バーンダウンチャートとは、横軸に日付、縦軸に残りの作業量を取り、「期限までに終わりそうか」を1本の折れ線で見る図です。 右下がりの理想線と、日々の残りを結んだ線の2本を重ね、その開き方から進み具合を読み取ります。

この記事では、表計算ソフトに貼るだけで理想線・残り・完了見込み日まで計算されるタブ区切りのシートを用意し、使っている数式をセル番地つきで説明します。線の形7パターンの読み方、同じグラフを Python の matplotlib で描くコード、ベロシティ(1スプリントで完了した量)の計算と範囲での予測、バーンアップチャートとの違いも扱います。

確認環境:Ubuntu 24.04、LibreOffice Calc 24.2.7(数式の検算。Excel 本体ではなく Calc で同じ数式を計算した値を載せています)、Python 3.11.15、matplotlib 3.10.9。Excel の関数の仕様は Microsoft サポートのページで確認しました。

バーンダウンチャートの早見表

知りたいこと 答え
横軸・縦軸 横軸は稼働日、縦軸は残りの作業量(ストーリーポイント、時間、件数のどれか1つ)
理想線の式 合計 − 合計 ÷ 稼働日数 × 経過稼働日
残りの式 前日の残り − その日の完了 + その日の追加
稼働日数の求め方 =NETWORKDAYS(開始日,終了日,休日の範囲)
稼働日を順に並べる =WORKDAY(前の日,1,休日の範囲)
未来の日付を線に出さない =IF(日付>今日,NA(),計算式)
線が理想線より上 残りが想定より多い。必要な1日あたりの量を計算して手を打つ
線が理想線より下 想定より早い。追加できる作業があるかを確かめる
ベロシティ 1スプリントで完了した量の合計。直近3回の平均と最小〜最大の幅で見る
バーンアップとの違い バーンアップは完了の累計と全体量の2本。全体量の増減が見える

本記事の内容は、ご自由にお使いください。
ご利用の際は、出典として本ページへのリンクを記載いただけますようお願いします。

(記載例)出典:株式会社RJC「バーンダウンチャートの作り方(エクセル)|見方7パターンとベロシティ計算」

作る前に決める3つのこと

決めること 選び方 この記事の例
縦軸の単位 ストーリーポイント・残り時間・残り件数から1つ。途中で変えない ストーリーポイント
期間と稼働日 開始日・終了日と、土日以外の休日 2026/10/5(月)〜10/16(金)、10/12(月)は休日で9稼働日
更新の時点 毎日同じ時刻に、完了したものだけを数える 朝会の前に前日分を入力

「完了」は、途中まで進んだものを含めず、完了の条件をすべて満たしたものだけを数えます。ここがそろっていると、線の形が素直に読めます。

エクセルに貼って使えるサンプルデータ

次のタブ区切りのブロックを丸ごとコピーして、新しいシートの A1 セルに貼り付けます。数式もそのまま入るので、D列(完了ポイント)とE列(追加ポイント)に毎日の数字を入れるだけで、残りの列が計算されます。

スプリント開始日    2026/10/5                       休日(祝日など)
スプリント終了日    2026/10/16                      2026/10/12
開始時の合計ポイント  36                      
稼働日数    =NETWORKDAYS(B1,B2,H2:H3)                       
今日  2026/10/14                      


日付  経過稼働日   理想線 完了ポイント  追加ポイント  残り(実際)  残り稼働日   完了累計    スコープ
開始  0   =$B$3           =$B$3   =$B$4   0   =$B$3
=$B$1   =NETWORKDAYS($B$1,A10,$H$2:$H$3)    =$B$3-$B$3/$B$4*B10 3       =IF(A10>$B$5,NA(),F9-D10+E10)   =$B$4-B10   =IF(A10>$B$5,NA(),SUM($D$10:D10))   =$B$3+SUM($E$10:E10)
=WORKDAY(A10,1,$H$2:$H$3)   =NETWORKDAYS($B$1,A11,$H$2:$H$3)    =$B$3-$B$3/$B$4*B11 2       =IF(A11>$B$5,NA(),F10-D11+E11)  =$B$4-B11   =IF(A11>$B$5,NA(),SUM($D$10:D11))   =$B$3+SUM($E$10:E11)
=WORKDAY(A11,1,$H$2:$H$3)   =NETWORKDAYS($B$1,A12,$H$2:$H$3)    =$B$3-$B$3/$B$4*B12 5       =IF(A12>$B$5,NA(),F11-D12+E12)  =$B$4-B12   =IF(A12>$B$5,NA(),SUM($D$10:D12))   =$B$3+SUM($E$10:E12)
=WORKDAY(A12,1,$H$2:$H$3)   =NETWORKDAYS($B$1,A13,$H$2:$H$3)    =$B$3-$B$3/$B$4*B13 0   4   =IF(A13>$B$5,NA(),F12-D13+E13)  =$B$4-B13   =IF(A13>$B$5,NA(),SUM($D$10:D13))   =$B$3+SUM($E$10:E13)
=WORKDAY(A13,1,$H$2:$H$3)   =NETWORKDAYS($B$1,A14,$H$2:$H$3)    =$B$3-$B$3/$B$4*B14 6       =IF(A14>$B$5,NA(),F13-D14+E14)  =$B$4-B14   =IF(A14>$B$5,NA(),SUM($D$10:D14))   =$B$3+SUM($E$10:E14)
=WORKDAY(A14,1,$H$2:$H$3)   =NETWORKDAYS($B$1,A15,$H$2:$H$3)    =$B$3-$B$3/$B$4*B15 5       =IF(A15>$B$5,NA(),F14-D15+E15)  =$B$4-B15   =IF(A15>$B$5,NA(),SUM($D$10:D15))   =$B$3+SUM($E$10:E15)
=WORKDAY(A15,1,$H$2:$H$3)   =NETWORKDAYS($B$1,A16,$H$2:$H$3)    =$B$3-$B$3/$B$4*B16 4       =IF(A16>$B$5,NA(),F15-D16+E16)  =$B$4-B16   =IF(A16>$B$5,NA(),SUM($D$10:D16))   =$B$3+SUM($E$10:E16)
=WORKDAY(A16,1,$H$2:$H$3)   =NETWORKDAYS($B$1,A17,$H$2:$H$3)    =$B$3-$B$3/$B$4*B17         =IF(A17>$B$5,NA(),F16-D17+E17)  =$B$4-B17   =IF(A17>$B$5,NA(),SUM($D$10:D17))   =$B$3+SUM($E$10:E17)
=WORKDAY(A17,1,$H$2:$H$3)   =NETWORKDAYS($B$1,A18,$H$2:$H$3)    =$B$3-$B$3/$B$4*B18         =IF(A18>$B$5,NA(),F17-D18+E18)  =$B$4-B18   =IF(A18>$B$5,NA(),SUM($D$10:D18))   =$B$3+SUM($E$10:E18)

経過稼働日   =NETWORKDAYS(B1,B5,H2:H3)
完了ポイントの合計   =SUMIF(A10:A18,"<="&B5,D10:D18)
現在の残り   =INDEX(F10:F18,MATCH(B5,A10:A18,0))
残り稼働日   =B4-B20
1日あたりの完了(これまで)  =B21/B20
1日あたりの必要量(これから) =B22/B23
このペースで終わるまでの稼働日 =ROUNDUP(B22/B24,0)
完了見込み日  =WORKDAY(B5,B26,H2:H3)
理想線との差(プラスは遅れ)  =B22-INDEX(C10:C18,MATCH(B5,A10:A18,0))

貼り付けたあとの調整は2つです。

  • A10〜A18 と B27 の表示形式を「日付」にする:WORKDAY 関数は日付をシリアル値(日付を表す連番)で返すため、表示形式が標準のままだと 46301 のような数値で表示されます。
  • B5(今日)を =TODAY() に置き換える:毎日開くたびに今日の日付になります。サンプルでは値を確かめやすいように 2026/10/14 に固定しています。

セルの配置

セル 内容 入力するもの
B1・B2 スプリントの開始日・終了日 日付を入力
B3 開始時の合計ポイント 数値を入力
B4 稼働日数 数式
B5 今日 日付、または =TODAY()
H2・H3 休日の一覧(足りなければ範囲を広げる) 日付を入力
A9〜I9 開始時点の行(経過0日) 数式
A10〜I18 稼働日ごとの行 D列・E列だけ入力
B20〜B28 見通しの計算 数式

理想線・残り・残り日数の数式(セル番地つき)

表の部分(10行目の式。18行目までコピーする)

セル 数式 意味
B4 =NETWORKDAYS(B1,B2,H2:H3) 開始日から終了日までの稼働日数(土日とH列の休日を除く)
A10 =$B$1 1日目は開始日
A11 =WORKDAY(A10,1,$H$2:$H$3) 前の行の次の稼働日
B10 =NETWORKDAYS($B$1,A10,$H$2:$H$3) 開始日からその日までの稼働日数(経過稼働日)
C10 =$B$3-$B$3/$B$4*B10 理想線。毎日同じ量ずつ減り、最終日に0になる
F10 =IF(A10>$B$5,NA(),F9-D10+E10) 残り。今日より先の日付は #N/A にして線を止める
G10 =$B$4-B10 残り稼働日
H10 =IF(A10>$B$5,NA(),SUM($D$10:D10)) 完了の累計(バーンアップ用)
I10 =$B$3+SUM($E$10:E10) 全体量(開始時の合計 + 追加の累計。バーンアップ用)

NETWORKDAYS の書式は NETWORKDAYS(start_date, end_date, [holidays])(開始日、終了日、休日)で、土日と、3つ目の引数に渡した日付を除いた日数を返します。3つ目の引数は省略でき、セルの範囲で渡せます。サンプルでは、10/5〜10/16 の平日10日から休日の10/12を除いて 9 になります。

NA 関数は引数を取らず、エラー値 #N/A を返します。 Microsoft のサポートページには、折れ線グラフで #N/A のセルを空白として扱い線を途切れさせる表示と、前後の点を線でつなぐ表示の両方が説明されています。未来の日付に 0 を入れると、残りが0になったように線が描かれてしまうため、ここでは NA() を使っています。

見通しの部分

セル 項目 数式
B20 経過稼働日 =NETWORKDAYS(B1,B5,H2:H3)
B21 完了ポイントの合計 =SUMIF(A10:A18,"<="&B5,D10:D18)
B22 現在の残り =INDEX(F10:F18,MATCH(B5,A10:A18,0))
B23 残り稼働日 =B4-B20
B24 1日あたりの完了(これまで) =B21/B20
B25 1日あたりの必要量(これから) =B22/B23
B26 このペースで終わるまでの稼働日 =ROUNDUP(B22/B24,0)
B27 完了見込み日 =WORKDAY(B5,B26,H2:H3)
B28 理想線との差(プラスは遅れ) =B22-INDEX(C10:C18,MATCH(B5,A10:A18,0))

B22 と B28 は、B5 の日付が A10〜A18 の中にある(稼働日である)ことを前提にしています。休日に開く場合は、B5 に直前の稼働日を入れます。

計算結果(LibreOffice Calc で検算)

上のタブ区切りデータを Calc に読み込んで計算させた値です。

日付 経過稼働日 理想線 完了 追加 残り(実際) 残り稼働日 完了累計 スコープ
開始 0 36 36 9 0 36
10/5(月) 1 32 3 33 8 3 36
10/6(火) 2 28 2 31 7 5 36
10/7(水) 3 24 5 26 6 10 36
10/8(木) 4 20 0 4 30 5 10 40
10/9(金) 5 16 6 24 4 16 40
10/13(火) 6 12 5 19 3 21 40
10/14(水) 7 8 4 15 2 25 40
10/15(木) 8 4 #N/A 1 #N/A 40
10/16(金) 9 0 #N/A 0 #N/A 40

10/9(金)の次の行が 10/13(火)になり、土日と休日の 10/12 が飛ばされていることが分かります。

項目 値
稼働日数(B4) 9
経過稼働日(B20) 7
完了ポイントの合計(B21) 25
現在の残り(B22) 15
残り稼働日(B23) 2
1日あたりの完了(B24) 3.57142857142857
1日あたりの必要量(B25) 7.5
このペースで終わるまでの稼働日(B26) 5
完了見込み日(B27) 46316(日付の表示形式にすると 2026/10/21)
理想線との差(B28) 7

読み取り方:残り2日で15ポイントを終えるには1日7.5ポイントが必要ですが、これまでは1日あたり約3.6ポイントでした。同じペースなら終わるのは 10/21 で、終了日の 10/16 を3稼働日過ぎます。この数字があると、「残りのうちどれを次のスプリントに回すか」を具体的に相談できます。

グラフにする

  1. A8〜A18(日付)、C8〜C18(理想線)、F8〜F18(残り)を選びます。離れた列は Ctrl キーを押しながら選びます。
  2. 折れ線グラフを挿入します。
  3. 縦軸の最小値を 0 にし、グラフの題名にスプリント名を入れます。
  4. 理想線は破線、残りの線はマーカーつきの実線にすると見分けやすくなります。

線の形7パターンの見方と次に打つ手

9稼働日・合計36ポイントのスプリントを想定した数値の例を添えています(理想線は 36→32→28→…→0)。

No 線の形 残りの例(開始→最終日) 読み取れること 次に打つ手
1 理想線に沿って下がる 36, 32, 29, 24, 20, 15, 12, 8, 4, 0 見積もりと進み方が合っている 今の進め方を続ける。うまくいった理由をふりかえりで言葉にしておく
2 ずっと理想線の上を走る 36, 34, 32, 29, 27, 24, 22, 19, 17, 14 作業量が多い、または見積もりが小さい 必要な1日あたりの量を出し、優先度の低いものを次へ回す相談を早めにする
3 ずっと理想線の下を走る 36, 30, 25, 20, 15, 11, 7, 3, 0, 0 見積もりに余裕があった、または作業が少ない 優先度の高い項目を追加できるか持ち主と相談する。次回の見積もりに反映する
4 途中で横ばいが続く 36, 33, 30, 30, 30, 30, 26, 22, 18, 14 待ちや調査で進みが止まっている 止まっている原因を朝会で1つに絞り、取り除く担当を決める
5 途中で上に跳ねる 36, 32, 28, 34, 30, 26, 22, 18, 14, 10 作業が追加された、または見積もりを増やした 追加の分だけ何かを外すかを決める。追加の量はE列に分けて記録する
6 終盤に急に下がる 36, 36, 35, 35, 34, 33, 30, 20, 8, 0 完了の入力や確認が最後にまとまっている 項目を小さく分け、できた順に完了まで持っていく
7 階段のように下がる 36, 36, 36, 24, 24, 24, 12, 12, 12, 0 1つひとつの項目が大きい 1〜2日で終わる大きさに分割する

サンプルデータの線(36, 33, 31, 26, 30, 24, 19, 15)は、No.2 と No.5 の組み合わせです。10/8 に4ポイントが追加されて線が上に跳ね、その後は理想線と同じ傾きで下がっていますが、差は7ポイントに広がっています。

形を見分けるための数字

見る数字 式 目安
理想線との差 残り − 理想線(B28) プラスが2日分の完了量を超えたら相談の合図にする
必要量とこれまでの比 B25 ÷ B24 1を超えると、今のペースでは届かない
横ばいの日数 完了が0の日が続いた数 2日続いたら原因を確かめる
追加の合計 E列の合計 開始時の合計に対する割合を、ふりかえりで確かめる

目安の数値はチームで決めてかまいません。大事なのは、線を見て感想を言うのではなく、数字で次の一手を決めることです。

Pythonのmatplotlibで同じグラフを描く

表計算ソフトを使わずに、同じデータからグラフの画像を作るコードです。稼働日の並びと理想線も Python で計算しているので、表の値との突き合わせにもなります。

pip install matplotlib
python3 burndown.py
from datetime import date, timedelta

import matplotlib

matplotlib.use("Agg")  # 画面の無い環境でも画像に保存できるようにする
import matplotlib.pyplot as plt

plt.rcParams["font.family"] = "Noto Sans CJK JP"  # 手元にある日本語フォント名に置き換える

start, end = date(2026, 10, 5), date(2026, 10, 16)
holidays = {date(2026, 10, 12)}
total = 36
done = [3, 2, 5, 0, 6, 5, 4]   # その日に完了したポイント(入力済みの日まで)
added = [0, 0, 0, 4, 0, 0, 0]  # その日に追加されたポイント

# 稼働日(土日と休日を除く)を並べる
days = []
d = start
while d <= end:
    if d.weekday() < 5 and d not in holidays:
        days.append(d)
    d += timedelta(days=1)

n = len(days)
labels = ["開始"] + [f"{d.month}/{d.day}" for d in days]
ideal = [total - total / n * i for i in range(n + 1)]

actual = [total]
for x, a in zip(done, added):
    actual.append(actual[-1] - x + a)

print("稼働日数:", n)
print("理想線:", [round(v, 1) for v in ideal])
print("残り(実際):", actual)

fig, ax = plt.subplots(figsize=(8, 4.5))
ax.plot(labels, ideal, linestyle="--", color="gray", label="理想線")
ax.plot(labels[: len(actual)], actual, marker="o", color="tab:blue", label="残り(実際)")
ax.set_ylim(bottom=0)
ax.set_xlabel("日付")
ax.set_ylabel("残りポイント")
ax.set_title("スプリント7 バーンダウンチャート")
ax.grid(alpha=0.3)
ax.legend()
fig.tight_layout()
fig.savefig("burndown.png", dpi=150)
print("burndown.png を保存しました")

実行結果:

稼働日数: 9
理想線: [36.0, 32.0, 28.0, 24.0, 20.0, 16.0, 12.0, 8.0, 4.0, 0.0]
残り(実際): [36, 33, 31, 26, 30, 24, 19, 15]
burndown.png を保存しました

稼働日数・理想線・残りのどれも、Calc で計算した値と一致しました。保存された画像には、開始から 10/16 まで続く灰色の破線(理想線)と、10/14 で止まる青い実線(残り)が描かれ、10/8 で線が上に跳ねる様子が見えます。

フォントの行は、手元に入っている日本語フォントの名前に置き換えてください。入っているフォントの名前は次のコードで調べられます。

from matplotlib import font_manager

names = sorted({f.name for f in font_manager.fontManager.ttflist})
print([n for n in names if "CJK" in n or "Gothic" in n or "Meiryo" in n])

ベロシティの計算と範囲での予測

ベロシティは、1スプリントの間に完了した項目の見積もりの合計です。 Agile Alliance の用語集でも、スプリントの終わりに完了している項目だけを合計し、途中まで進んだ項目は含めないと説明されています。

直近3スプリントの平均と幅

スプリント 完了ポイント
スプリント4 18
スプリント5 26
スプリント6 22

貼り付け用のタブ区切りデータ(A1 セルに貼り付け):

スプリント   完了ポイント
スプリント4  18
スプリント5  26
スプリント6  22
直近3回の平均 =AVERAGE(B2:B4)
最小  =MIN(B2:B4)
最大  =MAX(B2:B4)
残りのバックログ    130
必要スプリント数(速い場合)  =ROUNDUP(B8/B7,0)
必要スプリント数(平均)    =ROUNDUP(B8/B5,0)
必要スプリント数(ゆっくりの場合)   =ROUNDUP(B8/B6,0)
セル 項目 数式 値(Calc で検算)
B5 直近3回の平均 =AVERAGE(B2:B4) 22
B6 最小 =MIN(B2:B4) 18
B7 最大 =MAX(B2:B4) 26
B8 残りのバックログ (入力) 130
B9 必要スプリント数(速い場合) =ROUNDUP(B8/B7,0) 5
B10 必要スプリント数(平均) =ROUNDUP(B8/B5,0) 6
B11 必要スプリント数(ゆっくりの場合) =ROUNDUP(B8/B6,0) 8

予測は1つの数字ではなく幅で伝えます。 この例なら「残り130ポイントは、5〜8スプリント、平均のペースなら6スプリントで終わる見込み」です。スプリントが2週間なら10〜16週間にあたります。幅が広いと感じたら、バックログの項目を小さく分けて大きさをそろえると、スプリントごとの完了量がそろいやすくなります。

ベロシティを次のスプリントに使う

使い道 やり方
次のスプリントで引き受ける量 平均(22)を目安にし、休みが多いスプリントは稼働日の割合で減らす
バーンダウンの合計(B3) 引き受けた量をそのまま入れる
リリース時期の見通し 上の表のように最小・平均・最大の3通りで計算する

稼働日の割合で減らす例:ふだんが10稼働日で平均22ポイントのチームが、9稼働日のスプリントを迎えるなら 22 × 9 ÷ 10 = 19.8 で、20ポイント前後が目安になります。

ベロシティを扱うときの注意

Agile Alliance の用語集では、次の点が挙げられています。

  • ベロシティは終わった後に測る値で、先に「設定」する目標ではない
  • チームどうしで比べない(見積もりの基準がチームごとに違うため)
  • 見るのはチーム全体の値で、個人ごとの値は意味を持たない

バーンアップチャートとの違い

バーンアップチャートは、完了の累計(右上がり)と全体量(スコープ)の2本を描く図です。 サンプルシートのH列(完了累計)とI列(スコープ)が、そのままバーンアップ用のデータになります。

日付 完了累計 スコープ 残り(スコープ − 完了累計)
10/7(水) 10 36 26
10/8(木) 10 40 30
10/9(金) 16 40 24

10/8 は完了が0で追加が4でした。バーンダウンでは残りの線が 26→30 に上がるだけですが、バーンアップでは 完了の線は横ばい、スコープの線が 36→40 に上がる ので、「進みが止まった」のと「作業が増えた」のを見分けられます。

比べる点 バーンダウン バーンアップ
描く線 残りの量(と理想線) 完了の累計と全体量
線の向き 右下がり 右上がり
作業の追加 残りの線が上に跳ねる(進みの遅れと区別しにくい) 全体量の線が上がる(区別できる)
一目で分かること 期限までに0になりそうか どれだけ終わり、全体がどれだけ増えたか
向いている期間 1スプリントのように全体量があまり変わらない期間 リリースまでのように全体量が変わりやすい長い期間
グラフの範囲(サンプル) A・C・F列 A・H・I列

スクラムガイド2020は、進み具合の見通しを立てる手法としてバーンダウン、バーンアップ、累積フローなどがあると述べており、どれか1つを必須とはしていません。チームが読み取りやすいものを選べます。

つまずきやすい点と直し方

症状 原因 直し方
A列に 46301 のような数値が出る WORKDAY の結果がシリアル値のまま表示されている セルの表示形式を日付にする
残りの線が今日の先で0へ落ちる 未来の行に 0 が入っている =IF(日付>今日,NA(),…) にして #N/A にする
稼働日数が1日多い 休日の範囲に日付が入っていない、または文字列になっている H列に日付として入力し、NETWORKDAYS の3つ目の引数に指定する
B22 が #N/A になる 今日(B5)が土日や休日で、A列に同じ日付が無い B5 に直前の稼働日を入れる
理想線が終了日に0にならない 稼働日の行数と B4 の値が合っていない 行を B4 の数だけ用意する(期間を変えたら行を足す・減らす)
線が毎日ほとんど動かない 項目が大きく、完了がまとまって入る 1〜2日で終わる大きさに分ける

よくある質問

Q. 縦軸はポイントと時間のどちらがよいですか? A. スプリント全体の見通しにはストーリーポイントが、日々の作業の残りを細かく追うには時間が向いています。どちらでも式は同じです。途中で単位を混ぜると線が読めなくなるので、1つのグラフでは1つに決めます。

Q. 作業が追加されたとき、理想線も引き直しますか? A. 引き直さない方が、追加の影響がそのまま見えます。この記事のシートでは、理想線は開始時の合計(B3)から計算し、追加はE列に分けて記録しています。追加が大きく、スプリントの目標そのものを見直した場合は、B3 を変えて引き直します。

Q. Google スプレッドシートでも同じ数式を使えますか? A. この記事で値を確かめたのは LibreOffice Calc です。ほかの表計算ソフトで使う場合は、貼り付けたあとに上の「計算結果」の表と同じ値になるかを見比べてください。

Q. ベロシティが毎回大きく変わるときはどうしますか? A. 平均だけでなく最小〜最大の幅で予測し、幅が広い理由(項目の大きさ、休み、途中の追加)をふりかえりで1つずつ確かめます。項目の大きさをそろえることが、幅を狭める近道です。

まとめ

  • バーンダウンチャートは、理想線と残りの線の2本で「期限までに終わりそうか」を見る図
  • 稼働日数は NETWORKDAYS、稼働日の並びは WORKDAY、未来の日付は NA() で線を止める
  • 残り ÷ 残り稼働日(必要量)と、完了の合計 ÷ 経過稼働日(これまで)を比べると、次の一手を数字で決められる
  • 線の形は7パターン。横ばい・跳ね上がり・終盤の急降下・階段は、項目の大きさや追加の記録を見直す合図
  • ベロシティは直近3回の平均に加えて最小〜最大の幅で使い、予測は「5〜8スプリント」のように幅で伝える
  • 作業の追加が多い期間は、完了累計と全体量を分けて描くバーンアップチャートが読みやすい

参考

  • Microsoft サポート「NETWORKDAYS function」https://support.microsoft.com/en-us/office/networkdays-function-48e717bf-a7a3-495f-969e-5005e3eb18e7
  • Microsoft サポート「WORKDAY function」https://support.microsoft.com/en-us/office/workday-function-f764a5b7-05fc-4494-9486-60d494efbf33
  • Microsoft サポート「NA 関数」https://support.microsoft.com/ja-jp/office/na-関数-5469c2d1-a90c-4fb5-9bbc-64bd9bb6b47c
  • Microsoft サポート「Display empty cells, null (#N/A) values, and hidden worksheet data in a chart」https://support.microsoft.com/en-us/office/display-empty-cells-null-n-a-values-and-hidden-worksheet-data-in-a-chart-a1ee6f0c-192f-4248-abeb-9ca49cb92274
  • Agile Alliance「Velocity」https://www.agilealliance.org/glossary/velocity/
  • スクラムガイド2020(日本語版)https://scrumguides.org/docs/scrumguide/v2020/2020-Scrum-Guide-Japanese.pdf

本記事の内容は、ご自由にお使いください。
ご利用の際は、出典として本ページへのリンクを記載いただけますようお願いします。

(記載例)出典:株式会社RJC「バーンダウンチャートの作り方(エクセル)|見方7パターンとベロシティ計算」

株式会社RJC ― SI事業・SES事業・AI駆動開発。RJCは一緒に成長を楽しめる会社です。

WE ARE HIRING

RJCで一緒に開発しながら、
成長を楽しみませんか?

RJCは、Web・モバイル・AIを活用した開発プロジェクトで、テックリードやPM・PMOも活躍するシステム開発会社です。会社を知る、待遇を確かめる、話を聞いてみる。気になるところ見てみてください!

  • 127日年間休日
  • 12時間平均残業時間
  • 毎日ガチャ遊びココロも大切にする福利厚生。アマギフなどの賞品ラインナップ!

ほかにも、チケットレストラン、書籍読み放題、2年ごとの慰労報奨(休暇 or 金一封)、11期連続の黒字決算。

ABOUT RJC RJCがどんな会社か知る 考え方、研修、働き方、福利厚生、社員の前職まで。RJCのことが丸わかり! RJC丸わかりページへ JOB DESCRIPTION 仕事内容・待遇を見てみる 仕事内容、給与・待遇、選考の流れ。経験者も未経験も!応募前に知りたいこと、まとめました! 募集要項を見る ENTRY エントリーする エントリーは1〜2分・履歴書不要です。まずは話を聞いてみたい、という方でも歓迎です! エントリーフォームへ

RJCで一緒に開発しながら、 成長を楽しみませんか?