- マネジメント
仕様変更の管理方法 変更管理表テンプレートと変更要求フロー
仕様変更の管理とは、合意済みの仕様を変える依頼を1件ずつ記録し、影響を調べ、決められた人が判定してから反映する手順のことです。 必要な道具は2つだけで、1件ごとの内容を書く「変更要求書」と、全件を一覧にする「変更管理表(台帳)」です。
この記事では、その2つのテンプレートをMarkdownとタブ区切りで載せ、架空の変更3件を起票から判定まで記入した例を示します。受付からクローズまでのフロー、影響調査の書き方、変更か不具合かの切り分け、規模別の承認者の基準、依頼者への回答文例までを1本にまとめました。
確認環境:Mermaid のコードは @mermaid-js/mermaid-cli 11.14.0 で描画できることを確かめました。台帳の集計式は LibreOffice Calc 24.2(ヘッドレス実行)で再計算し、工数と費用の計算は Python 3.11 でも検算しています。
仕様変更の管理の早見表
| 段階 | やること | 担当 | 使う書類 | 終わりの条件 |
|---|---|---|---|---|
| 1. 起票 | 変えたい内容と理由を書く | 依頼者 | 変更要求書 | 必須の欄が埋まっている |
| 2. 受付 | 番号を採り、台帳に載せ、種類を切り分ける | 変更管理の担当(多くはPM) | 変更管理表 | 変更・不具合・仕様確認のどれかが決まる |
| 3. 影響調査 | 工数・日程・費用・品質・成果物への影響を調べる | リーダー、開発担当 | 変更要求書の調査欄 | 5つの観点がすべて書かれている |
| 4. 判定 | 承認・保留・却下を決める | 規模に応じた承認者 | 変更要求書の判定欄 | 判定と理由、判定日が記録されている |
| 5. 反映 | 設計書・コード・テストを直す | 開発担当、テスト担当 | 設計書、テスト仕様書など | 影響する成果物がすべて更新されている |
| 6. クローズ | 依頼者が結果を確かめ、台帳を閉じる | 依頼者、変更管理の担当 | 変更管理表 | クローズ日が入っている |
| 知りたいこと | 見る場所 |
|---|---|
| すぐ使える表がほしい | 変更要求書のテンプレート、変更管理表のテンプレート |
| これは変更なのか不具合なのか | 変更・不具合・仕様確認の判定早見表 |
| 影響調査に何を書くか | 影響調査の書き方 |
| 誰が承認するか | 規模別の承認者の基準表 |
| 依頼者にどう返事するか | 回答文例 |
本記事の内容は、ご自由にお使いください。
ご利用の際は、出典として本ページへのリンクを記載いただけますようお願いします。
(記載例)出典:株式会社RJC「仕様変更の管理方法 変更管理表テンプレートと変更要求フロー」
変更要求のフロー(受付からクローズまで)
全体の流れをMermaidのフローチャートで示します。
flowchart TD
A["1. 起票<br>変更要求書を書く"] --> B["2. 受付<br>番号を採り台帳に登録"]
B --> C{"切り分け<br>変更・不具合・仕様確認"}
C -->|"不具合"| X["不具合管理へ"]
C -->|"仕様確認"| Y["質問票で回答"]
C -->|"変更"| D["3. 影響調査<br>工数・日程・費用・品質・成果物"]
D --> E{"4. 判定<br>規模に応じた承認者"}
E -->|"承認"| F["5. 反映<br>設計書・コード・テストを更新"]
E -->|"保留"| G["次回の判定へ持ち越し"]
E -->|"却下"| H["理由を回答"]
G --> E
F --> I["確認<br>依頼者が結果を確かめる"]
I --> J["6. クローズ<br>台帳を更新"]
H --> J
このフローで大切なのは2点です。1つ目は、口頭やチャットで受けた依頼も必ず起票してから動くこと。 記録のない変更は、あとで「いつ・誰が・なぜ」をたどれなくなります。2つ目は、影響調査の前に切り分けること。 不具合や仕様の確認は扱う手順が違うので、入口で分けておくと台帳がすっきりします。
状態遷移
台帳の「状態」欄に入れる値と、その移り変わりです。
stateDiagram-v2
state "起票" as s1
state "受付済み" as s2
state "影響調査中" as s3
state "判定待ち" as s4
state "承認" as s5
state "保留" as s6
state "却下" as s7
state "反映中" as s8
state "確認待ち" as s9
state "クローズ" as s10
[*] --> s1
s1 --> s2: 番号を採る
s2 --> s3: 変更と切り分け
s2 --> s10: 不具合・仕様確認へ移す
s3 --> s4: 調査結果を記入
s4 --> s5: 承認者が承認
s4 --> s6: 情報が足りない
s4 --> s7: 見送り
s6 --> s4: 再提出
s5 --> s8: 作業を開始
s8 --> s9: 反映が完了
s9 --> s8: 差し戻し
s9 --> s10: 依頼者が確認
s7 --> s10: 理由を回答
s10 --> [*]
| 状態 | 意味 | 次に動く人 | 滞りやすい理由と対策 |
|---|---|---|---|
| 起票 | 依頼者が書いた直後 | 変更管理の担当 | 受付の担当が決まっていない → 窓口を1人に決める |
| 受付済み | 番号が付き、台帳に載った | 変更管理の担当 | 切り分けに迷う → 判定早見表を使う |
| 影響調査中 | 影響を調べている | リーダー、開発担当 | 調査の期限がない → 受付から3営業日などの目安を決める |
| 判定待ち | 調査が済み、判定を待っている | 承認者 | 判定の場がない → 定例に判定の時間を設ける |
| 承認 | 反映することが決まった | 開発担当 | 反映先のリリースが未定 → 判定と同時に決める |
| 保留 | 情報の追加や時期の再検討が要る | 依頼者または担当 | 再判定の日が決まっていない → 次に判定する日を書く |
| 却下 | 反映しないことが決まった | 変更管理の担当 | 理由が伝わっていない → 理由と代わりの案を回答する |
| 反映中 | 設計書やコードを直している | 開発担当、テスト担当 | 文書の更新が後回しになる → 成果物の一覧で確認する |
| 確認待ち | 依頼者の確認を待っている | 依頼者 | 確認の方法が伝わっていない → 確認手順を添える |
| クローズ | すべて完了 | ― | ― |
変更・不具合・仕様確認の判定早見表
受付で最初に行うのが切り分けです。基準は「合意済みの仕様書にどう書いてあるか」の1点です。
| 仕様書の記載 | いまの動き | 種類 | 扱い | 例(図書貸出システム) |
|---|---|---|---|---|
| 書いてある | 記載と違う動きをする | 不具合 | 不具合管理で修正する | 仕様書では貸出上限5冊なのに6冊目が借りられる |
| 書いてある | 記載どおりに動く | 変更 | 変更管理で影響を調べて判定する | 貸出上限を5冊から10冊にしたい |
| 書いていない | 動きが決まっていない | 仕様確認 | 質問票で確認し、回答を仕様書に追記する | 上限に達した利用者が予約できるかが書かれていない |
| 書いていない | 新しい機能を足したい | 変更(追加) | 変更管理で影響を調べて判定する | 貸出の延長機能を追加したい |
| 書いてあるが2通りに読める | 片方の読み方で動く | 仕様確認 → 結果により変更 | まず確認し、合意と違う読み方で作られていれば協議する | 「2週間」が14日間か10営業日かが読み取れない |
| 仕様書同士で食い違う | どちらかに合わせて動く | 仕様確認 | 正しいほうを決め、両方の文書を直す | 画面設計書と帳票設計書で項目名が違う |
仕様確認の結果、すでに作ったものを直す必要が出た場合は、その時点で変更要求として起票し直します。入口の種類と出口の扱いが変わることを台帳の備考に書いておくと、経緯をたどれます。
変更要求書のテンプレート
1件につき1枚を使います。上半分を依頼者が、下半分を調査と判定の担当が書きます。
| 項目 | 記入する人 | 書く内容 | 必須 |
|---|---|---|---|
| 番号 | 変更管理の担当 | 通し番号(CR-001 など) | 必須 |
| 起票日 | 依頼者 | 日付 | 必須 |
| 依頼者 | 依頼者 | 所属と名前 | 必須 |
| 件名 | 依頼者 | 何を変えるかを1行で | 必須 |
| 現在の仕様 | 依頼者 | 仕様書の該当箇所と、いまの内容 | 必須 |
| 変更したい内容 | 依頼者 | 変更後の姿 | 必須 |
| 理由・目的 | 依頼者 | なぜ必要か、変えないとどうなるか | 必須 |
| 希望時期 | 依頼者 | いつまでに必要か | 必須 |
| 優先度 | 依頼者 | 高・中・低 | 必須 |
| 種別 | 変更管理の担当 | 変更・不具合・仕様確認 | 必須 |
| 影響調査の結果 | リーダー、開発担当 | 工数・日程・費用・品質・影響する成果物 | 変更のとき必須 |
| 代わりの案 | リーダー | 範囲を絞る案、時期をずらす案 | 任意 |
| 判定 | 承認者 | 承認・保留・却下 | 必須 |
| 判定理由 | 承認者 | そう決めた理由 | 必須 |
| 判定日・承認者 | 承認者 | 日付と名前 | 必須 |
| 反映先 | 変更管理の担当 | どのリリースに含めるか | 承認のとき必須 |
| クローズ日 | 変更管理の担当 | 依頼者の確認が済んだ日 | 必須 |
表計算ソフトや文書に貼る場合のタブ区切りです。
項目 記入内容
番号
起票日
依頼者
件名
現在の仕様
変更したい内容
理由・目的
希望時期
優先度
種別
影響:工数(人日)
影響:日程
影響:費用(円)
影響:品質
影響する成果物
代わりの案
判定
判定理由
判定日・承認者
反映先
クローズ日
影響調査の書き方
影響調査は、工数・日程・費用・品質・影響する成果物の5つの観点で書きます。承認者が知りたいのは「受け入れると何がどれだけ動くか」なので、数字と成果物の名前で具体的に示します。
| 観点 | 書くこと | 書き方の例 | あいまいな書き方 → 具体的な書き方 |
|---|---|---|---|
| 工数 | 工程ごとの追加の人日と合計 | 設計1.0、実装2.5、テスト2.0、文書0.5、合計6.0人日 | 「数日かかる」→「合計6.0人日」 |
| 日程 | どの節目が何営業日動くか | 結合テストの開始が3営業日後ろへ。リリース日は変わらない | 「少し遅れる」→「結合テスト開始が3営業日後ろへ」 |
| 費用 | 工数×単価と、それ以外の費用 | 6.0人日×40,000円=240,000円。追加の機器や利用料はなし | 「追加費用あり」→「240,000円」 |
| 品質 | やり直すテストの範囲、性能や運用への影響 | 貸出・返却の結合テスト12項目を再実施。性能への影響はなし | 「影響は小さい」→「再実施12項目、追加8項目」 |
| 成果物 | 直す文書・コード・データの名前 | 下の一覧表のとおり | 「関連文書を修正」→文書名を列挙 |
影響する成果物の一覧表
成果物は一覧表にして、直すものに○、直さないものに「―」を付けます。「―」も書くことで、確かめたうえで影響がないと判断したことが伝わります。
| 成果物 | 影響 | 直す内容 | 担当 | 工数(人日) |
|---|---|---|---|---|
| 要件定義書 | ○ | 貸出の延長に関する要件を追記 | PM | 0.25 |
| 基本設計書(画面) | ○ | 貸出一覧画面に「延長」ボタンを追加 | リーダー | 0.25 |
| 基本設計書(帳票) | ― | 変更なし | ― | 0 |
| 詳細設計書 | ○ | 延長の判定処理(予約の有無、延長回数)を追加 | 開発 | 0.25 |
| テーブル定義書 | ○ | 貸出テーブルに延長回数の列を追加 | 開発 | 0.25 |
| ソースコード | ○ | 画面、延長の処理、テーブル変更 | 開発 | 2.0 |
| 単体テスト | ○ | 延長の処理に8項目を追加 | 開発 | 0.5 |
| 結合テスト仕様書 | ○ | 貸出・返却の12項目を再実施、延長の8項目を追加 | テスト | 2.0 |
| 操作説明書 | ○ | 延長の手順を追記 | テスト | 0.5 |
| 運用手順書 | ― | 変更なし | ― | 0 |
| 合計 | 6.0 |
工程ごとにまとめ直すと、設計1.0人日(要件定義書・基本設計書・詳細設計書・テーブル定義書)、実装2.5人日(ソースコードと単体テスト)、テスト2.0人日(結合テスト)、文書0.5人日(操作説明書)となり、合計は同じ6.0人日です。
調査で見落としやすい箇所
| 見落としやすい箇所 | 確かめること |
|---|---|
| 同じデータを使う別の機能 | テーブルの列を足すとき、そのテーブルを読む画面・帳票・バッチ処理 |
| 済んでいるテスト | すでに合格した項目のうち、やり直すもの |
| 移行データ | 追加した列に、既存のデータでは何を入れるか |
| 利用者向けの文書 | 操作説明書、よくある質問、説明会の資料 |
| 運用 | 監視の項目、バックアップの対象、問い合わせ対応の手順 |
| 他の変更要求 | 同じ箇所を直す変更が判定待ちになっていないか |
記入例:架空の変更3件を起票から判定まで
題材は、社内の図書貸出システムです。小・中・大の3件を、起票から判定までたどります。費用は1人日40,000円と仮定して計算しています。
CR-001:貸出期間の延長機能を追加(中規模・承認)
| 項目 | 記入内容 |
|---|---|
| 番号 | CR-001 |
| 起票日 | 2026-10-01 |
| 依頼者 | 利用部門 佐藤 |
| 件名 | 貸出期間の延長機能を追加 |
| 現在の仕様 | 要件定義書 3.2節。貸出期間は14日間で、延長はできない |
| 変更したい内容 | 予約が入っていない本に限り、利用者が画面から1回だけ14日間延長できる |
| 理由・目的 | 読み終わらない場合に、いったん返却して借り直す手間が出ているため |
| 希望時期 | 初回リリースの次のリリース |
| 優先度 | 中 |
| 種別 | 変更(追加) |
| 影響:工数 | 設計1.0、実装2.5、テスト2.0、文書0.5、合計6.0人日 |
| 影響:日程 | 初回リリースに含めると結合テストの開始が3営業日後ろへ動く。リリース1.1に含めれば初回リリース日は変わらない |
| 影響:費用 | 6.0人日×40,000円=240,000円 |
| 影響:品質 | 貸出・返却の結合テスト12項目を再実施、延長の8項目を追加 |
| 影響する成果物 | 要件定義書、基本設計書(画面)、詳細設計書、テーブル定義書、ソースコード、テスト仕様書、操作説明書 |
| 代わりの案 | 画面からの延長は見送り、窓口の担当者だけが延長できるようにする(合計3.5人日) |
| 判定 | 承認(リリース1.1に含める) |
| 判定理由 | 利用者の手間が減る効果が大きい。初回リリース日を動かさないため、リリース1.1で対応する |
| 判定日・承認者 | 2026-10-06 発注側担当 鈴木 |
| 反映先 | リリース1.1 |
CR-002:返却期限の通知メールの文面を変更(小規模・承認)
| 項目 | 記入内容 |
|---|---|
| 番号 | CR-002 |
| 起票日 | 2026-10-05 |
| 依頼者 | 利用部門 佐藤 |
| 件名 | 返却期限の通知メールの文面を変更 |
| 現在の仕様 | 基本設計書(メール)2.1節。本文は「返却期限が近づいています」の1文 |
| 変更したい内容 | 本文に書名と返却期限の日付を入れる |
| 理由・目的 | どの本の通知かがメールだけでわかるようにするため |
| 希望時期 | 初回リリース |
| 優先度 | 低 |
| 種別 | 変更 |
| 影響:工数 | 実装0.25、テスト0.25、合計0.5人日 |
| 影響:日程 | 影響なし |
| 影響:費用 | 0.5人日×40,000円=20,000円 |
| 影響:品質 | 通知メールのテスト2項目を再実施 |
| 影響する成果物 | 基本設計書(メール)、ソースコード(メールのひな形)、テスト仕様書 |
| 代わりの案 | なし |
| 判定 | 承認(初回リリースに含める) |
| 判定理由 | 小規模で日程への影響がなく、PMの承認範囲に収まる |
| 判定日・承認者 | 2026-10-05 PM 田中 |
| 反映先 | リリース1.0 |
CR-003:蔵書検索に表紙画像を表示(大規模・保留)
| 項目 | 記入内容 |
|---|---|
| 番号 | CR-003 |
| 起票日 | 2026-10-08 |
| 依頼者 | 利用部門 高橋 |
| 件名 | 蔵書検索に表紙画像を表示 |
| 現在の仕様 | 基本設計書(画面)4.1節。検索結果は書名・著者・状態の3項目を文字で表示する |
| 変更したい内容 | 検索結果と詳細画面に表紙の画像を表示する |
| 理由・目的 | 目当ての本を見つけやすくするため |
| 希望時期 | 初回リリース |
| 優先度 | 中 |
| 種別 | 変更(追加) |
| 影響:工数 | 設計2.0、実装8.0、テスト4.0、文書1.0、環境1.0、合計16.0人日 |
| 影響:日程 | 初回リリース日が10営業日後ろへ動く |
| 影響:費用 | 16.0人日×40,000円=640,000円。ほかに画像の保管場所の利用料が毎月かかる |
| 影響:品質 | 検索画面の表示速度の再測定が必要。画像の登録手順が運用に加わる |
| 影響する成果物 | 要件定義書、基本設計書(画面)、詳細設計書、テーブル定義書、ソースコード、テスト仕様書、操作説明書、運用手順書 |
| 代わりの案 | 初回リリースは文字だけで出し、次期の計画で画像の用意の方法とあわせて検討する |
| 判定 | 保留(次期の計画で再判定) |
| 判定理由 | 初回リリース日が動くことと、画像の用意の方法が決まっていないことから、今回は見送る。次期の計画で再度判定する |
| 判定日・承認者 | 2026-10-15 変更管理会議 |
| 反映先 | 次期で再判定 |
3件を並べると、規模によって調査の深さと承認者が変わることがわかります。CR-002のような小さな変更まで会議にかけると判定が滞るので、次の基準表で扱いを分けます。
規模別の承認者の基準表
基準は立ち上げのときに発注側と受注側で合意し、計画書に載せておきます。次の数値は一例です。
| 規模 | 工数の目安 | 日程への影響 | 費用への影響 | 承認者 | 判定の場 | 判定までの目安 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 小 | 1人日以下 | なし | 予備の範囲内 | PM | 随時(記録は残す) | 受付から2営業日 |
| 中 | 1人日を超え10人日以下 | リリース日は変わらない | 追加の合意が要る | PMと発注側担当 | 週次の定例 | 受付から5営業日 |
| 大 | 10人日を超える | リリース日が変わる | 契約の見直しが要る | 変更管理会議(発注側責任者を含む) | 臨時または月次の会議 | 受付から10営業日 |
| 条件 | 規模にかかわらず「大」として扱う理由 |
|---|---|
| リリース日が動く | 利用者への案内や関連する作業に広く影響するため |
| 契約の範囲を超える | 費用と責任の取り決めを見直す必要があるため |
| セキュリティや個人情報の扱いが変わる | 工数が小さくても影響の範囲が広いため |
| 他システムとの連携の仕様が変わる | 相手側の作業と合意が必要になるため |
工数・日程・費用のうち、いちばん大きい区分に合わせるのが原則です。工数が0.5人日でもリリース日が動くなら「大」として扱います。
変更管理表(台帳)のテンプレート
全件を1行ずつ並べた一覧です。変更要求書の内容から、状況の把握に必要な項目だけを抜き出します。
| 番号 | 起票日 | 件名 | 依頼者 | 種別 | 優先度 | 状態 | 工数(人日) | 費用(円) | 日程への影響(営業日) | 判定 | 判定日 | 承認者 | 反映先 | クローズ日 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| CR-001 | 2026-10-01 | 貸出期間の延長機能を追加 | 利用部門 佐藤 | 変更 | 中 | クローズ | 6 | 240000 | 3 | 承認 | 2026-10-06 | 発注側担当 鈴木 | リリース1.1 | 2026-10-28 |
| CR-002 | 2026-10-05 | 返却期限の通知メールの文面を変更 | 利用部門 佐藤 | 変更 | 低 | クローズ | 0.5 | 20000 | 0 | 承認 | 2026-10-05 | PM 田中 | リリース1.0 | 2026-10-09 |
| CR-003 | 2026-10-08 | 蔵書検索に表紙画像を表示 | 利用部門 高橋 | 変更 | 中 | 保留 | 16 | 640000 | 10 | 保留 | 2026-10-15 | 変更管理会議 | 次期で再判定 |
番号 起票日 件名 依頼者 種別 優先度 状態 工数(人日) 費用(円) 日程への影響(営業日) 判定 判定日 承認者 反映先 クローズ日
CR-001 2026-10-01 貸出期間の延長機能を追加 利用部門 佐藤 変更 中 クローズ 6 240000 3 承認 2026-10-06 発注側担当 鈴木 リリース1.1 2026-10-28
CR-002 2026-10-05 返却期限の通知メールの文面を変更 利用部門 佐藤 変更 低 クローズ 0.5 20000 0 承認 2026-10-05 PM 田中 リリース1.0 2026-10-09
CR-003 2026-10-08 蔵書検索に表紙画像を表示 利用部門 高橋 変更 中 保留 16 640000 10 保留 2026-10-15 変更管理会議 次期で再判定
日程への影響の欄には、希望どおりの時期に入れた場合に動く営業日数を書いています。CR-001は反映先をリリース1.1にしたため、初回リリース日は動いていません。
台帳の集計式
タブ区切りをA1に貼ると、データは2行目から4行目に入ります。次の数式で、件数と累計を出せます(結果は LibreOffice Calc 24.2 で再計算した値)。
| 知りたいこと | 数式 | 結果 |
|---|---|---|
| クローズした件数 | =COUNTIF(G2:G4,"クローズ") |
2 |
| まだ閉じていない件数 | =COUNTIF(G2:G4,"<>クローズ") |
1 |
| 承認した変更の工数の合計 | =SUMIF(K2:K4,"承認",H2:H4) |
6.5 |
| 承認した変更の費用の合計 | =SUMIF(K2:K4,"承認",I2:I4) |
260000 |
承認した変更の工数の累計は、定例で毎回見せる数字にします。 小さな変更も積み重なると大きくなるため、累計が予備の工数に近づいたら、以降の変更の優先度を発注側と一緒に見直すきっかけになります。
回答文例
依頼者への返事は、判定の結果・理由・次に起きることの3点を入れると伝わりやすくなります。
受付の連絡
件名:【変更要求 CR-001】受付のご連絡
佐藤様
「貸出期間の延長機能を追加」のご依頼を、番号 CR-001 として受け付けました。
これから影響調査を行い、10月6日の定例で結果をご報告します。
調査にあたり、次の1点を教えてください。
・延長できる回数は1回まででよいでしょうか。
影響調査の結果の提示
件名:【変更要求 CR-001】影響調査の結果
佐藤様
CR-001 の影響調査の結果をお知らせします。
・工数:6.0人日(設計1.0、実装2.5、テスト2.0、文書0.5)
・費用:240,000円
・日程:初回リリースに含める場合、結合テストの開始が3営業日後ろへ動きます。
リリース1.1に含める場合、初回リリース日は変わりません。
・品質:貸出・返却の結合テスト12項目を再実施し、延長の8項目を追加します。
・代わりの案:窓口の担当者だけが延長できる形であれば、3.5人日で対応できます。
10月6日の定例で、対応の時期と範囲をご相談させてください。
承認の連絡
件名:【変更要求 CR-001】承認のご連絡
佐藤様
CR-001 は、10月6日の定例で承認されました。
・対応時期:リリース1.1
・内容:予約のない本に限り、利用者が画面から1回だけ14日間延長できる
反映が済みましたら、確認の手順を添えてご連絡します。
保留の連絡
件名:【変更要求 CR-003】判定結果のご連絡
高橋様
CR-003「蔵書検索に表紙画像を表示」は、10月15日の変更管理会議で保留となりました。
・理由:初回リリース日が10営業日後ろへ動くこと、画像の用意の方法が決まっていないこと
・今後:次期の計画で、画像の用意の方法とあわせてあらためて判定します
初回リリースは、現在の仕様(書名・著者・状態の表示)で進めます。
不具合として扱う場合の連絡
件名:【お問い合わせ】不具合として対応します
佐藤様
ご連絡いただいた「6冊目が借りられる」件は、要件定義書 3.1節(貸出上限5冊)と
異なる動きのため、仕様変更ではなく不具合として修正します。
追加の費用は発生しません。修正の予定は不具合管理表でお知らせします。
仕様確認として扱う場合の連絡
件名:【お問い合わせ】仕様の確認のお願い
高橋様
「貸出上限に達した利用者が予約できるか」は、現在の仕様書に記載がありませんでした。
次のどちらにするかを教えてください。
・案1:上限に達していても予約できる
・案2:上限に達している間は予約できない
現在の実装は案1です。案2をご希望の場合は、変更要求として影響を調査します。
変更管理を回し続けるコツ
| 起きやすいこと | こうするとよい |
|---|---|
| 口頭の依頼がそのまま作業に入る | 「番号のない変更には着手しない」を決まりにし、起票を代行してでも記録する |
| 影響調査そのものに時間を取られる | 調査の工数も台帳に書く。大きな調査は、調査を行うかどうかから判定する |
| 判定待ちが積み上がる | 定例の議題に「判定待ちの件数」を毎回入れる |
| 設計書の更新が漏れる | 成果物の一覧表を、反映の完了を確かめるチェック表として使う |
| 却下の理由が伝わらない | 理由と代わりの案を必ず文書で返す |
| 小さな変更の累計が見えない | 承認した工数の累計を定例で見せる |
よくある質問
Q. 変更管理表と変更要求書は、両方とも必要ですか? A. 役割が違うので両方あると便利です。変更要求書は1件の詳しい記録、変更管理表は全件の状況を見渡す一覧です。件数が少ないうちは、変更管理表の列を増やして1つにまとめても運用できます。
Q. 影響調査の工数は誰が負担しますか? A. 契約や取り決めによります。立ち上げのときに「何人日までの調査は通常の作業に含める」と決めておくと、調査のたびに相談せずに済みます。
Q. 急ぎの変更で、判定の会議を待てない場合はどうしますか? A. 緊急時の手順を先に決めておきます。たとえば「PMと発注側担当がその場で承認し、次の定例で報告する」という形です。この場合も、起票と台帳への記録は省きません。
Q. 承認された変更を、あとで取り消したいと言われたら? A. 取り消しも1件の変更として起票します。すでに行った作業の工数と、元に戻すための工数の両方を影響調査に書きます。
まとめ
- 仕様変更は、起票・受付・影響調査・判定・反映・クローズの6段階で管理する
- 入口で、変更・不具合・仕様確認を切り分ける。基準は合意済みの仕様書の記載
- 影響調査は、工数・日程・費用・品質・影響する成果物の5観点を数字と成果物名で書く
- 成果物の一覧表には、直さないものも「―」で載せると、確かめた範囲が伝わる
- 承認者は規模で分ける。小さな変更はPM、リリース日が動く変更は変更管理会議
- 台帳では、承認した工数の累計を数式で出し、定例で共有する
- 回答には、判定の結果・理由・次に起きることを入れる
本記事の内容は、ご自由にお使いください。
ご利用の際は、出典として本ページへのリンクを記載いただけますようお願いします。
(記載例)出典:株式会社RJC「仕様変更の管理方法 変更管理表テンプレートと変更要求フロー」
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ほかにも、チケットレストラン、書籍読み放題、2年ごとの慰労報奨(休暇 or 金一封)、11期連続の黒字決算。