プロジェクト計画書とは、「何を、いつまでに、だれが、どのように進めて完了とするか」を関係者全員で合意するための文書です。 目的・範囲・体制・日程だけでなく、会議や報告のルール、品質の目標、変更の受け付け方、完了の基準まで書いておくと、進行中に迷ったときの判断のよりどころになります。

この記事では、システム開発でそのまま使える章・節レベルの目次テンプレートを Markdown で載せ、全12章について架空の題材(社内図書の貸出管理システムの新規開発)での記入例と、「書く内容・書かない内容」の対比を示します。体制図とマイルストーンは Mermaid のコードで、会議体や品質目標などは表で書いています。

確認環境:Ubuntu 24.04 / @mermaid-js/mermaid-cli 12.0.0(Mermaid 12.1.0)と Chromium で、掲載した Mermaid のコード2点が描画できることを確認。日付の曜日と工数の合計は Python 3.11.15 で検算。

プロジェクト計画書の早見表

章 章の名前 答える問い 主な形式
1 プロジェクト概要 なぜ行い、何を達成するのか 文章、表
2 スコープ どこまでが対象で、何を作るのか 表(対象・対象外・成果物)
3 前提条件と制約条件 何を当てにし、何に縛られるのか 表
4 体制 だれが、何に責任を持つのか 体制図、役割表
5 スケジュール いつ、何が終わるのか マイルストーン、工程表
6 進め方 どの工程を、何をもって終わりとするか 表
7 コミュニケーション計画 いつ、だれに、何を伝えるのか 会議体の表、報告ルールの表
8 品質計画 どの水準を、どう確かめるのか 品質目標の表
9 リスク管理 何が起こりうるか、どう備えるか リスク一覧
10 課題管理と変更管理 困りごとと変更を、どう扱うのか 手順、判断基準の表
11 工数とコストの計画 どれだけの工数と費用を見込むのか 表
12 完了基準 何をもって完了とするのか 完了基準の表

本記事の内容は、ご自由にお使いください。
ご利用の際は、出典として本ページへのリンクを記載いただけますようお願いします。

(記載例)出典:株式会社RJC「プロジェクト計画書の書き方 目次テンプレートと項目別の記入例」

目次テンプレート(章・節レベル)

次の目次を、そのまま文書の骨組みとして使えます。かっこ内は、その節に書く内容の手がかりです。

# (プロジェクト名)プロジェクト計画書

- 版: 1.0
- 作成日: YYYY-MM-DD
- 作成者: (氏名)
- 承認者: (氏名)

## 1. プロジェクト概要
### 1.1 背景(なぜ今、取り組むのか)
### 1.2 目的(何のために行うのか)
### 1.3 ゴールと達成の基準(いつ、どうなっていれば達成か)

## 2. スコープ
### 2.1 対象範囲(機能・業務・利用者)
### 2.2 対象外(今回は行わないこと)
### 2.3 成果物一覧(名前・作成者・承認者・納期)

## 3. 前提条件と制約条件
### 3.1 前提条件(成り立つものとして計画に織り込むこと)
### 3.2 制約条件(変えられない条件)

## 4. 体制
### 4.1 体制図
### 4.2 役割と責任

## 5. スケジュール
### 5.1 マイルストーン
### 5.2 工程と期間

## 6. 進め方
### 6.1 工程ごとの作業と完了の基準
### 6.2 開発環境とツール

## 7. コミュニケーション計画
### 7.1 会議体
### 7.2 報告ルール
### 7.3 連絡手段と文書の保存場所

## 8. 品質計画
### 8.1 品質目標
### 8.2 レビューとテストの方針

## 9. リスク管理
### 9.1 リスク一覧
### 9.2 見直しの方法

## 10. 課題管理と変更管理
### 10.1 課題管理
### 10.2 変更管理の手順

## 11. 工数とコストの計画
### 11.1 工程別の工数
### 11.2 費用と予備

## 12. 完了基準
### 12.1 プロジェクトの完了基準
### 12.2 引き継ぎ

## 付録
### A. 用語
### B. 改訂履歴

項目別の記入例と「書く内容・書かない内容」

ここからは、12章それぞれの記入例です。題材は次の架空のプロジェクトです。

項目 内容
名前 社内図書の貸出管理システム 新規開発
依頼元 総務部
期間 2026-11-02 〜 2027-03-31(約5か月)
体制 開発側6名、依頼元2名
工数 30 人月(予備 3 人月を別に確保)

1. プロジェクト概要

記入例

  • 背景:社内図書(約 2,400 冊)の貸出を紙の台帳で管理しており、返却の遅れに気づきにくい。貸出状況の問い合わせが総務部に月 60 件ほど寄せられている。
  • 目的:貸出・返却・予約をシステムで扱えるようにし、利用者が自分で貸出状況を確認できるようにする。
  • ゴールと達成の基準:
No ゴール 達成の基準 確認する時期
1 2027-03-19 に全社で利用を開始する 受け入れテストに合格し、リリースが完了している 2027-03-19
2 利用者が貸出状況を自分で確認できる 貸出状況の問い合わせが月 60 件から月 20 件以下になる 利用開始の3か月後
3 返却の遅れを減らす 返却期限を過ぎた貸出の割合が、利用開始前の調査値の半分以下になる 利用開始の3か月後
書く内容 書かない内容
取り組む理由を示す数字(件数、冊数、時間) 「業務を効率化する」のような、確かめようのない目的
いつ、何で達成を判定するか 機能の細かい一覧(2章と要件定義書に書く)
プロジェクト終了後に測る指標と、測る時期 会社の沿革や組織の説明

2. スコープ

記入例

区分 内容
対象範囲(機能) 蔵書の検索、貸出、返却、予約、返却期限の通知メール、蔵書の登録・更新(管理者)、貸出状況の一覧(管理者)
対象範囲(利用者) 全社員(約 300 名)、総務部の管理者 3 名
対象範囲(作業) 要件定義、設計、実装、テスト、既存の台帳からのデータ移行、利用者向け手順書の作成
対象外 電子書籍の管理、購入の申請と承認、スマートフォン向けの専用アプリ、バーコード読み取り機器の調達

成果物一覧:

No 成果物 作成 承認 納期
1 要件定義書 開発側 依頼元の責任者 2026-11-27
2 基本設計書 開発側 プロジェクトマネージャー 2026-12-25
3 プログラム一式 開発側 プロジェクトマネージャー 2027-02-12
4 テスト結果報告書 開発側 依頼元の責任者 2027-02-26
5 利用者向け手順書、管理者向け手順書 開発側 依頼元の窓口 2027-03-05
6 移行結果報告書 開発側 依頼元の責任者 2027-03-19
書く内容 書かない内容
対象外を具体的な名前で(後から「含まれると思っていた」を防ぐ) 「必要な機能一式」のような、範囲が読み取れない表現
成果物ごとの承認者と納期 画面や項目の詳細(設計書に書く)
開発以外の作業(移行、手順書、説明会)を含むかどうか 「できれば対応する」という、約束か希望か分からない項目

3. 前提条件と制約条件

前提条件は「成り立つものとして計画に織り込んだこと」、制約条件は「変えられない条件」です。 前提が崩れたときに計画を見直す根拠になるので、崩れた場合の影響も書いておきます。

記入例

区分 No 内容 崩れた場合・守れない場合の影響
前提 1 依頼元の窓口が、質問に3営業日以内に回答する 回答が遅れた日数分、該当する工程の完了が後ろにずれる
前提 2 既存の台帳データ(表計算ファイル)を 2026-12-11 までに受け取る 移行の設計と試行が遅れ、受け入れテストの開始に影響する
前提 3 社員の情報は、既存の社員名簿のシステムから日次で取得できる 取得できない場合、社員の登録機能(見積もり外)が必要になる
前提 4 受け入れテストに、依頼元から2名が各日3時間参加する テスト期間の延長が必要になる
制約 1 利用開始日は 2027-03-19 とする(新年度の案内に間に合わせるため) 日程を優先し、範囲の調整で対応する
制約 2 工数の上限は 33 人月(予備 3 人月を含む)とする 超える見込みが出た時点で、運営会議に諮る
制約 3 社内の既存のサーバー環境と、標準のデータベース製品を使う 構成の自由度が限られる
制約 4 社内の情報セキュリティの規程に従う 規程に基づく確認の期間(5営業日)を日程に含める
書く内容 書かない内容
相手に守ってほしいこと(回答の期限、データの受け渡し日、テストへの参加) 当たり前すぎて計画に影響しないこと(「電気が使える」など)
崩れた場合の影響 起こるかどうか分からない出来事(9章のリスクに書く)
日程・工数・技術・規程の、動かせない条件 希望や努力目標

4. 体制

記入例

体制図(Mermaid)です。

flowchart TD
    OWN["依頼元の責任者<br>総務部 部長 山本"]
    WIN["依頼元の窓口<br>総務部 中村"]
    PM["プロジェクトマネージャー<br>佐藤"]
    DL["開発リーダー<br>鈴木"]
    DEV["開発担当<br>高橋・伊藤"]
    QA["テスト担当<br>渡辺"]
    INF["環境・移行担当<br>田中"]

    OWN --- WIN
    OWN --> PM
    WIN <--> PM
    PM --> DL
    PM --> QA
    PM --> INF
    DL --> DEV

役割と責任:

役割 担当 責任 決められること
依頼元の責任者 山本 目的とゴールの承認、範囲・日程・工数の変更の最終判断、受け入れの判定 範囲・日程・工数の変更
依頼元の窓口 中村 要望の取りまとめ、質問への回答、受け入れテストの実施 画面の文言、運用の細部
プロジェクトマネージャー 佐藤 計画の作成と更新、進み具合・課題・リスクの管理、報告 開発側の担当の割り当て、予備の範囲内の工数の使い方
開発リーダー 鈴木 設計の取りまとめ、実装の方針、コードレビュー 技術的な方式
開発担当 高橋、伊藤 設計、実装、単体テスト 担当範囲の実装方法
テスト担当 渡辺 テスト計画、結合テスト、不具合の管理 テスト項目の内容
環境・移行担当 田中 環境の準備、データ移行、リリース作業 作業手順の内容
書く内容 書かない内容
依頼元の側の役割(責任者と窓口) 氏名だけが並んだ一覧
役割ごとの「決められること」 全員の連絡先(連絡先一覧として別に管理する)
兼務がある場合は、その割合(例:田中は 50%) 関与しない上位の組織図

5. スケジュール

記入例

No マイルストーン 日付 判定する人
1 キックオフ 2026-11-02 プロジェクトマネージャー
2 要件定義の完了 2026-11-27 依頼元の責任者
3 基本設計の完了 2026-12-25 プロジェクトマネージャー
4 実装の完了 2027-02-12 開発リーダー
5 結合テストの完了 2027-02-26 プロジェクトマネージャー
6 受け入れテストの完了 2027-03-12 依頼元の責任者
7 リリース(利用開始) 2027-03-19 依頼元の責任者
8 プロジェクトの完了 2027-03-31 依頼元の責任者

工程と期間(Mermaid のガントチャート)です。

gantt
    title 社内図書の貸出管理システム 工程表
    dateFormat YYYY-MM-DD
    axisFormat %m/%d
    excludes weekends

    section 要件・設計
    要件定義           :req, 2026-11-02, 2026-11-27
    要件定義の完了     :milestone, m1, 2026-11-27, 0d
    基本設計           :bd, 2026-11-30, 2026-12-25
    基本設計の完了     :milestone, m2, 2026-12-25, 0d

    section 実装
    詳細設計と実装     :impl, 2027-01-05, 2027-02-12
    実装の完了         :milestone, m3, 2027-02-12, 0d

    section テスト
    結合テスト         :it, 2027-02-15, 2027-02-26
    受け入れテスト     :uat, 2027-03-01, 2027-03-12
    受け入れテストの完了 :milestone, m4, 2027-03-12, 0d

    section 移行・リリース
    データ移行の試行   :mig, 2027-02-15, 2027-03-05
    リリース準備       :rel, 2027-03-15, 2027-03-18
    リリース           :milestone, m5, 2027-03-19, 0d
    利用開始後の見守り :care, 2027-03-22, 2027-03-31
書く内容 書かない内容
マイルストーンの日付と、判定する人 作業単位の細かい日程(WBS や工程表として別に管理する)
休日や年末年始など、作業しない期間 根拠の無い「余裕を見た」日付
依頼元の作業が入る期間(受け入れテスト、データの受け渡し) 毎週変わる進み具合(進捗報告に書く)

6. 進め方

記入例

進め方:要件定義から受け入れテストまでを順に進める。実装は2週間ごとに区切り、区切りごとに動く画面を依頼元の窓口に見せて意見をもらう。

工程 主な作業 成果物 完了の基準
要件定義 要望の聞き取り、業務の流れと機能の整理 要件定義書 依頼元の責任者が承認している。未確定事項が 0 件、または扱いが合意されている
基本設計 画面・データ・外部との連携の設計 基本設計書 レビューの必須の指摘がすべて反映されている
詳細設計と実装 プログラムの作成、単体テスト、コードレビュー プログラム一式、単体テスト結果 単体テストがすべて合格し、コードレビューで2名が承認している
結合テスト 機能をつないだ動作の確認 テスト結果報告書 全項目を実施し、重大な不具合が 0 件である
受け入れテスト 依頼元による業務の流れに沿った確認 受け入れテスト結果 依頼元の責任者が合格と判定している
移行・リリース データ移行、リリース、手順書の配布 移行結果報告書 移行後の件数が移行前と一致し、利用を開始している

開発環境とツール:

用途 ツール・環境 管理者
ソースコードの管理 Git(社内のリポジトリ) 鈴木
課題・不具合の管理 課題管理ツール(社内の標準) 佐藤
文書の保存 共有フォルダ「図書貸出システム」 佐藤
環境 開発、テスト、本番の3つ 田中
書く内容 書かない内容
工程ごとの完了の基準(だれが、何を見て判定するか) 開発手法の一般的な解説
依頼元に見せるタイミング コーディング規約の全文(別の文書を参照する)
使うツールと管理者 ツールの操作手順

7. コミュニケーション計画

記入例

会議体:

会議 目的 頻度・時間 出席 進行 記録
運営会議 全体の状況の確認、範囲・日程・工数の変更の判断 月1回・60分 山本、中村、佐藤、鈴木 佐藤 佐藤
週次定例 進み具合、課題、リスクの確認 毎週月曜・30分 中村、佐藤、鈴木、渡辺、田中 佐藤 渡辺
朝の打ち合わせ 当日の作業と困りごとの共有 毎日・15分 開発側の全員 鈴木 なし(課題は課題管理ツールに登録)
設計レビュー 設計内容の確認と承認の判定 工程の節目ごと・60分 鈴木、高橋、伊藤、渡辺(必要に応じて中村) 鈴木 作成者
仕様の確認会 動く画面を見ながらの意見の聞き取り 2週間に1回・45分 中村、鈴木、担当者 鈴木 担当者

報告ルール:

報告 だれから だれへ 時期 手段 内容
日次の報告 各担当 開発リーダー 毎朝 朝の打ち合わせ 昨日・今日・困りごと
週次の報告 プロジェクトマネージャー 依頼元の窓口 毎週金曜 文書(週次定例で説明) 状態、進捗率、課題、リスク
月次の報告 プロジェクトマネージャー 依頼元の責任者 毎月最終営業日 文書(運営会議で説明) マイルストーンの達成状況、工数の予定と実際、リスク
遅れの報告 気づいた人 プロジェクトマネージャー 気づいた当日 口頭とチャット 遅れ日数、原因、影響、回復策
重大な問題の報告 プロジェクトマネージャー 依頼元の責任者 判明から1営業日以内 口頭の後にメール 影響、対応案、判断してほしいこと

連絡手段と文書の保存場所:

用途 手段 決まりごと
日々の連絡 チャット(専用のチャンネル) 決定を含む内容は、議事録か課題管理ツールにも残す
正式な依頼・承認 メール 件名の先頭に【図書貸出】を付ける
議事録 共有フォルダ 会議の当日中に保存し、翌営業日までに指摘が無ければ確定とする
書く内容 書かない内容
会議ごとの目的と、そこで決められること 「適宜、連絡を取り合う」のような、頻度が読み取れない表現
報告の「だれから・だれへ・いつ・何を」 議事録や報告書の書式そのもの(テンプレートとして別に用意する)
遅れや問題が起きたときの連絡の経路と期限 個人の電話番号やアカウント

8. 品質計画

品質目標は、数字と確かめ方をセットで書きます。 数字は、組織の基準や過去のデータがあればそれに合わせ、無ければ関係者で合意した値を書きます。

記入例

No 品質目標 目標値 確かめ方 確かめる時期
1 設計レビューの必須の指摘の反映 100% 指摘一覧の「対応」欄と、修正後の文書を照らし合わせる 各設計工程の完了時
2 コードレビューの実施 変更のすべてに2名が承認 リポジトリの承認の記録 実装の完了時
3 単体テストの合格 100%(自動テストがすべて合格) 自動テストの実行結果 変更のたび
4 結合テストの項目の実施 100% テスト結果報告書 結合テストの完了時
5 リリース時点の重大な不具合 0 件 課題管理ツールの一覧 リリースの判定時
6 画面の応答時間 検索結果の表示が 3 秒以内(蔵書 2,400 冊、同時利用 30 名) 負荷テストの結果 結合テスト期間
7 受け入れテストの合格 業務の流れ 12 本がすべて合格 受け入れテスト結果 受け入れテストの完了時

不具合の重要度:

重要度 基準 リリースの判定での扱い
重大 貸出・返却・予約ができない、データが誤って記録される 0 件であること
中 回避する方法があるが、業務に手間がかかる 対応の時期が合意されていること
軽微 表示の乱れ、文言の誤り 一覧を依頼元に共有していること
書く内容 書かない内容
数字で判定できる目標と、確かめ方・時期 「高品質なシステムを作る」のような意気込み
不具合の重要度の基準と、リリース判定での扱い テスト項目の一覧(テスト仕様書に書く)
レビューの対象と承認の条件 測る手段の無い指標

9. リスク管理

記入例

No リスク 起こりやすさ 影響 予防策 起きたときの対応 担当
1 台帳データに表記のゆれや重複が多く、移行に時間がかかる 高 中 12 月にデータを受け取り、試しに移行して件数と内容を調べる 整える範囲を依頼元と決め、手作業の分担を相談する 田中
2 要望の追加が続き、要件定義が期限までに終わらない 中 大 要望に優先度を付け、範囲に入れるかを週次定例で決める 優先度の低い要望を次期の候補に回す 佐藤
3 社員名簿のシステムとの連携方法が想定と異なる 中 大 要件定義の期間中に、連携の試作で確認する 取り込み用のファイルを使う方式に切り替える 鈴木
4 年末年始と重なり、依頼元の回答が遅れる 中 中 12 月の確認事項を 12/11 までにまとめて依頼する 回答を待たずに進められる作業を先に行う 佐藤
5 メンバーが体調などで長く不在になる 低 大 担当範囲を2名で把握する。設計と手順を文書に残す 予備の工数を使い、分担を組み替える 佐藤

見直しの方法:週次定例でリスク一覧を確認し、起こりやすさと影響を更新する。新しいリスクは気づいた人が一覧に追加する。

書く内容 書かない内容
このプロジェクトに固有のリスク どの開発にも当てはまる一般論だけの一覧
予防策と、起きたときの対応の両方、担当 すでに起きている問題(課題管理に書く)
いつ、どの場で見直すか 対策の無い心配ごとの羅列

10. 課題管理と変更管理

変更管理は、依頼元と開発側の双方を守る仕組みです。 「だれが受け付け、だれが影響を調べ、だれが決めるか」を書いておくと、要望を前向きに受け止めながら、日程と品質を保てます。

記入例

課題管理:課題は気づいた人が課題管理ツールに登録する。項目は「内容・起票日・担当・期限・状態・対応の経過」とする。週次定例で期限の近いものと期限を過ぎたものを確認する。2週間以上進展が無い課題は、運営会議に諮る。

変更管理の手順:

手順 やること 担当 期限の目安
1. 受け付け 変更の要望を変更依頼票に記入する(内容・理由・希望の時期) 依頼元の窓口または開発側 随時
2. 影響の調査 工数・日程・品質・他の機能への影響を調べる 開発リーダー 受け付けから3営業日以内
3. 判断 下の基準に従って、採用・見送り・次期へ回す、のいずれかを決める 基準の表のとおり 調査の完了から2営業日以内
4. 反映 計画書・設計書・工程表を更新し、関係者に知らせる プロジェクトマネージャー 判断から2営業日以内
5. 記録 変更依頼票に結果を記入し、一覧で管理する プロジェクトマネージャー 反映と同時

変更を判断する人の基準:

変更の大きさ 基準 判断する人
小 工数 2 人日以内で、マイルストーンに影響しない プロジェクトマネージャー
中 工数 2 人日を超え、予備の工数の範囲に収まり、リリース日に影響しない プロジェクトマネージャーと依頼元の窓口
大 予備の工数を超える、またはリリース日・範囲に影響する 依頼元の責任者(運営会議)
書く内容 書かない内容
変更の受け付け窓口と、判断する人の基準 「変更は原則として受け付けない」のような、運用できない決まり
影響の調査にかける日数 個別の変更の内容(変更依頼票に書く)
課題を上位の会議に諮る条件 課題の一覧そのもの

11. 工数とコストの計画

記入例

工程 工数(人月) 割合
要件定義 3.0 10.0%
基本設計 4.0 13.3%
詳細設計と実装 12.0 40.0%
結合テスト・受け入れテストの支援 6.0 20.0%
移行・リリース 2.0 6.7%
プロジェクト管理 3.0 10.0%
合計 30.0 100.0%
  • 予備:3.0 人月(合計の 10%)。使う場合はプロジェクトマネージャーが理由を記録し、月次の報告に載せる。
  • 工数以外の費用:テスト環境の利用料(5か月分)、利用者向け説明会の会場と資料。金額は見積書に記載する。
  • 工数の把握:各担当が作業時間を日ごとに記録し、週次で予定と実際を比べる。差が 10% を超えた工程は、週次定例で理由と見通しを報告する。
書く内容 書かない内容
工程別の工数と、予備の量・使い方の決まり 個人ごとの単価
工数以外にかかる費用の項目 見積もりの計算過程の全文(見積書や見積もりの根拠資料に書く)
予定と実際の差を、いつ・どの基準で報告するか 契約の条件(契約書に書く)

12. 完了基準

完了基準は、「これが満たされたらプロジェクトを終える」という条件です。 計画の時点で合意しておくと、終盤に「まだ終わっていない」「もう終わった」と認識が分かれることを防げます。

記入例

No 完了基準 確かめ方 判定する人
1 成果物一覧の6点が、承認者の承認を得て納品されている 成果物一覧の承認欄 依頼元の責任者
2 受け入れテストに合格している 受け入れテスト結果 依頼元の責任者
3 本番環境で利用を開始し、重大な不具合が 0 件である 課題管理ツールの一覧 プロジェクトマネージャー
4 データ移行後の蔵書の件数が、移行前と一致している 移行結果報告書 依頼元の窓口
5 未解決の課題について、対応する人と時期が合意されている 引き継ぎ一覧 依頼元の窓口
6 運用の担当への引き継ぎが完了している 引き継ぎの記録 運用の担当
7 振り返りを行い、記録を保存している 振り返りの記録 プロジェクトマネージャー

引き継ぎ:利用開始後 2027-03-31 までは開発側が問い合わせに対応する。2027-04-01 以降は、総務部の管理者が一次の窓口となり、情報システムの担当が保守を行う。引き継ぐ文書は、設計書、手順書、未解決の課題の一覧、環境の構成の資料とする。

書く内容 書かない内容
判定できる条件と、判定する人 「関係者が満足していること」のような、判定の分かれる条件
未解決の課題の扱い 利用開始後の改善の要望(次期の計画に書く)
引き継ぎ先と、引き継ぐ文書 保守の契約の詳細

規模別:省略できる章の早見表

計画書の厚さは、規模に合わせて変えます。 小さなプロジェクトで12章すべてを詳しく書くと、作ることが目的になりがちです。次の表を目安に、章を簡略にするか、他の章にまとめます。

規模の目安は、小=3名以下・3か月以内、中=4〜10名・3〜6か月、大=11名以上・6か月超または複数のチーム、です。

章 小 中 大
1. プロジェクト概要 必須 必須 必須
2. スコープ 必須 必須 必須(成果物一覧は別紙も可)
3. 前提条件と制約条件 必須(各3行程度) 必須 必須
4. 体制 簡略可(役割表のみ) 必須 必須(チームごとの体制図を追加)
5. スケジュール 必須(マイルストーンのみ) 必須 必須(工程表は別紙)
6. 進め方 簡略可(完了の基準のみ) 必須 必須
7. コミュニケーション計画 簡略可(会議体の表のみ) 必須 必須(チーム間の連絡の経路を追加)
8. 品質計画 簡略可(品質目標3件程度) 必須 必須(品質管理の計画を別紙にすることも可)
9. リスク管理 簡略可(上位3件) 必須 必須(一覧は別紙で管理)
10. 課題管理と変更管理 簡略可(判断する人のみ) 必須 必須
11. 工数とコストの計画 簡略可(合計と予備のみ) 必須 必須
12. 完了基準 必須 必須 必須
付録(用語、改訂履歴) 省略可(改訂履歴は表紙に書く) 必須 必須

表計算ソフトに貼れるタブ区切りです。

章   小   中   大
1. プロジェクト概要 必須  必須  必須
2. スコープ 必須  必須  必須
3. 前提条件と制約条件    必須  必須  必須
4. 体制   簡略可 必須  必須
5. スケジュール   必須  必須  必須
6. 進め方  簡略可 必須  必須
7. コミュニケーション計画  簡略可 必須  必須
8. 品質計画 簡略可 必須  必須
9. リスク管理    簡略可 必須  必須
10. 課題管理と変更管理   簡略可 必須  必須
11. 工数とコストの計画   簡略可 必須  必須
12. 完了基準    必須  必須  必須
付録  省略可 必須  必須

どの規模でも省かないのは、概要・スコープ・前提と制約・スケジュール・完了基準の5つです。この5つがあれば、「何を、いつまでに、どの条件で、どうなったら終わりか」を合意できます。小規模なら、A4 で2〜3ページに収まります。

提出前の確認項目30個

提出やレビューの前に、次の30項目を確認します。

No 分類 確認項目
1 全体 表紙に版・作成日・作成者・承認者が書かれている
2 全体 改訂履歴に、変更した日・箇所・理由が書かれている
3 全体 用語や略語が、初めて出る箇所か付録で説明されている
4 全体 他の文書(要件定義書、見積書など)を参照する箇所に、文書名と版が書かれている
5 概要 背景に、取り組む理由を示す数字がある
6 概要 目的とゴールが分けて書かれている
7 概要 ゴールごとに、達成の基準と確認する時期がある
8 スコープ 対象外が、具体的な名前で書かれている
9 スコープ 成果物ごとに、作成者・承認者・納期がある
10 スコープ 開発以外の作業(移行、手順書、説明会)を含むかどうかが書かれている
11 前提と制約 前提条件に、相手に守ってほしい期限や日付がある
12 前提と制約 前提が崩れた場合の影響が書かれている
13 前提と制約 制約条件に、日程・工数・技術・規程の動かせない条件が挙がっている
14 体制 依頼元の責任者と窓口が書かれている
15 体制 役割ごとに、責任と決められることが書かれている
16 体制 兼務の割合や、参加する期間が限られる人が分かる
17 スケジュール マイルストーンに、日付と判定する人がある
18 スケジュール 休日や長期の休みが、日程に反映されている
19 スケジュール 依頼元の作業(回答、データの受け渡し、受け入れテスト)の期間が入っている
20 進め方 工程ごとに、完了の基準が書かれている
21 コミュニケーション 会議ごとに、目的・頻度・出席・記録の担当がある
22 コミュニケーション 報告の「だれから・だれへ・いつ・何を」が書かれている
23 コミュニケーション 遅れや重大な問題が起きたときの連絡の経路と期限がある
24 品質 品質目標が数字で書かれ、確かめ方と時期がある
25 品質 不具合の重要度の基準と、リリース判定での扱いがある
26 リスク リスクごとに、予防策・起きたときの対応・担当がある
27 変更管理 変更の受け付け窓口、影響の調査、判断する人の基準がある
28 工数とコスト 工程別の工数の合計が合っており、予備の量と使い方が書かれている
29 完了基準 完了基準ごとに、確かめ方と判定する人がある
30 完了基準 未解決の課題の扱いと、引き継ぎ先が書かれている

表計算ソフトで確認欄を足して使えるよう、CSV も載せます。

No,分類,確認項目,確認結果
1,全体,表紙に版・作成日・作成者・承認者が書かれている,
2,全体,改訂履歴に変更した日・箇所・理由が書かれている,
3,全体,用語や略語が初めて出る箇所か付録で説明されている,
4,全体,他の文書を参照する箇所に文書名と版が書かれている,
5,概要,背景に取り組む理由を示す数字がある,
6,概要,目的とゴールが分けて書かれている,
7,概要,ゴールごとに達成の基準と確認する時期がある,
8,スコープ,対象外が具体的な名前で書かれている,
9,スコープ,成果物ごとに作成者・承認者・納期がある,
10,スコープ,開発以外の作業を含むかどうかが書かれている,
11,前提と制約,前提条件に相手に守ってほしい期限や日付がある,
12,前提と制約,前提が崩れた場合の影響が書かれている,
13,前提と制約,制約条件に日程・工数・技術・規程の動かせない条件が挙がっている,
14,体制,依頼元の責任者と窓口が書かれている,
15,体制,役割ごとに責任と決められることが書かれている,
16,体制,兼務の割合や参加する期間が限られる人が分かる,
17,スケジュール,マイルストーンに日付と判定する人がある,
18,スケジュール,休日や長期の休みが日程に反映されている,
19,スケジュール,依頼元の作業の期間が入っている,
20,進め方,工程ごとに完了の基準が書かれている,
21,コミュニケーション,会議ごとに目的・頻度・出席・記録の担当がある,
22,コミュニケーション,報告のだれから・だれへ・いつ・何をが書かれている,
23,コミュニケーション,遅れや重大な問題が起きたときの連絡の経路と期限がある,
24,品質,品質目標が数字で書かれ確かめ方と時期がある,
25,品質,不具合の重要度の基準とリリース判定での扱いがある,
26,リスク,リスクごとに予防策・起きたときの対応・担当がある,
27,変更管理,変更の受け付け窓口・影響の調査・判断する人の基準がある,
28,工数とコスト,工程別の工数の合計が合っており予備の量と使い方が書かれている,
29,完了基準,完了基準ごとに確かめ方と判定する人がある,
30,完了基準,未解決の課題の扱いと引き継ぎ先が書かれている,

計画書を作る順番と、更新のしかた

計画書は、1章から順に書くより、決まりやすいものから埋めて、関係者と確認しながら仕上げるほうが早く進みます。

順番 書く章 進め方
1 1章 概要、2章 スコープ 依頼元の責任者と、目的・ゴール・対象外を先に合意する
2 3章 前提と制約、5章 マイルストーン 動かせない日付と条件を並べ、マイルストーンを置く
3 4章 体制、11章 工数 範囲と日程に合う人数と工数を見積もる。合わなければ手順1に戻る
4 6〜10章 進め方、会議と報告、品質、リスク、変更管理を、チームで話し合って書く
5 12章 完了基準 成果物一覧とゴールに照らして、完了の条件を決める
6 全体 30項目で確認し、キックオフで読み合わせて承認を得る

承認の後も、計画書は更新していきます。範囲・日程・体制・工数が変わったときは、10章の変更管理の手順で判断したうえで該当する章を直し、改訂履歴に「日付・箇所・理由・承認者」を残します。リスク一覧や課題の一覧のように毎週変わるものは、計画書の本体から切り離して別の表で管理し、計画書には「どこにあり、いつ見直すか」だけを書いておくと、版の更新が少なくて済みます。

よくある質問

Q. プロジェクト計画書は何ページくらいが適切ですか? A. 規模によります。3名以下・3か月以内の小規模なら A4 で2〜3ページ、中規模で10〜20ページが目安です。ページ数よりも、概要・スコープ・前提と制約・スケジュール・完了基準の5つが合意できる内容になっているかを確かめます。

Q. 要件が固まっていない段階でも、計画書は書けますか? A. 書けます。決まっていない点は3章の前提条件に「現時点の想定」として書き、要件定義の完了時に計画を見直すことを5章のマイルストーンに入れます。計画書は一度書いて終わりではなく、分かったことを反映して版を上げていく文書です。

Q. 提案書やプロジェクト憲章とは、どう違いますか? A. 提案書は「この内容で任せてほしい」と示す文書、プロジェクト憲章は「このプロジェクトを立ち上げる」と認める文書で、どちらも開始前の合意が中心です。計画書は、開始が決まった後に「どう進めるか」を具体的に定める文書で、会議・報告・品質・変更の扱い・完了基準まで踏み込みます。

Q. アジャイル開発でも計画書は必要ですか? A. 必要な章が変わります。目的・ゴール、体制、会議と報告、品質の考え方、完了の条件は、進め方にかかわらず合意しておくと役に立ちます。機能の細かい範囲と日程は固定せず、「優先順位の決め方」と「区切りごとの見直しの方法」を書く形にします。

まとめ

  • プロジェクト計画書は、「何を、いつまでに、だれが、どう進めて完了とするか」を合意する文書。12章の目次テンプレートを骨組みにする。
  • 各章は、数字・日付・担当で判定できる形に書く。「適宜」「必要に応じて」は、頻度や条件に置き換える。
  • 対象外、前提が崩れた場合の影響、役割ごとの決められることは、後の行き違いを減らす要点になる。
  • 会議体と報告ルールは「だれから・だれへ・いつ・何を」の表に、品質目標は確かめ方と時期をそろえた表にする。
  • 変更管理は、受け付け・影響の調査・判断する人の基準を決めておく。
  • 完了基準は計画の時点で合意し、未解決の課題の扱いと引き継ぎ先まで書く。
  • 規模に合わせて章を簡略にし、概要・スコープ・前提と制約・スケジュール・完了基準の5つは省かない。提出前に30項目で確認する。

本記事の内容は、ご自由にお使いください。
ご利用の際は、出典として本ページへのリンクを記載いただけますようお願いします。

(記載例)出典:株式会社RJC「プロジェクト計画書の書き方 目次テンプレートと項目別の記入例」

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