- マネジメント
ステークホルダー管理表の書き方とテンプレート|関心度×影響度マトリクスの例
ステークホルダー管理表とは、プロジェクトに関わる人を一覧にして、「誰に・何を・どのくらいの頻度で・どう働きかけるか」を決めるための表です。 名前と所属を並べるだけでなく、関心度と影響度を点数で書き、現在の姿勢と目標の姿勢の差を見えるようにすると、次に誰と話すべきかがはっきりします。
この記事では、架空の「社内の備品予約システム刷新」を題材に、そのまま表計算ソフトに貼れるテンプレートと10人分の記入例、関心度×影響度で4象限に分けるPythonコードと実行結果、Mermaidで描くマトリクスのコードを載せます。役割分担を決めるRACI表とは目的が違うので、その使い分けも最後に整理します。
確認環境:Ubuntu 24.04 / Python 3.11.15(分類コードを実行)、Mermaid 11.14.0(@mermaid-js/mermaid-cli と Chromium で図のコードを描画)。
ステークホルダー管理表の早見表
| 知りたいこと | 答え |
|---|---|
| 何を書く表か | 関係者ごとの立場、関心度、影響度、現在と目標の姿勢、期待と懸念、連絡手段、担当 |
| 最低限の列 | 氏名、所属・役職、立場、関心度、影響度、対応方針、連絡手段と頻度、担当 |
| 関心度とは | そのプロジェクトの進み方や結果を、どれだけ気にかけているか |
| 影響度とは | 決定・予算・人の割り当て・利用の広がりを、どれだけ動かせるか |
| 点数の付け方 | 1〜5の5段階。3以上を「高い」として4象限に分ける |
| 4象限の方針 | 両方高い=重点的に関与、影響度だけ高い=満足を保つ、関心度だけ高い=情報を届ける、両方低い=様子を見る |
| 作る時期 | 立ち上げの時点で初版、工程の切り替わりと体制変更のたびに見直す |
| 共有範囲 | 評価の列を含む版はプロジェクトマネージャーと限られたメンバーだけで扱う |
| RACI表との違い | RACIは「作業を誰が担うか」、管理表は「人にどう働きかけるか」 |
本記事の内容は、ご自由にお使いください。
ご利用の際は、出典として本ページへのリンクを記載いただけますようお願いします。
(記載例)出典:株式会社RJC「ステークホルダー管理表の書き方とテンプレート|関心度×影響度マトリクスの例」
管理表に入れる列と書き方
列は多すぎると更新が止まります。まず12列で始め、使わない列は消すくらいがちょうどよい量です。
| 列 | 書く内容 | 書き方のコツ |
|---|---|---|
| No | 通し番号 | 並べ替えても元に戻せるように付ける |
| 氏名 | 個人名、または役割名 | 人が決まっていなければ「営業部の利用者代表」のように役割で書く |
| 所属・役職 | 部署と役職 | 承認の流れを追えるように書く |
| 立場 | プロジェクトとの関わり方 | 発注責任者、承認者、利用者、運用の引き継ぎ先など |
| 関心度 | 1〜5 | 下の基準表で決める |
| 影響度 | 1〜5 | 下の基準表で決める |
| 現在の姿勢 | 不認識、抵抗、中立、支持、主導 | 本人の発言や行動という事実から判断する |
| 目標の姿勢 | 同じ5段階 | 全員を「主導」にする必要はない |
| 期待・関心事 | その人が得たいもの | 本人の言葉に近い形で1行 |
| 懸念 | その人が気にしていること | 対応方針の出発点になる |
| 主な連絡手段 | 会議、個別報告、メールなど | 相手が普段使う手段に合わせる |
| 担当 | こちら側の窓口 | 1人に決める |
関心度・影響度の点数基準
点数は人によって付け方がぶれやすいので、基準を文章にして表に添えます。
| 点 | 関心度の目安 | 影響度の目安 |
|---|---|---|
| 5 | 毎週の状況を自分から確認する。結果が自分の業務に直結する | 最終的な承認や中止の判断ができる |
| 4 | 定例に参加し、資料に目を通して意見を出す | 予算、人の割り当て、仕様の優先度を変えられる |
| 3 | 節目の報告は読む。自分に関わる部分には反応する | 担当範囲の作業や日程を左右できる |
| 2 | 聞かれれば答えるが、自分からは動かない | 意見は出せるが、決定には関わらない |
| 1 | ほとんど知らない、または関わりが薄い | 進み方にほぼ関わらない |
姿勢の5段階
| 姿勢 | 意味 | 見分ける手がかり |
|---|---|---|
| 不認識 | プロジェクトや自分への関わりを知らない | 説明会に出ていない、質問がない |
| 抵抗 | 知っていて、変化に賛成していない | 懸念の表明、協力依頼の保留 |
| 中立 | 知っているが、賛成でも反対でもない | 依頼には応じるが意見は少ない |
| 支持 | 変化に賛成している | 前向きな発言、周囲への説明 |
| 主導 | 自分から動いて成功に関わっている | 課題を先に見つけて提案する |
テンプレート(タブ区切り)と10人分の記入例
題材は、紙と表計算ファイルで運用してきた備品の貸出を、予約システムに置き換える社内プロジェクトです。人名はすべて架空です。
次のブロックをコピーして表計算ソフトのA1セルに貼ると、列に分かれて入ります。見出し行だけ残せば、空のテンプレートになります。
No 氏名 所属・役職 立場 関心度 影響度 現在の姿勢 目標の姿勢 期待・関心事 懸念 主な連絡手段 担当
1 青木 部長 総務部 部長 発注責任者 5 5 支持 主導 予約の重複をなくし問い合わせを減らしたい 稼働日が年度初めに間に合うか 月次の運営会議 佐藤
2 井上 課長 情報システム課 課長 承認者 3 5 中立 支持 既存の認証基盤と統一した運用 保守の手間が増えないか 隔週の個別報告 佐藤
3 上田 さん 総務部 備品担当 主な利用者 5 4 支持 主導 貸出と返却の記録を自動で残したい 移行期間の二重入力 週次の定例 鈴木
4 江口 さん 営業部 一般社員 利用者代表 4 2 中立 支持 スマートフォンから予約したい 操作を覚える時間 月1回の試用会 鈴木
5 小野 課長 営業部 課長 利用部門の長 2 4 抵抗 中立 部員の作業時間を増やしたくない 繁忙期と切り替え時期が重なる 個別の面談 佐藤
6 加藤 さん 経理課 担当 関連業務の担当 2 2 不認識 中立 備品台帳との突き合わせ 台帳の形式が変わるか 月次の通知メール 高橋
7 木村 さん 情報システム課 運用担当 運用の引き継ぎ先 4 2 中立 支持 監視と障害時の手順を早めに知りたい 夜間の問い合わせ対応 隔週の技術相談 高橋
8 工藤 さん 開発チーム リーダー 実行チーム 5 3 主導 主導 仕様の確定時期を守りたい 仕様変更の件数 日次の朝会 佐藤
9 小林 さん 外部の保守会社 担当 既存システムの保守 1 3 中立 中立 データ抽出の依頼時期 契約範囲外の作業 依頼書とメール 高橋
10 斉藤 役員 管理本部 担当役員 スポンサー 2 5 支持 支持 費用と稼働日の見通し 追加費用の発生 四半期の報告 佐藤
同じ内容を、要点の列だけ抜き出して表にするとこうなります。
| No | 氏名 | 立場 | 関心度 | 影響度 | 現在→目標 | 懸念 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 青木 部長 | 発注責任者 | 5 | 5 | 支持→主導 | 稼働日が年度初めに間に合うか |
| 2 | 井上 課長 | 承認者 | 3 | 5 | 中立→支持 | 保守の手間が増えないか |
| 3 | 上田 さん | 主な利用者 | 5 | 4 | 支持→主導 | 移行期間の二重入力 |
| 4 | 江口 さん | 利用者代表 | 4 | 2 | 中立→支持 | 操作を覚える時間 |
| 5 | 小野 課長 | 利用部門の長 | 2 | 4 | 抵抗→中立 | 繁忙期と切り替え時期が重なる |
| 6 | 加藤 さん | 関連業務の担当 | 2 | 2 | 不認識→中立 | 台帳の形式が変わるか |
| 7 | 木村 さん | 運用の引き継ぎ先 | 4 | 2 | 中立→支持 | 夜間の問い合わせ対応 |
| 8 | 工藤 さん | 実行チーム | 5 | 3 | 主導→主導 | 仕様変更の件数 |
| 9 | 小林 さん | 既存システムの保守 | 1 | 3 | 中立→中立 | 契約範囲外の作業 |
| 10 | 斉藤 役員 | スポンサー | 2 | 5 | 支持→支持 | 追加費用の発生 |
記入のポイントは3つです。
- 「期待・関心事」と「懸念」は分けて書く。期待は報告で伝える内容に、懸念は先回りして答える内容になります。
- 目標の姿勢は、必要な分だけ上げる。小野課長は「抵抗→中立」で十分で、「主導」まで求めると働きかけが重くなります。
- 利用者は代表者を1人ずつ立てる。部署全員を並べると行が増えるだけで、打ち手が変わりません。
関心度×影響度で4象限に自動分類するPythonコード
点数を付けたら、象限分けは機械に任せられます。上のタブ区切りを stakeholders.tsv という名前で保存し、同じフォルダに次のコードを classify.py として置きます。標準ライブラリだけで動きます。
import csv
import sys
THRESHOLD = 3 # 3点以上を「高い」とする
POLICY = {
(True, True): ("A 重点的に関与", "週1回以上"),
(False, True): ("B 満足を保つ", "隔週〜月1回"),
(True, False): ("C 情報を届ける", "週1回〜隔週"),
(False, False): ("D 様子を見る", "月1回"),
}
ORDER = ["不認識", "抵抗", "中立", "支持", "主導"]
def classify(interest: int, power: int) -> tuple[str, str]:
return POLICY[(interest >= THRESHOLD, power >= THRESHOLD)]
def main(path: str) -> None:
with open(path, encoding="utf-8", newline="") as f:
rows = list(csv.DictReader(f, delimiter="\t"))
for r in rows:
r["interest"] = int(r["関心度"])
r["power"] = int(r["影響度"])
r["quadrant"], r["freq"] = classify(r["interest"], r["power"])
r["gap"] = ORDER.index(r["目標の姿勢"]) - ORDER.index(r["現在の姿勢"])
r["score"] = r["interest"] * r["power"]
# 象限(A→D)、差の大きい順、影響度×関心度の大きい順に並べる
rows.sort(key=lambda r: (r["quadrant"], -r["gap"], -r["score"]))
print("No 氏名 関心 影響 積 象限 頻度 姿勢の差")
for r in rows:
print(
f'{r["No"]:>2} {r["氏名"]:<8} {r["interest"]:>3} {r["power"]:>4} '
f'{r["score"]:>3} {r["quadrant"]:<12} {r["freq"]:<10} '
f'{r["現在の姿勢"]}→{r["目標の姿勢"]}({r["gap"]:+d})'
)
print()
for label, _ in POLICY.values():
names = [r["氏名"] for r in rows if r["quadrant"] == label]
print(f"{label}: {len(names)}人 {'、'.join(names)}")
print()
print("quadrantChart 用の座標(0〜1)")
for r in sorted(rows, key=lambda r: int(r["No"])):
x = (r["interest"] - 0.4) / 5
y = (r["power"] - 0.4) / 5
print(f' {r["氏名"].replace(" ", "")}: [{x:.2f}, {y:.2f}]')
if __name__ == "__main__":
main(sys.argv[1] if len(sys.argv) > 1 else "stakeholders.tsv")
python3 classify.py
実行結果:
No 氏名 関心 影響 積 象限 頻度 姿勢の差
1 青木 部長 5 5 25 A 重点的に関与 週1回以上 支持→主導(+1)
3 上田 さん 5 4 20 A 重点的に関与 週1回以上 支持→主導(+1)
2 井上 課長 3 5 15 A 重点的に関与 週1回以上 中立→支持(+1)
8 工藤 さん 5 3 15 A 重点的に関与 週1回以上 主導→主導(+0)
5 小野 課長 2 4 8 B 満足を保つ 隔週〜月1回 抵抗→中立(+1)
10 斉藤 役員 2 5 10 B 満足を保つ 隔週〜月1回 支持→支持(+0)
9 小林 さん 1 3 3 B 満足を保つ 隔週〜月1回 中立→中立(+0)
4 江口 さん 4 2 8 C 情報を届ける 週1回〜隔週 中立→支持(+1)
7 木村 さん 4 2 8 C 情報を届ける 週1回〜隔週 中立→支持(+1)
6 加藤 さん 2 2 4 D 様子を見る 月1回 不認識→中立(+2)
A 重点的に関与: 4人 青木 部長、上田 さん、井上 課長、工藤 さん
B 満足を保つ: 3人 小野 課長、斉藤 役員、小林 さん
C 情報を届ける: 2人 江口 さん、木村 さん
D 様子を見る: 1人 加藤 さん
quadrantChart 用の座標(0〜1)
青木部長: [0.92, 0.92]
井上課長: [0.52, 0.92]
上田さん: [0.92, 0.72]
江口さん: [0.72, 0.32]
小野課長: [0.32, 0.72]
加藤さん: [0.32, 0.32]
木村さん: [0.72, 0.32]
工藤さん: [0.92, 0.52]
小林さん: [0.12, 0.52]
斉藤役員: [0.32, 0.92]
読み取れることは次のとおりです。
- A(重点的に関与)は4人。このうち井上課長は関心度がちょうど3で境目にいて、姿勢も中立です。承認者なので、最初に個別の時間を取る相手になります。
- B(満足を保つ)の小野課長は「抵抗→中立」。影響度4の人が抵抗の位置にいるので、Bの中で最優先です。
- D(様子を見る)の加藤さんは差が+2。象限は低くても、備品台帳の突き合わせで後から関わるので、早めに一度説明しておくと後の手戻りを抑えられます。
- 並べ替えは「象限→姿勢の差→点数の積」の順です。上から順に働きかける順番の候補として使えます。
しきい値は THRESHOLD = 3 の1行で変えられます。人数が多く、Aに集まりすぎるときは4に上げると絞り込めます。
象限別の対応方針・連絡頻度の早見表
| 象限 | 関心度 | 影響度 | 方針 | 連絡頻度の目安 | 手段の例 | 伝える内容 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| A 重点的に関与 | 高い | 高い | 決定の前に相談し、一緒に決める | 週1回以上 | 定例会議、個別の打ち合わせ | 進み具合、判断が必要な事項、選択肢と推奨案 |
| B 満足を保つ | 低い | 高い | 手間をかけさせず、要点だけ確実に届ける | 隔週〜月1回 | 1枚の要約、短い個別報告 | 費用・日程・判断事項を結論から |
| C 情報を届ける | 高い | 低い | こまめに知らせ、意見を集める | 週1回〜隔週 | 通知メール、試用会、掲示 | 変更点、利用開始までの予定、質問の受付先 |
| D 様子を見る | 低い | 低い | 最小限の案内にとどめ、変化を見守る | 月1回 | 全体向けの通知 | 節目の予定、影響が出る日 |
象限だけで決めきれない場合は、姿勢の差を組み合わせます。
| 現在→目標 | 働きかけの例 |
|---|---|
| 不認識→中立 | 目的と、その人の業務に関わる部分だけを15分で説明する |
| 抵抗→中立 | 懸念を先に聞き、対応できることと時期を具体的に返す |
| 中立→支持 | 試作の画面を見てもらい、意見が反映された箇所を示す |
| 支持→主導 | 部内への説明役や受け入れ確認の取りまとめを依頼する |
| 変化なし | 現在の頻度を保ち、姿勢が変わったら表を更新する |
記入例に方針を当てはめた結果
| 氏名 | 象限 | 具体的な対応 |
|---|---|---|
| 青木 部長 | A | 月次の運営会議に加え、週1回10分の状況共有。稼働日の見通しを毎回先頭に書く |
| 井上 課長 | A | 認証基盤との接続方式を決める前に個別に相談。保守手順の案を早めに見せる |
| 上田 さん | A | 週次の定例に参加してもらい、二重入力の期間を短くする移行案を一緒に作る |
| 工藤 さん | A | 日次の朝会。仕様変更の受付締め切りを合意する |
| 小野 課長 | B | 個別の面談で繁忙期を確認し、切り替え日の候補を2つ示す |
| 斉藤 役員 | B | 四半期の報告に加え、費用が動くときだけ1枚の要約で即日連絡 |
| 小林 さん | B | データ抽出の依頼時期を1か月前に書面で伝える |
| 江口 さん | C | 月1回の試用会。スマートフォンでの予約画面を先に触ってもらう |
| 木村 さん | C | 隔週の技術相談。監視と問い合わせ対応の手順書を下書きの段階で共有 |
| 加藤 さん | D | 月次の通知メール。台帳の出力形式が決まった時点で個別に説明 |
MermaidのquadrantChartでマトリクスを描く
マトリクスは、Mermaidの quadrantChart で文字から図にできます。座標は0〜1で指定するので、classify.py の最後に出た値をそのまま貼ります。江口さんと木村さんは同じ座標で重なるため、縦方向に少しずらしています。
quadrantChart
title 関心度×影響度マトリクス(備品予約システム刷新)
x-axis "関心度 低い" --> "関心度 高い"
y-axis "影響度 低い" --> "影響度 高い"
quadrant-1 "A 重点的に関与"
quadrant-2 "B 満足を保つ"
quadrant-3 "D 様子を見る"
quadrant-4 "C 情報を届ける"
"青木部長": [0.92, 0.92]
"井上課長": [0.52, 0.92]
"上田さん": [0.92, 0.72]
"江口さん": [0.72, 0.36]
"小野課長": [0.32, 0.72]
"加藤さん": [0.32, 0.32]
"木村さん": [0.72, 0.28]
"工藤さん": [0.92, 0.52]
"小林さん": [0.12, 0.52]
"斉藤役員": [0.32, 0.92]
象限の番号は、quadrant-1が右上、quadrant-2が左上、quadrant-3が左下、quadrant-4が右下です。横軸を関心度にした場合、左上が「満足を保つ」、右下が「情報を届ける」になります。
日本語のラベルは二重引用符で囲む
軸や象限のラベルを引用符なしで日本語のまま書くと、今回の環境では次のエラーで止まりました。
Error: Lexical error on line 3. Unrecognized text.
...約システム刷新) x-axis 関心度 低い --> 関心度 高い
----------------------^
x-axis "関心度 低い" --> "関心度 高い" のように、軸・象限・点の名前を二重引用符で囲むと描画できました。title の行は引用符なしで通りました。
作り方の手順(6ステップ)
| 手順 | やること | できあがるもの |
|---|---|---|
| 1 | 関係者を洗い出す | 氏名と立場の一覧 |
| 2 | 期待と懸念を聞き取る | 期待・関心事、懸念の列 |
| 3 | 関心度と影響度に点を付ける | 点数の列 |
| 4 | 象限に分け、姿勢の現在と目標を書く | 象限と姿勢の差 |
| 5 | 対応方針、連絡手段、担当を決める | 対応の列 |
| 6 | 節目ごとに見直す | 更新日つきの最新版 |
洗い出しで漏れやすい関係者
| 見る場所 | 見つかる人の例 |
|---|---|
| 承認の流れ | 承認者、その上位の決裁者、スポンサー |
| 利用の流れ | 入力する人、結果を見る人、問い合わせを受ける人 |
| データの流れ | 連携先の担当、台帳や帳票を使う部署 |
| 稼働後 | 運用の引き継ぎ先、ヘルプデスク、既存の保守担当 |
| ルール | 情報の取り扱いを確認する部署、監査の担当 |
| 周辺 | 同じ時期に別の変更を進めているチーム |
見直すタイミング
- 工程の切り替わり(要件定義から設計へ、テストから移行へ)
- 体制の変更、異動、担当の交代
- 範囲・費用・日程に関わる変更が決まったとき
- 姿勢が変わったと感じる発言や出来事があったとき
見直したら、更新日と変えた理由を1行残すと、あとで経緯を追えます。
つまずきやすい点と直し方
| 起きやすいこと | そのままにすると | こうするとよい |
|---|---|---|
| 最初に作って更新が止まる | 姿勢の変化に気づくのが遅れる | 月次の定例の議題に「管理表の見直し5分」を入れる |
| 全員の点数が4か5になる | 象限分けの意味が薄れる | 基準表に照らして付け直し、しきい値を4に上げる |
| 評価の列を広く共有する | 本人の目に触れ、関係に響く | 評価つきの版と、連絡先だけの共有版を分ける |
| 「懸念」が空欄のまま | 対応方針が一般論になる | 本人に15分聞く。聞けない場合は上長や同僚に確認する |
| 担当が複数人 | 連絡が重なる、または誰も連絡しない | 窓口は1人。補佐は備考に書く |
| 利用者が載っていない | 稼働の直前に要望が集中する | 利用部門ごとに代表を1人立てて載せる |
RACI表・体制図との使い分け
| 文書 | 答える問い | 単位 | 主な列 |
|---|---|---|---|
| 体制図 | 誰が誰に報告するか | 組織と役割 | 役割、報告の線 |
| RACI表 | この作業は誰が実行し、誰が責任を持つか | 作業×人 | 実行、説明責任、相談、報告 |
| ステークホルダー管理表 | この人にどう働きかけるか | 人 | 関心度、影響度、姿勢、方針、頻度 |
| コミュニケーション計画 | 何を、いつ、どの手段で伝えるか | 情報×相手 | 内容、頻度、手段、発信者 |
RACI表に載るのは作業に関わる人だけですが、管理表には作業を持たない人(利用者、スポンサー、周辺の部署)も載ります。管理表で決めた連絡頻度と手段は、コミュニケーション計画の入力になります。
よくある質問
Q. 関心度と影響度は誰が付けるのがよいですか? A. プロジェクトマネージャーが下書きし、相手をよく知るメンバー1〜2人と一緒に見直すと、付け方の偏りを減らせます。点数の根拠になった発言や出来事を備考に残しておくと、見直しが楽になります。
Q. 3段階(高・中・低)ではなく5段階にする理由は? A. 3段階だと「中」に集まりやすく、象限の境目が決めにくくなります。5段階で3以上を「高い」とすれば、境目にいる人(3点の人)が誰かも分かります。
Q. 人数が多いときはどうまとめればよいですか? A. 同じ立場・同じ関心事の人はグループで1行にし、代表者の名前を書きます。影響度が4以上の人だけは個人で1行にします。
Q. 管理表は本人に見せてもよいですか? A. 点数と姿勢の列は見せない前提で書き、保管場所の閲覧権限を絞ります。共有したい場合は、氏名・立場・連絡手段・担当だけの版を別に用意します。
まとめ
- 管理表は「誰にどう働きかけるか」を決める表。名簿で終わらせず、関心度・影響度・姿勢を書く
- 点数は1〜5の5段階、3以上を「高い」として4象限に分ける。基準を文章で添える
- 象限ごとに方針と連絡頻度を決める。A=一緒に決める、B=要点を確実に、C=こまめに知らせる、D=節目だけ
- 現在と目標の姿勢の差が、優先して話す相手を教えてくれる
- タブ区切りのテンプレートとPythonコードで、分類と並べ替えは自動化できる
- MermaidのquadrantChartは、日本語のラベルを二重引用符で囲むと描画できる
- 工程の切り替わりと体制変更のたびに見直す。評価の列は共有範囲を絞る
本記事の内容は、ご自由にお使いください。
ご利用の際は、出典として本ページへのリンクを記載いただけますようお願いします。
(記載例)出典:株式会社RJC「ステークホルダー管理表の書き方とテンプレート|関心度×影響度マトリクスの例」
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