〜15時は集中時間とし、会議を入れない | まとまった作業時間を作る |
| 28 | 18時以降と休日のメッセージは、翌営業日の返信でよい | 安心して休める |
| 29 | 同時に持つ作業は1人2件までにする | 1件ずつ終わらせる |
| 30 | 作業を始めるときに、ボードのカードを自分で「作業中」に動かす | 状況が見える |
| 31 | 見積もりより半日以上延びそうなら、その日のうちに共有する | 早めに手を打てる |
| 32 | 週に2時間は、学習や改善に使ってよい | 道具と技術を磨く |
| 33 | 金曜の午後は新しいリリースを入れず、片付けと共有に使う | 週明けを落ち着いて迎える |
困った時(9個)
| No. | 約束の例 | ねらい |
|---|---|---|
| 34 | 15分調べて進まなければ、チームのチャンネルに書く | 1人で止まる時間を減らす |
| 35 | 「分かりません」「もう一度お願いします」は歓迎する | 質問しやすくする |
| 36 | 相談を受けたら、手を止めるか「〇時からなら」と時刻を返す | 相談が宙に浮かない |
| 37 | 不具合を見つけたら、原因を探す前にまず共有する | 影響を早く小さくする |
| 38 | 間違いに気づいた人は、責める言葉を使わず事実と次の一手を書く | 報告が早くなる |
| 39 | 体調がすぐれない日は、理由を細かく書かずに休みを伝えてよい | 休みやすくする |
| 40 | 2人で30分話して決まらなければ、3人目を呼ぶ | 行き詰まりを短くする |
| 41 | 手が空いたら「手伝えます」とチャンネルに書く | 助けを頼みやすくする |
| 42 | 同じ質問が2回出たら、答えた人がWikiに書き足す | 次の人が自分で解ける |
意思決定(8個)
| No. | 約束の例 | ねらい |
|---|---|---|
| 43 | すぐ戻せる決定は、担当者が決めて後から共有する | 進みを速くする |
| 44 | 戻しにくい決定は、選択肢と理由を書いて全員の同意を取る | 納得して進める |
| 45 | 同意は「賛成・気になる点あり・同意できない」の3択で示す | 黙ったままの同意を作らない |
| 46 | 意見が割れたら、2週間試してから見直す | 試して確かめる |
| 47 | 決定には「いつ・誰が・なぜ」を1行で残す | 後から経緯をたどれる |
| 48 | 決まったことには、反対だった人も協力する | 決定後に足並みをそろえる |
| 49 | 欠席した人は、決定の共有から2営業日以内なら再検討を求められる | いなかった人の声も拾う |
| 50 | 優先順位に迷ったら、プロダクトオーナーに聞く | 判断の窓口を1つにする |
行動の形に書き直す例
採用する文は、見て確かめられる行動になっているかを確認します。
| 直す前 | 直した後 | 直した点 |
|---|---|---|
| 助け合う | 15分調べて進まなければ、チームのチャンネルに書く | いつ・何をするかを入れた |
| 早めにレビューする | レビュー依頼には、翌営業日の午前中までに最初の反応を返す | 期限を入れた |
| 会議を効率よく | 終了5分前に、決まったことと担当を読み上げる | 行動を1つに絞った |
| 遅刻をなくす | 開始時刻に始め、遅れる人は開始前に一言書く | 「しない」ではなく「する」で書いた |
| 情報共有を徹底する | 通話で決めたことは、決めた人が5分以内にチャンネルへ書く | 誰がするかを入れた |
60分で決める進行表
個人で書く → 分類 → 投票 → 文言を整える → 同意確認、の順で進めます。最初に1人で書く時間を取ると、声の大きさに関係なく全員の意見が出ます。
| 開始 | 分 | 進め方 | 出来上がるもの |
|---|---|---|---|
| 0:00 | 5 | 目的と進め方を共有する。「決めるのは5〜10個」「全員が同意したものだけ載せる」を先に伝える | ゴールの共有 |
| 0:05 | 10 | 個人で書く。「このチームで働きやすかった場面」「こうなるともっと働きやすい場面」を付箋に1枚1件で書く | 1人3〜5枚の付箋 |
| 0:15 | 10 | 分類する。1人ずつ読み上げて貼り、似たものを近くに寄せ、連絡・会議・レビューなどの見出しを付ける | 分類された付箋 |
| 0:25 | 5 | 投票する。1人3票で「いま決めると効果が大きい」と思うまとまりに印を付ける | 上位5〜10件 |
| 0:30 | 20 | 文言を整える。上位のまとまりを、行動の形の文に1件ずつ書き直す | 約束の文案 |
| 0:50 | 7 | 同意確認をする。1文ずつ「賛成・気になる点あり・同意できない」を全員が示し、同意できない人がいれば文言を直すか見送る | 同意済みの約束 |
| 0:57 | 3 | 置き場所と次の見直し日を決める | 掲示と見直し日 |
合計は 5+10+10+5+20+7+3=60分です。
準備するものは、付箋(オンラインならホワイトボードのツール)、投票用の印、時間を計る係の3つです。進行役は意見を出す側と兼ねると場が偏りやすいので、進行役は文案づくりに加わらず、問いかけに徹すると進めやすくなります。
同意確認の3択
| 示し方 | 意味 | その後 |
|---|---|---|
| 賛成 | このまま載せてよい | 採用 |
| 気になる点あり | 載せてよいが、気になる点を伝えたい | 点を聞き、必要なら文言を直して採用 |
| 同意できない | このままでは守れない | 理由を聞き、文言を直して再確認。まとまらなければ今回は見送る |
多数決で決めないのは、同意していない人には守る理由が無いためです。見送った文は「次回の候補」に残しておきます。
Markdownテンプレートと記入例
チームのWikiやリポジトリの WORKING_AGREEMENT.md にそのまま置ける形です。
# ワーキングアグリーメント(チーム名)
- 決めた日: YYYY-MM-DD
- 次の見直し日: YYYY-MM-DD
- 決めた人: (全員の名前)
## 私たちの約束
| No. | 分類 | 約束(誰が・いつ・何をする) | 決めた理由 | 決めた日 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | | | | |
| 2 | | | | |
| 3 | | | | |
| 4 | | | | |
| 5 | | | | |
## 守れなかった時の声のかけ方
- 気づいた人が「約束の〇番、どうしましょう」と声をかける
- 2回続いたら、次のふりかえりで約束そのものを見直す
## 卒業した約束(身についたので外したもの)
| 約束 | 卒業した日 |
|---|---|
| | |
## 次回の候補(今回は見送ったもの)
-
記入例(架空の備品予約システムの開発チーム、6名)
# ワーキングアグリーメント(備品予約チーム)
- 決めた日: 2026-10-05
- 次の見直し日: 2026-11-02
- 決めた人: 佐藤、鈴木、高橋、田中、伊藤、渡辺
## 私たちの約束
| No. | 分類 | 約束(誰が・いつ・何をする) | 決めた理由 | 決めた日 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 困った時 | 15分調べて進まなければ、チームのチャンネルに書く | 1人で半日止まっていたことがあった | 2026-10-05 |
| 2 | 連絡 | 仕事の相談はチームのチャンネルに書き、個別メッセージは使わない | 同じ質問が別々に届いていた | 2026-10-05 |
| 3 | レビュー | レビュー依頼には、翌営業日の午前中までに最初の反応を返す | レビュー待ちが3日続いた | 2026-10-05 |
| 4 | レビュー | 指摘には「必須」「提案」「質問」のどれかを先頭に付ける | 直すべきか迷う指摘が多かった | 2026-10-05 |
| 5 | 会議 | 終了5分前に、決まったことと担当を読み上げる | 会議後に担当が決まっていなかった | 2026-10-05 |
| 6 | 作業時間 | 13時〜15時は集中時間とし、会議を入れない | 作業が細切れになっていた | 2026-10-05 |
| 7 | 意思決定 | 意見が割れたら、2週間試してから見直す | 議論が長引いて決まらなかった | 2026-10-05 |
## 守れなかった時の声のかけ方
- 気づいた人が「約束の〇番、どうしましょう」と声をかける
- 2回続いたら、次のふりかえりで約束そのものを見直す
## 卒業した約束(身についたので外したもの)
| 約束 | 卒業した日 |
|---|---|
| (まだありません) | |
## 次回の候補(今回は見送ったもの)
- 10時〜15時は全員が連絡の取れる時間にする(勤務時間帯が違う人がいるため、時間帯を再検討)
表計算ソフトで管理する場合は、次のタブ区切りを貼り付けて使えます。
| No. | 分類 | 約束(誰が・いつ・何をする) | 決めた理由 | 決めた日 | 状態 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 困った時 | 15分調べて進まなければ、チームのチャンネルに書く | 1人で半日止まっていたことがあった | 2026-10-05 | 継続 |
| 2 | 連絡 | 仕事の相談はチームのチャンネルに書き、個別メッセージは使わない | 同じ質問が別々に届いていた | 2026-10-05 | 継続 |
| 3 | レビュー | レビュー依頼には、翌営業日の午前中までに最初の反応を返す | レビュー待ちが3日続いた | 2026-10-05 | 継続 |
No. 分類 約束(誰が・いつ・何をする) 決めた理由 決めた日 状態
1 困った時 15分調べて進まなければ、チームのチャンネルに書く 1人で半日止まっていたことがあった 2026-10-05 継続
2 連絡 仕事の相談はチームのチャンネルに書き、個別メッセージは使わない 同じ質問が別々に届いていた 2026-10-05 継続
3 レビュー レビュー依頼には、翌営業日の午前中までに最初の反応を返す レビュー待ちが3日続いた 2026-10-05 継続
「状態」の列には、継続・文言変更・卒業・取り下げのいずれかを入れます。
見直しの進め方と問いかけ一覧
約束は決めた時点のチームに合わせたものなので、メンバーや仕事の進め方が変わったら書き換えるのが前提です。
| きっかけ | すること | 時間の目安 |
|---|---|---|
| ふりかえりのたび | 約束を1つずつ読み、守れたかを手の指の本数(5段階)で示す | 2〜5分 |
| 1〜3か月ごと | 下の問いかけで全体を見直し、追加・文言変更・卒業・取り下げを決める | 30分 |
| メンバーが加わった時 | 新しい人に理由と一緒に説明し、気になる点を聞いて全員で同意を取り直す | 15〜30分 |
| 同じ約束が2回続けて守れなかった時 | 人ではなく約束の文を見直す | 10分 |
見直しの問いかけ(12個)
| No. | 問いかけ | 分かること |
|---|---|---|
| 1 | この約束のおかげで助かった場面はありましたか | 続ける価値 |
| 2 | 意識しなくても守れている約束はどれですか | 卒業の候補 |
| 3 | 守りにくかった約束はどれですか。何が邪魔をしましたか | 文言変更の候補 |
| 4 | 数値(15分、翌営業日など)は今のチームに合っていますか | 数値の調整 |
| 5 | 読んでも行動が思い浮かばない文はありますか | 行動の形への書き直し |
| 6 | この1か月で、約束が無くて困った場面はありましたか | 追加の候補 |
| 7 | 新しく入った人が読んで、意味が伝わりますか | 言葉の分かりやすさ |
| 8 | 同じことを別の約束でも言っていませんか | まとめる候補 |
| 9 | 数は覚えていられる範囲に収まっていますか | 絞り込み |
| 10 | 働く場所や時間帯が違う人にとって、守りやすいですか | 公平さ |
| 11 | 守れなかった時に、声をかけやすいですか | 運用のしやすさ |
| 12 | 全員が今もこの文に同意していますか | 同意の取り直し |
うまくいっている点から聞き始める(1・2番)と、守れなかった話に偏らず、落ち着いて見直せます。
グランドルール・チーム憲章・完成の定義・就業規則との違い
名前が似た文書と、「誰が決めるか・対象・変えやすさ」で比べます。
| 文書 | 誰が決めるか | 対象 | 変えやすさ | 例 |
|---|---|---|---|---|
| ワーキングアグリーメント | チームのメンバー全員 | 日々の働き方(連絡・会議・レビューなど) | 高い(チームの同意でいつでも) | 15分調べて進まなければチャンネルに書く |
| グランドルール | 会議や研修の進行役と参加者 | その場(1回の会議、ワークショップ)での振る舞い | 高い(その場ごとに決め直す) | 人の話を最後まで聞く、端末は閉じる |
| チーム憲章 | チームと、チームを立ち上げた責任者 | チームの目的・役割・範囲・目標 | 中(目的や体制が変わる時) | このチームの使命、成果の指標、役割分担 |
| 完成の定義(完了の定義、DoD) | チーム(組織の標準があればそれに従う) | 成果物が満たす品質の基準 | 中(品質の基準を上げる時) | テストが通っている、レビュー済みである |
| 就業規則 | 会社 | 全社員の労働条件や服務 | 低い(会社の手続きが必要) | 勤務時間、休暇、届け出の方法 |
スクラムガイド2020には「ワーキングアグリーメント」という語は出てきません。完成の定義はガイドに定められた用語で、「プロダクトの品質基準を満たすインクリメントの状態を示した正式な記述」とされ、組織の標準があればそれに従い、無ければスクラムチームが作ると書かれています。つまり、完成の定義はスクラムの決まりごと、ワーキングアグリーメントはチームがよく使うやり方の1つという関係です。ガイドは、スプリントレトロスペクティブで個人・相互作用・プロセス・ツール・完成の定義について検査すると述べており、働き方の約束を見直す場としても合っています。
どれに書くかの判断基準
| 書きたい内容 | 書く先 |
|---|---|
| 成果物が「終わった」と言える条件(テスト、レビュー、文書) | 完成の定義 |
| チームの中での連絡・会議・レビューの進め方 | ワーキングアグリーメント |
| 今日の会議の中だけで守りたいこと | グランドルール |
| チームが何のためにあり、誰が何を担うか | チーム憲章 |
| 勤務時間・休暇・届け出など、会社として決まっていること | 就業規則(チームでは変えない) |
| チームの外の人にも守ってほしいこと | ワーキングアグリーメントには書かず、相手と別に合意する |
| 1人だけが気をつければ済むこと | 書かない(本人の工夫にとどめる) |
迷ったときは、「チームだけで変えられるか」「人の動きか、成果物の状態か」の2点で分けます。チームだけで変えられる人の動きがワーキングアグリーメント、成果物の状態が完成の定義です。たとえば「レビュー済みであること」は成果物の状態なので完成の定義に、「レビュー依頼には翌営業日の午前中までに反応する」は人の動きなのでワーキングアグリーメントに書きます。
確かめて分かったこと
- スクラムガイド2020に「ワーキングアグリーメント」の語は無いことを、公開されているガイドを開いて確認しました。スクラムの必須の作成物ではないので、スクラム以外の進め方のチームでも同じように使えます。
- 例の一覧は6分類で合計50個(8+9+8+8+9+8)です。件数は原稿から機械的に数えて確認しました。
- 進行表の合計は60分で、そのうち「文言を整える」が20分と最も長くなります。投票で5〜10件に絞ってから文言に入る順にすると、この20分に収まります(10件なら1件あたり2分)。
- 同意確認は7分なので、10件あると1件あたり42秒です。ここで議論を始めると時間が足りなくなるため、同意できない文は「次回の候補」に回す決まりを最初に伝えておくと進めやすくなります。
つまずきやすい点と直し方
| 起きやすいこと | こうなる | こうするとよい |
|---|---|---|
| 数が20個を超える | 覚えられず、読まれなくなる | 投票で5〜10個に絞り、残りは候補に残す |
| リーダーが文案を用意して配る | 「決められた規則」と受け取られる | 個人で書く時間から始める |
| 「〜しない」の文が並ぶ | 窮屈に感じる | 「〜する」の形に書き直す |
| 決めたまま見直さない | 合わない約束が残る | 決めた日に次の見直し日を入れる |
| 守れなかった人を指摘する場になる | 報告が遅くなる | 約束の文と仕組みのほうを見直す |
| 成果物の基準まで書く | 完成の定義と二重になる | 人の動きだけを残す |
よくある質問
Q. ワーキングアグリーメントとは何ですか? A. チームのメンバーが自分たちで決める、働き方の約束です。連絡の仕方、会議の進め方、レビューの返し方など、日々の動きを対象にします。
Q. ワーキングアグリーメントとグランドルールの違いは何ですか? A. 対象の長さが違います。グランドルールは1回の会議やワークショップの場での振る舞いを決め、ワーキングアグリーメントはチームの日々の働き方を続けて決めます。
Q. ワーキングアグリーメントは何個が目安ですか? A. 5〜10個が目安です。全員が覚えていられる数にとどめ、身についた約束は卒業させて入れ替えます。
Q. 全員の同意が取れないときはどうしますか? A. その文は今回は載せません。同意できない理由を聞いて文言を直すか、「2週間試して見直す」という形にして再確認し、それでもまとまらなければ次回の候補に残します。
Q. ワーキングアグリーメントが守られないときはどうしますか? A. 人ではなく約束の文を見直します。数値が合っていない、行動が思い浮かばない、同意が形だけだった、のどれに当たるかを問いかけ一覧で確かめます。
まとめ
- ワーキングアグリーメントは、チームが自分たちで決める働き方の約束で、5〜10個に絞ります。
- 全員が同意したものだけを、行動の形で書きます。「誰が・いつ・何をする」が読み取れる文にします。
- 例50個(連絡・会議・レビュー・作業時間・困った時・意思決定)から、困りごとに合うものを選びます。
- 60分の進行表(個人で書く→分類→投票→文言を整える→同意確認)で決められます。
- 決めた日に次の見直し日を決め、12個の問いかけで追加・文言変更・卒業を判断します。
- 成果物の基準は完成の定義、会社の決まりは就業規則に書き、ワーキングアグリーメントには人の動きだけを残します。
参考・出典
- The Scrum Guide(2020年11月版), scrumguides.org(Definition of Done、Sprint Retrospective の記述を確認)
本記事の内容は、ご自由にお使いください。
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(記載例)出典:株式会社RJC「ワーキングアグリーメントの例一覧と決め方 テンプレート付き」
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