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RACI図とは 作り方とテンプレート 体制図・役割分担表の記入例
RACI図(RACIチャート)とは、作業ごとに「誰が実行し、誰が最終的に責任を持ち、誰に相談し、誰に知らせるか」をR・A・C・Iの4文字で書き込む役割分担表です。 行に作業、列に役割を並べ、交わるマスに1文字を入れるだけなので、表計算ソフトがあればすぐに作れます。
この記事では、システム開発の工程を題材にした記入済みのRACI表をMarkdownとタブ区切りの両方で載せ、表計算ソフトの数式で抜けや偏りを点検する方法までを扱います。体制図からRACI表へ落とす手順、発注側と受注側の役割分担表、RASCI・DACI・RAPIDとの違いも表で整理しました。
確認環境:点検用の数式は LibreOffice Calc 24.2(ヘッドレス実行)で xlsx ファイルを再計算して結果を確かめました。Mermaid のコードは @mermaid-js/mermaid-cli 11.14.0 で描画できることを確かめています。
RACIの早見表
| 文字 | 英語 | 役割 | ひとことで言うと | 1つの作業に置く人数 |
|---|---|---|---|---|
| R | Responsible | 実行責任者 | 手を動かして仕上げる人 | 1人以上(少なめに) |
| A | Accountable | 説明責任者 | 結果を承認し、最終的に責任を持つ人 | 必ず1人 |
| C | Consulted | 相談先 | 作業の前や途中で意見を求める相手(双方向) | 必要な人だけ |
| I | Informed | 報告先 | 結果や進み具合を知らせる相手(一方向) | 必要な人だけ |
| 知りたいこと | 答え | この記事の場所 |
|---|---|---|
| すぐ使える表がほしい | 工程12行×役割6列の記入済み表をコピーする | システム開発のRACI表テンプレート |
| RとAの違い | Rは「作る人」、Aは「承認して責任を持つ人」 | RとA、CとIの見分け方 |
| 表が正しいか確かめたい | 行ごとにAが1、Rが1以上かを数式で数える | COUNTIFで点検する |
| 体制図との関係 | 体制図は「誰が誰に報告するか」、RACIは「作業ごとに誰が何をするか」 | 体制図からRACI表へ落とす手順 |
| 似た名前の手法との違い | RASCIは支援役を追加、DACIとRAPIDは意思決定向け | RACI・RASCI・DACI・RAPIDの比較 |
本記事の内容は、ご自由にお使いください。
ご利用の際は、出典として本ページへのリンクを記載いただけますようお願いします。
(記載例)出典:株式会社RJC「RACI図とは 作り方とテンプレート 体制図・役割分担表の記入例」
RとA、CとIの見分け方
RACIで迷いやすいのは、RとA、CとIの線引きです。次の問いに当てはめると決めやすくなります。
| 迷う組み合わせ | 見分ける問い | 例(基本設計書の作成) |
|---|---|---|
| RとA | 成果物を作るのは誰か(R)。出来上がりに「これでよい」と言うのは誰か(A) | リーダーが書く(R)、PMが承認する(A) |
| CとI | 返事をもらわないと進められないか(C)。知らせるだけで進められるか(I) | 運用担当に監視の要件を聞く(C)、テスト担当に完成を知らせる(I) |
| AとC | 最終判断をするか(A)。意見を出すだけか(C) | 発注側は画面の内容に意見を出す(C) |
| Rと空欄 | その作業で成果物の一部を作るか(R)。関わらないか(空欄) | 運用担当は基本設計書を書かないのでRにしない |
1人がRとAを兼ねる場合は、マスに「A/R」と書きます。 小さなチームではよくある形で、たとえばリーダーが自分でコードレビューを行い、その結果にも責任を持つ場合が当てはまります。
システム開発のRACI表テンプレート(記入済み)
架空の題材として、社内の備品予約システムを新しく作る場合を想定しました。行は工程、列は役割です。役割は個人名ではなく役割名で書いておくと、担当者が替わっても表を直さずに済みます。
| 作業 | 発注側 | PM | リーダー | 開発 | テスト | 運用 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 要件定義 | A | R | C | I | I | C |
| 基本設計 | C | A | R | C | I | C |
| 詳細設計 | I | I | A | R | C | |
| 実装 | I | A | R | |||
| コードレビュー | A/R | C | I | |||
| 単体テスト | A | R | C | |||
| 結合テスト | I | A | C | C | R | |
| 総合テスト | I | A | C | I | R | C |
| 受入テスト | A/R | C | I | I | C | I |
| 移行・リリース | A | R | R | C | I | R |
| 運用手順書の作成 | C | A | C | I | R | |
| 運用引き継ぎ | I | A | R | R |
表計算ソフトに貼る場合は、次のタブ区切りをコピーしてA1セルに貼り付けます。
作業 発注側 PM リーダー 開発 テスト 運用
要件定義 A R C I I C
基本設計 C A R C I C
詳細設計 I I A R C
実装 I A R
コードレビュー A/R C I
単体テスト A R C
結合テスト I A C C R
総合テスト I A C I R C
受入テスト A/R C I I C I
移行・リリース A R R C I R
運用手順書の作成 C A C I R
運用引き継ぎ I A R R
この表の読み方
| 行 | 読み方 |
|---|---|
| 要件定義 | 要件を決めて承認するのは発注側(A)。PMが要件定義書にまとめ(R)、リーダーと運用担当に実現性や運用面の意見を聞く(C) |
| 基本設計 | リーダーが書き(R)、PMが承認する(A)。発注側には画面や帳票の内容を相談する(C) |
| 実装 | 開発担当が作り(R)、リーダーが品質に責任を持つ(A)。PMには進み具合を知らせる(I) |
| 受入テスト | 発注側が自分で実施し、合否も判断する(A/R)。PMとテスト担当は質問に答える(C) |
| 移行・リリース | リリースしてよいかの判断は発注側(A)。PM・リーダー・運用担当がそれぞれの手順を実行する(R) |
| 運用引き継ぎ | リーダーが説明し、運用担当が受け取る。両方が動くので両方R。完了の確認はPM(A) |
この配置は一例です。契約の形や体制によってAの位置は変わるので、自分たちの体制で「この作業の完了を承認するのは誰か」を1行ずつ確かめながら書き換えてください。
RACI図の作り方(6つの手順)
| 手順 | やること | コツ |
|---|---|---|
| 1. 作業を縦に並べる | WBSの上位の階層や工程、主な成果物を行にする | 10〜20行が見やすい。細かい作業は別の表に分ける |
| 2. 役割を横に並べる | 体制図の箱を役割名で列にする | 個人名ではなく役割名。6〜8列までに収める |
| 3. Aを先に決める | 各行で承認する人を1人だけ選ぶ | Aが決まらない行は、体制の上位者に確認する合図 |
| 4. Rを決める | 成果物を作る人を入れる | 1行に1〜2人が目安 |
| 5. CとIを決める | 意見が必要な人にC、知らせるだけの人にI | 迷ったらIから始め、必要が出たらCに変える |
| 6. 点検して合意する | 行と列の両方向で数を確かめ、関係者に確認する | 次の章の数式と点検項目を使う |
Aを先に埋めるのがポイントです。 Rから書き始めると、作業に関わる人を次々に入れてしまい、誰が承認するのかがあいまいなまま表が埋まりやすくなります。
COUNTIFで点検する(Aの数・Rの有無・CとIの多さ)
RACI表は、書いたあとの点検で価値が決まります。目で数える代わりに、表計算ソフトのCOUNTIF関数で各行の文字数を数えると、12行でも100行でも同じ手間で確かめられます。
行ごとの点検式
先ほどのタブ区切りをA1に貼ると、データはB2からG13に入ります。H列からL列に次の数式を入れ、13行目までコピーします。
| セル | 見出し | 数式(2行目) |
|---|---|---|
| H2 | Aの数 | =COUNTIF(B2:G2,"*A*") |
| I2 | Rの数 | =COUNTIF(B2:G2,"*R*") |
| J2 | Cの数 | =COUNTIF(B2:G2,"*C*") |
| K2 | Iの数 | =COUNTIF(B2:G2,"*I*") |
| L2 | 判定 | 下のコードブロックの数式 |
=IF(H2=0,"Aがいない",IF(H2>1,"Aが複数",IF(I2=0,"Rがいない",IF(I2>=4,"Rが多い",IF(J2>=4,"Cが多い",IF(K2>=4,"Iが多い","OK"))))))
検索条件を "A" ではなく "*A*" と書いているのは、「A/R」と書いたマスもAとして数えるためです。Microsoft のサポートページでは、COUNTIFの検索条件でアスタリスクが任意の文字列、疑問符が任意の1文字を表すワイルドカードとして使えること、条件で大文字と小文字が区別されないことが説明されています。
「多い」と判定するしきい値(Rが4人以上、CとIが4人以上)は、6列の表に合わせた目安です。列の数が増えたら、列数の半分を超えたら見直す、といった基準に合わせて数字を変えてください。
点検結果:直す前の表
わざと6か所を崩した表に数式を入れた結果です(LibreOffice Calc 24.2 で再計算した値)。
| 作業 | 発注側 | PM | リーダー | 開発 | テスト | 運用 | Aの数 | Rの数 | Cの数 | Iの数 | 判定 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 要件定義 | A | R | C | I | I | C | 1 | 1 | 2 | 2 | OK |
| 基本設計 | A | A | R | C | I | C | 2 | 1 | 2 | 1 | Aが複数 |
| 詳細設計 | I | I | A | R | C | 1 | 1 | 1 | 2 | OK | |
| 実装 | I | R | 0 | 1 | 0 | 1 | Aがいない | ||||
| コードレビュー | A/R | C | I | 1 | 1 | 1 | 1 | OK | |||
| 単体テスト | A | R | C | 1 | 1 | 1 | 0 | OK | |||
| 結合テスト | I | A | C | C | 1 | 0 | 2 | 1 | Rがいない | ||
| 総合テスト | C | A | C | C | R | C | 1 | 1 | 4 | 0 | Cが多い |
| 受入テスト | A/R | C | I | I | C | I | 1 | 1 | 2 | 3 | OK |
| 移行・リリース | A | R | R | R | R | R | 1 | 5 | 0 | 0 | Rが多い |
| 運用手順書の作成 | C | A | C | I | R | 1 | 1 | 2 | 1 | OK | |
| 運用引き継ぎ | I | A | R | I | I | I | 1 | 1 | 0 | 4 | Iが多い |
判定が「OK」以外の行数は、次の数式で数えられます。この表では 6 になりました。
=COUNTIF(L2:L13,"<>OK")
判定ごとの直し方
| 判定 | 起きること | 直し方 | この例での修正 |
|---|---|---|---|
| Aが複数 | 承認の判断が人によって分かれ、決まるまでに時間がかかる | 最終判断をする1人だけをAにし、ほかはCにする | 基本設計:発注側をA→C |
| Aがいない | 完了したかどうかを誰も判断しない | 成果物の品質に責任を持つ役割をAにする | 実装:リーダーをAに |
| Rがいない | 全員が「誰かがやる」と考え、作業が始まらない | 成果物を作る役割をRにする | 結合テスト:テスト担当をRに |
| Rが多い | 分担の境目があいまいになる | 作業を分けて行を増やすか、主担当だけRにする | 移行・リリース:開発をC、テストをIに |
| Cが多い | 意見を集めるのに時間がかかる | 返事が必要な相手だけCに残し、ほかはIにする | 総合テスト:発注側と開発をIに |
| Iが多い | 連絡が多くなり、大事な知らせが埋もれる | 知らせなくても困らない役割は空欄にする | 運用引き継ぎ:開発とテストを空欄に |
直したあとの表(前の章のテンプレート)では、12行すべてが「OK」になり、判定がOK以外の行数は 0 になりました。
列ごとの点検式(役割の負荷を見る)
行の点検が済んだら、列方向にも数えます。14行目以降に次の数式を入れ、G列までコピーします。
| セル | 見出し | 数式(B列) | わかること |
|---|---|---|---|
| B14 | Rの数 | =COUNTIF(B2:B13,"*R*") |
手を動かす作業の数 |
| B15 | Aの数 | =COUNTIF(B2:B13,"*A*") |
承認する作業の数 |
| B16 | 空欄以外 | =COUNTA(B2:B13) |
関わる作業の総数 |
テンプレートの表での結果は次のとおりです。
| 集計 | 発注側 | PM | リーダー | 開発 | テスト | 運用 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| Rの数 | 1 | 2 | 4 | 3 | 2 | 3 |
| Aの数 | 3 | 5 | 4 | 0 | 0 | 0 |
| 空欄以外 | 9 | 10 | 12 | 11 | 9 | 7 |
リーダーは12行すべてに関わり、Rが4つ、Aが4つあります。1つの役割にRとAが集まっている場合は、その役割を2人に分ける、Aの一部をPMへ移す、といった見直しの候補になります。 逆に、Rが1つもない役割は、その役割が本当に必要かを確かめるきっかけになります。
RACI表の点検項目一覧
数式で数えられる項目と、人が読んで確かめる項目をまとめました。
| No. | 見る方向 | 点検項目 | 確かめ方 | 見つかったときの対応 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 行 | Aがちょうど1つある | Aの数が1 | 最終判断者を1人に決める |
| 2 | 行 | Rが1つ以上ある | Rの数が1以上 | 作る役割を決める |
| 3 | 行 | Rが多すぎない | Rの数が列数の半分以下 | 作業を分割する |
| 4 | 行 | Cが多すぎない | Cの数が列数の半分以下 | 一部をIに変える |
| 5 | 行 | Iが多すぎない | Iの数が列数の半分以下 | 一部を空欄にする |
| 6 | 列 | Rが1つの役割に集まっていない | 列のRの数を比べる | 役割を分ける、担当を移す |
| 7 | 列 | Aが1つの役割に集まっていない | 列のAの数を比べる | 承認の一部を委ねる |
| 8 | 列 | RもAもない役割がない | 列のRとAがともに0 | 役割の必要性を確かめる |
| 9 | 列 | 空欄がまったくない役割がない | 空欄以外の数が行数と同じ | 関わる範囲を絞る |
| 10 | 全体 | 作業名が成果物や完了の状態で書かれている | 目で読む | 「〜の作成」「〜の承認」のように書き直す |
| 11 | 全体 | 役割名が体制図の名前と一致している | 体制図と見比べる | 名前をそろえる |
| 12 | 全体 | Aを持つ人が、その作業を承認できる立場にある | 体制図の上下関係と見比べる | Aを上位の役割へ移す |
| 13 | 全体 | 関係者全員が内容を確認している | 読み合わせの記録 | 定例で読み合わせる |
| 14 | 全体 | 体制が変わったときに更新している | 更新日を見る | 表に更新日と版を書く |
体制図からRACI表へ落とす手順
体制図とRACI図は、答える問いが違います。体制図は「誰が誰に報告するか」を、RACI図は「作業ごとに誰が何をするか」を示します。 体制図だけでは、たとえば「結合テストの完了を承認するのはPMかリーダーか」は読み取れません。両方をそろえると、指示の流れと作業の分担がつながります。
| 比べる点 | 体制図 | RACI図 |
|---|---|---|
| 形 | 箱と線の図 | 作業×役割の表 |
| 示すもの | 組織の上下関係、連絡の経路 | 作業ごとの責任の種類 |
| 向いている問い | 誰に報告すればよいか | この作業は誰が作り、誰が承認するか |
| 作る時期 | 立ち上げのとき | 体制図と作業一覧がそろったあと |
まず体制図を用意します。次のコードはMermaidのフローチャートで書いた例です。
flowchart TB
subgraph ORD["発注側"]
O1["責任者(承認)"]
O2["業務担当(要件・受入)"]
O1 --- O2
end
subgraph DEV["受注側"]
PM["PM"]
L["リーダー"]
D["開発"]
T["テスト"]
OP["運用"]
PM --- L
L --- D
L --- T
PM --- OP
end
O1 -.->|"定例・承認"| PM
O2 -.->|"仕様の相談"| L
この体制図から、次の順でRACI表に落とします。
| 手順 | 体制図から読み取ること | RACI表への反映 |
|---|---|---|
| 1 | 箱の名前 | 列の見出しにする。発注側の2つの箱は、分担が同じなら1列にまとめてよい |
| 2 | 実線(上下関係) | 下の箱がRの作業は、線でつながった上の箱がAの候補になる |
| 3 | 点線(組織をまたぐ連絡) | 点線で結ばれた相手はCまたはIの候補になる |
| 4 | 線のない組み合わせ | 原則として空欄。必要ならIを付ける |
| 5 | 最上位の箱 | 契約や受入など、組織としての判断が要る行のAに置く |
たとえば「リーダー―開発」は実線なので、開発がRの「実装」「単体テスト」ではリーダーがAになります。「発注側の業務担当―リーダー」は点線なので、「基本設計」で発注側がCになります。手順2で候補を置いたあと、「その人は本当にその成果物を承認できるか」を1行ずつ確かめると、形だけの表になりにくくなります。
発注側と受注側の役割分担表の例
RACI表は工程の粒度で書くことが多いため、発注側と受注側の境目にある細かな作業は別の表にしておくと、認識のずれを早めに見つけられます。こちらはRACIの4文字ではなく、「主担当」と「支援」の2種類で書くほうが読みやすくなります。
| 分類 | 作業 | 発注側 | 受注側 | 補足 |
|---|---|---|---|---|
| 要件 | 業務の流れの説明 | 主担当 | 支援 | 受注側は聞き取りと記録 |
| 要件 | 要件定義書の作成 | 支援 | 主担当 | 発注側は内容の確認 |
| 要件 | 要件定義書の承認 | 主担当 | ― | 承認日を記録する |
| 設計 | 画面・帳票の確認 | 主担当 | 支援 | 受注側は説明と修正 |
| 設計 | 既存システムの仕様の提供 | 主担当 | ― | 連携先の資料を含む |
| 環境 | 開発環境の用意 | ― | 主担当 | |
| 環境 | 本番環境の用意 | 主担当 | 支援 | 契約で変わるので明記する |
| テスト | テスト用データの提供 | 主担当 | 支援 | 個人情報は加工して渡す |
| テスト | 受入テストの項目作成と実施 | 主担当 | 支援 | 受注側は質問への回答 |
| テスト | 不具合の修正 | ― | 主担当 | |
| 移行 | 移行元データの抽出と整理 | 主担当 | 支援 | 不要なデータの判断は発注側 |
| 移行 | 移行ツールの作成と実行 | 支援 | 主担当 | 結果の確認は発注側 |
| 教育 | 利用者向け説明会 | 主担当 | 支援 | 資料の作成は受注側が支援 |
| 運用 | 利用者からの問い合わせ窓口 | 主担当 | 支援 | 受注側は調査の依頼を受ける |
分類 作業 発注側 受注側 補足
要件 業務の流れの説明 主担当 支援 受注側は聞き取りと記録
要件 要件定義書の作成 支援 主担当 発注側は内容の確認
要件 要件定義書の承認 主担当 ― 承認日を記録する
設計 画面・帳票の確認 主担当 支援 受注側は説明と修正
設計 既存システムの仕様の提供 主担当 ― 連携先の資料を含む
環境 開発環境の用意 ― 主担当
環境 本番環境の用意 主担当 支援 契約で変わるので明記する
テスト テスト用データの提供 主担当 支援 個人情報は加工して渡す
テスト 受入テストの項目作成と実施 主担当 支援 受注側は質問への回答
テスト 不具合の修正 ― 主担当
移行 移行元データの抽出と整理 主担当 支援 不要なデータの判断は発注側
移行 移行ツールの作成と実行 支援 主担当 結果の確認は発注側
教育 利用者向け説明会 主担当 支援 資料の作成は受注側が支援
運用 利用者からの問い合わせ窓口 主担当 支援 受注側は調査の依頼を受ける
テスト用データ、本番環境、移行元データの3つは、どちらが用意するかで日程が大きく動く項目です。表にして早い段階で双方が確認しておくと、あとの工程が進めやすくなります。
RACI・RASCI・DACI・RAPIDの比較
RACIには、文字を足したものや、意思決定に絞ったものなど、似た名前の手法があります。
| 手法 | 文字と意味 | 向いている用途 | RACIとの違い |
|---|---|---|---|
| RACI | Responsible(実行責任者)、Accountable(説明責任者)、Consulted(相談先)、Informed(報告先) | 作業や成果物ごとの役割分担 | ― |
| RASCI(RASICとも書く) | RACIにSupport(支援)を追加 | 主担当と手伝う人を分けたい場合 | Rの下で作業を手伝う人をSで表す |
| DACI | Driver(推進者)、Approver(承認者)、Contributors(貢献者)、Informed(報告先) | 1つの意思決定を進める場合 | 作業ではなく決定が対象。推進役を明示する |
| RAPID | Recommend(提案)、Agree(同意)、Perform(実行)、Input(情報提供)、Decide(決定) | 複数の組織が関わる意思決定 | 提案・同意・決定の役を分けて書く |
| こんなとき | 選ぶ手法 |
|---|---|
| 工程や成果物ごとの分担を一覧にしたい | RACI |
| Rが多くなり、主担当と手伝う人を区別したい | RASCI |
| 「どの製品を採用するか」のように、1つの決定の進め方を決めたい | DACI |
| 決定に同意が必要な部門があり、提案と決定を分けたい | RAPID |
開発の工程表に合わせて使うなら、まずRACIで十分です。 Rが3人以上になる行が目立ってきたら、主担当だけをRに残してほかをSにするRASCIへ広げると、表を作り直さずに済みます。
うまく回すためのコツ
| 起きやすいこと | こうするとよい |
|---|---|
| 行が細かくなり、表が読まれなくなる | 工程や主な成果物の粒度に絞り、細かな分担は別の表に分ける |
| 個人名で書いたため、異動のたびに直しが出る | 役割名で書き、役割と個人の対応は体制図に書く |
| 作ったあとに見直されない | 工程の切り替わりで読み合わせ、更新日と版を書く |
| Aを持つ人が内容を知らない | 作成後に、Aの人へ「この作業の完了を承認する役です」と直接伝える |
| すべてのマスに文字が入る | 空欄を使う。関わらないことを示すのも分担のうち |
よくある質問
Q. RとAを同じ人にしてもよいですか?
A. かまいません。その場合はマスに「A/R」と書きます。この記事の点検式は "*A*" のようにワイルドカードで数えるので、「A/R」のマスもAとRの両方に数えられます。
Q. Aは必ず1人ですか?2人で承認する作業はどう書きますか? A. 1つの行にAは1人が原則です。2人の承認が要る場合は、「設計書の内部承認」「設計書の発注側承認」のように作業を2行に分けると、それぞれのAが1人になります。
Q. 行はどのくらいの細かさにすればよいですか? A. 1枚で見渡せる10〜20行が目安です。WBSの上位の階層や、工程ごとの主な成果物を行にすると、WBSや工程表と照らし合わせやすくなります。
Q. ExcelでもGoogleスプレッドシートでも同じ数式で動きますか? A. この記事の計算結果は LibreOffice Calc 24.2 で確かめたものです。COUNTIFのワイルドカードは Microsoft のサポートページに記載があり、同じ書き方が使えます。使う前に、記入済みテンプレートを貼って判定が12行とも「OK」になるかを見ておくと確実です。
まとめ
- RACI図は、作業×役割の表にR(実行)・A(承認と責任)・C(相談)・I(報告)を書き込む役割分担表
- Aは1行に必ず1人、Rは1人以上。Aから先に決めると表がまとまりやすい
- 役割名で書くと、担当者が替わっても直しが少ない
- COUNTIFで行ごとのA・R・C・Iの数を数えると、抜けと偏りを数字で点検できる
- 列方向にも数えると、1つの役割に負荷が集まっていないかがわかる
- 体制図の箱を列に、線をA・C・Iの候補に読み替えるとRACI表に落とせる
- 支援役を分けたいときはRASCI、意思決定の進め方を決めたいときはDACIやRAPIDが選択肢になる
参考
- Atlassian「RACI チャート」https://www.atlassian.com/ja/work-management/project-management/raci-chart (RACI・DACI・RAPIDの各文字の意味)
- Asana「RACI チャートとは」https://asana.com/ja/resources/raci-chart (RASICのSの意味)
- Microsoft サポート「COUNTIF 関数」https://support.microsoft.com/ja-jp/office/countif-関数-e0de10c6-f885-4e71-abb4-1f464816df34 (ワイルドカードと大文字・小文字の扱い)
本記事の内容は、ご自由にお使いください。
ご利用の際は、出典として本ページへのリンクを記載いただけますようお願いします。
(記載例)出典:株式会社RJC「RACI図とは 作り方とテンプレート 体制図・役割分担表の記入例」
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