会議のファシリテーションとは、参加者の発言を引き出し、整理し、時間内に結論へ運ぶ進行の役割です。 進行のうまさは当日の話術よりも、事前のアジェンダで大半が決まります。議題ごとに「種類(共有・発散・収束・決定)」と「終了条件」を1行で書いておけば、進行役は「いま何をする時間か」「どうなったら次へ進むか」を迷わずに言えます。

この記事では、そのまま貼って使えるアジェンダのテンプレート(Markdownの表とタブ区切り)、60分会議の記入例、時刻つきの進行台本、発散と収束を切り替える判断基準、場面別のフレーズ集を本文にすべて載せます。扱う範囲は会議の「前」と「最中」です。会議後の議事録の書き方や配布の方法は扱いません。題材は架空の「備品予約システムの取消ルールを決める会議」です。

確認環境:Python 3.11(標準ライブラリのみ、Linux)。アジェンダの合計時間・列数・議題ごとの開始時刻は、記事中のコードの実行結果です。確認日は 2026-10-05 です。

この記事の結論

  • 議題ごとに「種類」と「終了条件」を1行で書く。 これだけで、議題が延びたときに「終了条件に届いたか」で打ち切りを判断できます。
  • 種類は4つ:共有・発散・収束・決定。 1つの議題に2つの種類を混ぜず、「案を出す」と「案を絞る」は別の議題に分けます。
  • 発散から収束への切り替えは、「新しい案が2分出ない」か「その議題の時間の半分を過ぎた」のどちらか早いほうを合図にします。
  • 言いにくい場面ほど、決まった言い回しを用意しておく。 脱線・対立・時間切れは、フレーズを先に決めておけば落ち着いて対応できます。

会議ファシリテーションの早見表

段階 進行役がやること 使う道具
前日まで 議題ごとに種類・終了条件・時間・担当を書いたアジェンダを送る アジェンダのテンプレート
開始3分 今日決めること、終了時刻、進め方のルールを読み上げる 開始のフレーズ
共有の議題 説明を聞き、質問だけ受ける。意見は後の議題へ回す 「質問だけ先に受けます」
発散の議題 案の数を増やす。評価や反論は止める 発散のフレーズ、書き出し
収束の議題 評価軸を先に決め、案を分類して絞る 評価軸、収束のフレーズ
決定の議題 決め方(誰が・どう決めるか)に沿って1つに決める 決め切るフレーズ
終了5分 決定事項と宿題(担当・期限)を読み上げて確認する 終了のフレーズ

本記事の内容は、ご自由にお使いください。
ご利用の際は、出典として本ページへのリンクを記載いただけますようお願いします。

(記載例)出典:株式会社RJC「会議ファシリテーションの進め方 アジェンダ設計とフレーズ集」

議題の種類は4つに分ける

種類 目的 終了条件の書き方 進行役の主な動き
共有 情報を全員が同じ理解にする 「〜を全員が把握している」 質問を受け、意見は別の議題へ回す
発散 案・論点・懸念を数多く出す 「案が○つ以上出て、新しい案が○分出ない」 評価を止め、発言していない人に振る
収束 出た案を整理して絞る 「評価軸○つで、案を○つまでに絞れている」 評価軸を決め、分類し、比べる
決定 1つに決めて記録する 「〜が1つに決まり、理由が1行で記録されている」 決め方を確認し、決定者に判断を求める

終了条件は「議論する」「検討する」のような動作ではなく、終わったときの状態で書きます。 状態で書いてあれば、時間が来たときに「届いた/届いていない」を全員が同じ基準で判断できます。

動作で書いた例 状態で書き直した例
取消期限について議論する 取消期限が1案に決まり、理由が1行で記録されている
通知文面を検討する 通知文面のA案・B案のどちらかに決まっている
進捗を確認する 遅れている作業と対処の担当が全員に見えている
アイデアを出し合う 案が5つ以上出て、新しい案が2分間出ない

アジェンダのテンプレート

Markdownの表

# (会議名)アジェンダ

- 日時:     〜    (  分)
- 場所:
- 参加者:
- 進行役:   記録係:   時間係:
- この会議のゴール:
- 事前に読むもの:

| No | 議題 | 種類 | ゴール(終了条件) | 時間 | 担当 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 開始・ゴールの確認 | 共有 |  | 分 | 進行役 |
| 2 |  |  |  | 分 |  |
| 3 |  |  |  | 分 |  |
| 4 | 決定事項と宿題の確認 | 共有 | 決定事項を読み上げ、宿題に担当と期限が付いている | 分 | 進行役 |
| 5 | 予備 | - | 延びた議題に充てる。使わなければ早く終える | 分 | 進行役 |

- 決め方:(例:全員の合意を目指し、時間内にまとまらなければ決定者の○○さんが決める)
- 時間内に終わらなかった議題の扱い:(例:担当と期限を決めて持ち帰る)

タブ区切り(表計算ソフトに貼る用)

No  議題  種類  ゴール(終了条件)   時間  担当
1   開始・ゴールの確認   共有          進行役
2                   
3                   
4   決定事項と宿題の確認  共有  決定事項を読み上げ、宿題に担当と期限が付いている        進行役
5   予備  -   延びた議題に充てる。使わなければ早く終える       進行役

各列の書き方

列 書き方
議題 名詞で短く。1つの議題に種類は1つ
種類 共有・発散・収束・決定のどれか
ゴール(終了条件) 終わったときの状態を1行で。数(案の数、絞る数)を入れると判断しやすい
時間 分単位。合計を会議の枠に合わせ、2〜5分の予備を別の行で取る
担当 その議題を説明する人、または判断する人。決定の議題には決定者の名前を書く

記入例:60分で取消ルールを決める会議

# 備品予約システム 取消ルール検討会 アジェンダ

- 日時:2026-10-08 10:00〜11:00(60分)
- 場所:会議室B/オンライン併用
- 参加者:鈴木(決定者)、佐藤(進行役)、高橋、田中、伊藤
- 進行役:佐藤  記録係:伊藤  時間係:高橋
- この会議のゴール:予約の取消期限と、取消時の通知文面の方針を決める
- 事前に読むもの:取消の件数の集計(高橋さん作成、2ページ)

| No | 議題 | 種類 | ゴール(終了条件) | 時間 | 担当 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 開始・ゴールの確認 | 共有 | 今日決める2点と終了時刻を全員が把握している | 3分 | 進行役 |
| 2 | 前回の宿題の結果 | 共有 | 取消の件数の集計を全員が把握している(質問のみ受ける) | 7分 | 高橋 |
| 3 | 取消期限の案出し | 発散 | 案が5つ以上出て、新しい案が2分間出ない | 12分 | 進行役 |
| 4 | 取消期限の絞り込み | 収束 | 評価軸2つで案を2つまでに絞れている | 13分 | 進行役 |
| 5 | 取消期限の決定 | 決定 | 1案に決まり、理由が1行で記録されている | 8分 | 鈴木 |
| 6 | 通知文面の方針 | 決定 | A案・B案のどちらかに決まっている | 10分 | 田中 |
| 7 | 決定事項と宿題の確認 | 共有 | 決定2件を読み上げ、宿題に担当と期限が付いている | 5分 | 進行役 |
| 8 | 予備 | - | 延びた議題に充てる。使わなければ早く終える | 2分 | 進行役 |

- 決め方:全員の合意を目指し、議題5の時間内にまとまらなければ鈴木さんが決める
- 時間内に終わらなかった議題の扱い:担当と期限を決めて持ち帰り、チャットで結論を共有する

合計時間と開始時刻をPythonで確かめる

アジェンダは、合計が枠に収まっているか、列がそろっているかを送る前に確かめます。次のコードは、タブ区切りのアジェンダから合計時間・議題ごとの開始時刻・残り2割の予告時刻を出します。TSV の部分は記入例のタブ区切り版を兼ねており、自分のアジェンダに置き換えて使えます。

# agenda.py : アジェンダの合計時間・列数を確かめ、議題ごとの開始時刻を出す
# Python 3.11、標準ライブラリのみ
from datetime import datetime, timedelta

# タブ区切りのアジェンダ(表計算ソフトからそのまま貼れる)
TSV = """No 議題  種類  ゴール(終了条件)   時間  担当
1   開始・ゴールの確認   共有  今日決める2点と終了時刻を全員が把握している  3   進行役
2   前回の宿題の結果    共有  取消の件数の集計を全員が把握している(質問のみ受ける) 7   高橋
3   取消期限の案出し    発散  案が5つ以上出て、新しい案が2分間出ない    12  進行役
4   取消期限の絞り込み   収束  評価軸2つで案を2つまでに絞れている  13  進行役
5   取消期限の決定 決定  1案に決まり、理由が1行で記録されている    8   鈴木
6   通知文面の方針 決定  A案・B案のどちらかに決まっている   10  田中
7   決定事項と宿題の確認  共有  決定2件を読み上げ、宿題に担当と期限が付いている    5   進行役
8   予備  -   延びた議題に充てる。使わなければ早く終える   2   進行役"""

START, LENGTH = "10:00", 60
rows = [line.split("\t") for line in TSV.splitlines()]
assert all(len(r) == 6 for r in rows), "列数がそろっていません"
total = sum(int(r[4]) for r in rows[1:])
print(f"列数: {len(rows[0])}  議題数: {len(rows) - 1}  合計: {total}分  枠: {LENGTH}分  差: {LENGTH - total}分")

t = datetime.strptime(START, "%H:%M")
by_kind = {}
for no, title, kind, goal, minutes, owner in rows[1:]:
    m = int(minutes)
    end = t + timedelta(minutes=m)
    warn = end - timedelta(minutes=max(1, round(m * 0.2)))  # 残り2割で予告
    print(f"{t:%H:%M}-{end:%H:%M} {kind:<2} {title}({m}分) 残り2割の予告 {warn:%H:%M}")
    by_kind[kind] = by_kind.get(kind, 0) + m
    t = end
print("種類別:", {k: f"{v}分({v / total:.0%})" for k, v in by_kind.items()})

実行結果です(python3 agenda.py)。

列数: 6  議題数: 8  合計: 60分  枠: 60分  差: 0分
10:00-10:03 共有 開始・ゴールの確認(3分) 残り2割の予告 10:02
10:03-10:10 共有 前回の宿題の結果(7分) 残り2割の予告 10:09
10:10-10:22 発散 取消期限の案出し(12分) 残り2割の予告 10:20
10:22-10:35 収束 取消期限の絞り込み(13分) 残り2割の予告 10:32
10:35-10:43 決定 取消期限の決定(8分) 残り2割の予告 10:41
10:43-10:53 決定 通知文面の方針(10分) 残り2割の予告 10:51
10:53-10:58 共有 決定事項と宿題の確認(5分) 残り2割の予告 10:57
10:58-11:00 -  予備(2分) 残り2割の予告 10:59
種類別: {'共有': '15分(25%)', '発散': '12分(20%)', '収束': '13分(22%)', '決定': '18分(30%)', '-': '2分(3%)'}

時間配分の目安は次のとおりです(例として使った配分で、会議の目的に合わせて変えます)。

部分 60分の例 考え方
開始 3分 ゴールと終了時刻の読み上げだけに絞る
共有 7分 資料は事前に配り、会議では質問だけ受ける
発散 12分 決めたい議題1つにつき、発散と収束をほぼ同じ長さで取る
収束 13分 評価軸を決める時間(2〜3分)を含める
決定 18分(2件) 1件あたり8〜10分。決め方が決まっていれば短くできる
終了 5分 決定事項と宿題の読み上げ。削らない
予備 2分 全体の3〜5%

発散と収束の違いと切り替えの判断基準

比べる点 発散 収束
目的 選択肢を増やす 選択肢を減らす
歓迎する発言 新しい案、別の見方、付け足し 比較、分類、条件の確認
止める発言 評価、反論、実現性の指摘 新しい案の追加(出た場合は「追加案」として端に置く)
進行役の問い 「ほかには?」「逆の立場なら?」 「何で比べますか?」「どれとどれが同じですか?」
書き方 出た順に全部書く。まとめない 分類して並べ替え、評価軸の表に入れる
終了条件 数と沈黙(案が○つ、新しい案が○分出ない) 残す数(○つまでに絞る)

発散と収束を同じ時間帯に混ぜると、案を出した直後に評価が入り、次の案が出にくくなります。「いまは出す時間です」「ここからは絞る時間です」と声に出して切り替えるのが進行役の仕事です。

切り替えの合図(条件 → 進行役の動き)

条件 進行役の動き
新しい案が2分間出ない 「出尽くしたようなので、ここから絞ります」と宣言して収束へ
同じ案の言い換えが3回続いた 似た案を1つにまとめて見せ、収束へ
発散の時間の半分を過ぎても案が3つ未満 1人1案を2分で紙やチャットに書いてもらい、順に読み上げる
発散の時間の残りが2割になった 「あと2分で締めます。最後に1つずつ」と予告する
収束の途中で新しい案が出た 「追加案」として書き留め、評価軸に当てはめて同じ表で比べる
収束の時間の残りが2割で、案が3つ以上残っている 評価軸のうち最も重い1つだけで比べ直し、2つまで絞る
決定の時間が来ても決まらない 事前に書いた決め方に沿って決定者に判断を求める、または「決めるために足りない情報」を宿題にする

収束で使う評価軸の表

収束の議題では、案を比べる軸を先に2〜3個決めます。軸が決まる前に案の良し悪しを話し始めると、人によって見ている点が違うまま議論が続きます。

| 案 | 利用者の分かりやすさ | 管理者の手間 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 利用開始の1時間前まで取消可 | ○ | △ |  |
| 利用開始の前日17時まで取消可 | ○ | ○ |  |
| いつでも取消可(開始後は不可) | ◎ | △ |  |
| 取消は管理者に依頼 | △ | × |  |
| 当日の取消は理由の入力が必要 | ○ | ○ | 追加案 |

60分会議の進行台本

記入例のアジェンダを、時刻と発言つきの台本にしたものです。時刻は前の節のコードの実行結果に合わせています。

時刻 議題(種類) 進行役が言うこと
10:00 開始(共有) 「今日のゴールは2つです。予約の取消期限を決めること、取消時の通知文面の方針を決めること。11時に終わります。時間係は高橋さん、記録は伊藤さんにお願いします」
10:03 宿題の結果(共有) 「高橋さん、集計を5分でお願いします。この時間は質問だけ受けます。意見は次の議題で伺います」
10:10 案出し(発散) 「ここから12分は案を出す時間です。良し悪しの話は次の議題に回します。まず2分、各自で1つ以上書いてください」
10:12 「では伊藤さんから順に、1つずつ読み上げてください。重なってもかまいません」
10:20 「あと2分です。まだ出ていない見方はありますか。管理者の立場ならどうでしょう」
10:22 絞り込み(収束) 「案が出そろいました。ここからは絞る時間です。先に比べる軸を2つ決めます。『利用者の分かりやすさ』と『管理者の手間』でよいですか」
10:25 「似ている案をまとめます。1番と5番は条件違いなので並べて置きます」
10:32 「あと3分です。2つの軸で見ると、2番と5番が残りそうです。この2つに絞ってよいですか」
10:35 決定(決定) 「2番と5番のどちらにするかを決めます。それぞれ推す理由を1分ずつ伺い、まとまらなければ鈴木さんに決めていただきます」
10:41 「鈴木さん、判断をお願いします」「決定は2番、理由は『前日17時なら管理者が翌日の準備に間に合う』で記録します」
10:43 通知文面(決定) 「田中さん、A案とB案を3分で説明してください。そのあと懸念だけ伺って決めます」
10:51 「あと2分です。A案で進め、件名だけB案の言い回しを使う、でよいですか」
10:53 確認(共有) 「決定事項を読み上げます。1、取消期限は利用開始の前日17時まで。2、通知文面はA案、件名はB案の言い回し。宿題は、文面の最終版を田中さんが10/13まで。抜けはありますか」
10:58 予備 「以上です。2分早いですが終わります。ありがとうございました」

場面別フレーズ集

開始するとき

ねらい フレーズ
ゴールを示す 「今日はAとBの2つを決めます。それ以外は扱いません」
終了時刻を約束する 「○時に終わります。延長はしません」
役割を頼む 「時間係を○○さん、記録を○○さんにお願いします」
決め方を確認する 「合意を目指しますが、時間内にまとまらなければ○○さんに決めていただきます」
発言のルールを置く 「1回の発言は1分以内で、結論から話してください」

意見が出ないとき

状況 フレーズ
問いが大きくて答えにくい 「範囲を絞ります。利用者が取消したくなるのはどんなときでしょう」
考える時間が足りない 「2分とります。各自で1つ書いてから共有しましょう」
最初の1人が出ない 「たたき台として私から1つ出します。これに足す形でも、反対でも大丈夫です」
特定の人だけが話している 「ありがとうございます。まだ話していない方から伺います。○○さん、いかがですか」
立場上言いにくそう 「賛成・反対ではなく、気になる点だけ教えてください」
オンラインで沈黙が続く 「チャットに一言ずつ書いてください。書けたら読み上げます」
選択肢がないと答えにくい 「AとBなら、どちらが近いですか。理由は後で大丈夫です」

脱線したとき

状況 フレーズ
別の話題に広がった 「大事な点なので『あとで扱うこと』に書いておきます。いまは取消期限に戻ります」
細部に入り込んだ 「細かい仕様は担当の2人で別に詰めてもらえますか。ここでは方針だけ決めます」
過去の経緯の説明が続く 「経緯は分かりました。これからどうするかに話を進めます」
議題と関係があるか判断しにくい 「いまの話は、今日のゴールのどちらに関係しますか」
発言が長い 「要点を一言でまとめると、どうなりますか」

「あとで扱うこと」は、ホワイトボードや共有メモの端に欄を作っておきます。書き留めたことを見せると、発言した人も安心して元の議題に戻れます。会議の最後に、その欄の項目に担当と期限を付けるか、次回の議題にします。

対立したとき

状況 フレーズ
意見が2つに割れた 「2つの案を並べて書きます。まず、どこまでは同じ意見か確認させてください」
見ている基準が違う 「Aさんは利用者の分かりやすさ、Bさんは管理者の手間を重く見ている、という理解で合っていますか」
前提がずれている 「前提を確認します。対象は社内の利用者だけ、でよいですか」
人への指摘になりかけた 「案について話しましょう。この案の気になる点はどこですか」
平行線が続く 「決めるために足りない情報は何でしょう。それが分かれば決められますか」
声の大きい意見に寄りそう 「いったん全員、紙に自分の案を書いてから見せ合いましょう」

時間切れが近いとき

状況 フレーズ
残り2割になった 「あと2分です。ここまでの内容をまとめます」
終了条件に届きそうにない 「この議題は時間内に決まりそうにありません。今日は論点を3つに整理するところまでにします」
延長したい声が出た 「予備の2分を使います。それでも決まらなければ持ち帰りにします」
次の議題を守りたい 「次の議題は今日決める必要があるので、ここで区切ります」
持ち帰りにする 「○○さんが案をまとめて、△日までにチャットで確認する、でよいですか」

決め切るとき

状況 フレーズ
合意を確認する 「2番の案で進めます。反対の方はいますか」
懸念が残る人がいる 「懸念は記録に残します。そのうえで、この案で進めることには同意いただけますか」
決定者に求める 「意見は出そろいました。○○さん、判断をお願いします」
条件つきで決める 「2番で進め、1か月後に取消の件数を見て見直す、でよいですか」
決定を言葉にする 「決定事項を読み上げます。取消期限は利用開始の前日17時まで。理由は〜です」
宿題を確定する 「誰が、何を、いつまでに、を確認します。田中さんが文面の最終版を10/13まで、で合っていますか」

確かめて分かったこと

アジェンダと台本を作り、コードで確かめて分かった点です。

  1. 議題を4種類に分けると、決定の時間が最も長くなりました。 記入例では決定が18分(30%)、共有が15分(25%)、収束が13分(22%)、発散が12分(20%)です。決めることが2件あれば、60分の3割は決定に使う計算になります。
  2. 「残り2割の予告」は、短い議題では1〜2分前になります。 8分の議題なら2分前、3分の議題なら1分前です。予告の時刻をアジェンダに書いておくと、時間係が迷いません。
  3. 予備を2分取ると、他の議題に割ける時間は58分です。 予備の行を作らずに合計を60分にすると、1つの議題が1分延びただけで終了の確認の時間が削られます。
  4. 台本に起こすと、1つの議題の中に進行役の発言が2〜3回必要だと分かります。 開始の宣言、途中の予告、締めの確認です。アジェンダだけでは見えない発言の数が、台本にすると数えられます。
  5. 終了条件に数を入れると、切り替えの合図が台本に書けます。 「案が5つ以上」「2つまでに絞る」と書いてあるので、10:22と10:32の発言をそのまま決められました。

つまずきやすい点と直し方

起きやすいこと そうなる理由 こうするとよい
毎回、最後の議題が次回に回る 予備の時間がなく、前の議題の延びを吸収できない 予備の行を取り、決めたい議題を前半に置く
話は盛り上がったが何も決まっていない 決定の議題がなく、発散のまま終わった 決めたい事柄ごとに、発散・収束・決定の3行を用意する
進行役が自分の意見を言い続けてしまう 進行と発言の役割が混ざっている 意見を言うときは「進行を離れて一参加者として言います」と断る
決まったはずの内容が後日くつがえる 決定事項が読み上げられておらず、理解がそろっていない 終了前の5分で決定事項を読み上げ、その場で記録を見せる
共有の議題で意見が始まり時間が延びる 質問と意見の区別を伝えていない 「質問だけ受けます。意見は次の議題で」と先に言う

よくある質問

Q. ファシリテーションと司会の違いは? A. 司会は予定どおりに会を進める役割、ファシリテーションは参加者の発言を引き出して結論に導く役割です。時間を守るだけでなく、議題の種類に合わせて問いかけを変える点が違います。

Q. 発散と収束の違いは? A. 発散は選択肢を増やす時間、収束は選択肢を減らす時間です。発散では評価を止め、収束では比べる軸を先に決めます。同じ議題の中で混ぜず、時間を分けて進めます。

Q. 会議で意見が出ないときはどうすればよいですか? A. 問いを小さくし、各自で書く時間を2分取るのが最初の一手です。それでも出ないときは、進行役がたたき台を1つ出すか、「AとBならどちらが近いか」と選択式にします。

Q. アジェンダには何を書きますか? A. 議題・種類・ゴール(終了条件)・時間・担当の5つです。加えて、会議全体のゴール、決め方、時間内に終わらなかった議題の扱いを書いておくと、当日の判断が速くなります。

Q. 進行役が決定者を兼ねてもよいですか? A. 兼ねることはできますが、少人数の会議でも記録係と時間係は別の人に頼むと進めやすくなります。進行役が意見を述べるときは、進行を離れて話すことを一言断ります。

まとめ

  • アジェンダの各議題に、種類(共有・発散・収束・決定)と終了条件を1行で書きます。
  • 終了条件は動作ではなく状態で書き、数を入れます。
  • 発散と収束は別の議題に分け、「新しい案が2分出ない」か「時間の半分を過ぎた」で切り替えます。
  • 収束では、案を比べる前に評価軸を2〜3個決めます。
  • 脱線は「あとで扱うこと」に書き留め、対立は基準と前提の違いを言葉にして整理します。
  • 終了前の5分は、決定事項と宿題(担当・期限)の読み上げに使います。
  • 合計時間と開始時刻は、送る前に検算します。予備は全体の3〜5%が目安です。

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(記載例)出典:株式会社RJC「会議ファシリテーションの進め方 アジェンダ設計とフレーズ集」

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