バグ管理表(不具合管理表)とは、見つかったバグを1件1行で記録し、「いま何件が、どの状態にあるか」をチーム全員が同じ数字で見られるようにする台帳です。1件ごとの詳しい内容を書くバグ票(バグ報告)に対して、管理表は全体を見渡して順番と担当を決めるためのものです。

この記事は、1件の書き方ではなく台帳の設計と運用に絞っています。全22項目の一覧、貼り付けて使えるタブ区切りのテンプレートと記入例10件、優先度と重要度の判定マトリクス、ステータス遷移図、集計の数式までを載せました。例は架空の「備品予約システム」のテストを題材にしています。

確認環境:COUNTIFS の数式は LibreOffice Calc 24.2.7 のヘッドレス実行で計算し、掲載した結果と一致することを確かめています(COUNTIFS の書式は Microsoft サポートのページを2026年10月5日に開いて確認)。累積件数の計算は Python 3.11 で実行しました。Mermaid の状態遷移図は @mermaid-js/mermaid-cli 11.14.0 と Chromium で描画できることを確かめています。

バグ管理表の早見表

知りたいこと 答え
最低限の項目は ID・起票日・起票者・件名・機能・発生環境・検出工程・重要度・ステータス・詳細の10項目(起票時に必須)
全部でいくつ持つか 22項目(起票時10、受付時3、対応・クローズ時6、任意3)
重要度とは バグが利用者や業務に与える影響の大きさ。起票者が事実から付ける
優先度とは 直す順番。管理者が、重要度・期限・影響する人数を見て決める
ステータスはいくつ 9つ(新規・受付済・対応中・修正済・確認待ち・完了・保留・却下・再発)
「完了」にできる人 起票者(または確認者)。修正した本人は完了にしない
集計の基本 状態別・原因別は COUNTIFS、収束の様子は累積起票数と累積クローズ数の差
ステータス 意味 次に動かす人
新規 起票された。まだ誰も内容を確認していない 管理者
受付済 バグとして受け付け、担当者と優先度が決まった 担当者
対応中 調査または修正をしている 担当者
修正済 修正がコードに取り込まれた 担当者
確認待ち 検証環境に反映され、起票者の確認を待っている 起票者
完了 起票者が直ったことを確認した ―
保留 対応する時期を先に延ばした 管理者
却下 対応しないと決めた(仕様どおり・重複・再現せず・対象外) ―
再発 完了にしたあと、同じ現象がもう一度起きた 担当者

本記事の内容は、ご自由にお使いください。
ご利用の際は、出典として本ページへのリンクを記載いただけますようお願いします。

(記載例)出典:株式会社RJC「バグ管理表の項目とテンプレート|優先度・重要度とステータス遷移」

管理表の全22項目(必須・任意と入力値)

「いつ必須になるか」を3段階に分けると、起票の手間を増やさずに、後から集計に必要な項目もそろいます。列の記号(A〜V)は、後半の数式でそのまま使います。

列 項目 必須・任意 入力値・選択肢 入力する人
A ID 必須(起票時) BUG-001 からの連番。欠番を作らず、削除もしない 起票者
B 起票日 必須(起票時) 日付(2026-09-14 の形式) 起票者
C 起票者 必須(起票時) 氏名 起票者
D 件名 必須(起票時) 「どこで、何をすると、どうなる」を1文で 起票者
E 機能 必須(起票時) 機能一覧から選ぶ(予約登録、予約一覧、通知 など) 起票者
F 発生環境 必須(起票時) 開発/検証/本番 起票者
G 検出工程 必須(起票時) 単体テスト/結合テスト/総合テスト/受入テスト/運用 起票者
H 重要度 必須(起票時) S1 致命的/S2 重大/S3 中/S4 軽微 起票者
I 優先度 必須(受付時) P1 即日/P2 今週中/P3 今回の版まで/P4 時期を決めない 管理者
J ステータス 必須(起票時) 新規/受付済/対応中/修正済/確認待ち/完了/保留/却下/再発 遷移ごとに決まった人
K 担当者 必須(受付時) 氏名(1人だけ) 管理者
L 対応期限 必須(受付時。P4 は空欄可) 日付 管理者
M 原因区分 必須(修正済にするとき) 要件・仕様の誤り/設計の誤り/実装の誤り/環境・設定/データ/テスト手順の誤り/外部要因 担当者
N 対応内容 必須(修正済にするとき) 何をどう直したかを1〜2文で 担当者
O 修正日 必須(修正済にするとき) 日付 担当者
P 確認者 必須(完了にするとき) 氏名(原則として起票者) 確認者
Q クローズ日 必須(完了・却下にするとき) 日付。再発したら空欄に戻す 確認者・管理者
R 差し戻し回数 任意 0 から始め、確認待ちから対応中に戻すたびに1を足す 確認者
S 関連ID 任意 重複のもとになった ID、同じ原因の ID 管理者
T 却下理由 必須(却下にするとき) 仕様どおり/重複/再現せず/対象外 管理者
U 詳細 必須(起票時) 再現手順・期待した結果・実際の結果を書いたバグ票へのリンク 起票者
V 備考 任意 経緯、判断の理由、次に見直す日 誰でも

設計のポイントは3つです。

  • 選択肢のある項目は、自由入力にしない。「対応中」「対応中 」「着手」のように表記がそろわないと、COUNTIFS の件数が合わなくなります。表計算ソフトの、決まった選択肢から選ばせる機能を使います。
  • 担当者は1人だけにする。2人書くと、どちらも相手が動くと考えがちです。
  • 再現手順などの長い文章は管理表に書かず、バグ票へのリンクにする。1行が画面に収まり、全体を見渡せます。

タブ区切りテンプレートと記入例10件

見出し行だけのテンプレート

次の1行をコピーして、表計算ソフトのセル A1 に貼り付けると、A〜V 列の見出しになります。

ID  起票日 起票者 件名  機能  発生環境    検出工程    重要度 優先度 ステータス   担当者 対応期限    原因区分    対応内容    修正日 確認者 クローズ日   差し戻し回数  関連ID    却下理由    詳細  備考

記入例10件(主な列)

ID 起票日 件名 機能 検出工程 重要度 優先度 ステータス 原因区分 クローズ日
BUG-001 2026-09-14 予約登録で、終了時刻が開始時刻より前でも登録できる 予約登録 結合テスト S2 P2 完了 実装の誤り 2026-09-17
BUG-002 2026-09-14 ログイン画面の組織名の表記が誤っている ログイン 結合テスト S4 P1 完了 実装の誤り 2026-09-15
BUG-003 2026-09-15 予約一覧で、101件目以降が表示されない 予約一覧 結合テスト S2 P2 完了 設計の誤り 2026-09-22
BUG-004 2026-09-16 年度切替の処理が途中で異常終了する 年度切替 結合テスト S2 P3 保留
BUG-005 2026-09-17 検証環境で、予約登録がすべてエラーになる 予約登録 総合テスト S1 P1 完了 環境・設定 2026-09-18
BUG-006 2026-09-18 予約を取り消しても、空き状況が「予約済み」のまま 予約取消 総合テスト S2 P1 再発 実装の誤り
BUG-007 2026-09-22 予約一覧の並び順が登録順になっている 予約一覧 総合テスト S3 P3 却下 2026-09-24
BUG-008 2026-09-24 通知メールの件名に備品名が入らない 通知 総合テスト S3 P2 確認待ち 実装の誤り
BUG-009 2026-09-28 備品名に絵文字を入れると、検索結果が0件になる 備品検索 総合テスト S3 P4 対応中
BUG-010 2026-09-30 予約変更画面で「戻る」を押すと入力内容が消える 予約変更 受入テスト S3 新規

10件の中には、次の場面が入っています。

ID 見どころ
BUG-002 重要度は S4(軽微)だが、優先度は P1。利用者向けの説明会の前に直す必要があった
BUG-003 差し戻しが1回。1回目の修正が不十分で、確認待ちから対応中に戻った
BUG-004 重要度は S2(重大)だが、優先度は P3 で保留。次に使うのが半年先の機能のため
BUG-006 いったん完了にしたあとに再発。クローズ日を空欄に戻し、経緯を備考に残した
BUG-007 却下。理由は「仕様どおり」。要望としては別の一覧で管理する
BUG-010 新規。受付前なので、優先度・担当者・期限は空欄

記入例10件(全22列・タブ区切り)

シート名を「台帳」にして A1 に貼り付けると、後半の数式がそのまま使えます。

ID  起票日 起票者 件名  機能  発生環境    検出工程    重要度 優先度 ステータス   担当者 対応期限    原因区分    対応内容    修正日 確認者 クローズ日   差し戻し回数  関連ID    却下理由    詳細  備考
BUG-001 2026-09-14  田中  予約登録で、終了時刻が開始時刻より前でも登録できる   予約登録    検証  結合テスト   S2  P2  完了  佐藤  2026-09-18  実装の誤り   時刻の前後を確かめる入力チェックを追加 2026-09-16  田中  2026-09-17  0               
BUG-002 2026-09-14  鈴木  ログイン画面の組織名の表記が誤っている ログイン    検証  結合テスト   S4  P1  完了  高橋  2026-09-15  実装の誤り   文言を修正   2026-09-15  鈴木  2026-09-15  0               利用者向け説明会の前に修正
BUG-003 2026-09-15  田中  予約一覧で、101件目以降が表示されない    予約一覧    検証  結合テスト   S2  P2  完了  佐藤  2026-09-22  設計の誤り   ページ送りの設計を見直して修正 2026-09-18  田中  2026-09-22  1               1回目の修正では200件目以降が出ず差し戻し
BUG-004 2026-09-16  伊藤  年度切替の処理が途中で異常終了する   年度切替    検証  結合テスト   S2  P3  保留  高橋  2026-10-30                      0               次に使うのは翌年3月。次の版で対応と決定
BUG-005 2026-09-17  鈴木  検証環境で、予約登録がすべてエラーになる    予約登録    検証  総合テスト   S1  P1  完了  佐藤  2026-09-17  環境・設定   データベース接続数の上限設定を修正   2026-09-17  鈴木  2026-09-18  0               
BUG-006 2026-09-18  伊藤  予約を取り消しても、空き状況が「予約済み」のまま    予約取消    検証  総合テスト   S2  P1  再発  佐藤  2026-09-25  実装の誤り   取消時の空き状況の更新処理を修正    2026-09-21  伊藤      0               2026-09-22 に完了、2026-09-29 に再発
BUG-007 2026-09-22  田中  予約一覧の並び順が登録順になっている  予約一覧    検証  総合テスト   S3  P3  却下  高橋                      2026-09-24  0       仕様どおり       画面設計書の記載どおり。要望として別管理
BUG-008 2026-09-24  鈴木  通知メールの件名に備品名が入らない   通知  検証  総合テスト   S3  P2  確認待ち    高橋  2026-10-02  実装の誤り   メールのテンプレートを修正   2026-09-29          0               
BUG-009 2026-09-28  伊藤  備品名に絵文字を入れると、検索結果が0件になる 備品検索    検証  総合テスト   S3  P4  対応中 佐藤  2026-10-09                      0               
BUG-010 2026-09-30  田中  予約変更画面で「戻る」を押すと入力内容が消える 予約変更    検証  受入テスト   S3      新規                              0               

優先度と重要度の違いと判定マトリクス

重要度(重大度、Severity)は「バグそのものの影響の大きさ」、優先度(Priority)は「直す順番」です。重要度は、誰が見てもほぼ同じ値になる事実の評価で、優先度は、期限や影響する人数などの事情を加えた判断です。

観点 重要度 優先度
表すもの 影響の大きさ 直す順番・急ぎ具合
決める人 起票者(テスト担当者) 管理者(リーダー、プロダクトの責任者)
決める材料 機能が使えるか、データが壊れるか、回避策があるか 重要度、リリース日、影響する人数、次に使われる時期、修正の手間
途中で変わるか 原則として変わらない(事実がわかって見直すことはある) 状況に応じて変わる
入力の時点 起票時 受付時

重要度の基準

重要度 基準 備品予約システムでの例
S1 致命的 主要な機能がまったく使えない。データが壊れる・消える。回避策がない 予約登録がすべてエラーになる
S2 重大 主要な機能の一部が使えない、または結果が誤っている。回避策が手間 取り消した予約の備品が「予約済み」のまま
S3 中 機能は使えるが、動きが仕様と違う。回避策がある 通知メールの件名に備品名が入らない
S4 軽微 表示や文言の誤り。機能には影響しない 画面の文言の誤字、位置のずれ

優先度の基準

優先度 対応の目安 決め手の例
P1 即日 ほかの作業を止めて、すぐ着手する テストが先に進めない。利用者の目に触れる日が迫っている
P2 今週中 今の作業の次に着手する 今回のテスト期間内に確認まで終えたい
P3 今回の版まで リリースまでに直す。順番は後でよい 回避策があり、使われる場面が限られる
P4 時期を決めない 直す時期を決めずに持っておく。定例で見直す めったに起きず、影響も小さい

重要度×優先度の判定マトリクス(16マス)

多くのバグは左上から右下への対角線(S1 なら P1、S4 なら P4)に並びます。対角線から外れるマスこそ、重要度と優先度を分けて持つ意味が出る所です。

P1 即日 P2 今週中 P3 今回の版まで P4 時期を決めない
S1 致命的 標準。予約登録がすべてエラーになる 該当する機能がまだ公開前で、テストの順番も後 次の版で入れ替える予定の機能で起きている 原則として使わない組み合わせ(S1 は期限を決める)
S2 重大 テストが先へ進めない。取消後も空きが戻らない 標準。一覧で101件目以降が表示されない 重要度は高いが優先度は低い例。年に1回だけ使う年度切替が異常終了するが、次に使うのは半年先 廃止が決まっている機能で起きている
S3 中 多くの人が毎日使う画面で起き、問い合わせが増えそう 通知メールの件名に備品名が入らない 標準。「戻る」で入力内容が消える 絵文字を含む備品名で検索結果が0件になる
S4 軽微 重要度は低いが優先度は高い例。ログイン画面の組織名の誤記。説明会の前に直す 利用者向けの手引きに載る画面の文言の誤り 設定画面の項目名のゆれ 標準。管理者だけが見る画面の位置ずれ

マトリクスを使うときの決まりごとを3つ挙げます。

  • 重要度を、優先度の都合で書き換えない。「急がないから S3 にしておく」をすると、あとで品質を数えるときに実態が見えなくなります。急がないなら、重要度はそのままで優先度を下げます。
  • 対角線から2マス以上離れるときは、理由を備考に書く。BUG-004 の「次に使うのは翌年3月」のような一言で十分です。
  • S1・S2 を P4 にしない。時期を決めないまま置くと忘れられやすいので、保留にして見直す日を備考に入れます。

ステータス遷移図(Mermaid の stateDiagram)

9つのステータスと、差し戻し・再発・却下を含む遷移です。Mermaid に対応したエディタやWikiに貼ると、そのまま描画されます。

stateDiagram-v2
    [*] --> 新規: 起票
    新規 --> 受付済: 内容を確認し担当者を決定
    新規 --> 却下: 仕様どおり・重複・再現せず
    受付済 --> 対応中: 調査・修正を開始
    受付済 --> 保留: 次の版で対応と決定
    保留 --> 受付済: 対応を再開
    対応中 --> 修正済: 修正を取り込み
    対応中 --> 却下: 調査の結果、対応しないと判断
    修正済 --> 確認待ち: 検証環境に反映
    確認待ち --> 完了: 起票者が修正を確認
    確認待ち --> 対応中: 差し戻し(直っていない)
    完了 --> 再発: 同じ現象がもう一度発生
    再発 --> 対応中: 調査を再開
    却下 --> 受付済: 却下に異議あり(再検討)
    完了 --> [*]
    却下 --> [*]

遷移ごとの「動かす人」と条件

図の矢印1本ごとに、誰が・何を満たしたら動かしてよいかを決めておきます。

No 遷移 動かす人 動かす条件 同時に入力する項目
1 新規 → 受付済 管理者 再現手順を読み、バグとして扱うと判断した 優先度、担当者、対応期限
2 新規 → 却下 管理者 仕様どおり・重複・再現せず・対象外のいずれか 却下理由、クローズ日、(重複なら)関連ID
3 受付済 → 対応中 担当者 調査に着手した ―
4 受付済 → 保留 管理者 対応する時期を先に延ばすと決めた 備考に理由と見直す日
5 保留 → 受付済 管理者 見直しの結果、対応を再開する 対応期限
6 対応中 → 修正済 担当者 修正がレビューを通り、取り込まれた 原因区分、対応内容、修正日
7 対応中 → 却下 管理者 調査の結果、対応しないと判断した 却下理由、クローズ日
8 修正済 → 確認待ち 担当者 検証環境に反映した ―
9 確認待ち → 完了 起票者(確認者) もとの再現手順で、期待した結果になった 確認者、クローズ日
10 確認待ち → 対応中(差し戻し) 起票者(確認者) 直っていない、または別の不具合が出た 差し戻し回数に1を足す、備考に確認結果
11 完了 → 再発 見つけた人 同じ手順で同じ現象がもう一度起きた クローズ日を空欄に戻す、備考に日付
12 再発 → 対応中 担当者 調査を再開した ―
13 却下 → 受付済 管理者 起票者から異議があり、再検討して受け付けた 却下理由とクローズ日を空欄に戻す

差し戻し・再発・却下の使い分け

場面 使うステータス 新しい行を作るか
確認したら直っていなかった 確認待ち → 対応中(差し戻し) 作らない。同じ行で回数を数える
完了のあと、同じ現象が同じ手順で起きた 完了 → 再発 作らない。同じ行を再発にする
完了のあと、似ているが別の手順・別の原因で起きた 新規 作る。関連IDにもとの ID を書く
すでに同じ内容が起票されていた 却下(重複) 関連IDに、残すほうの ID を書く
仕様どおりだが、変えたほうがよさそう 却下(仕様どおり) 要望の一覧に移す
手順どおりにやっても再現しない 却下(再現せず) 起票者に環境と手順を確かめてから却下する

却下は「なかったこと」にするのではなく、判断の記録として行を残します。同じ内容がまた起票されたときに、関連IDで前回の判断をすぐ示せます。

COUNTIFS で状態別・原因別に集計する

集計用のシートを別に作り、台帳の列を COUNTIFS で数えます。Microsoft サポートのページによると、書式は「COUNTIFS(条件範囲1, 検索条件1, [条件範囲2, 検索条件2], …)」で、追加する範囲は、最初の範囲と同じ行数・列数にそろえる必要があります。

次の数式は、前の章の10件を「台帳」シートの A1 から貼った状態(データは2〜11行目)で計算した結果です。行が増えたら、範囲の「11」を最終行に合わせて変えます。

状態別の件数

知りたいこと 数式 計算結果
新規 =COUNTIFS(台帳!$J$2:$J$11,"新規") 1
受付済 =COUNTIFS(台帳!$J$2:$J$11,"受付済") 0
対応中 =COUNTIFS(台帳!$J$2:$J$11,"対応中") 1
修正済 =COUNTIFS(台帳!$J$2:$J$11,"修正済") 0
確認待ち =COUNTIFS(台帳!$J$2:$J$11,"確認待ち") 1
完了 =COUNTIFS(台帳!$J$2:$J$11,"完了") 4
保留 =COUNTIFS(台帳!$J$2:$J$11,"保留") 1
却下 =COUNTIFS(台帳!$J$2:$J$11,"却下") 1
再発 =COUNTIFS(台帳!$J$2:$J$11,"再発") 1
未解決(完了・却下以外) =COUNTIFS(台帳!$J$2:$J$11,"<>完了",台帳!$J$2:$J$11,"<>却下") 5

A列にステータス名を縦に並べておけば、=COUNTIFS(台帳!$J$2:$J$11,A2) を下へコピーするだけで同じ表になります。

原因別の件数

知りたいこと 数式 計算結果
設計の誤り =COUNTIFS(台帳!$M$2:$M$11,"設計の誤り") 1
実装の誤り =COUNTIFS(台帳!$M$2:$M$11,"実装の誤り") 4
環境・設定 =COUNTIFS(台帳!$M$2:$M$11,"環境・設定") 1
実装の誤り(完了したものだけ) =COUNTIFS(台帳!$M$2:$M$11,"実装の誤り",台帳!$J$2:$J$11,"完了") 2

定例で見る件数

知りたいこと 数式 計算結果
重要度 S2 の未解決 =COUNTIFS(台帳!$H$2:$H$11,"S2",台帳!$J$2:$J$11,"<>完了",台帳!$J$2:$J$11,"<>却下") 2
期限を過ぎた未クローズ(基準日 2026-10-05) =COUNTIFS(台帳!$L$2:$L$11,"<"&DATE(2026,10,5),台帳!$Q$2:$Q$11,"") 2
差し戻しが1回以上あった件数 =COUNTIFS(台帳!$R$2:$R$11,">=1") 1
優先度がまだ入っていない件数 =COUNTIFS(台帳!$I$2:$I$11,"") 1
2026-09-22 までの累積起票数 =COUNTIFS(台帳!$B$2:$B$11,"<="&DATE(2026,9,22)) 7
2026-09-22 までの累積クローズ数 =COUNTIFS(台帳!$Q$2:$Q$11,"<="&DATE(2026,9,22)) 4

期限を過ぎた2件は BUG-006(期限 9月25日)と BUG-008(期限 10月2日)です。毎日の確認に使うときは、DATE(2026,10,5) を TODAY() に置き換えます。日付で比べる数式は、起票日やクローズ日が文字列ではなく日付として入っていることが前提です。貼り付けたあとにセルが左寄せのままなら、日付として認識されていないので、表示形式を確かめます。

バグ収束曲線用の累積件数を Python で計算する

バグ収束曲線は、横軸に日付、縦軸に累積起票数と累積クローズ数を取った折れ線グラフです。2本の線の差が、その日の未解決の件数になります。起票の線の伸びがゆるやかになり、クローズの線が追いついてくれば、テストが落ち着いてきたと読めます。

台帳をタブ区切りで保存したファイル(bugs.tsv、見出しは前の章と同じ)から、日ごとの件数を求めます。標準ライブラリだけで動きます。

# バグ収束曲線用に、日ごとの累積起票数・累積クローズ数・未解決数を求める
# 使い方: python3 convergence.py bugs.tsv
import csv
import sys
from collections import Counter
from datetime import date, timedelta

with open(sys.argv[1], encoding="utf-8", newline="") as f:
    rows = list(csv.DictReader(f, delimiter="\t"))

opened = Counter(date.fromisoformat(r["起票日"]) for r in rows)
closed = Counter(date.fromisoformat(r["クローズ日"]) for r in rows if r["クローズ日"])

day = min(opened)
last = max(list(opened) + list(closed))
cum_open = cum_close = 0
print("日付        起票  クローズ  累積起票  累積クローズ  未解決")
while day <= last:
    cum_open += opened[day]
    cum_close += closed[day]
    if day.weekday() < 5:        # 土日は行を出さない(件数は累積に含める)
        print(f"{day}  {opened[day]:>4}  {closed[day]:>8}  {cum_open:>8}"
              f"  {cum_close:>12}  {cum_open - cum_close:>6}")
    day += timedelta(days=1)

実行結果(記入例の10件):

日付        起票  クローズ  累積起票  累積クローズ  未解決
2026-09-14     2         0         2             0       2
2026-09-15     1         1         3             1       2
2026-09-16     1         0         4             1       3
2026-09-17     1         1         5             2       3
2026-09-18     1         1         6             3       3
2026-09-21     0         0         6             3       3
2026-09-22     1         1         7             4       3
2026-09-23     0         0         7             4       3
2026-09-24     1         1         8             5       3
2026-09-25     0         0         8             5       3
2026-09-28     1         0         9             5       4
2026-09-29     0         0         9             5       4
2026-09-30     1         0        10             5       5

9月22日の行は、累積起票 7・累積クローズ 4 で、前の章の COUNTIFS の結果と一致します。出力を表計算ソフトに貼り、「累積起票」と「累積クローズ」の2列で折れ線グラフを作れば収束曲線になります。

曲線の読み方(目安の例)

曲線の形 読み取れること 次にやること
起票の線が寝てきて、クローズの線が追いつく 新しいバグが減り、修正も進んでいる 残りの未解決を重要度順に確かめる
起票の線が同じ傾きで伸び続ける まだ見つかり続けている 原因別の件数を見て、多い区分の作業(設計の見直し、レビュー)を足す
2本の線の間が開いていく 修正が追いついていない 優先度を見直し、P1・P2 に担当を寄せる
起票の線が急に寝た テストが止まっている可能性もある テストの消化件数とあわせて確かめる

この例では、9月28日から未解決が 3 → 4 → 5 と増えています。終盤に起票が続いているので、原因別でいちばん多い「実装の誤り」(4件)に絞って、同じ種類の見落としがないかを確かめる、という動きにつながります。

なお、再発した BUG-006 はクローズ日を空欄に戻しているため、この計算では「まだクローズしていない1件」として数えています。過去の時点の件数をそのまま残したい場合は、毎日の出力を別のシートに貼り足していきます。

運用ルール:台帳を保つための決まりごと

決まりごと 内容 ねらい
起票の入口を1つにする チャットや口頭で聞いたバグも、必ず台帳に1行作る 件数のもれをなくす
新規は1営業日以内に受け付ける 管理者が毎朝、新規の行を見て受付済か却下にする 新規のまま残る行をなくす
行を削除しない 誤って起票した行も却下(対象外)にして残す ID の連番と件数を保つ
完了は起票者が付ける 修正した本人は確認待ちまで 直ったことを別の目で確かめる
保留には見直す日を書く 備考に日付を入れ、定例で確認する 保留のまま忘れるのを防ぐ
原因区分は修正済のときに入れる あとからまとめて入れない 原因別の集計を正しく保つ
定例で見る数字を固定する 未解決の件数、S1・S2 の未解決、期限超過、差し戻し 毎回同じ見方で話せる

定例の進め方(15分の例)

順番 見るもの 決めること
1 新規の行 受付済にするか却下にするか。優先度・担当者・期限
2 期限を過ぎた未クローズ 期限を引き直すか、担当を足すか
3 S1・S2 の未解決 今週中に確認待ちまで進める行
4 確認待ちの行 誰がいつ確認するか
5 保留の行(見直す日が来たもの) 再開するか、保留を続けるか
6 収束曲線と原因別の件数 追加で行う作業があるか

表計算ソフトから専用ツールへ移る目安

状況 向いている道具
件数が数十件まで、関わる人が数人 表計算ソフトの管理表
同時に編集する人が増え、上書きが起きる 課題管理ツール
修正のコミットやプルリクエストと結び付けたい ソースコード管理と連携する課題管理ツール
件数が数百件を超え、絞り込みや通知が欲しい 課題管理ツール

道具を変えても、22項目・9つのステータス・遷移ごとの「動かす人」はそのまま持っていけます。ツールの項目や状態の設定に写すだけです。

よくある質問

Q. 重要度と優先度を、1つの項目にまとめてもよいですか? A. 小さなチームでは1つにまとめる運用もあります。ただ、BUG-002(軽微だが急ぐ)や BUG-004(重大だが急がない)のような行が出てくると、1つの値では表しきれません。件数が20件を超えるころから、分けておくほうが順番を決めやすくなります。

Q. ステータスが9つは多く感じます。減らせますか? A. 「修正済」と「確認待ち」を1つにまとめ、「受付済」を省いて、新規・対応中・確認待ち・完了・保留・却下・再発の7つにする形がよく使われます。減らす場合も、差し戻し(確認待ちから対応中へ戻る矢印)と却下は残しておくと、件数の説明がしやすくなります。

Q. バグか仕様変更かで意見が分かれたら、どう記録しますか? A. 行は消さずに、判断がつくまで新規または受付済のまま備考に論点を書きます。仕様どおりと決まったら却下(仕様どおり)にし、変えたい内容は要望の一覧に移して関連IDでつなぎます。

Q. 原因区分は、どこまで細かく分けるとよいですか? A. 最初はこの記事の7区分で十分です。集計して特定の区分に件数が集まってきたら、その区分だけを2〜3個に分けます(例:「実装の誤り」を「入力チェックのもれ」「条件分岐の誤り」などに)。最初から細かくすると、選ぶ人によって分け方がそろいにくくなります。

まとめ

  • バグ管理表は全体を見渡して順番と担当を決める台帳。1件の詳しい内容はバグ票に書き、リンクでつなぐ
  • 項目は22個を「起票時・受付時・対応とクローズ時」の3段階で必須にすると、起票の手間が増えない
  • 重要度は影響の大きさ(起票者が付ける)、優先度は直す順番(管理者が決める)。重要度を優先度の都合で書き換えない
  • 16マスのマトリクスで、対角線から外れる行は理由を備考に残す
  • ステータスは9つ。遷移ごとに「動かす人」と条件を決め、完了は起票者が付ける
  • 状態別・原因別は COUNTIFS、収束の様子は累積起票数と累積クローズ数の差で見る
  • 行は削除せず、却下・保留も判断の記録として残す

参考・出典

  • Microsoft サポート「COUNTIFS 関数」https://support.microsoft.com/ja-jp/office/countifs-関数-dda3dc6e-f74e-4aee-88bc-aa8c2a866842

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(記載例)出典:株式会社RJC「バグ管理表の項目とテンプレート|優先度・重要度とステータス遷移」

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